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one night in heaven (5)
2011.04.23 Sat
それでも睦月が小学生くらいのころまでは、年に1度は家族で旅行にも行っていて、それに嫌な思い出なんて1つもないから、きっと楽しかったのだと思う。
ただ、今となっては、行ったという記憶はあっても、それ以上には覚えていないのが現実だ。
「そんなにちっちゃいときしか、旅行してないの?」
いくら睦月がそんなに旅行好きでないにしても、それって凄くないか? と、亮は目を瞠る。
睦月は、驚いた様子の亮を振り返って頷いた。
「修学旅行は? 中学とか高校のとき行かなかったの?」
「うん。高校は修学旅行自体なかったから。中学のころは……うん、行かなかったの」
中学のころは例の事件もあって、体調に自信がなかったから、残念ながら修学旅行を欠席した。
過保護な祐介は、自分も一緒に休むと言ったのだが、睦月は無理やり祐介を修学旅行に行かせたけれど。
「…じゃ、やっぱ旅行はそんなに行きたくない?」
「んー? でも今は、単に面倒くさいからだけだから。別にそんな深刻な理由じゃないし、平気だよ? これで亮と一緒に旅行行ったら、旅行、超大好きになるかもしんないよ?」
睦月よりずっと深刻そうな顔をしている亮に、睦月はえへへと笑い掛ける。
過去のことについて、睦月が思っている以上に、周囲がとても心配していることは知っている。でも睦月にしたら、みんなが心配している以上に、全然平気なんだよ、と分かってもらいたい。
事件の直後は、今まで出来ていたことでも、出来なくなってしまったことがたくさんあったけれど、今は殆ど何でも不自由なく出来るのだ。
ただ、人より興味の幅が狭いので、積極的に何かをしようと思わないだけのこと。
「そっか。じゃあ、いいとこ選ばないとだなー」
「だなー」
亮の言葉尻をマネして、睦月はクスクス笑っている。
しかし亮にしたら、そんなにのん気に笑っていられても困る。
睦月がそんなに旅行を好きでない理由が、深刻なものでなかったのはいいけれど、結局、睦月は一体どこに行くなら喜ぶのか、さっぱり分からないのだから。
「ねぇ睦月ー。大体でいいからさぁ、どんなのがいいとかないの? 海とか山とか、……街?」
「街?」
「うーん、街?」
海や山といった自然のものでなくて、夜景が一望できるようなアーバンホテルをイメージしたのだが、うまい言葉が出て来なくて、思わず『街』の一言で片付けてしまった。
やはり睦月はピンと来ていないようなので、亮はノートパソコンを開いて、旅行関係のサイトで自分のイメージしているものを見せた。
「夜景?」
「あんま興味ない?」
しげしげとサイトを見つめる睦月の顔は、しかし特別乗り気なふうでもない。
やはり夜景なんて、腹の足しにならないものには興味なかったか…と、亮はちょっとだけ残念に思った。
亮も、和衣のようなロマンチストではないから、部屋からの眺めにそんなにこだわりはないが、恋人と一緒にこういうところに泊まるのも悪くはないかな、と少しは思ったので。
「そーじゃなくて……こういう高そうなトコは、何か緊張する…。ちゃんとした格好で行かないと、入れてもらえないんじゃないの?」
亮に後ろから顔を覗き込まれ、睦月は、嫌なんじゃなくて……と、自分の思っていることを伝えた。
back next
ただ、今となっては、行ったという記憶はあっても、それ以上には覚えていないのが現実だ。
「そんなにちっちゃいときしか、旅行してないの?」
いくら睦月がそんなに旅行好きでないにしても、それって凄くないか? と、亮は目を瞠る。
睦月は、驚いた様子の亮を振り返って頷いた。
「修学旅行は? 中学とか高校のとき行かなかったの?」
「うん。高校は修学旅行自体なかったから。中学のころは……うん、行かなかったの」
中学のころは例の事件もあって、体調に自信がなかったから、残念ながら修学旅行を欠席した。
過保護な祐介は、自分も一緒に休むと言ったのだが、睦月は無理やり祐介を修学旅行に行かせたけれど。
「…じゃ、やっぱ旅行はそんなに行きたくない?」
「んー? でも今は、単に面倒くさいからだけだから。別にそんな深刻な理由じゃないし、平気だよ? これで亮と一緒に旅行行ったら、旅行、超大好きになるかもしんないよ?」
睦月よりずっと深刻そうな顔をしている亮に、睦月はえへへと笑い掛ける。
過去のことについて、睦月が思っている以上に、周囲がとても心配していることは知っている。でも睦月にしたら、みんなが心配している以上に、全然平気なんだよ、と分かってもらいたい。
事件の直後は、今まで出来ていたことでも、出来なくなってしまったことがたくさんあったけれど、今は殆ど何でも不自由なく出来るのだ。
ただ、人より興味の幅が狭いので、積極的に何かをしようと思わないだけのこと。
「そっか。じゃあ、いいとこ選ばないとだなー」
「だなー」
亮の言葉尻をマネして、睦月はクスクス笑っている。
しかし亮にしたら、そんなにのん気に笑っていられても困る。
睦月がそんなに旅行を好きでない理由が、深刻なものでなかったのはいいけれど、結局、睦月は一体どこに行くなら喜ぶのか、さっぱり分からないのだから。
「ねぇ睦月ー。大体でいいからさぁ、どんなのがいいとかないの? 海とか山とか、……街?」
「街?」
「うーん、街?」
海や山といった自然のものでなくて、夜景が一望できるようなアーバンホテルをイメージしたのだが、うまい言葉が出て来なくて、思わず『街』の一言で片付けてしまった。
やはり睦月はピンと来ていないようなので、亮はノートパソコンを開いて、旅行関係のサイトで自分のイメージしているものを見せた。
「夜景?」
「あんま興味ない?」
しげしげとサイトを見つめる睦月の顔は、しかし特別乗り気なふうでもない。
やはり夜景なんて、腹の足しにならないものには興味なかったか…と、亮はちょっとだけ残念に思った。
亮も、和衣のようなロマンチストではないから、部屋からの眺めにそんなにこだわりはないが、恋人と一緒にこういうところに泊まるのも悪くはないかな、と少しは思ったので。
「そーじゃなくて……こういう高そうなトコは、何か緊張する…。ちゃんとした格好で行かないと、入れてもらえないんじゃないの?」
亮に後ろから顔を覗き込まれ、睦月は、嫌なんじゃなくて……と、自分の思っていることを伝えた。
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