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ハッピークリスマス (4)
2011.01.24 Mon
10:23 a.m.
期待を裏切らないというか、お約束どおりというか。
この男は、タイミングの悪さに掛けては日本屈指ではなかろうかと、郁雅は密かに思っている。
クリスマスイブの朝、郁雅を起こしたのは携帯電話のアラームではなく、メールの着信音だった。
しかも送信者は蒼一郎でなく、彼と同室の翔真。
アドレスを交換して以来、実は1度もメールのやり取りをしたことがなかったのに、一体どうしてこんな日に? と訝しみつつメールを開いた郁雅は、その内容に大いに驚愕し、1人しかいない部屋で、「はぁ!?」と声を大きくした。
『蒼が風邪引いて寝込んだ~。ヘルプ!』
初めて翔真から受信したメールの文面がこれ。声だって張り上げたくなる。
翔真がタチの悪い冗談を言う人間とは思わないが、それにしてもこの内容は俄かに信じ難くて、郁雅は蒼一郎の携帯電話に電話をしたのだが、聞こえてきたのは、死にそうなほど弱り果てた恋人の声。
『イク、ゴメン~…』
鼻をズビズビさせながら、すべての文字に濁音が付いているような発音で、蒼一郎に電話越しに謝られれば、信じないわけにもいかない。
そう、恋人との約束がありながら、クリスマスイブに風邪を引いた挙げ句、熱まで出したのだ、蒼一郎という男は。
さすがに郁雅もこれには呆れ返ったが、しかし具合の悪い恋人を放っておくことも出来ず、取るものもとりあえず蒼一郎たちの寮へと向かえば、まだスウェット姿の翔真が迎え入れてくれた。
聞けば、明け方近く、熱っぽさを感じた蒼一郎が薬を探そうとベッドを抜け出したところ、思った以上に熱があったのか、そのまま倒れ込んでしまい、その物音で目を覚ました翔真が、その後、看病していたらしい。
「イクに黙ってるのも何だし、約束もあったみたいだから…」
翔真は申し訳なさそうに打ち明けた。
蒼一郎はベッドで寝ている。あの電話の後、寝付いたらしい。
「いや、別にいいっすよ。あ…、てか山口くん、これから予定あるんでしょ? 俺、ここにいるんで、出掛けてください」
「え、でも」
郁雅の提案に、翔真は驚いて目を見張った。
確かに今日はこれから出掛ける予定はあったが、それを郁雅には伝えていないし、寮の同室者が風邪で寝込んでいるのに、その看病を呼び付けた恋人に任せ切りで出掛けるのも気が引ける。
「コイツも一応子どもじゃないし……2人で付いてなくてもいいと思うんで」
「…ん。あ、じゃあ俺、薬とか買って来よっか? 待ち合わせ、まだ時間あるし」
「いや、いいっすよ。時間見て行きますから。山口くん、気兼ねしないで、楽しんで来てください」
「でも…」
そう言われたって、やはり気にはなる。
郁雅の言うとおり、蒼一郎も"一応"子どもではないが、何となく子ども以上に心配な気もするし。
「ホント、大丈夫です。何があっても山口くんのことは恨みませんから! 恨むなら、コイツを恨みます」
郁雅はそう言って、冗談めかしく笑った。
ここまで言われると、しつこくここに残っているとも言えなくて、結局翔真は出掛ける支度をした。
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期待を裏切らないというか、お約束どおりというか。
この男は、タイミングの悪さに掛けては日本屈指ではなかろうかと、郁雅は密かに思っている。
クリスマスイブの朝、郁雅を起こしたのは携帯電話のアラームではなく、メールの着信音だった。
しかも送信者は蒼一郎でなく、彼と同室の翔真。
アドレスを交換して以来、実は1度もメールのやり取りをしたことがなかったのに、一体どうしてこんな日に? と訝しみつつメールを開いた郁雅は、その内容に大いに驚愕し、1人しかいない部屋で、「はぁ!?」と声を大きくした。
『蒼が風邪引いて寝込んだ~。ヘルプ!』
初めて翔真から受信したメールの文面がこれ。声だって張り上げたくなる。
