恋三昧

【18禁】 BL小説取り扱い中。苦手なかた、「BL」という言葉に聞き覚えのないかた、18歳未満のかたはご遠慮ください。

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Midnight Butterfly R15


*何となくモデル設定です。(趣味←私の)
*R15です。15歳未満のかた、苦手なかたはご遠慮ください。
*@MKさんへ素敵なイラストとともに出張中です。2009.7.4記事「Midnight Butterfly 出張中」



 俺にとってはたった1人の愛しい人でも、アイツにとっての俺は、大勢いる中の1人でしかない。

 分かってる、けど。









 本日最後の撮影が終わって、帰り支度をしていると、先に支度を終えた天音(アマネ)が、通り過ぎ際、匡哉(マサヤ)の手をなぞるように触れていった。
 視線は交わさない。
 匡哉は適当に荷物をカバンに詰めると、挨拶をして、何事もないように控え室を出た―――――背後でドアが閉まると、慌てて先に出た天音の姿を探す。それほど時間を置かずに出たものの、すでに廊下に天音の姿はない。
 匡哉は軽く舌打ちすると、駐車場に向かうべく、エレヴェータホールへと駆け出す。

 ―――――いたっ…!

 本人は自覚していないが(というよりむしろ、目立たないように努力しているらしいが)、エレヴェータを待つ後ろ姿は、明らかに天音だとすぐに分かるそれだ。
 匡哉は後ろから誰も付いてきていないことを確認すると、歩幅を緩めた。エレヴェータの扉が開くタイミングで、天音と同じ箱に乗り込む。

「……そんなに慌てて追い掛けて来なくても、駐車場で待ってたのに」
「天音、待つの嫌いでしょ?」
「天音とか、下の名前で呼ばないで」
「今は、2人きりじゃん」

 返事はなかった。それより先に、エレヴェータが地階の駐車場に到着したのだ。コンクリートに囲まれたそこは、独特の、ひんやりとした空気に包まれている。
 天音はおとなしく、匡哉の後を付いてきた。
 別にそうすることを要求したことなんてないのに、天音のため、匡哉は甲斐甲斐しく助手席側のドアを開けてやった。悪い気はしないけど。

「何か、食って帰る?」
「面倒臭いな」

 たあいのない会話。
 静かに車が動き出す。駐車場を出たところで、天音がサングラスを外した。

「……それ、最近よく掛けてるね」

 それほど目敏いというわけでもないが、今まで天音が持っていなかったブランドのものだったので、つい目が行ってしまった。サングラス1つだとしても、決して安い買い物ではない品。

「貰ったの。いいなぁ~って言ってたら、プレゼントされちゃった」

 シャツの前にサングラスを引っ掛け、天音はチラリと匡哉を見た。
 その視線に気付いたけれど、匡哉はあえて気付かないふりをする。"貢がせた、の間違いだろ?"という言葉も飲み込んで。

「匡哉は何もくれないよね」
「俺はお前のパトロンか」
「俺、欲しいリングがあったのに」

 冗談とも本気とも取れる口調でそう言って、天音は口元を歪めた。

「やっぱ腹減った。パスタ食いたい。お前以外の人が作ったヤツ」
「素直にメシ食って帰りたいって言いなよ」

 それでも匡哉は、最近行ったお気に入りのイタリア料理店へと、進行方向を変えた。




*****

 食欲が満たされたところで、2人はそのまま、近くのホテルへと向かった。天音は絶対に自分の家に人を入れさせないし、匡哉の家には両親と弟がいるから。
 今は、有人のフロントを通らなくても入れるところが多いから、何かと便利だ。
 中は多少豪華な雰囲気を醸し出す部屋だったけれど、お互いそんなことには興味なく、ドアが閉まると、匡哉は少し乱暴に天音に口付けた。

