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世界はやさしい (3)
2010.11.20 Sat
最近の当たらない天気予報よりも見事に、亮の不安が的中した金曜日。
フラフラと覚束ない足取りで歩く睦月を、和衣は懸命に支えていた。
「むっちゃん、そっち車道だから危ないってば!」
「んー」
分かっているのかいないのか、睦月は和衣の必死の声に返事はするものの、全然まっすぐに歩けていない。
バイト先での送別会に参加した睦月は、先日亮と一緒に飲んだときに教えてもらった甘めのカクテルを飲んでいたのだが、やはりつい飲み過ぎてしまった。
しかも酒豪揃いのみんなが、調子に乗って睦月にお酒を勧めるものだから、結局睦月は、飲むつもりのないものまで飲んでしまったという始末。
すっかり酩酊してしまった睦月を放ってはおけなくて、和衣は二次会のお誘いを断って、睦月を連れて寮へと向かっていた。
「むっちゃん、危ない!」
ちょっと目を離すと、ふらふら~と車道のほうに行ってしまうので(さっきなんて、停めてあった自転車をなぎ倒し掛けた)、和衣は仕方なく睦月の手を取る。
人前では祐介とだって手を繋いだことがないのに、どうしてそれより先に、睦月と繋ぐはめになってしまったのだろう、なんて、ちょっとだけ切ない気持になる。
「カズちゃ~ん」
「なぁに、むっちゃん。ちょっ、まっすぐ歩いて!」
「カズちゃん、カズちゃん、ねぇねぇ、亮がいるー」
「はぁ!?」
あぁもうこれだから、酔っ払いの戯言には付き合っていられない、と、自分だって酔っ払っているくせに、和衣はそんなことを思う。
こんなところに亮がいるはずないのに。
会いたくなっちゃったのかな。
「亮ー」
「ちょっ、むっちゃん!」
睦月がいきなり、和衣と繋いでいるのとは反対の手をブンブンと振り出すから、和衣は慌ててその手を押さえる。
人通りの多い通りだが、いや、そんな通りだからこそ、睦月は目立ってしまう。
「むっちゃん、ダメ!」
「んー、やぁー」
押さえられてジタバタする睦月に気を取られていて、和衣は少しも気付かなかった。
向こうから近付いてくる数人の集団の中に、本当に亮が交じっていたなんて。
「え、カズ? 睦月?」
「えっ? えっ? 亮!?」
声を掛けられて、和衣は驚いて振り返った。
本当に亮がいた。
「ねっ、亮いたでしょー?」
「あ、うん」
ふにゃふにゃになりながらも、睦月は自分の言い分が間違っていなかったと、満面の笑みになる。
亮は一緒にいた仲間に、「一緒の大学の…」と和衣たちのことを説明している。
(手繋いでるの、変に思われるかな…)
和衣の知らない人たち、亮のバイト先の仲間なのだろうか、初対面なのに、男の子2人で手を繋いでいるところを見られてしまって、何だかちょっと気まずい。
いや、百歩譲って、初めて会った人たちには、恥ずかしいとか気まずいで済むけれど、亮にこんなところを見られたのって、もしかしたらまずいんじゃ…?
睦月が酔っ払って危ないから、と言ったほうがいいのだろうか。
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フラフラと覚束ない足取りで歩く睦月を、和衣は懸命に支えていた。
「むっちゃん、そっち車道だから危ないってば!」
「んー」
分かっているのかいないのか、睦月は和衣の必死の声に返事はするものの、全然まっすぐに歩けていない。
バイト先での送別会に参加した睦月は、先日亮と一緒に飲んだときに教えてもらった甘めのカクテルを飲んでいたのだが、やはりつい飲み過ぎてしまった。
しかも酒豪揃いのみんなが、調子に乗って睦月にお酒を勧めるものだから、結局睦月は、飲むつもりのないものまで飲んでしまったという始末。
すっかり酩酊してしまった睦月を放ってはおけなくて、和衣は二次会のお誘いを断って、睦月を連れて寮へと向かっていた。
「むっちゃん、危ない!」
ちょっと目を離すと、ふらふら~と車道のほうに行ってしまうので(さっきなんて、停めてあった自転車をなぎ倒し掛けた)、和衣は仕方なく睦月の手を取る。
人前では祐介とだって手を繋いだことがないのに、どうしてそれより先に、睦月と繋ぐはめになってしまったのだろう、なんて、ちょっとだけ切ない気持になる。
「カズちゃ~ん」
「なぁに、むっちゃん。ちょっ、まっすぐ歩いて!」
「カズちゃん、カズちゃん、ねぇねぇ、亮がいるー」
「はぁ!?」
あぁもうこれだから、酔っ払いの戯言には付き合っていられない、と、自分だって酔っ払っているくせに、和衣はそんなことを思う。
こんなところに亮がいるはずないのに。
会いたくなっちゃったのかな。
「亮ー」
「ちょっ、むっちゃん!」
睦月がいきなり、和衣と繋いでいるのとは反対の手をブンブンと振り出すから、和衣は慌ててその手を押さえる。
人通りの多い通りだが、いや、そんな通りだからこそ、睦月は目立ってしまう。
「むっちゃん、ダメ!」
「んー、やぁー」
押さえられてジタバタする睦月に気を取られていて、和衣は少しも気付かなかった。
向こうから近付いてくる数人の集団の中に、本当に亮が交じっていたなんて。
「え、カズ? 睦月?」
「えっ? えっ? 亮!?」
声を掛けられて、和衣は驚いて振り返った。
本当に亮がいた。
「ねっ、亮いたでしょー?」
「あ、うん」
ふにゃふにゃになりながらも、睦月は自分の言い分が間違っていなかったと、満面の笑みになる。
亮は一緒にいた仲間に、「一緒の大学の…」と和衣たちのことを説明している。
(手繋いでるの、変に思われるかな…)
和衣の知らない人たち、亮のバイト先の仲間なのだろうか、初対面なのに、男の子2人で手を繋いでいるところを見られてしまって、何だかちょっと気まずい。
いや、百歩譲って、初めて会った人たちには、恥ずかしいとか気まずいで済むけれど、亮にこんなところを見られたのって、もしかしたらまずいんじゃ…?
睦月が酔っ払って危ないから、と言ったほうがいいのだろうか。
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