読み切り中編
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読み切り中編集 INDEX
2009.12.22 Tue
↑OLD ↓NEW
■wish :: クリスマス。天使は舞い降りた。
(1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9) (10)
(11) (12) (13) (14) (15) (16) (17) (18)
■気付かせないで、恋心 (illustration:あまトロさま) :: この熱を知っている。
(1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9) (10) (11) (12) (13)
■Pure Blue :: 気持ちが1つになれない。
(1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9) (10)
■突然過ぎる日 (title:207ベータさま) :: 日常はすべて突然に。
1. 突然の大雨。開け放した窓が原因で部屋が水没。枕1つ持って君んちへ行く。 (前編) (後編)
2. 突然の訪問。案の定食べ物が無く、災害時の為に買い置きした缶詰を食べる。
3. 突然の雷。恐怖に慄くが、君が絶叫して飛びついてきたのでかえって落ち着きを取り戻す。
4. 突然の停電。ギャアギャア喚く君を置いて懐中電灯を探しにいくが、君がやたらに動き回るので気になって仕方ない。 (前編) (中編) (後編)
5. 突然の告白。暗闇の中で愛を叫ばれるが、すいません。そっちじゃなくて此処に居ます。 (前編) (後編)
■wish :: クリスマス。天使は舞い降りた。
(1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9) (10)
(11) (12) (13) (14) (15) (16) (17) (18)
■気付かせないで、恋心 (illustration:あまトロさま) :: この熱を知っている。
(1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9) (10) (11) (12) (13)
■Pure Blue :: 気持ちが1つになれない。
(1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9) (10)
■突然過ぎる日 (title:207ベータさま) :: 日常はすべて突然に。
1. 突然の大雨。開け放した窓が原因で部屋が水没。枕1つ持って君んちへ行く。 (前編) (後編)
2. 突然の訪問。案の定食べ物が無く、災害時の為に買い置きした缶詰を食べる。
3. 突然の雷。恐怖に慄くが、君が絶叫して飛びついてきたのでかえって落ち着きを取り戻す。
4. 突然の停電。ギャアギャア喚く君を置いて懐中電灯を探しにいくが、君がやたらに動き回るので気になって仕方ない。 (前編) (中編) (後編)
5. 突然の告白。暗闇の中で愛を叫ばれるが、すいません。そっちじゃなくて此処に居ます。 (前編) (後編)
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カテゴリー:読み切り中編
wish (1)
2009.12.22 Tue
クリスマス小説です。
でも先に言っておくと、クリスマスまでにはもちろん終わらないですし、うっかり年も越えちゃうんですが、許してください。
Side:Toyama
雪の降る晩。
俺は1匹の天使を拾った―――。
*****
ジングルベルのメロディーに乗って、ネオン輝く賑やかな街。それこそ老若男女問わず、みんなに愛されるクリスマスがもうすぐやって来る。
雪まで降って、きっとホワイトクリスマスになるんだろうな…て、そんな日に俺は残業。おまけにそんな俺を待っててくれるかわいい彼女もおらず。
ますます落ち込みそう……なんて思いつつ、華やかな大通りを抜けて、自分のアパートに向かう。
「…?」
アパートの前、何か白っぽい物体。
何となく人っぽい雰囲気がして、いや、ホントに人で焦る。
まさか死んじゃってるわけじゃないよな? いや、行き倒れ? どっちにしろ、自分ちの前で倒れられて、放っておけるわけもなく。
「あのー…もしもし…?」
恐る恐る声を掛けてみる。
遠目で見たとき、白っぽい感じがしたのは雪を被ってるせいだけじゃなかった。着てる服自体、真っ白。
今時の若い子にしちゃ、ちょっと珍しい感じだけど…。
「おーい…大丈夫?」
「―――……ん…?」
声を掛けても反応のないその子の肩を揺さぶってみれば、わずかに反応が返ってきてホッとする。
少なくとも死んではいないらしい。
こういう場合は、警察? 救急車?
「ん~…あれぇ?」
俺の呼び掛けに漸く目を覚ましたその子は、のん気そうに目をこすりながら体を起こした。
とりあえず大丈夫そうなんで安心したけど、ショートカットの茶色い髪にも雪が付いてるのに気付かないから、俺はその雪を払ってやった。
「あ、お帰り、遠山くん」
「は?」
「ぅん? お帰りなさーい。帰って来た人を出迎えるときは、『お帰り』でしょ?」
「え、あ、はい」
いや、お帰りはいいんだけど。それは正解なんですけど。
そうじゃなくて。今この子、俺の名前、呼んだよな?
