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ホラー映画にはご用心 (4)
2011.02.25 Fri
「何で電気換えないのっ!? ダメになったらすぐ換えなきゃっ」
「いや、何かうっかり…」
そこまで怒られるほど悪いことをしたわけでもないのに、和衣の勢いに、翔真はつい「ゴメン…」と謝った。
しかし睦月は、そんな和衣に加勢するでも、翔真に味方するでもなく、「ちょっとカズちゃん、うるさい。静かにして」とひどく冷静に突っ込みを入れる。
「だってぇ!」
「いいじゃん、蛍光灯が1個消えたくらい。テレビ見えるでしょ?」
そういう問題じゃないっ! と和衣は声を張り上げたかったが、睦月はもう取り合ってくれないような雰囲気。
仕方なく和衣は、放り投げてしまったクッションを手繰り寄せて、もう1度腕に抱いた。
「むっちゃん。これ、カピバラさん?」
「多分ね。てかカズちゃん、それに鼻水付けないでよ?」
「つ…付けないよっ」
妙に陽気なCMが終わると、映画が再開する。
舞台は廃校となった小学校。いかにもといった雰囲気が、睦月にしたら余計に作り話ぽく思えるのに、和衣は本気で怖がっている。
(カズちゃん、そんなに怖いなら、見なきゃいいのに…)
睦月は、和衣をからかって怖がらせたかもしれないが、見ることを強要させてはいない。映画を見るかどうかは、飽く迄も和衣自身が判断したことだ。
そこまで怖いなら、今からでも『見ない』という選択も出来るのに、なぜか和衣は怖がりながらも体勢を立て直して、画面に向き直った。
主人公の女の子が、一緒に来ていた友人たちとはぐれ、1人で暗い校舎の中を歩いているところで、下手にBGMが流れるわけでもなく、女の子の歩く足音だけしかしないという状況が、逆に恐怖を増長させている。
しかし。
「ふぁ…」
和衣はもちろんのこと、翔真や真大も、その緊迫したシーンに固唾を呑んでいるにもかかわらず、睦月がまるで緊張感のないあくびをした。
つまらないとは言わないが、睦月的にはちょっと物足りないかも……なんて思っていたら、眠くなってきてしまったのだ。
ふらっ…と大きく揺らいだ睦月の頭に、最初に気付いたのは真大だ。
(一番見たがってた人が、一番寝そうだし)
真大が、翔真の服の裾を引いてそのことを教えてあげたら、翔真も思わず苦笑する。
翔真はよく知っているが、睦月というのは、そんな子なのだ。
しかも、眠くてもがんばって起きていようという気もそんなにないようで、睦月は頭をフラフラさせながら、とうとう目を閉じてしまった。
「あ、」
しばらく睦月を観察していた真大が(普段は、不思議な人だと思いつつ、そんなに一緒にいたり喋ったりするチャンスがないから)、思わず声を上げたときには、もう遅かった。
――――ゴッツンッ!
本当にマンガのような音を立てて、睦月と和衣の頭がぶつかった。
ずっと舟を漕いでいた睦月の頭が、とうとう大きく傾いて、隣で身を寄せいた和衣の頭に激突したのだ。
「い…ぅ…」
「イッ……テー」
突然の睦月からの頭突き。
和衣は驚きと痛みに目を潤ませながら頭を押さえたが、さすがにこの衝撃には睦月も目が覚めたのか、唸り声を上げて頭を抱えている。
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「いや、何かうっかり…」
そこまで怒られるほど悪いことをしたわけでもないのに、和衣の勢いに、翔真はつい「ゴメン…」と謝った。
しかし睦月は、そんな和衣に加勢するでも、翔真に味方するでもなく、「ちょっとカズちゃん、うるさい。静かにして」とひどく冷静に突っ込みを入れる。
「だってぇ!」
「いいじゃん、蛍光灯が1個消えたくらい。テレビ見えるでしょ?」
そういう問題じゃないっ! と和衣は声を張り上げたかったが、睦月はもう取り合ってくれないような雰囲気。
仕方なく和衣は、放り投げてしまったクッションを手繰り寄せて、もう1度腕に抱いた。
「むっちゃん。これ、カピバラさん?」
「多分ね。てかカズちゃん、それに鼻水付けないでよ?」
「つ…付けないよっ」
妙に陽気なCMが終わると、映画が再開する。
舞台は廃校となった小学校。いかにもといった雰囲気が、睦月にしたら余計に作り話ぽく思えるのに、和衣は本気で怖がっている。
(カズちゃん、そんなに怖いなら、見なきゃいいのに…)
睦月は、和衣をからかって怖がらせたかもしれないが、見ることを強要させてはいない。映画を見るかどうかは、飽く迄も和衣自身が判断したことだ。
そこまで怖いなら、今からでも『見ない』という選択も出来るのに、なぜか和衣は怖がりながらも体勢を立て直して、画面に向き直った。
主人公の女の子が、一緒に来ていた友人たちとはぐれ、1人で暗い校舎の中を歩いているところで、下手にBGMが流れるわけでもなく、女の子の歩く足音だけしかしないという状況が、逆に恐怖を増長させている。
しかし。
「ふぁ…」
和衣はもちろんのこと、翔真や真大も、その緊迫したシーンに固唾を呑んでいるにもかかわらず、睦月がまるで緊張感のないあくびをした。
つまらないとは言わないが、睦月的にはちょっと物足りないかも……なんて思っていたら、眠くなってきてしまったのだ。
ふらっ…と大きく揺らいだ睦月の頭に、最初に気付いたのは真大だ。
(一番見たがってた人が、一番寝そうだし)
真大が、翔真の服の裾を引いてそのことを教えてあげたら、翔真も思わず苦笑する。
翔真はよく知っているが、睦月というのは、そんな子なのだ。
しかも、眠くてもがんばって起きていようという気もそんなにないようで、睦月は頭をフラフラさせながら、とうとう目を閉じてしまった。
「あ、」
しばらく睦月を観察していた真大が(普段は、不思議な人だと思いつつ、そんなに一緒にいたり喋ったりするチャンスがないから)、思わず声を上げたときには、もう遅かった。
――――ゴッツンッ!
本当にマンガのような音を立てて、睦月と和衣の頭がぶつかった。
ずっと舟を漕いでいた睦月の頭が、とうとう大きく傾いて、隣で身を寄せいた和衣の頭に激突したのだ。
「い…ぅ…」
「イッ……テー」
突然の睦月からの頭突き。
和衣は驚きと痛みに目を潤ませながら頭を押さえたが、さすがにこの衝撃には睦月も目が覚めたのか、唸り声を上げて頭を抱えている。
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