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僕らの青春に明日はない (80)
2010.05.22 Sat
結局、女装コンテストで優勝を獲得したのは、見事な美少女に変身しつつ、豪快かつ大胆な行動で会場を沸かせた真大だった。
「優勝で~す!」
イェ~イ! と、旅行券の入った熨斗袋を大きく掲げ、女子高生の格好のまま、みんなのところへ戻って来た真大とは対照的に、一緒に来た和衣は、心底疲れ切った表情をしていて、かなりのローテンションだ。
「カズちゃん、お疲れ~」
「よくがんばったよ~」
ヘトヘトの和衣のところに、愛菜と眞織が駆け寄って来て、2人して和衣に抱き付いた。
そう言えば、何も言い訳を考えてない! と和衣は焦ったが、愛菜と眞織は少しも怒っていなくて、それだけで和衣は救われた気持ちになる。
「カズちゃん、よくがんばったね、偉い偉い」
「えら…でも、ダメダメだった…」
「ダメじゃない、ダメじゃない」
マイクにおでこをぶつけるわ、台から転げ落ちるわ、ステージの上に立った自分は、まったくどうにもならないくらい、ひどいものだった。
終わってよかったとホッとされることはあっても、決して褒められるようなことはないのに。
「そんなことないって! カズちゃんが一番かわいかったし、一番アピール出来てたよ~!」
「あ、ぴーる…」
あれが、アピール?
和衣という人間をアピールするポイントが、あんなドジをすること? それってちょっと、複雑な気持ち…。
「でも投票する人に、どれだけ印象付けられるかでしょ? カズちゃん、ちゃんとそれが出来てたもん!」
「だからこその2位でしょ! がんばった、がんばった」
愛菜と眞織は、テストで100点満点を採った子どもを褒めるように、和衣の頭を撫でてやる。
かわいい女の子2人に抱き付かれて、たぶん男だったら誰しも今の和衣を羨ましがるだろうが、和衣としては、怒られなくてよかったけど、出来れば祐介に抱き締めてほしい~、なんて思ってしまった。
「これ…、りょ…旅行け、ん…」
これですべての役目は終わり。
商品である旅行券を愛菜に渡して、祐介のところに行こうとした和衣は、しかしとうとう足の力が抜け、その場にへなへなと座り込んでしまった。
「カズちゃん、大丈夫?」
「む…むっちゃ~ん…」
立てなくなってしまった和衣の前に、睦月がしゃがんで目線を合わせてくれたので、和衣は思わず抱き付いた。
もう全然大丈夫じゃない。
和衣は、最初から最後まで、ずっと大丈夫なんかじゃなかった。
実際のところ、コンテストが終わってから、どうやってステージを下りて、ここまでやって来たのかも、よく分からないのだ。
「カズちゃん、よくがんばったね」
「俺、がんばった? ちゃんと出来てた?」
「何基準の"ちゃんと"かは分かんないけど、とりあえず、ちゃんと笑いは取れてたよ?」
「うぅ…」
そこは全然がんばる気なんて、なかったのに…。
「優勝で~す!」
イェ~イ! と、旅行券の入った熨斗袋を大きく掲げ、女子高生の格好のまま、みんなのところへ戻って来た真大とは対照的に、一緒に来た和衣は、心底疲れ切った表情をしていて、かなりのローテンションだ。
「カズちゃん、お疲れ~」
「よくがんばったよ~」
ヘトヘトの和衣のところに、愛菜と眞織が駆け寄って来て、2人して和衣に抱き付いた。
そう言えば、何も言い訳を考えてない! と和衣は焦ったが、愛菜と眞織は少しも怒っていなくて、それだけで和衣は救われた気持ちになる。
「カズちゃん、よくがんばったね、偉い偉い」
「えら…でも、ダメダメだった…」
「ダメじゃない、ダメじゃない」
マイクにおでこをぶつけるわ、台から転げ落ちるわ、ステージの上に立った自分は、まったくどうにもならないくらい、ひどいものだった。
終わってよかったとホッとされることはあっても、決して褒められるようなことはないのに。
「そんなことないって! カズちゃんが一番かわいかったし、一番アピール出来てたよ~!」
「あ、ぴーる…」
あれが、アピール?
和衣という人間をアピールするポイントが、あんなドジをすること? それってちょっと、複雑な気持ち…。
「でも投票する人に、どれだけ印象付けられるかでしょ? カズちゃん、ちゃんとそれが出来てたもん!」
「だからこその2位でしょ! がんばった、がんばった」
愛菜と眞織は、テストで100点満点を採った子どもを褒めるように、和衣の頭を撫でてやる。
かわいい女の子2人に抱き付かれて、たぶん男だったら誰しも今の和衣を羨ましがるだろうが、和衣としては、怒られなくてよかったけど、出来れば祐介に抱き締めてほしい~、なんて思ってしまった。
「これ…、りょ…旅行け、ん…」
これですべての役目は終わり。
商品である旅行券を愛菜に渡して、祐介のところに行こうとした和衣は、しかしとうとう足の力が抜け、その場にへなへなと座り込んでしまった。
「カズちゃん、大丈夫?」
「む…むっちゃ~ん…」
立てなくなってしまった和衣の前に、睦月がしゃがんで目線を合わせてくれたので、和衣は思わず抱き付いた。
もう全然大丈夫じゃない。
和衣は、最初から最後まで、ずっと大丈夫なんかじゃなかった。
実際のところ、コンテストが終わってから、どうやってステージを下りて、ここまでやって来たのかも、よく分からないのだ。
「カズちゃん、よくがんばったね」
「俺、がんばった? ちゃんと出来てた?」
「何基準の"ちゃんと"かは分かんないけど、とりあえず、ちゃんと笑いは取れてたよ?」
「うぅ…」
そこは全然がんばる気なんて、なかったのに…。
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