えーっと……知り合い?
「俺、遠山くんが帰ってくるの、ずっと待ってたんだよぉ! なのに全然帰ってこないから、いつの間にか寝ちゃった」
へー…そっかぁ、遅くなっちゃって、ゴメンね……て、そうじゃなくて! そうじゃなくて!
え、何? 俺のこと知ってんの?
つーか、それよりこの子、自分のこと『俺』て言ったよな? え? えっと、若い女の子の間じゃ、今自分のこと『俺』て呼ぶのが流行ってんの? え? え?
「え、男?」
でも先に言っておくと、クリスマスまでにはもちろん終わらないですし、うっかり年も越えちゃうんですが、許してください。
Side:Toyama
雪の降る晩。
俺は1匹の天使を拾った―――。
*****
ジングルベルのメロディーに乗って、ネオン輝く賑やかな街。それこそ老若男女問わず、みんなに愛されるクリスマスがもうすぐやって来る。
雪まで降って、きっとホワイトクリスマスになるんだろうな…て、そんな日に俺は残業。おまけにそんな俺を待っててくれるかわいい彼女もおらず。
ますます落ち込みそう……なんて思いつつ、華やかな大通りを抜けて、自分のアパートに向かう。
「…?」
アパートの前、何か白っぽい物体。
何となく人っぽい雰囲気がして、いや、ホントに人で焦る。
まさか死んじゃってるわけじゃないよな? いや、行き倒れ? どっちにしろ、自分ちの前で倒れられて、放っておけるわけもなく。
「あのー…もしもし…?」
恐る恐る声を掛けてみる。
遠目で見たとき、白っぽい感じがしたのは雪を被ってるせいだけじゃなかった。着てる服自体、真っ白。
今時の若い子にしちゃ、ちょっと珍しい感じだけど…。
「おーい…大丈夫?」
「―――……ん…?」
声を掛けても反応のないその子の肩を揺さぶってみれば、わずかに反応が返ってきてホッとする。
少なくとも死んではいないらしい。
こういう場合は、警察? 救急車?
「ん~…あれぇ?」
俺の呼び掛けに漸く目を覚ましたその子は、のん気そうに目をこすりながら体を起こした。
とりあえず大丈夫そうなんで安心したけど、ショートカットの茶色い髪にも雪が付いてるのに気付かないから、俺はその雪を払ってやった。
「あ、お帰り、遠山くん」
「は?」
「ぅん? お帰りなさーい。帰って来た人を出迎えるときは、『お帰り』でしょ?」
「え、あ、はい」
いや、お帰りはいいんだけど。それは正解なんですけど。
そうじゃなくて。今この子、俺の名前、呼んだよな?
えーっと……知り合い?
「俺、遠山くんが帰ってくるの、ずっと待ってたんだよぉ! なのに全然帰ってこないから、いつの間にか寝ちゃった」
へー…そっかぁ、遅くなっちゃって、ゴメンね……て、そうじゃなくて! そうじゃなくて!
え、何? 俺のこと知ってんの?
つーか、それよりこの子、自分のこと『俺』て言ったよな? え? えっと、若い女の子の間じゃ、今自分のこと『俺』て呼ぶのが流行ってんの? え? え?
「え、男?」
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wish (2)
2009.12.23 Wed
「え、男?」
「そうだけど? 何言ってんの? まさか俺のこと、女だと思ってたわけ!?」
「いや、あの…」
ちょっ…声デカッ! 近所迷惑、近所迷惑ッ…!!
でもぷくっと頬を膨らまして拗ねる姿は、怒ってるとこ悪いけど、どう見たって女の子…。顔だってかわいらしいし。
「つーか、ちょっと待て! さっきから俺のこと遠山遠山って言うけど…」
「あれ? 遠山くんじゃないの? 人違いだった?」
「いや…遠山は俺ですが」
「何だ、間違ってないじゃん」
「そうなんだけど…、え、何? 知り合い…だっけ?」
年下っぽいし……後輩?
でも全然見覚えないし、それ以前に、俺の知り合いで、こんな妙な格好するヤツいねぇし!
