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もうさようならの時間 (7)
2011.05.30 Mon
「えっ何急に…、…………、…カズちゃん?」
キョロキョロと視線を落ち着かなくさせていた睦月は、ふと1つのことに気付いて、亮を見つめた。
亮が、和衣からの伝言により風呂に向かい、それから何分もしないうちに戻って来た……このタイミングからして、和衣に何か言われたことは間違いなかった。
それに。
…それ以外にも睦月は、和衣が絡んでいるのだと、思い当たる節があったから。
「…犬」
「へっ?」
しばらくの沈黙の後、睦月が視線を落としたまま呟いた言葉は、残念ながら亮には聞き取れなかった。
いや、聞こえたことは聞こえたんだけど、何か『犬』て聞こえたような…。
「え、ゴメ…何?」
「…だから、犬……散歩しに…」
え、犬?
亮はもう1度聞き返したい気分だったが、聞き返したら絶対キレそうなので、やめておいた。
亮が何も言わないでいたら、睦月がムッとした顔で睨み付けて来た。
睦月はベッドに座っている状態なので、その前に立っている亮を睨むと、ちょうど上目遣いみたいになって、あんまり怖くない。
別に亮が黙ったのは、睦月の言葉を今さらまだ嘘だと思ったわけではなくて、話があまりにも突拍子なかったから、少々面食らっただけのこと。それともこれも、宇宙人的な壮大な嘘?
「ゴメン、むっちゃん! でもだって犬て! え、どこの犬? だってここじゃ飼えないじゃん」
「…おばあちゃんち」
「おばあちゃん? 睦月のおばあちゃん?」
「そーじゃないけど…」
そう言って睦月は、ようやく事の次第を語り始めた。
睦月はある日、バイトに行く途中にある家で、犬が飼われていることに気が付いた。その犬はかわいくてかわいくて、一目惚れしてしまった。
犬は玄関先に繋がれていたが、その敷地内に立ち入らずとも手の届く位置にいたので、睦月は時々こっそりとその犬を構いに行っていた。
それにしてもその犬は、ここ最近飼われ始めた感じがしなかった。
もう成犬だったし、人にもよく慣れていて吠えない。それに、犬小屋やエサ用のボウルも新しくはなくて、長年使われているようだった。
誰か飼えなくなった人から、必要な道具ごと貰い受けたのだろうかとも思ったが、とりあえず犬さえ構えれば、睦月にとってはそんなこと、どうでもよかった。
そんな睦月に転機が訪れたのは、その犬を構いに行き始めてから、1か月もしないうちだった。
こっそり犬を構っていたのが、その家の人にバレてしまったのである。
構うと言っても、声を掛けたり頭を撫でたりする程度だったのだが、黙って勝手に人の犬を構っていたのは事実で、飼い主にしたら不愉快なことだったかもしれない。
第一、敷地に入っていないとはいえ、しょっちゅう人の家の前にやって来ては、コソコソと犬を構って帰るなんて、はっきり言って不審者も同然だ。
現れたおばあさんに、睦月はこっそり犬を構っていたことを素直に謝ったが、おばあさんは睦月のことを少しも怒らず、寧ろ犬を構っていたことになぜかお礼を言った。
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キョロキョロと視線を落ち着かなくさせていた睦月は、ふと1つのことに気付いて、亮を見つめた。
亮が、和衣からの伝言により風呂に向かい、それから何分もしないうちに戻って来た……このタイミングからして、和衣に何か言われたことは間違いなかった。
それに。
…それ以外にも睦月は、和衣が絡んでいるのだと、思い当たる節があったから。
「…犬」
「へっ?」
しばらくの沈黙の後、睦月が視線を落としたまま呟いた言葉は、残念ながら亮には聞き取れなかった。
いや、聞こえたことは聞こえたんだけど、何か『犬』て聞こえたような…。
「え、ゴメ…何?」
「…だから、犬……散歩しに…」
え、犬?
亮はもう1度聞き返したい気分だったが、聞き返したら絶対キレそうなので、やめておいた。
亮が何も言わないでいたら、睦月がムッとした顔で睨み付けて来た。
睦月はベッドに座っている状態なので、その前に立っている亮を睨むと、ちょうど上目遣いみたいになって、あんまり怖くない。
別に亮が黙ったのは、睦月の言葉を今さらまだ嘘だと思ったわけではなくて、話があまりにも突拍子なかったから、少々面食らっただけのこと。それともこれも、宇宙人的な壮大な嘘?