翔真がタチの悪い冗談を言う人間とは思わないが、それにしてもこの内容は俄かに信じ難くて、郁雅は蒼一郎の携帯電話に電話をしたのだが、聞こえてきたのは、死にそうなほど弱り果てた恋人の声。
『イク、ゴメン~…』
鼻をズビズビさせながら、すべての文字に濁音が付いているような発音で、蒼一郎に電話越しに謝られれば、信じないわけにもいかない。
そう、恋人との約束がありながら、クリスマスイブに風邪を引いた挙げ句、熱まで出したのだ、蒼一郎という男は。
さすがに郁雅もこれには呆れ返ったが、しかし具合の悪い恋人を放っておくことも出来ず、取るものもとりあえず蒼一郎たちの寮へと向かえば、まだスウェット姿の翔真が迎え入れてくれた。
聞けば、明け方近く、熱っぽさを感じた蒼一郎が薬を探そうとベッドを抜け出したところ、思った以上に熱があったのか、そのまま倒れ込んでしまい、その物音で目を覚ました翔真が、その後、看病していたらしい。
「イクに黙ってるのも何だし、約束もあったみたいだから…」
翔真は申し訳なさそうに打ち明けた。
蒼一郎はベッドで寝ている。あの電話の後、寝付いたらしい。
「いや、別にいいっすよ。あ…、てか山口くん、これから予定あるんでしょ? 俺、ここにいるんで、出掛けてください」
「え、でも」
郁雅の提案に、翔真は驚いて目を見張った。
確かに今日はこれから出掛ける予定はあったが、それを郁雅には伝えていないし、寮の同室者が風邪で寝込んでいるのに、その看病を呼び付けた恋人に任せ切りで出掛けるのも気が引ける。
「コイツも一応子どもじゃないし……2人で付いてなくてもいいと思うんで」
「…ん。あ、じゃあ俺、薬とか買って来よっか? 待ち合わせ、まだ時間あるし」
「いや、いいっすよ。時間見て行きますから。山口くん、気兼ねしないで、楽しんで来てください」
「でも…」
そう言われたって、やはり気にはなる。
郁雅の言うとおり、蒼一郎も"一応"子どもではないが、何となく子ども以上に心配な気もするし。
「ホント、大丈夫です。何があっても山口くんのことは恨みませんから! 恨むなら、コイツを恨みます」
郁雅はそう言って、冗談めかしく笑った。
ここまで言われると、しつこくここに残っているとも言えなくて、結局翔真は出掛ける支度をした。
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音夜 ⇒ No title
それぞれのクリスマスストーリーですか?
むっちゃんはやはりケーキですねw亮くんもむっちゃんが相手だと、しっかりしなくてはって、そんな感じにみえますよね。
蒼くんは熱でダウンととは。郁くんもガッカリですよね。でもなんやかんや言いながらも優しく看病してそーやなーw
翔くんも真大くんとデート?やっぱイブですしね
むっちゃんはやはりケーキですねw亮くんもむっちゃんが相手だと、しっかりしなくてはって、そんな感じにみえますよね。
蒼くんは熱でダウンととは。郁くんもガッカリですよね。でもなんやかんや言いながらも優しく看病してそーやなーw
翔くんも真大くんとデート?やっぱイブですしね
- |2011.01.24
- |Mon
- |23:15
- |URL
- |EDIT|
如月久美子 ⇒ >音夜さん
蒼ちゃんの間の悪さは、このシリーズの登場人物一だと思います(^_^;)
亮タンも相当しっかりしてないとですが、郁タンもしっかり者でないとつとまらないんじゃないかなぁ。。。
未だにイブの話とかですみません。
翔ちゃんたちだけでなく、他のみんなのイブ話もアップしますんで、よろしくです~(*^_^*)
コメントありがとうございました!
亮タンも相当しっかりしてないとですが、郁タンもしっかり者でないとつとまらないんじゃないかなぁ。。。
未だにイブの話とかですみません。
翔ちゃんたちだけでなく、他のみんなのイブ話もアップしますんで、よろしくです~(*^_^*)
コメントありがとうございました!