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明日死んでもいいなんて、嘘 (4)
2015.05.13 Wed
「そうしたら、お前が濡れるだろうがっ」
「え? あ、そっか。あはは」
「あ、はは…」
天然なのかのん気なのか、湊は言われて初めて気が付いたようで、今度こそちゃんと真っ直ぐに傘を差した。
そこは笑うところなのだろうか、分からないが、隼人はつられて乾いた笑みを漏らす。
「でも、こんなことなら俺、もっとおっきい傘持ってくればよかったですね。そしたら濡れなかったのに。隼人くん、もっとちゃんと傘入ってくださいね?」
「おっ…お、ぅ」
傘を傾けない代わりに、湊は互いが濡れないよう、さらに隼人のほうに寄って来る。
小さな傘に2人が濡れないように収まるには、身を寄せ合うしかないのだ。
(いや、ダメだ! ダメだって…!)
自分ばかりが傘の恩恵を受け、湊が濡れてしまわないようにと傘をちゃんと差させただけで、まさかこんなことになるとは、隼人自身、まったく想像していなかった。
別に何の下心もなかった。そんなこと、微塵も思っていなかったのだ。
しかし、結果、より湊とくっ付くことになった展開は、喜ばしいけれど、心臓が持たない。
湊の行動は、傍から見れば、男同士でどうした? だろうし、恋する男からすれば、無自覚すぎるわっ! というところだが、2人で1つの傘しかない状況においては適切だ。
それなのに、1人で勝手に想像して焦っている自分が恥ずかしい。
それこそ湊には、何の打算も下心もないのに。
(でもダメだっ…!)
今までに、湊と一緒に帰ったことなど何度もあるが、まさか相合傘が、こんなにドキドキするシチュエーションだったなんて…!
もういろいろと限界なので、早く駅に着いてほしい気持ちと、ずっとこの瞬間が続けばいいのに…という思いが入り混じって、どうにかなりそうだ。
しかし、そんな隼人の複雑な心境も、数分と経たないうちに終わりを迎えた。
駅に到着したのである。
「隼人くんちって、駅からどのくらいですか?」
「えっ駅?」
雨に当たらないところで、濡れた傘をたたみながら、湊が尋ねて来る。
湊の左肩が濡れているのに気が付き、あぁ、もっと湊のほうに傘を分けてやればよかった…と反省していた隼人は、突然の質問に、普通に聞き返すつもりが、声を裏返らせてしまった。
「駅から家まで結構あるなら、傘ないと濡れちゃうな、て思って」
「あ、あぁ……えっと、10分掛かんねぇくらいかな」
湊の質問には、他意などないのだ。それなのに、つい考えすぎてしまう自分が、すごくすごく恥ずかしい。
隼人は平静を装って、何とか答えた。
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「え? あ、そっか。あはは」
「あ、はは…」
天然なのかのん気なのか、湊は言われて初めて気が付いたようで、今度こそちゃんと真っ直ぐに傘を差した。
そこは笑うところなのだろうか、分からないが、隼人はつられて乾いた笑みを漏らす。
「でも、こんなことなら俺、もっとおっきい傘持ってくればよかったですね。そしたら濡れなかったのに。隼人くん、もっとちゃんと傘入ってくださいね?」
「おっ…お、ぅ」
傘を傾けない代わりに、湊は互いが濡れないよう、さらに隼人のほうに寄って来る。
小さな傘に2人が濡れないように収まるには、身を寄せ合うしかないのだ。
(いや、ダメだ! ダメだって…!)
自分ばかりが傘の恩恵を受け、湊が濡れてしまわないようにと傘をちゃんと差させただけで、まさかこんなことになるとは、隼人自身、まったく想像していなかった。
別に何の下心もなかった。そんなこと、微塵も思っていなかったのだ。
しかし、結果、より湊とくっ付くことになった展開は、喜ばしいけれど、心臓が持たない。
湊の行動は、傍から見れば、男同士でどうした? だろうし、恋する男からすれば、無自覚すぎるわっ! というところだが、2人で1つの傘しかない状況においては適切だ。
それなのに、1人で勝手に想像して焦っている自分が恥ずかしい。
それこそ湊には、何の打算も下心もないのに。
(でもダメだっ…!)
今までに、湊と一緒に帰ったことなど何度もあるが、まさか相合傘が、こんなにドキドキするシチュエーションだったなんて…!
もういろいろと限界なので、早く駅に着いてほしい気持ちと、ずっとこの瞬間が続けばいいのに…という思いが入り混じって、どうにかなりそうだ。
しかし、そんな隼人の複雑な心境も、数分と経たないうちに終わりを迎えた。
駅に到着したのである。
「隼人くんちって、駅からどのくらいですか?」
「えっ駅?」
雨に当たらないところで、濡れた傘をたたみながら、湊が尋ねて来る。
湊の左肩が濡れているのに気が付き、あぁ、もっと湊のほうに傘を分けてやればよかった…と反省していた隼人は、突然の質問に、普通に聞き返すつもりが、声を裏返らせてしまった。
「駅から家まで結構あるなら、傘ないと濡れちゃうな、て思って」
「あ、あぁ……えっと、10分掛かんねぇくらいかな」
湊の質問には、他意などないのだ。それなのに、つい考えすぎてしまう自分が、すごくすごく恥ずかしい。
隼人は平静を装って、何とか答えた。
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