「知り合いっていうか、えーっと、俺の名前は遥琉(ハル)。遠山くんに愛と希望を届に来た天使なんです」
「…………。…え?」
「え? 聞こえてた?」
いや、聞こえてはいましたけどね。
何か脳が理解することを拒否したっていうか…。
「だからぁ、俺はね、天使なの、て・ん・し! でね、まぁぶっちゃけた話すると、クリスマスに恋人もいない、不幸でかわいそうな遠山くんの願いを叶えるためにやって来たのです!」
何だか妙に偉そうに、遥琉とかいうヤツが言ってのけた。
その態度も何か腹立つが、言ってる内容も腹立たしいし、それ以前に何言ってんだ、コイツ。え、変な宗教とか?
若いのに変なのにはまりやがって。かわいそうなのはお前だろ。
「どうしたの? 遠山くん」
「あー…えっとね、もう時間も遅いし、早くお家帰んな? きっとパパとママも心配してるよ?」
「…遠山くん、俺のこと、変な人だと思ってない? 言っとくけど、俺、普通の人だよ? 人っていうか、天使だけど」
「いやあの俺…そういうの間に合ってますから」
「あぁーもう! どう言えば信じてくれるわけ!? 俺、遠山くんを幸せにするために、わざわざ天界から降りて来たのに!」
今度は逆切れですか。
そんなこと言われても、こっちも困るんですけど!
あーもう、ただでさえ落ち込み気味のところに、この仕打ち!? 俺が何したわけ?
でも今の若い子って、よく分かんないし、逆切れついでに刺されたりとかしたらどうしよう…。
「とにかく、もうホント帰ってな? 俺だって、そんなに不幸なわけじゃないから…」
俺は勝手に話を終わらせて、遥琉に背を向けた。
「ちょっと待ってぇ!! 待ってよ、遠山くんっ!!」
だああぁぁ~~~!!
こんな時間に俺の名前をデカイ声で言うな~~!!
「何だよ、いい加減に……ぉ…へ…??」
怒りに任せて振り返った俺の目の前で、遥琉の体は確かにプカッと浮かんでいた…。
「そうだけど? 何言ってんの? まさか俺のこと、女だと思ってたわけ!?」
「いや、あの…」
ちょっ…声デカッ! 近所迷惑、近所迷惑ッ…!!
でもぷくっと頬を膨らまして拗ねる姿は、怒ってるとこ悪いけど、どう見たって女の子…。顔だってかわいらしいし。
「つーか、ちょっと待て! さっきから俺のこと遠山遠山って言うけど…」
「あれ? 遠山くんじゃないの? 人違いだった?」
「いや…遠山は俺ですが」
「何だ、間違ってないじゃん」
「そうなんだけど…、え、何? 知り合い…だっけ?」
年下っぽいし……後輩?
でも全然見覚えないし、それ以前に、俺の知り合いで、こんな妙な格好するヤツいねぇし!
「知り合いっていうか、えーっと、俺の名前は遥琉(ハル)。遠山くんに愛と希望を届に来た天使なんです」
「…………。…え?」
「え? 聞こえてた?」
いや、聞こえてはいましたけどね。
何か脳が理解することを拒否したっていうか…。
「だからぁ、俺はね、天使なの、て・ん・し! でね、まぁぶっちゃけた話すると、クリスマスに恋人もいない、不幸でかわいそうな遠山くんの願いを叶えるためにやって来たのです!」
何だか妙に偉そうに、遥琉とかいうヤツが言ってのけた。
その態度も何か腹立つが、言ってる内容も腹立たしいし、それ以前に何言ってんだ、コイツ。え、変な宗教とか?
若いのに変なのにはまりやがって。かわいそうなのはお前だろ。
「どうしたの? 遠山くん」
「あー…えっとね、もう時間も遅いし、早くお家帰んな? きっとパパとママも心配してるよ?」
「…遠山くん、俺のこと、変な人だと思ってない? 言っとくけど、俺、普通の人だよ? 人っていうか、天使だけど」
「いやあの俺…そういうの間に合ってますから」
「あぁーもう! どう言えば信じてくれるわけ!? 俺、遠山くんを幸せにするために、わざわざ天界から降りて来たのに!」
今度は逆切れですか。
そんなこと言われても、こっちも困るんですけど!
