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片手はてぶくろ、片手は繋ぐ (1)
2010.12.16 Thu
『真大、ゴメン!』
「…………。はい?」
今日は6限目まで授業があって本当にウンザリだけど、その後には翔真とデートの約束もあるから、本日最後の授業がんばろう! と真大が気合を入れ直したときだった。
カバンの中の携帯電話が音を立て、開いた液晶ディスプレイには翔真の名前。
何でこんな時間に? と思いつつ、真大が電話に出てみれば、電話の相手は『もしもし』よりも先に謝罪の言葉を口走った。
『今日、会えなくなっちゃった…』
「は? 何で?」
『…バイト。ミナト、真大も知ってんだろ? アイツ、インフルになっちゃって、代わりに出てくれって…』
「マジで?」
真大は携帯電話を耳に押し当てたまま、何てことだ! と宙を仰いだ。
ミナトこと、福原湊(フクハラ ミナト)。
翔真がバイトするカフェで働く、ハニーフェイスの男の子。
流行に乗っかって、インフルエンザにかかった彼を責める気はないが、タイミングが悪すぎる。どうして病欠の代打が翔真なんだ。
『ホンット、ゴメン! 他も当たってもらったんだけど、どうしてもダメで…』
「…そう。てか、そんなに謝んないでよ。バイトならしょうがないじゃん」
『え? あ、うん』
真大がそう言えば、翔真は少し拍子抜けしたような声を出した。
せっかくのデートをキャンセルされて、真大のことだから、絶対にすごく文句を言うと思っていたのに、意外にもあっさりと納得したので驚いているに違いない。
もちろん、真大のテンションはがた落ちしているが、湊も好きで罹患したわけではないし、まさか翔真に、バイトと恋人を天秤にかけさせるつもりもないから。
「何時まで? まさか最後までとか?」
『いや、9時まで』
「…ふぅん、お疲れ様」
翔真がバイトしているカフェは、24時まで営業している。
インフルエンザということは、湊は1週間くらいは出て来れないだろうから、もしかしたら今日以外にも翔真が臨時で出たり、そんな時間まで働かなければならない日が増えるのかも…。
(テンション下がるー…。湊くんのバカー…)
思わず恨み節を口に出しそうになり、けれど真大は慌てて口を噤んだ。
真大以上に、翔真は大変な思いをするわけだし、気の優しい湊は、きっと今回の件でひどく心を痛めているに違いないから。
『あの…真大、ホントにゴメン』
「だからいいってば。翔真くんがそんなに気にすることじゃないじゃん。てか、チャイム鳴っちゃったから、教室入んないと」
『え、あ、うん』
「バイトがんばってね」
なるべくガッカリした声を出したくはなかったのに、真大はそこまでは大人になり切れなくて、最後は素っ気なく言って電話を切ってしまった。
「はぅ…、俺って大人げない…」
携帯電話を握り締め、真大は激しく自己嫌悪した。
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「…………。はい?」
今日は6限目まで授業があって本当にウンザリだけど、その後には翔真とデートの約束もあるから、本日最後の授業がんばろう! と真大が気合を入れ直したときだった。
カバンの中の携帯電話が音を立て、開いた液晶ディスプレイには翔真の名前。
何でこんな時間に? と思いつつ、真大が電話に出てみれば、電話の相手は『もしもし』よりも先に謝罪の言葉を口走った。
『今日、会えなくなっちゃった…』
「は? 何で?」
『…バイト。ミナト、真大も知ってんだろ? アイツ、インフルになっちゃって、代わりに出てくれって…』
「マジで?」
真大は携帯電話を耳に押し当てたまま、何てことだ! と宙を仰いだ。
ミナトこと、福原湊(フクハラ ミナト)。
翔真がバイトするカフェで働く、ハニーフェイスの男の子。
流行に乗っかって、インフルエンザにかかった彼を責める気はないが、タイミングが悪すぎる。どうして病欠の代打が翔真なんだ。
『ホンット、ゴメン! 他も当たってもらったんだけど、どうしてもダメで…』
「…そう。てか、そんなに謝んないでよ。バイトならしょうがないじゃん」
『え? あ、うん』
真大がそう言えば、翔真は少し拍子抜けしたような声を出した。
せっかくのデートをキャンセルされて、真大のことだから、絶対にすごく文句を言うと思っていたのに、意外にもあっさりと納得したので驚いているに違いない。
もちろん、真大のテンションはがた落ちしているが、湊も好きで罹患したわけではないし、まさか翔真に、バイトと恋人を天秤にかけさせるつもりもないから。
「何時まで? まさか最後までとか?」
『いや、9時まで』
「…ふぅん、お疲れ様」
翔真がバイトしているカフェは、24時まで営業している。
インフルエンザということは、湊は1週間くらいは出て来れないだろうから、もしかしたら今日以外にも翔真が臨時で出たり、そんな時間まで働かなければならない日が増えるのかも…。
(テンション下がるー…。湊くんのバカー…)
思わず恨み節を口に出しそうになり、けれど真大は慌てて口を噤んだ。
真大以上に、翔真は大変な思いをするわけだし、気の優しい湊は、きっと今回の件でひどく心を痛めているに違いないから。
『あの…真大、ホントにゴメン』
「だからいいってば。翔真くんがそんなに気にすることじゃないじゃん。てか、チャイム鳴っちゃったから、教室入んないと」
『え、あ、うん』
「バイトがんばってね」
なるべくガッカリした声を出したくはなかったのに、真大はそこまでは大人になり切れなくて、最後は素っ気なく言って電話を切ってしまった。
「はぅ…、俺って大人げない…」
携帯電話を握り締め、真大は激しく自己嫌悪した。
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