「ゴメン、むっちゃん! でもだって犬て! え、どこの犬? だってここじゃ飼えないじゃん」
「…おばあちゃんち」
「おばあちゃん? 睦月のおばあちゃん?」
「そーじゃないけど…」
そう言って睦月は、ようやく事の次第を語り始めた。
睦月はある日、バイトに行く途中にある家で、犬が飼われていることに気が付いた。その犬はかわいくてかわいくて、一目惚れしてしまった。
犬は玄関先に繋がれていたが、その敷地内に立ち入らずとも手の届く位置にいたので、睦月は時々こっそりとその犬を構いに行っていた。
それにしてもその犬は、ここ最近飼われ始めた感じがしなかった。
もう成犬だったし、人にもよく慣れていて吠えない。それに、犬小屋やエサ用のボウルも新しくはなくて、長年使われているようだった。
誰か飼えなくなった人から、必要な道具ごと貰い受けたのだろうかとも思ったが、とりあえず犬さえ構えれば、睦月にとってはそんなこと、どうでもよかった。
そんな睦月に転機が訪れたのは、その犬を構いに行き始めてから、1か月もしないうちだった。
こっそり犬を構っていたのが、その家の人にバレてしまったのである。
構うと言っても、声を掛けたり頭を撫でたりする程度だったのだが、黙って勝手に人の犬を構っていたのは事実で、飼い主にしたら不愉快なことだったかもしれない。
第一、敷地に入っていないとはいえ、しょっちゅう人の家の前にやって来ては、コソコソと犬を構って帰るなんて、はっきり言って不審者も同然だ。
現れたおばあさんに、睦月はこっそり犬を構っていたことを素直に謝ったが、おばあさんは睦月のことを少しも怒らず、寧ろ犬を構っていたことになぜかお礼を言った。
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けいったん ⇒ No title
えっと・・・犬ですか!散歩ですか!?何だか 拍子抜けのような・・・
むっちゃんって 犬が好きなの??
ちーっとも 知らなかったわ!Σ(´゚Д゚`)ンマッ!!
我が家でも 猫が飼いたい者が いました。
あまりにも欲しがるので 飼うつもりで 一度 ボランティアで 捨て猫を いっぱい世話してる お寺に連れて行きました。
が、そやつは 少しの動物臭でも 全くダメで(以前から) たくさんの猫の臭いに ノック・アウトで 帰ってきましたよ! (大笑)
だから 我が家では ハムスターも 亀も 臭いと言って ずーっと 私が 世話してたでしょうが!
忘れてたのかよ~プンスコo(`ω´*)oプンスコ
o(^^ *)o♪--------⊆^U)┬┬~... 犬のお散歩...byebye☆
むっちゃんって 犬が好きなの??
ちーっとも 知らなかったわ!Σ(´゚Д゚`)ンマッ!!
我が家でも 猫が飼いたい者が いました。
あまりにも欲しがるので 飼うつもりで 一度 ボランティアで 捨て猫を いっぱい世話してる お寺に連れて行きました。
が、そやつは 少しの動物臭でも 全くダメで(以前から) たくさんの猫の臭いに ノック・アウトで 帰ってきましたよ! (大笑)
だから 我が家では ハムスターも 亀も 臭いと言って ずーっと 私が 世話してたでしょうが!
忘れてたのかよ~プンスコo(`ω´*)oプンスコ
o(^^ *)o♪--------⊆^U)┬┬~... 犬のお散歩...byebye☆
- |2011.05.30
- |Mon
- |12:05
- |URL
- |EDIT|
如月久美子 ⇒ >けいったんさん
ワンコ大好きむっちゃん、でも疑われてでも亮タンに隠していた理由は。。。
なかなか難しい子なんですよ~(笑)
私も犬や猫は好きなんですが、触れません~。
においていうより、あの…毛がふさふさしてるのが…(^_^;)
でも確かににおいもしますもんね。
友だちは、ネコ大好きなのに、ネコアレルギーです(汗)
コメントありがとうございました!
なかなか難しい子なんですよ~(笑)
私も犬や猫は好きなんですが、触れません~。
においていうより、あの…毛がふさふさしてるのが…(^_^;)
でも確かににおいもしますもんね。
友だちは、ネコ大好きなのに、ネコアレルギーです(汗)
コメントありがとうございました!