愛じゃない、恋でもない
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愛じゃない、恋でもない INDEX
2011.06.13 Mon
↑OLD ↓NEW
■18時3分に未知との遭遇 (tittle:赤小灰蝶さま)
(1) (2) (3) (4) (5)
■果たして馬鹿で愚かでしょうか (tittle:約30の嘘さま)
(1) (2) (3) (4)
■ハイカロリーハニー (tittle:約30の嘘さま)
(前編) (後編)
■お空が泣くから (tittle:約30の嘘さま)
(1) (2) (3) (4) (5) (6)
■リネンの小鳥 (tittle:約30の嘘さま)
■Pinkie Syrup Kiss! (tittle:ロレンシーさま)
(1) (2) (3)
■毒か蜜かも分からない (tittle:約30の嘘さま)
(1) (2) (3)
■18時3分に未知との遭遇 (tittle:赤小灰蝶さま)
(1) (2) (3) (4) (5)
■果たして馬鹿で愚かでしょうか (tittle:約30の嘘さま)
(1) (2) (3) (4)
■ハイカロリーハニー (tittle:約30の嘘さま)
(前編) (後編)
■お空が泣くから (tittle:約30の嘘さま)
(1) (2) (3) (4) (5) (6)
■リネンの小鳥 (tittle:約30の嘘さま)
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18時3分に未知との遭遇 (1)
2011.06.13 Mon
「あ、ミツ。お前、前言ってたDVD、いつになったら貸してくれるわけ?」
就業時間近くなって光彰(ミツアキ)に声を掛けたのは、同僚であり幼馴染みの穂積(ホヅミ)だった。
それに対しての光彰の反応といえば、『そんなん何か言ってたっけ?』みたいな顔で穂積を見ることくらいだったから、穂積はわざとらしく大きな溜め息をついた。
もう長い付き合いの光彰が、時折すぱっと記憶力を欠如させてしまうことを、よく知っているからだ。
「え、何のAV?」
「いや、何でお前からエロDVD借りないといけないわけ? お前と兄弟になりたくねぇんだけど。ライブのヤツ! 前に貸してくれるつったじゃん」
「あぁ!」
そう言われて、ようやく思い出したと、光彰は穂積を指差すから、穂積は嫌そうにその手を叩き落とした。
「ずっと待ってたのに持って来ないから、忘れてんだろうなぁとは思ってたけど」
「今思い出した」
まったく悪びれたふうもなく、光彰はそう言ってのけるから、穂積は、今度こそ本気で溜め息をついた。
もともと光彰とは音楽の趣味は合わない。
なのに数週間前、穂積が欲しがっていた音楽DVDを、なぜか光彰が持っていると言い出して。それならば貸してくれ、という運びになったのだが。
「ホントにお前は……なぁ、今日取り行ってもいい?」
このまま光彰が持って来るのを待っていたら、いつまで経っても埒が明かないと判断し、面倒くさいとは思いつつ、穂積はそう提案した。
「いいよ、おいで」
光彰が了承したところで、就業のチャイムが鳴った。
メシ食って帰る? と言った穂積に、光彰が、「ここんとこずっと外で食ってたから、今日は帰って来いって言われたし……やめとくわ」と、普通に返してきたので、穂積はギョッとした。
「…お前、1人暮らしじゃなかったっけ?」
光彰が、とっかえひっかえ女の子と仲良くしているのは知ってるが、わざわざ家に来て夕食の支度までしてくる彼女がいたとは初耳だ。
「んー?」
「いや、彼女いんのに、俺行ったら迷惑じゃね?」
「あぁ、別に気にしなくていいし。何なら穂積もウチで食ってけよ?」
「え、いや…」
極端なほど人見知りの激しい穂積にとって、知らない人がいる空間で食事なんて滅相もない、仕事のときだけで十分だ。
