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世界はやさしい (7)
2010.11.24 Wed
「むっちゃん、1人にしたらダメかな、て思ったから…。亮来たから、俺、部屋戻るね」
和衣は無造作に携帯電話をカバンに突っ込むと、壁に掴まって、フラフラの体を支えながら立ち上がった。
寮の同じ階。和衣の部屋はこの隣の隣だから、帰れないなんてことはないはず。
今は何となく亮と一緒にいるのは気まずいし、亮が帰って来たなら睦月のことを心配する必要もないから、もう帰ろう。そして寝てしまおう。
亮には、明日ちゃんと謝る。
「おいカズ」
和衣が立ち上がったところで、亮に呼び止められた。
やはり怒っているのかもしれない。だって、和衣のあの態度はよくなかった。自分でもそう思う。
でも今はフラフラだから、明日にしてほしい。
「お前も危ねぇから、今日はここで寝てけよ」
「え…?」
しかし亮から掛けられた言葉は、和衣が全然予想していなかったもので、一体何を言われたのか、和衣は一瞬では理解できなかった。
ここで寝ていけ? 危ないから?
亮は、和衣のことまで心配してくれているのだろうか。
「そんなにフラフラなのに、どうやって部屋まで戻んだよ」
「部屋…すぐ、そこ…」
「なら歩いてみろよ、1人で」
「…」
怒っているというふうにも、呆れているというふうにも取れる、亮の声色。
小さいころからずっと一緒で、声だけで機嫌なんて分かるくらいなのに、でも今は亮の気持ち、全然分からない。やっぱり怒っていて、意地悪でそう言ったのかな。
和衣は掴まっていた壁から手を離して、1歩を踏み出そうとしたけれど、クラッとしてしまって、うまくいかない。
「カズ」
「も、帰…――――わっぷ…」
がんばって歩こうとしていたところに何かが投げ付けられて、驚いたのと酔って頼りなくなった足元のせいで、和衣はその場にへたり込んでしまった。
また意地悪! と思ったのに、投げられたのは亮のジャージ。
わけが分からなくて、和衣は亮に視線を向けた。
「さっさと着替えて寝ろ、酔っ払い」
和衣が思っている以上に、亮は、和衣が酔っ払ってフラフラなことに気が付いていたから、帰るとグズっている和衣に無理を言ってみたが、どうせ歩けないだろうことは最初から分かっていたし、1人で部屋に帰らせるつもりもなかった。
「頼むから、お前は1人で着替えろよ?」
和衣がジャージを持ったままボーとしているうちに、亮はさっさと部屋着に着替えて、ベッドで寝ている睦月を着替えさせようとしていた。
意識のない人間の服を着替えさせるのは、結構と重労働なのだ。
これで和衣が着替えないまま寝てしまったら、もう本当に手が負えない。
「亮ー…」
同じ位置にペタンと座り込んだ和衣は、パシパシと何度か瞬きをした後、亮の言わんとすることが分かり、今度こそ素直にモソモソと着替え始めた。
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和衣は無造作に携帯電話をカバンに突っ込むと、壁に掴まって、フラフラの体を支えながら立ち上がった。
寮の同じ階。和衣の部屋はこの隣の隣だから、帰れないなんてことはないはず。
今は何となく亮と一緒にいるのは気まずいし、亮が帰って来たなら睦月のことを心配する必要もないから、もう帰ろう。そして寝てしまおう。
亮には、明日ちゃんと謝る。
「おいカズ」
和衣が立ち上がったところで、亮に呼び止められた。
やはり怒っているのかもしれない。だって、和衣のあの態度はよくなかった。自分でもそう思う。
でも今はフラフラだから、明日にしてほしい。
「お前も危ねぇから、今日はここで寝てけよ」
「え…?」
しかし亮から掛けられた言葉は、和衣が全然予想していなかったもので、一体何を言われたのか、和衣は一瞬では理解できなかった。
ここで寝ていけ? 危ないから?
亮は、和衣のことまで心配してくれているのだろうか。
「そんなにフラフラなのに、どうやって部屋まで戻んだよ」
「部屋…すぐ、そこ…」
「なら歩いてみろよ、1人で」
「…」
怒っているというふうにも、呆れているというふうにも取れる、亮の声色。
小さいころからずっと一緒で、声だけで機嫌なんて分かるくらいなのに、でも今は亮の気持ち、全然分からない。やっぱり怒っていて、意地悪でそう言ったのかな。
和衣は掴まっていた壁から手を離して、1歩を踏み出そうとしたけれど、クラッとしてしまって、うまくいかない。
「カズ」
「も、帰…――――わっぷ…」
がんばって歩こうとしていたところに何かが投げ付けられて、驚いたのと酔って頼りなくなった足元のせいで、和衣はその場にへたり込んでしまった。
また意地悪! と思ったのに、投げられたのは亮のジャージ。
わけが分からなくて、和衣は亮に視線を向けた。
「さっさと着替えて寝ろ、酔っ払い」
和衣が思っている以上に、亮は、和衣が酔っ払ってフラフラなことに気が付いていたから、帰るとグズっている和衣に無理を言ってみたが、どうせ歩けないだろうことは最初から分かっていたし、1人で部屋に帰らせるつもりもなかった。
「頼むから、お前は1人で着替えろよ?」
和衣がジャージを持ったままボーとしているうちに、亮はさっさと部屋着に着替えて、ベッドで寝ている睦月を着替えさせようとしていた。
意識のない人間の服を着替えさせるのは、結構と重労働なのだ。
これで和衣が着替えないまま寝てしまったら、もう本当に手が負えない。
「亮ー…」
同じ位置にペタンと座り込んだ和衣は、パシパシと何度か瞬きをした後、亮の言わんとすることが分かり、今度こそ素直にモソモソと着替え始めた。
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柚子季 杏 ⇒
あぁぁああ、溜まっていた分一気に読んだら、思わずNext押してしまった~~!!
カズちゃんてば可愛いなぁ~もう。
友達の事でまでグルグルしちゃって(*´∀`*)
そして幼馴染、いいですねぇ~やっぱり♪
亮たん好きだ~!!(やっぱり柚子季は攻めが好きなんだな……
カズちゃんてば可愛いなぁ~もう。
友達の事でまでグルグルしちゃって(*´∀`*)
そして幼馴染、いいですねぇ~やっぱり♪
亮たん好きだ~!!(やっぱり柚子季は攻めが好きなんだな……
如月久美子 ⇒ >柚子季さん
一気読み、ありがとうございます~。
カズちゃん、ただでさえ悲観的に物事を考えがちなのに、酔っ払っているせいで、悪いほうへ悪いほうへと…(^_^;)
むっちゃんが先に酔っ払っちゃったんで、何とかがんばってたんですが、カズちゃんも十分酔っ払ってました(笑)
> 亮たん好きだ~!!(やっぱり柚子季は攻めが好きなんだな……
愛の雄たけび、ありがとうございます!
亮タンも、何だかんだ言って、カズちゃんのこと、放っておけないんですよね。
コメントありがとうございました!
カズちゃん、ただでさえ悲観的に物事を考えがちなのに、酔っ払っているせいで、悪いほうへ悪いほうへと…(^_^;)
むっちゃんが先に酔っ払っちゃったんで、何とかがんばってたんですが、カズちゃんも十分酔っ払ってました(笑)
> 亮たん好きだ~!!(やっぱり柚子季は攻めが好きなんだな……
愛の雄たけび、ありがとうございます!
亮タンも、何だかんだ言って、カズちゃんのこと、放っておけないんですよね。
コメントありがとうございました!