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落下星 (16)
2009.09.20 Sun
まさかこうもあっさりと、睦月が亮の提案に賛成してくれるとは思ってもみず(亮としては、「バッカじゃね?」とか言って、蹴っ飛ばされるくらいの覚悟はしていた)、覚束なくなりそうな手で睦月のシャツのボタンを留めてあげて、一緒に寮を出た。
雨はいつの間にか止んでいたけれど、空気は蒸し暑い。
睦月は「あちー」とか言いながら、亮の後ろをちょこちょこ付いてくる。本当は手でも繋ぎたかったが、暑くてヤダ、とか言われそうだったので、やめておいた。
これからホテルに行って、冷房の効いた部屋に入れば、手を繋ぐぐらいいくらでも出来るだろうし。
「亮ー、まだ歩くのー?」
水たまりにわざと足を突っ込みながら歩くのに飽きたのか(ビーチサンダルを履いた睦月の足は、既にびしょびしょだ)、睦月は少し先を歩く亮の背中に問い掛けた。
「もうちょっと」
立ち止まって振り返れば、睦月は小走りで亮に追い付く。
「もうちょっと歩く?」
「歩くよ。てか、睦月、足びっちょびちょじゃん」
「だって」
ロールアップのジーンズだったので、そちらにまで被害は及んでいないが、海帰りでもあるまいし、その濡れ具合はどう考えても、20歳の男子の足元ではない。
しょうがねぇなぁ、なんて思う反面、そんな睦月をかわいいとか思うあたり、亮自身、本当にしょうがない。
「もうすぐ着くから、もう水たまりん中、入んないでね?」
「ラジャ!」
すっかりご機嫌の睦月は、手を繋ぐのすら遠慮していた亮なんてお構いなしに、ピットリと寄り添って、その腕を組んで来た。
「亮、ラブホ行くの何回目?」
「えっ」
いや、ご機嫌なのは分かるが、笑顔でそんな微妙な質問、しないでほしい。
睦月のことだ、単なる好奇心で聞いてきたのだろうが、行った回数が多くても少なくても、恋人としてその心境は複雑なのではないだろうか。
「俺、ラブホ行くの、初めてだよー」
「え、あ、そう?」
まさか睦月のほうから、そんなことを告白されるとも思わず、亮は返事に困る。
男として、そういうのは嘘でも慣れたふりをしたいのでは? 少なくとも、行ったことがないのを打ち明ける必要もないのでは? と思うが、睦月はラブホに行くという初めての経験にご機嫌なようで、気にならないらしい。
まぁそれならば、睦月に服を着せて寮を出るまでの間に、亮が頭の中のコンピュータをフル稼働させて思い当ったラブホテルは、正解だったかもしれない。
料金のわりに部屋はキレイで広いし、何といっても、人のいるフロントを通らなくていい。
男同士のセックスは別に気持ち悪いことじゃないんだよ、と睦月には伝えたものの、自分たちがそういう関係であることを周囲に大っぴらに言えるほど大らかなお国柄でもなく、男2人でラブホテルに堂々と入るにはやはり抵抗があるから。
「はい、着いたよ……て、睦月、また!」
睦月は亮の先ほどの言い付けを忘れたのか、ラブホテルの前まで来て、「でやっ!」とまた水たまりを蹴っ飛ばした。
「だって、おもしろいんだもん」
「小学生じゃん!」
これからラブホテルに入るという雰囲気は、まるでなくて、もしかして、遊園地かどこかに遊びに行くのと勘違いしているんじゃなかろうか、なんて思えてくる。
雨はいつの間にか止んでいたけれど、空気は蒸し暑い。
睦月は「あちー」とか言いながら、亮の後ろをちょこちょこ付いてくる。本当は手でも繋ぎたかったが、暑くてヤダ、とか言われそうだったので、やめておいた。
これからホテルに行って、冷房の効いた部屋に入れば、手を繋ぐぐらいいくらでも出来るだろうし。
「亮ー、まだ歩くのー?」
水たまりにわざと足を突っ込みながら歩くのに飽きたのか(ビーチサンダルを履いた睦月の足は、既にびしょびしょだ)、睦月は少し先を歩く亮の背中に問い掛けた。
「もうちょっと」
立ち止まって振り返れば、睦月は小走りで亮に追い付く。
「もうちょっと歩く?」
「歩くよ。てか、睦月、足びっちょびちょじゃん」
「だって」