DVDだって、光彰が1人暮らしだからこそ、家まで取りに行くと言ったのに。
何となく憂鬱になりながらも、当初の予定どおり、穂積は光彰の家へと向かうことになってしまった。
next
ちょこっと新シリーズ。タイトルは赤小灰蝶さまより。
就業時間近くなって光彰(ミツアキ)に声を掛けたのは、同僚であり幼馴染みの穂積(ホヅミ)だった。
それに対しての光彰の反応といえば、『そんなん何か言ってたっけ?』みたいな顔で穂積を見ることくらいだったから、穂積はわざとらしく大きな溜め息をついた。
もう長い付き合いの光彰が、時折すぱっと記憶力を欠如させてしまうことを、よく知っているからだ。
「え、何のAV?」
「いや、何でお前からエロDVD借りないといけないわけ? お前と兄弟になりたくねぇんだけど。ライブのヤツ! 前に貸してくれるつったじゃん」
「あぁ!」
そう言われて、ようやく思い出したと、光彰は穂積を指差すから、穂積は嫌そうにその手を叩き落とした。
「ずっと待ってたのに持って来ないから、忘れてんだろうなぁとは思ってたけど」
「今思い出した」
まったく悪びれたふうもなく、光彰はそう言ってのけるから、穂積は、今度こそ本気で溜め息をついた。
もともと光彰とは音楽の趣味は合わない。
なのに数週間前、穂積が欲しがっていた音楽DVDを、なぜか光彰が持っていると言い出して。それならば貸してくれ、という運びになったのだが。
「ホントにお前は……なぁ、今日取り行ってもいい?」
このまま光彰が持って来るのを待っていたら、いつまで経っても埒が明かないと判断し、面倒くさいとは思いつつ、穂積はそう提案した。
「いいよ、おいで」
光彰が了承したところで、就業のチャイムが鳴った。
メシ食って帰る? と言った穂積に、光彰が、「ここんとこずっと外で食ってたから、今日は帰って来いって言われたし……やめとくわ」と、普通に返してきたので、穂積はギョッとした。
「…お前、1人暮らしじゃなかったっけ?」
光彰が、とっかえひっかえ女の子と仲良くしているのは知ってるが、わざわざ家に来て夕食の支度までしてくる彼女がいたとは初耳だ。
「んー?」
「いや、彼女いんのに、俺行ったら迷惑じゃね?」
「あぁ、別に気にしなくていいし。何なら穂積もウチで食ってけよ?」
「え、いや…」
極端なほど人見知りの激しい穂積にとって、知らない人がいる空間で食事なんて滅相もない、仕事のときだけで十分だ。
DVDだって、光彰が1人暮らしだからこそ、家まで取りに行くと言ったのに。
何となく憂鬱になりながらも、当初の予定どおり、穂積は光彰の家へと向かうことになってしまった。
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18時3分に未知との遭遇 (2)
2011.06.14 Tue
光彰の住んでいるマンションの前まで来てもまだなお、穂積は心の中で渋っていた。
だいたい、光彰も光彰だ。穂積の激しすぎる人見知りをよく知っているくせに、どうして彼女が家にいることを教えてくれなかったのか。
確かにDVDは見たいけれど、知らない人がいる家に行くくらいなら、まったく頼りない光彰の記憶力に縋ったほうが、まだマシだ。
「穂積?」
「あー……うん」
気乗りしない声で返事をしつつ、エレヴェータで8階まで上がる。
「なぁー、ミツー」
やっぱりここで待ってるからDVD持って来て、と穂積が続けるよりも先、光彰に「ここじゃ暑いだろ? 入れって」と入室を勧められ、仕方なしに穂積は中に入った。
もう6月も半ば。
日が暮れてもまだなお、外の空気は蒸し暑い。
入室を勧めたのは、光彰なりの気遣いなのだろう。
(でも、知らない人がいるんだったら、暑くても外で待ってるほうがマシ。汗だくのほうがマシ。でもマジ倒れそうなくらい暑いし。でもやっぱ、)
「リオ、ただいまー」
