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心臓だけを狙っている (30)
2015.06.15 Mon
「…隼人くん? えっと…」
壁に手を突いて自分の顔を見ていたはずの隼人が、いつの間にか俯いていて、湊は自分が何か仕出かしてしまったのだろうかと、困ったように翔真を見た。
「ちょっと隼人! 湊が困ってるよ」
項垂れる隼人の背中を、おもしろがって翔真がバシンと叩く。
そうは言っても、そもそもそんな困るような状況を作ったのは、翔真なのだが。
「…………」
「ちょっ隼人!」
隼人は下を向いたまま、ズルズルと壁から手を離した。
壁ドンをした隼人について、少なくとも湊は格好いいという褒め言葉をくれたわけで、別に嫌がっているわけでもないし、隼人が落ち込む要素などないはずなのに。
しかし、あからさまに落ち込む隼人に、翔真はおもしろがり過ぎたか…と、ちょっと焦る。
隼人だって、湊に会うまでは、恋なんて百戦錬磨の男だったわけで、こんなことを冗談で受け流せないような性格でもないはずなのに。
「いや、何でもない…。悪かったな、湊…」
「え? えっ!? 隼人!?」
顔も上げずに、隼人はフラフラとその場を離れていく。
一体どうしてそこまで!? と翔真は大いに慌てる。まさか、『湊が困ってるよ』という翔真の発言を真に受けたのだろうか。いや、その前から隼人は、少しずつだが落ち込み始めていた。
「隼人くんっ!」
どうしよう…と翔真が焦っているうちに、隼人はどんどんと行ってしまう。しかし、そんな隼人の腕をグイと掴むものがあった――――湊だ。
そんなことをされるとも思っていなかった隼人は身構えていなかったし、かわいい見た目とはいえ湊も男だからそれなりに力もあるので、隼人はそのまま湊に引き寄せられた。
驚いたのは、隼人だけではない。
まさか湊がそんな行為に及ぶとは思っていなかった翔真も、目を丸くし、ポカンとなっている。
「急にどうしたんですか? 俺、何かしました? 急にそんなこと…、謝られても、俺、分かりません!」
隼人が落ち込み、そして湊に謝った理由は翔真にも分からなかったが、隼人があまりに凹むものだから、こんなに真っ直ぐに尋ねるという方法をまったく思い付かないでいた。
いや、普通、相手がここまで凹みまくっていたら、こんなふうには声を掛けられないだろう。それなのに、それが出来るのは、ひとえに湊の鈍感さのおかげか。
しかし今は、その鈍感と真っ直ぐさに救われた。
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壁に手を突いて自分の顔を見ていたはずの隼人が、いつの間にか俯いていて、湊は自分が何か仕出かしてしまったのだろうかと、困ったように翔真を見た。
「ちょっと隼人! 湊が困ってるよ」
項垂れる隼人の背中を、おもしろがって翔真がバシンと叩く。
そうは言っても、そもそもそんな困るような状況を作ったのは、翔真なのだが。
「…………」
「ちょっ隼人!」
隼人は下を向いたまま、ズルズルと壁から手を離した。
壁ドンをした隼人について、少なくとも湊は格好いいという褒め言葉をくれたわけで、別に嫌がっているわけでもないし、隼人が落ち込む要素などないはずなのに。
しかし、あからさまに落ち込む隼人に、翔真はおもしろがり過ぎたか…と、ちょっと焦る。
隼人だって、湊に会うまでは、恋なんて百戦錬磨の男だったわけで、こんなことを冗談で受け流せないような性格でもないはずなのに。
「いや、何でもない…。悪かったな、湊…」
「え? えっ!? 隼人!?」
顔も上げずに、隼人はフラフラとその場を離れていく。
一体どうしてそこまで!? と翔真は大いに慌てる。まさか、『湊が困ってるよ』という翔真の発言を真に受けたのだろうか。いや、その前から隼人は、少しずつだが落ち込み始めていた。
「隼人くんっ!」
どうしよう…と翔真が焦っているうちに、隼人はどんどんと行ってしまう。しかし、そんな隼人の腕をグイと掴むものがあった――――湊だ。
そんなことをされるとも思っていなかった隼人は身構えていなかったし、かわいい見た目とはいえ湊も男だからそれなりに力もあるので、隼人はそのまま湊に引き寄せられた。
驚いたのは、隼人だけではない。
まさか湊がそんな行為に及ぶとは思っていなかった翔真も、目を丸くし、ポカンとなっている。
「急にどうしたんですか? 俺、何かしました? 急にそんなこと…、謝られても、俺、分かりません!」
隼人が落ち込み、そして湊に謝った理由は翔真にも分からなかったが、隼人があまりに凹むものだから、こんなに真っ直ぐに尋ねるという方法をまったく思い付かないでいた。
いや、普通、相手がここまで凹みまくっていたら、こんなふうには声を掛けられないだろう。それなのに、それが出来るのは、ひとえに湊の鈍感さのおかげか。
しかし今は、その鈍感と真っ直ぐさに救われた。
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