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もうさようならの時間 (14)
2011.06.06 Mon
「三郎さん…。ヒック…おばあちゃんね、死んじゃったんだって」
「わぅ」
三郎さんの頭を撫でたら、涙に濡れた頬を舐められた。
三郎さんは、おばあさんの最期のときまで、一緒にいられたのかな。
「おばあちゃん、ここにいるんだよ?」
「わふー」
大人しくしている三郎さんを撫でていたら、ようやく少し気持ちが落ち着いてきた。
まだ、何だか信じられない気持ちではあるけれど。
「…睦月さん、お茶でもいかがですか?」
「あ…」
睦月が三郎さんと戯れていたら、睦月が泣き止んで落ち着いたのに気が付いたのか、女性が声を掛けてくれた。
彼女はおばあさんのことを『お母さん』と呼ぶから、娘さんなんだろうか、それともあの旦那さんが子どもで、お嫁さんなんだろうか。顔とか雰囲気が少し似ているから、親子かな。
「わふー」
お茶にしよ? お茶飲もう? と三郎さんが睦月の袖を銜えて引っ張る。
睦月は戸惑いつつも立ち上がり、女性が勧めるようにちゃぶ台のほうへと向かい、三郎さんもその後を付いてきた。
「あの…すいません…」
散々泣いた後で、何だか顔が上げづらい。
彼女は、睦月が三郎さんを散歩に連れて行っていたことは知っているようだが、一体どこまでおばあさんから聞いているのだろう。
こんなに泣いてしまったこと、変に思ってるだろうか。
「…生前は、母が大変お世話になりました」
「えっ…あの、いえ…」
改まった挨拶をされ、睦月は慌てて顔を上げた。
「あの…、…おばあちゃんは、ずっと具合が悪かったんですか?」
まだ鼻をグズグズさせながらも、睦月は勇気を出して、自分から話を切り出した。
足が悪い以外は元気そうに見えたけれど、実は体の調子もずっと悪くて、でも睦月が来るから、気を遣って隠していたんだとしたら、どうしよう。そのせいで悪化しちゃって、それで…。
「そんなことないのよ、そうじゃない、本当に具合なんて悪くなくて、…本当に急なことで、」
女性は大きく息を吐き出して、目を伏せた。
おばあさんが体調に違和を感じたのは今から2週間ほど前で、実の娘である彼女への連絡は、『大したことないとは思うんだけど』という言葉から始まった。
話を聞きながら、彼女もまた、そんな大ごとだとは少しも考えていなかった。季節の変わり目だから、そのせいで少し体調を崩しているだけだと思っていた。
だから彼女は、おばあさんが元気を取り戻すまでのほんの少しの間、自分の生まれ育ったここで、一緒に過ごすつもりでいたのだ。
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「わぅ」
三郎さんの頭を撫でたら、涙に濡れた頬を舐められた。
三郎さんは、おばあさんの最期のときまで、一緒にいられたのかな。
「おばあちゃん、ここにいるんだよ?」
「わふー」
大人しくしている三郎さんを撫でていたら、ようやく少し気持ちが落ち着いてきた。
まだ、何だか信じられない気持ちではあるけれど。
「…睦月さん、お茶でもいかがですか?」
「あ…」
睦月が三郎さんと戯れていたら、睦月が泣き止んで落ち着いたのに気が付いたのか、女性が声を掛けてくれた。
彼女はおばあさんのことを『お母さん』と呼ぶから、娘さんなんだろうか、それともあの旦那さんが子どもで、お嫁さんなんだろうか。顔とか雰囲気が少し似ているから、親子かな。
「わふー」
お茶にしよ? お茶飲もう? と三郎さんが睦月の袖を銜えて引っ張る。
睦月は戸惑いつつも立ち上がり、女性が勧めるようにちゃぶ台のほうへと向かい、三郎さんもその後を付いてきた。
「あの…すいません…」
散々泣いた後で、何だか顔が上げづらい。
彼女は、睦月が三郎さんを散歩に連れて行っていたことは知っているようだが、一体どこまでおばあさんから聞いているのだろう。
こんなに泣いてしまったこと、変に思ってるだろうか。
「…生前は、母が大変お世話になりました」
「えっ…あの、いえ…」
改まった挨拶をされ、睦月は慌てて顔を上げた。
「あの…、…おばあちゃんは、ずっと具合が悪かったんですか?」
まだ鼻をグズグズさせながらも、睦月は勇気を出して、自分から話を切り出した。
足が悪い以外は元気そうに見えたけれど、実は体の調子もずっと悪くて、でも睦月が来るから、気を遣って隠していたんだとしたら、どうしよう。そのせいで悪化しちゃって、それで…。
「そんなことないのよ、そうじゃない、本当に具合なんて悪くなくて、…本当に急なことで、」
女性は大きく息を吐き出して、目を伏せた。
おばあさんが体調に違和を感じたのは今から2週間ほど前で、実の娘である彼女への連絡は、『大したことないとは思うんだけど』という言葉から始まった。
話を聞きながら、彼女もまた、そんな大ごとだとは少しも考えていなかった。季節の変わり目だから、そのせいで少し体調を崩しているだけだと思っていた。
だから彼女は、おばあさんが元気を取り戻すまでのほんの少しの間、自分の生まれ育ったここで、一緒に過ごすつもりでいたのだ。
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けいったん ⇒ No title
むっちゃん、いっぱい泣いちゃったね。□⊂(・ω・`) モウ ナカナイデ...
いっぱい泣いて いっぱい悲しんで いっぱい おばあちゃんの話しをして いっぱいの優しい思い出を 忘れないで欲しいな。
三郎さんが いい味を 出してるわぁ~ 犬にして置くのが 勿体無いわ~゚.+:。(^ω^)b゚.+:。さぶちゃん、GOOD JOB♪...byebye☆
いっぱい泣いて いっぱい悲しんで いっぱい おばあちゃんの話しをして いっぱいの優しい思い出を 忘れないで欲しいな。
三郎さんが いい味を 出してるわぁ~ 犬にして置くのが 勿体無いわ~゚.+:。(^ω^)b゚.+:。さぶちゃん、GOOD JOB♪...byebye☆
- |2011.06.06
- |Mon
- |15:57
- |URL
- |EDIT|
如月久美子 ⇒ >けいったんさん
> むっちゃん、いっぱい泣いちゃったね。□⊂(・ω・`) モウ ナカナイデ...
かわいい顔文字とともに、慰めのお言葉、ありがとうございます~。
むっちゃんをたくさん泣かせてしまった…。
切ない思いもしたけれど、それ以上に楽しい思い出のほうがいっぱいのはず。きっとずっと忘れないと思います。
三郎さん、確かに犬にしておくのはもったいないかも(笑)
コメントありがとうございました!
かわいい顔文字とともに、慰めのお言葉、ありがとうございます~。
むっちゃんをたくさん泣かせてしまった…。
切ない思いもしたけれど、それ以上に楽しい思い出のほうがいっぱいのはず。きっとずっと忘れないと思います。
三郎さん、確かに犬にしておくのはもったいないかも(笑)
コメントありがとうございました!