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ずっと一緒にいたいから (2)
2011.01.20 Thu
「お前だって来年、俺の後輩とかなりたくないだろ?」
「うー…それは嫌…」
今の郁雅の成績では留年の心配はまったくないし、悪いが蒼一郎に合わせて留年する気もない。
2人揃って進級するためには、やはり蒼一郎ががんばるしかないのだ。
「留年したくないなら、お前、ちょっとはがんばれよ」
「…ん、ちょっとはがんばる…」
「いや、いっぱいがんばれ」
蒼一郎を元気付けるために、郁雅は『ちょっとは』と言ったけれど、本人には、死ぬ気でがんばる! というくらいの気持ちを持ってもらいたいのに。
こんなにのん気者だから、今の自分の切羽詰まった状況を、全然分かっていないのだろう。
「ホラ、起きろよ」
「うぅ…」
スパルタな郁雅先生に恨めしげな視線を向けつつ、蒼一郎は渋々と起き上がった。
「蒼、続き」
「んー…」
気のない返事をしつつ、蒼一郎はシャーペンを手に取り、本当に嫌そうな顔でノートにペンを走らせる。
こんなに勉強が大嫌いなくせに、どうしてコイツは大学に入ったのだろうかと、郁雅はときどき思ってしまう。
(でもまぁ…、だからいっつも一緒にいられるんだけど)
もし蒼一郎が就職していたり、別の大学だったりしたら、きっとここまで一緒にはいられないんだろう。
そういう距離感もあるんだろうけど、ちょっと郁雅には耐えられそうもない。
1年先に蒼一郎が大学に入学して、物理的に離れてしまったときは本気で絶望してしまったなんて、今になれば、どれだけ乙女チックな思考だったのかと思うけれど。
「…なぁ」
「ぅん?」
郁雅に呼ばれ、イクが呼んだんだから、ペン止めても怒られないよねー? と思いつつ、蒼一郎は顔を上げた。
「お前、マジで今年は進級しろよ?」
「え? あ、うん…」
妙に神妙で真剣な顔をして郁雅が言うので、蒼一郎も真面目に返事をする。
郁雅にはいつも、しっかりしろと怒られている蒼一郎だが、本人的にはいつもしっかりしているし、今年だけでなく去年だって、留年するつもりなんかなかったのだが。
「お前がずーっと留年ばっかしてたら、また離れ離れになんだろ…?」
離れてしまった1年間、2人して、身も心もすり減らし切ったのだ。
とてもじゃないが、あれと同じ思いはもう2度としたくはない。
「…分かってるよ、大丈夫」
郁雅の瞳が寂しげに曇ったことに気が付いて、蒼一郎はその頬にそっとキスをする。
離れていた1年間、蒼一郎だって、同じくらい寂しかった。
こんな性格だから、友だちだってたくさん出来たし、楽しいこともいっぱいあったけれど、それでも郁雅がそばにいない寂しさは埋められなくて。
そのせいで留年したんだとは、間違っても思わないけれど、でももうあんなふうに離れたくはない。
つくづく遠距離恋愛には向かない2人なのだ。
「これからはずっと同級生でいよ?」
もう1度、頬にキス。
ここで雰囲気に流されたら、やっぱマズイよね…と、蒼一郎は何とか学習の成果を発揮する。
…でも、もうちょっとだけ。
「…イク、」
「あ、バカ、お前、ここ間違ってんじゃん」
「へぇっ? は? え?」
パッと蒼一郎から離れた郁雅は、ノートに書かれた内容の間違いを指摘する。
「ちょっ…イク?」
「だからお前、もうちょっとがんばれっつってんだろ?」
「うー…もうちょっとだけがんばるから、郁雅先生、お手柔らかに…」
「もうちょっとだけじゃなくて、いっぱいがんばれっつの!」
やはり郁雅のほうが、何枚も上手のようである。
*end*
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「うー…それは嫌…」
今の郁雅の成績では留年の心配はまったくないし、悪いが蒼一郎に合わせて留年する気もない。
2人揃って進級するためには、やはり蒼一郎ががんばるしかないのだ。
「留年したくないなら、お前、ちょっとはがんばれよ」
「…ん、ちょっとはがんばる…」
「いや、いっぱいがんばれ」
蒼一郎を元気付けるために、郁雅は『ちょっとは』と言ったけれど、本人には、死ぬ気でがんばる! というくらいの気持ちを持ってもらいたいのに。
こんなにのん気者だから、今の自分の切羽詰まった状況を、全然分かっていないのだろう。
「ホラ、起きろよ」
「うぅ…」
スパルタな郁雅先生に恨めしげな視線を向けつつ、蒼一郎は渋々と起き上がった。
「蒼、続き」
「んー…」
気のない返事をしつつ、蒼一郎はシャーペンを手に取り、本当に嫌そうな顔でノートにペンを走らせる。
こんなに勉強が大嫌いなくせに、どうしてコイツは大学に入ったのだろうかと、郁雅はときどき思ってしまう。
(でもまぁ…、だからいっつも一緒にいられるんだけど)
もし蒼一郎が就職していたり、別の大学だったりしたら、きっとここまで一緒にはいられないんだろう。
そういう距離感もあるんだろうけど、ちょっと郁雅には耐えられそうもない。
1年先に蒼一郎が大学に入学して、物理的に離れてしまったときは本気で絶望してしまったなんて、今になれば、どれだけ乙女チックな思考だったのかと思うけれど。
「…なぁ」
「ぅん?」
郁雅に呼ばれ、イクが呼んだんだから、ペン止めても怒られないよねー? と思いつつ、蒼一郎は顔を上げた。
「お前、マジで今年は進級しろよ?」
「え? あ、うん…」
妙に神妙で真剣な顔をして郁雅が言うので、蒼一郎も真面目に返事をする。
郁雅にはいつも、しっかりしろと怒られている蒼一郎だが、本人的にはいつもしっかりしているし、今年だけでなく去年だって、留年するつもりなんかなかったのだが。
「お前がずーっと留年ばっかしてたら、また離れ離れになんだろ…?」
離れてしまった1年間、2人して、身も心もすり減らし切ったのだ。
とてもじゃないが、あれと同じ思いはもう2度としたくはない。
「…分かってるよ、大丈夫」
郁雅の瞳が寂しげに曇ったことに気が付いて、蒼一郎はその頬にそっとキスをする。
離れていた1年間、蒼一郎だって、同じくらい寂しかった。
こんな性格だから、友だちだってたくさん出来たし、楽しいこともいっぱいあったけれど、それでも郁雅がそばにいない寂しさは埋められなくて。
そのせいで留年したんだとは、間違っても思わないけれど、でももうあんなふうに離れたくはない。
つくづく遠距離恋愛には向かない2人なのだ。
「これからはずっと同級生でいよ?」
もう1度、頬にキス。
ここで雰囲気に流されたら、やっぱマズイよね…と、蒼一郎は何とか学習の成果を発揮する。
…でも、もうちょっとだけ。
「…イク、」
「あ、バカ、お前、ここ間違ってんじゃん」
「へぇっ? は? え?」
パッと蒼一郎から離れた郁雅は、ノートに書かれた内容の間違いを指摘する。
「ちょっ…イク?」
「だからお前、もうちょっとがんばれっつってんだろ?」
「うー…もうちょっとだけがんばるから、郁雅先生、お手柔らかに…」
「もうちょっとだけじゃなくて、いっぱいがんばれっつの!」
やはり郁雅のほうが、何枚も上手のようである。
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