(リオ? リオて、彼女の名前か? 『ただいま』て言ったってことは、同棲してんのか。そんなトコに俺が上がり込んだら、めっちゃ気まずいじゃん。ミツのアホ)
「おー、光彰、お帰り」
(うーわ、いたいたいた! いや、そりゃいるだろうけど! 光彰て呼んでんだ。そりゃ彼女だもんな、そう呼ぶよな…………て、)
「男じゃん!」
「…………は?」
思わず穂積が声を上げてしまったので、光彰と、光彰に『リオ』と呼ばれた男が同時に穂積のほうを見た。
2人の視線をいっぺんに集めた穂積は、その場に固まってしまう。
「お客さん?」
ソファの上で丸くなっていたリオが、光彰に尋ねた。
「あぁ、会社の。ていうか、ガキのころからの知り合いだけど」
「ふぅん。名前は?」
今度は、穂積に向かって聞いてくるが、初対面の人間にそんなに気易く声を掛けられても、すぐには答えられない。
穂積が戸惑っていると、見兼ねた光彰が、「穂積」と、助け舟を出した。
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だいたい、光彰も光彰だ。穂積の激しすぎる人見知りをよく知っているくせに、どうして彼女が家にいることを教えてくれなかったのか。
確かにDVDは見たいけれど、知らない人がいる家に行くくらいなら、まったく頼りない光彰の記憶力に縋ったほうが、まだマシだ。
「穂積?」
「あー……うん」
気乗りしない声で返事をしつつ、エレヴェータで8階まで上がる。
「なぁー、ミツー」
やっぱりここで待ってるからDVD持って来て、と穂積が続けるよりも先、光彰に「ここじゃ暑いだろ? 入れって」と入室を勧められ、仕方なしに穂積は中に入った。
もう6月も半ば。
日が暮れてもまだなお、外の空気は蒸し暑い。
入室を勧めたのは、光彰なりの気遣いなのだろう。
(でも、知らない人がいるんだったら、暑くても外で待ってるほうがマシ。汗だくのほうがマシ。でもマジ倒れそうなくらい暑いし。でもやっぱ、)
「リオ、ただいまー」
(リオ? リオて、彼女の名前か? 『ただいま』て言ったってことは、同棲してんのか。そんなトコに俺が上がり込んだら、めっちゃ気まずいじゃん。ミツのアホ)
「おー、光彰、お帰り」
(うーわ、いたいたいた! いや、そりゃいるだろうけど! 光彰て呼んでんだ。そりゃ彼女だもんな、そう呼ぶよな…………て、)
「男じゃん!」
「…………は?」
思わず穂積が声を上げてしまったので、光彰と、光彰に『リオ』と呼ばれた男が同時に穂積のほうを見た。
2人の視線をいっぺんに集めた穂積は、その場に固まってしまう。
「お客さん?」
ソファの上で丸くなっていたリオが、光彰に尋ねた。
「あぁ、会社の。ていうか、ガキのころからの知り合いだけど」
「ふぅん。名前は?」
今度は、穂積に向かって聞いてくるが、初対面の人間にそんなに気易く声を掛けられても、すぐには答えられない。
穂積が戸惑っていると、見兼ねた光彰が、「穂積」と、助け舟を出した。
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18時3分に未知との遭遇 (3)
2011.06.15 Wed
「へぇ、穂積っていうの。よろしく~」
持っていたリモコンとクッションを適当に放って起き上がると、リオは屈託のない笑顔を浮かべた。
見たところ、同年代だろうなと思えるリオだったが、その表情や仕草からは、ずいぶん幼い印象を受けた。
「俺のことは、リオって呼んでいいよ?」
「リ、オ…」
何とか声を絞り出す。
その『リオ』という呼び名が本当にこの男の名前なのか、あだ名か何かなのか、それは知らないけれど、いかにも人懐こそうな顔をして、前にもう何度も会っているかのように声を掛けてくるあたり、自分とは根本的な性質が違うのだろうと穂積は思った。
「なぁそれよりリオ、お前、あのライブのDVD、どこやった? 穂積が借りてぇんだって」