ロールアップのジーンズだったので、そちらにまで被害は及んでいないが、海帰りでもあるまいし、その濡れ具合はどう考えても、20歳の男子の足元ではない。
しょうがねぇなぁ、なんて思う反面、そんな睦月をかわいいとか思うあたり、亮自身、本当にしょうがない。
「もうすぐ着くから、もう水たまりん中、入んないでね?」
「ラジャ!」
すっかりご機嫌の睦月は、手を繋ぐのすら遠慮していた亮なんてお構いなしに、ピットリと寄り添って、その腕を組んで来た。
「亮、ラブホ行くの何回目?」
「えっ」
いや、ご機嫌なのは分かるが、笑顔でそんな微妙な質問、しないでほしい。
睦月のことだ、単なる好奇心で聞いてきたのだろうが、行った回数が多くても少なくても、恋人としてその心境は複雑なのではないだろうか。
「俺、ラブホ行くの、初めてだよー」
「え、あ、そう?」
まさか睦月のほうから、そんなことを告白されるとも思わず、亮は返事に困る。
男として、そういうのは嘘でも慣れたふりをしたいのでは? 少なくとも、行ったことがないのを打ち明ける必要もないのでは? と思うが、睦月はラブホに行くという初めての経験にご機嫌なようで、気にならないらしい。
まぁそれならば、睦月に服を着せて寮を出るまでの間に、亮が頭の中のコンピュータをフル稼働させて思い当ったラブホテルは、正解だったかもしれない。
料金のわりに部屋はキレイで広いし、何といっても、人のいるフロントを通らなくていい。
男同士のセックスは別に気持ち悪いことじゃないんだよ、と睦月には伝えたものの、自分たちがそういう関係であることを周囲に大っぴらに言えるほど大らかなお国柄でもなく、男2人でラブホテルに堂々と入るにはやはり抵抗があるから。
「はい、着いたよ……て、睦月、また!」
睦月は亮の先ほどの言い付けを忘れたのか、ラブホテルの前まで来て、「でやっ!」とまた水たまりを蹴っ飛ばした。
「だって、おもしろいんだもん」
「小学生じゃん!」
これからラブホテルに入るという雰囲気は、まるでなくて、もしかして、遊園地かどこかに遊びに行くのと勘違いしているんじゃなかろうか、なんて思えてくる。
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テーマ:自作BL小説 ジャンル:小説・文学
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りり ⇒ ふははは!
はじめての体験「ラブホに行くこと」で浮き浮きしている……?
その後にもっと強烈な体験が待ってるということは考えないの?
度胸があるのか天然なのか……(*´∀`)クスクス
水たまりに足を突っ込んで歩くむっちゃんが、全くしょうもなくて可愛いです。
こっから先は亮たん、頑張って!!
その後にもっと強烈な体験が待ってるということは考えないの?
度胸があるのか天然なのか……(*´∀`)クスクス
水たまりに足を突っ込んで歩くむっちゃんが、全くしょうもなくて可愛いです。
こっから先は亮たん、頑張って!!
如月久美子 ⇒ >りりさん
> はじめての体験「ラブホに行くこと」で浮き浮きしている……?
> その後にもっと強烈な体験が待ってるということは考えないの?
今はむっちゃん、ラブホ? ラブホなんて初めてなんだけど! 超楽しみ~!! て気持ちでいっぱいのようです…。
ホント、度胸があるのか、天然なのか……9割天然でしょうね…(^_^;)
> 水たまりに足を突っ込んで歩くむっちゃんが、全くしょうもなくて可愛いです。
絶対むっちゃんなら、こういうことしそうだなぁ…と。
かわいがってやってください(笑)
コメントありがとうございました!
> その後にもっと強烈な体験が待ってるということは考えないの?
今はむっちゃん、ラブホ? ラブホなんて初めてなんだけど! 超楽しみ~!! て気持ちでいっぱいのようです…。
ホント、度胸があるのか、天然なのか……9割天然でしょうね…(^_^;)
> 水たまりに足を突っ込んで歩くむっちゃんが、全くしょうもなくて可愛いです。
絶対むっちゃんなら、こういうことしそうだなぁ…と。
かわいがってやってください(笑)
コメントありがとうございました!