あーもう、ただでさえ落ち込み気味のところに、この仕打ち!? 俺が何したわけ?
でも今の若い子って、よく分かんないし、逆切れついでに刺されたりとかしたらどうしよう…。
「とにかく、もうホント帰ってな? 俺だって、そんなに不幸なわけじゃないから…」
俺は勝手に話を終わらせて、遥琉に背を向けた。
「ちょっと待ってぇ!! 待ってよ、遠山くんっ!!」
だああぁぁ~~~!!
こんな時間に俺の名前をデカイ声で言うな~~!!
「何だよ、いい加減に……ぉ…へ…??」
怒りに任せて振り返った俺の目の前で、遥琉の体は確かにプカッと浮かんでいた…。
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wish (3)
2009.12.24 Thu
あんなとこで俺の名前を連呼されてたら堪ったもんじゃないし、何かよく分かんない現象が目の前で起こって軽くパニックだし、とりあえず遥琉を家に上げてみる。
もしかしたら全部夢かもしんないし。
「何か遠山くんの部屋、さっぷーけー! ホンット、男のひとり暮らしって感じ。寂しぃ! 寒い!!」
…………。
バカにしてる?
「暖房くらい点けるよ。俺だって寒ぃし。つーか、その濡れた服を何とかしろ、床が濡れる!」
「だって着替えとかないし。貸してくれる?」
「……」
仕方なしに、遥琉が着れそうなサイズの服を出して渡してやる。
自称天使のコイツが風邪を引くのかどうかは知らないけど、そのままだと家の中が濡れるし。
「ありがとー」
受け取った服をさっそく着替え始める遥琉を見ても、どう見たって普通の人間にしか見えない(頭の中は普通じゃなさそうだけど)。
でもさっきは確かに宙に浮いてたし……羽根? いや、ないよな、そんなの。
やっぱ夢?
「遠山くん、さっきから何ジロジロ人の着替え見てんの? エッチぃ~」
「アホか! 男の着替えなんか、見ても何も楽しくねぇよ!」
あーいちいち疲れる!
ていうか、コイツの騒ぎのせいで、まだ夕飯食ってねぇんだけど、俺。
まぁ夕飯って言ったて、コンビニで買ってきた弁当だけど!
ギャアギャア言ってる遥琉を無視して、冷めてしまった弁当を電子レンジに突っ込んで、あたためボタンを押せば、
「えぇー遠山くん、コンビニのお弁当食べるのぉ?」
遥琉の余計な一言。
ホントにいちいち腹立つヤツだな。俺だって好きでコンビニ弁当食うわけじゃねぇよ!
「しょうがねぇだろ、残業だったんだから」
「ホントに不幸なんだねぇ…遠山くんて…」
「…………」
「でも大丈夫! そんな不幸な遠山くんも、俺にかかればあっという間に幸せに…」
チンッ!
「あ、弁当あったまった」
「ちょっとぉ、遠山くん、最後まで聞いてよ!」
何か力説を始めようとした遥琉を無視して、俺は温まった弁当をレンジから取り出して、リビングに向かった。
後を付いて来る遥琉は、なぜかキョロキョロしていて。
「何だよ」
「俺の分は?」
「は?」
「俺の分のお弁当。何で遠山くんの分しかあっためないの?」
そんな当たり前のような顔して自分の分の弁当をねだられても…。
もちろんそんな想定してないし、用意もしていない。
「え、ないの? 何だ、残念。1回食べてみたかったのに。まぁいいや、じゃあ遠山くん、早く願い事言って?」
「は?」
意味不明な言葉を続ける遥琉に、玉子焼きを掴み上げようとしていた箸が止まった。
もしかしたら全部夢かもしんないし。
「何か遠山くんの部屋、さっぷーけー! ホンット、男のひとり暮らしって感じ。寂しぃ! 寒い!!」
…………。
バカにしてる?
「暖房くらい点けるよ。俺だって寒ぃし。つーか、その濡れた服を何とかしろ、床が濡れる!」
「だって着替えとかないし。貸してくれる?」
「……」
仕方なしに、遥琉が着れそうなサイズの服を出して渡してやる。
自称天使のコイツが風邪を引くのかどうかは知らないけど、そのままだと家の中が濡れるし。
「ありがとー」
受け取った服をさっそく着替え始める遥琉を見ても、どう見たって普通の人間にしか見えない(頭の中は普通じゃなさそうだけど)。
でもさっきは確かに宙に浮いてたし……羽根? いや、ないよな、そんなの。
やっぱ夢?