「えー? 知らないよぉ」
「あんなん、お前しか見ねぇだろ」
「うぅー…」
テレビ下のラックを適当に漁っている光彰に言われ、リオは困惑したように眉を寄せた。
やはり光彰の趣味ではない音楽のDVDは、どうやらこのリオという男のためのものらしい。
「じゃあ、ちょぉあっち見てくる」
ソファを降りて、リオは奥の部屋に消えた。ドアを開けたとき、ベッドが少し見えたから、おそらく向こうは寝室なのだろう。
「ミツ、ミツ!」
2人きりになった隙に、穂積は声を潜めて、慌てたように光彰を呼んだ。
「んー? 何?」
やっぱないなぁ、なんて言いながら、光彰が振り返った。
「何? 何なん、アイツ。お前、彼女と同棲してんじゃねぇの?」
「彼女て……アイツが女に見えるか?」
「見えないから聞いてんじゃねぇか! 何だ、アイツ」
光彰とは古くからの付き合いで、下に2人の弟がいることは知っているが、まるで顔が違うし、名前も違う。第一、光彰の弟なら、今さら穂積のことを紹介するまでもないわけで。
「養ってんの」
……………………。
「………………は?」
たっぷりの間を置いてから、穂積はようやくそう聞き返した。
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持っていたリモコンとクッションを適当に放って起き上がると、リオは屈託のない笑顔を浮かべた。
見たところ、同年代だろうなと思えるリオだったが、その表情や仕草からは、ずいぶん幼い印象を受けた。
「俺のことは、リオって呼んでいいよ?」
「リ、オ…」
何とか声を絞り出す。
その『リオ』という呼び名が本当にこの男の名前なのか、あだ名か何かなのか、それは知らないけれど、いかにも人懐こそうな顔をして、前にもう何度も会っているかのように声を掛けてくるあたり、自分とは根本的な性質が違うのだろうと穂積は思った。
「なぁそれよりリオ、お前、あのライブのDVD、どこやった? 穂積が借りてぇんだって」
「えー? 知らないよぉ」
「あんなん、お前しか見ねぇだろ」
「うぅー…」
テレビ下のラックを適当に漁っている光彰に言われ、リオは困惑したように眉を寄せた。
やはり光彰の趣味ではない音楽のDVDは、どうやらこのリオという男のためのものらしい。
「じゃあ、ちょぉあっち見てくる」
ソファを降りて、リオは奥の部屋に消えた。ドアを開けたとき、ベッドが少し見えたから、おそらく向こうは寝室なのだろう。
「ミツ、ミツ!」
2人きりになった隙に、穂積は声を潜めて、慌てたように光彰を呼んだ。
「んー? 何?」
やっぱないなぁ、なんて言いながら、光彰が振り返った。
「何? 何なん、アイツ。お前、彼女と同棲してんじゃねぇの?」
「彼女て……アイツが女に見えるか?」
「見えないから聞いてんじゃねぇか! 何だ、アイツ」
光彰とは古くからの付き合いで、下に2人の弟がいることは知っているが、まるで顔が違うし、名前も違う。第一、光彰の弟なら、今さら穂積のことを紹介するまでもないわけで。
「養ってんの」
……………………。
「………………は?」
たっぷりの間を置いてから、穂積はようやくそう聞き返した。
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18時3分に未知との遭遇 (4)
2011.06.16 Thu
「やしな……は? 何? 養う?」
「うん」
「…えっと……親戚の子か、何か?」
いくら昔からの顔馴染みとはいっても、別に光彰の親類関係をすべて把握しているわけではない。
自分の知らない、誰か親戚の子でも預かっているのだろうか、いやそうに違いない、と半ば無理やり穂積は結論付けようとしたが。
「あー。そういう関係で言ったら、赤の他人かな」
…………………………。
いやいやいやいや、それ、ないから。
赤の他人とか。
しかも養ってるて!