「…ッ、匡哉、バカ、がっつき過ぎ…!」

 匡哉の肩を押し返した天音は、肩で息をしながら、濡れた唇を拭った。

「いいじゃん、欲しいの、俺は」
「ぁ…」

 もう1度深く口付けられて、天音は抵抗をやめた。











*****

「ねぇー」
「…ん、? ぁ、ん…」

 何度もイカされて、気怠い体。
 シャワーを浴びたいけれど動くのが面倒臭くて、匡哉が(抱っこしてでも何でもいいから)バスルームまで連れて行ってくれないかなぁ、なんて勝手なことを考えていたら、スルリと体のラインをなぞられる。

「なに…? お風呂ぉ…」

 眠くなって来たせいで、天音の言葉の語尾が甘く伸びている。
 日ごろ素っ気ない素振りを見せているくせに、こんなとき無意識に甘えてくるからタチが悪い。
それでも匡哉は心を動かされてしまって、すり寄せってくる天音を抱き締めてしまう。

「ここ、」
「んん、やぁ…」

 太ももの付け根に指を這わされ、天音はビクリと体を跳ね上げた。

「やめてよぉ…」

 キュウと眉を寄せて、匡哉を押し返そうとするが、力が入らずうまくいかない。

「ねぇ、ここさぁ、」
「ん、ふぅ…」
「俺も付けていーい?」
「な、に…?」

 何のこと? と視線を向ければ、いたずらっぽい笑みを浮かべる匡哉と目が合って、天音はそれでもキッと睨み付けた。

「匡哉、ヤ、」

 片足だけを胸に付くくらいグッと持ち上げられて、体勢的に苦しい。足をジタバタさせてみても、匡哉は離してくれない。

「何、も…や、あっ!」

 足の付け根、先ほど舐められた敏感な場所に走る小さな痛み。何をされたのか分からない、初心な人間ではない。
 抱えられていた足を下ろされて、自分からは確認できないその場所に付いたであろうキスマークに、天音は少し渋い顔をした。

「ざけんな…」

 先ほどまでの甘い声ではもうなくて、少し苛付いたそれに、けれど匡哉は悪びれたふうも見せない。

「いいじゃん、どっかの誰かさんだって、付けたんでしょ? ここに。俺にだってさせてくれたっていいじゃん」
「、」

 天音は何も言い返さない。
 匡哉ではない誰かが付けた、所有印。そうしたからといって、天音が自分だけのものになるわけでもないのに。

「匡哉も、そういうの好きだね」

 匡哉"も"。
 けれど匡哉は、敢えてその言葉を聞き流した。
 天音も分かっていて、それ以上は何も言わない。

 束縛は、するのもされるのも嫌い。
 愛されるのは、好き。
 愛されてるって、実感するのが。
 だから心は誰にもあげないけれど、体なら誰にでも差し出せる。ううん、みんなが欲しがってくれるから。
 みんなが自分のことを、うんと欲しがって、愛してくれて。追われる恋がいい。

「天音…」
「ん…」

 キレイに筋肉の付いた天音の体を組み敷いて、匡哉くは甘く唇を奪う。すんなりと受け入れる天音を嬉しく思いつつも、寂しさを隠し切れない。

 誰のものにもならない天音。
 その体も、ましてや心も。

 消えかけた誰かのキスマークの上に記し直された、新たな印。
 消えてなくなるまでは、せめて。




 どうか、せめて今だけは。
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カテゴリー:読み切り掌編
テーマ:自作BL小説  ジャンル:小説・文学

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りり ⇒ モデル設定って…?!?!

どわ…今日は一転してアダルトなムードですね?!
誰のものにもならない天音。
モデルはっモデルは誰なの~~~~?!
いそうですよね、いわゆる魔性の。
マノン・レスコーみたいな…?
誰とでも寝てしまうのに
何にも誰にも縛られてない恬淡とした心
ならではの清らかさ。

ううう…如月さま恐るべし…。

  • |2008.09.28
  • |Sun
  • |10:13
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如月久美子 ⇒ >りりさん

 実はこんな話も好きなんです、私。
 いろんな子と遊んでる、じゃないけど、誰のものにもならない、みたいな。

 ころころと雰囲気の違う話ばっかり書いて、読むほうも大変だと思いますが、もうちょっと祭りは続きますんで、どうぞよろしくです~!

 コメントありがとうございました!

  • |2008.09.29
  • |Mon
  • |07:06
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