「遠山くん、さっきから何ジロジロ人の着替え見てんの? エッチぃ~」
「アホか! 男の着替えなんか、見ても何も楽しくねぇよ!」
あーいちいち疲れる!
ていうか、コイツの騒ぎのせいで、まだ夕飯食ってねぇんだけど、俺。
まぁ夕飯って言ったて、コンビニで買ってきた弁当だけど!
ギャアギャア言ってる遥琉を無視して、冷めてしまった弁当を電子レンジに突っ込んで、あたためボタンを押せば、
「えぇー遠山くん、コンビニのお弁当食べるのぉ?」
遥琉の余計な一言。
ホントにいちいち腹立つヤツだな。俺だって好きでコンビニ弁当食うわけじゃねぇよ!
「しょうがねぇだろ、残業だったんだから」
「ホントに不幸なんだねぇ…遠山くんて…」
「…………」
「でも大丈夫! そんな不幸な遠山くんも、俺にかかればあっという間に幸せに…」
チンッ!
「あ、弁当あったまった」
「ちょっとぉ、遠山くん、最後まで聞いてよ!」
何か力説を始めようとした遥琉を無視して、俺は温まった弁当をレンジから取り出して、リビングに向かった。
後を付いて来る遥琉は、なぜかキョロキョロしていて。
「何だよ」
「俺の分は?」
「は?」
「俺の分のお弁当。何で遠山くんの分しかあっためないの?」
そんな当たり前のような顔して自分の分の弁当をねだられても…。
もちろんそんな想定してないし、用意もしていない。
「え、ないの? 何だ、残念。1回食べてみたかったのに。まぁいいや、じゃあ遠山くん、早く願い事言って?」
「は?」
意味不明な言葉を続ける遥琉に、玉子焼きを掴み上げようとしていた箸が止まった。
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wish (4)
2009.12.25 Fri
「遠山くん、幸せになりたいんでしょ?」
「え、そりゃまぁ…」
「じゃ、早く言って。俺、何でも叶えちゃうよ? かわいい彼女が欲しい? それとも出世したい? お金持ちに…」
「ちょちょちょっ、何? は?」
勝手にどんどん話を進めていく遥琉を、何とかストップさせる。
あぁ~何!? やっぱり何か変な宗教とか? ツボとか買わされるわけ!?
「だからー、俺は天使で、遠山くんを幸せにしに来たの。まだ分かんない?」
「分かんねぇよ! ツボとか印鑑なら買わないから。そういうサークルとかにも興味…」
「え、遠山くん、俺のことまだ何か変なのの勧誘とかだと思ってる? 違うって! 俺、天使だから! さっき飛んだとこも見たでしょ? 人間じゃないって分かったでしょ?」
確かに…。それを言われると、返す言葉がない。
まだ信じ切れていない俺の前で、遥琉はもう1度、宙に浮いてみせる。
どんなイリュージョンにも何かしらタネがあるもんだけど、ここは俺んちで、そんな大掛かりな装置なんて何もなく。
じゃあやっぱり、普通の人間じゃないってこと?