「…赤の他人を、養ってらっしゃるの?」
「らっしゃるの。あー、やっぱここないわ!」
ラックの中身を全部出して、それでも見つからなかったDVDに、光彰はお手上げ状態で引っ繰り返った。
ひどい散らかしようだな、と穂積が思っていた矢先。
「何してんだよ、光彰! お前、散らかし過ぎ!」
寝室から戻って来たリオが、光彰が引っ張り出したDVDのパッケージを目敏く見つけて、その額にペチンと突っ込みを入れた。
「穂積、あった。これだろ? デッキの中に入れっ放しになってた」
リオが穂積に見せたのは、確かに穂積が借りたがっていた音楽のDVDではあったけれど…………なぜか、それはパッケージに入っていない、DVDディスクのみ。
リオは中心の穴になっている部分に人差し指を入れた状態で、穂積にそれを見せているけれど、もしかしてこのまま貸す気でいるのだろうか。
「リオ、お前パッケージは? 何でディスクだけ持ってきてんだ」
「あ、ない。もっかい見てくる。穂積、これ持ってて」
光彰に言われてようやく気が付いたのか、リオはディスクを穂積に預けると、再び寝室に行ってしまった。
もう勝手に呼び捨てで呼ぶようになっているリオに、穂積はわずかに苦笑する。こうもすんなりと人の懐に入っていけるヤツなら、光彰に同居(いや、光彰の言うところの、『養う』)を頼むのも難しくはなかっただろう。
「あった。ベッドの下にあったよ。はい」
少しして戻って来たリオが、穂積の持っていたディスクをパッケージの中に収めた。
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「うん」
「…えっと……親戚の子か、何か?」
いくら昔からの顔馴染みとはいっても、別に光彰の親類関係をすべて把握しているわけではない。
自分の知らない、誰か親戚の子でも預かっているのだろうか、いやそうに違いない、と半ば無理やり穂積は結論付けようとしたが。
「あー。そういう関係で言ったら、赤の他人かな」
…………………………。
いやいやいやいや、それ、ないから。
赤の他人とか。
しかも養ってるて!
「…赤の他人を、養ってらっしゃるの?」
「らっしゃるの。あー、やっぱここないわ!」
ラックの中身を全部出して、それでも見つからなかったDVDに、光彰はお手上げ状態で引っ繰り返った。
ひどい散らかしようだな、と穂積が思っていた矢先。
「何してんだよ、光彰! お前、散らかし過ぎ!」
寝室から戻って来たリオが、光彰が引っ張り出したDVDのパッケージを目敏く見つけて、その額にペチンと突っ込みを入れた。
「穂積、あった。これだろ? デッキの中に入れっ放しになってた」
リオが穂積に見せたのは、確かに穂積が借りたがっていた音楽のDVDではあったけれど…………なぜか、それはパッケージに入っていない、DVDディスクのみ。
リオは中心の穴になっている部分に人差し指を入れた状態で、穂積にそれを見せているけれど、もしかしてこのまま貸す気でいるのだろうか。
「リオ、お前パッケージは? 何でディスクだけ持ってきてんだ」
「あ、ない。もっかい見てくる。穂積、これ持ってて」
光彰に言われてようやく気が付いたのか、リオはディスクを穂積に預けると、再び寝室に行ってしまった。
もう勝手に呼び捨てで呼ぶようになっているリオに、穂積はわずかに苦笑する。こうもすんなりと人の懐に入っていけるヤツなら、光彰に同居(いや、光彰の言うところの、『養う』)を頼むのも難しくはなかっただろう。
「あった。ベッドの下にあったよ。はい」
少しして戻って来たリオが、穂積の持っていたディスクをパッケージの中に収めた。
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