いやいやいや、まさか。
だって僕、常識ある大人だし。
天使とか、そんなの信じてないし。
「とーやまくん?」
…でも、確かに目の前の遥琉は確かに浮かんでいて。
ううぅ~…。
「…分かった。百歩譲ってお前が人間じゃないとして、じゃあ何で俺んとこなんか来たんだよ」
「あのね、天使にも試験があって、それに合格しないと、いつまで経ってもダメダメ天使なのね。で、俺は100人の不幸な人間を幸せにしなきゃいけないっていう、大変な課題に当たっちゃって。遠山くんは、その100人目の不幸な人間に選ばれました! すごぉーくとっても不幸だったから」
……あのさぁ、本人前にしてそんなに『不幸』『不幸』って連発しなくても…。
でもこうやって心理に不安にさせる、て手もあるくらいだし、警戒心は解かない。
「まぁ、天使に会って幸せにしてもらったなんて、週刊誌のB級ネタくらいにはなりそうだけど。俺の頭がおかしくなったんだって思われなければ」
「あ、それは大丈夫。今はこうやって姿を見せてるけど、遠山くんの願い事が叶って幸せになったら、俺のことは忘れちゃうようになってるから」
何だよ、その都合のいい展開。
胡散臭さ満載なんだけど、でもそれを話す遥琉は、俺の前でプカプカ浮かんでるし、一体何を信じたらいいか分からなくなる。
「気が付いたらいつの間にか願い事が叶ってる感じかな? だから早く言って? 遠山くんの願い事叶えて幸せにしたら、俺、試験合格だから」
ね? と遥琉は俺を急かす。
でも悪いけど、そんなこと言われたって、俺だって困る。
「悪いけど……他の人当たってくんねぇ? 俺、別に叶えてもらいたい願い事なんかないし」
「えぇー、そんなの困るっ!」
「困るとか言われても、俺だって困るし」
そう言っても遥琉は、ダメなの、困るの! と繰り返すから、俺もますます困ってしまった。
「1度この人って決めたら、変えちゃいけない決まりなの。だから俺はもう遠山くんを幸せにしなきゃいけないの!」
いけないの、とか言われても…。
「え、そりゃまぁ…」
「じゃ、早く言って。俺、何でも叶えちゃうよ? かわいい彼女が欲しい? それとも出世したい? お金持ちに…」
「ちょちょちょっ、何? は?」
勝手にどんどん話を進めていく遥琉を、何とかストップさせる。
あぁ~何!? やっぱり何か変な宗教とか? ツボとか買わされるわけ!?
「だからー、俺は天使で、遠山くんを幸せにしに来たの。まだ分かんない?」
「分かんねぇよ! ツボとか印鑑なら買わないから。そういうサークルとかにも興味…」
「え、遠山くん、俺のことまだ何か変なのの勧誘とかだと思ってる? 違うって! 俺、天使だから! さっき飛んだとこも見たでしょ? 人間じゃないって分かったでしょ?」
確かに…。それを言われると、返す言葉がない。
まだ信じ切れていない俺の前で、遥琉はもう1度、宙に浮いてみせる。
どんなイリュージョンにも何かしらタネがあるもんだけど、ここは俺んちで、そんな大掛かりな装置なんて何もなく。
じゃあやっぱり、普通の人間じゃないってこと?
いやいやいや、まさか。
だって僕、常識ある大人だし。
天使とか、そんなの信じてないし。
「とーやまくん?」
…でも、確かに目の前の遥琉は確かに浮かんでいて。
ううぅ~…。
「…分かった。百歩譲ってお前が人間じゃないとして、じゃあ何で俺んとこなんか来たんだよ」
「あのね、天使にも試験があって、それに合格しないと、いつまで経ってもダメダメ天使なのね。で、俺は100人の不幸な人間を幸せにしなきゃいけないっていう、大変な課題に当たっちゃって。遠山くんは、その100人目の不幸な人間に選ばれました! すごぉーくとっても不幸だったから」
……あのさぁ、本人前にしてそんなに『不幸』『不幸』って連発しなくても…。
でもこうやって心理に不安にさせる、て手もあるくらいだし、警戒心は解かない。
「まぁ、天使に会って幸せにしてもらったなんて、週刊誌のB級ネタくらいにはなりそうだけど。俺の頭がおかしくなったんだって思われなければ」
「あ、それは大丈夫。今はこうやって姿を見せてるけど、遠山くんの願い事が叶って幸せになったら、俺のことは忘れちゃうようになってるから」
何だよ、その都合のいい展開。
胡散臭さ満載なんだけど、でもそれを話す遥琉は、俺の前でプカプカ浮かんでるし、一体何を信じたらいいか分からなくなる。
「気が付いたらいつの間にか願い事が叶ってる感じかな? だから早く言って? 遠山くんの願い事叶えて幸せにしたら、俺、試験合格だから」
ね? と遥琉は俺を急かす。
でも悪いけど、そんなこと言われたって、俺だって困る。
「悪いけど……他の人当たってくんねぇ? 俺、別に叶えてもらいたい願い事なんかないし」
「えぇー、そんなの困るっ!」
「困るとか言われても、俺だって困るし」
そう言っても遥琉は、ダメなの、困るの! と繰り返すから、俺もますます困ってしまった。
「1度この人って決めたら、変えちゃいけない決まりなの。だから俺はもう遠山くんを幸せにしなきゃいけないの!」
いけないの、とか言われても…。
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