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Pure Blue (8)
2010.06.19 Sat
眠れない夜。
寝惚けての行動とはいえ、あの陽向の仕草は、心臓に悪い。
陽向の彼女のことなんて全然知らないけど、やっぱ彼女にはあんな風に甘えるわけ? いやいやいや、別に知りたいわけじゃないし。
「はぁ…」
ベッドに身を投げた。
もう寝よう。
陽向より先に寝よう。
きっと陽向的にも、そのほうがいいって思ってるはず。だって風呂から上がって俺が起きてたら、絶対また気まずいだろうし。
(……………………眠れねぇ…………)
別に何を意識してるわけでもないし、体はひどく疲れてて、睡眠を欲してるのも分かっているけれど、一向に眠くならない。
はぁ…陽向には悪いけど、眠れないなら眠くなるまで起きてるよ…。
何時になったんだ? て備え付けのデジタル時計に目をやれば、日付が変わってしばらくしてた。
ふと、思う。
陽向がバスルームに逃げ込んでから、もう50分以上経ってる。
湯船にお湯を張って入るならそう長い時間じゃないかもしれないけど、シャワーだけなら、どう考えても長い。
具合が悪くなって倒れてるわけじゃないよね? そんな物音もしなかったし。
そっとバスルームに近づけば、中からはシャワーの音がする。それ以外の音はしなくて。
「…陽向?」
軽くノックをして、返事を待つ。
無事なら無事で、それでいいんだ。
でも反応はない。
シャワーの音に邪魔されて、聞こえないのかもしれない。
もう1度ノックする。さっきよりも強い力で。
「陽向、大丈夫なの? 陽向?」
バンバンとドアを叩いて反応を窺うけれど。
「陽向、大丈夫!?」
どう考えてもおかしいって思ってノブを捻れば、鍵の掛かっていないドア。
急いでバスルームに駆け込めば、シャワーカーテンを引いていないせいで、床にまで水滴が飛び散ってて。
肝心の陽向は、バスタブの中にペタンと座ったまま、頭からシャワーを浴びてて。
「陽向!?」
「――――……え…?」
ゆっくりとこちらを向いた陽向の顔はすっかり色をなくしてる。慌ててシャワーを止めようとして触れたそれは、お湯なんかじゃなくて、水だ。
もしかして陽向は、何10分もこの冷たいシャワーを浴び続けていたのだろうか。
「朔也、くん…」
とにかくシャワーを止めて、乾いたバスタオルで陽向を包めば、すっかり冷え切っているその体に驚かされる。
「朔也くん…どうし……何でそんな顔…」
人が心配してるってのに、陽向は呑気にそんなこと言ってくるから、ホントに1発くらい殴ってやろうかと思ったけれど、陽向の顔を見たら、あまりにも絶望に満ちた表情に、何も言えなくなった。
「とにかく、もう上がろ? 風邪引いちゃうよ」
まるで幼い子に言って聞かすようにして、陽向の体をあらかた拭き終えると、引っ張るようにしてバスルームを出た。
ホントは喉に悪いし嫌なんだけど、そんなこと言ってられなくて、空調を最大にして部屋を暖める。
「陽向、これ着て?」
一応持ってきてたスウェットの上下を陽向に渡す。
備え付けの薄っぺらい浴衣よりも、こっちのほうがまだマシでしょ?
「朔也くん…」
「話なら後で聞くから! とにかく今は風邪引かないようにするのが先決!」
「朔也くん、俺…」
ブワッ…と、陽向の黒目がちな瞳に、薄い涙の被膜が出来て。
零れ落ちる。
Sakuya
寝惚けての行動とはいえ、あの陽向の仕草は、心臓に悪い。
陽向の彼女のことなんて全然知らないけど、やっぱ彼女にはあんな風に甘えるわけ? いやいやいや、別に知りたいわけじゃないし。
「はぁ…」
ベッドに身を投げた。
もう寝よう。
陽向より先に寝よう。
きっと陽向的にも、そのほうがいいって思ってるはず。だって風呂から上がって俺が起きてたら、絶対また気まずいだろうし。
(……………………眠れねぇ…………)
別に何を意識してるわけでもないし、体はひどく疲れてて、睡眠を欲してるのも分かっているけれど、一向に眠くならない。
はぁ…陽向には悪いけど、眠れないなら眠くなるまで起きてるよ…。
何時になったんだ? て備え付けのデジタル時計に目をやれば、日付が変わってしばらくしてた。
ふと、思う。
陽向がバスルームに逃げ込んでから、もう50分以上経ってる。
湯船にお湯を張って入るならそう長い時間じゃないかもしれないけど、シャワーだけなら、どう考えても長い。
具合が悪くなって倒れてるわけじゃないよね? そんな物音もしなかったし。
そっとバスルームに近づけば、中からはシャワーの音がする。それ以外の音はしなくて。
「…陽向?」
軽くノックをして、返事を待つ。
無事なら無事で、それでいいんだ。
でも反応はない。
シャワーの音に邪魔されて、聞こえないのかもしれない。
もう1度ノックする。さっきよりも強い力で。
「陽向、大丈夫なの? 陽向?」
バンバンとドアを叩いて反応を窺うけれど。
「陽向、大丈夫!?」
どう考えてもおかしいって思ってノブを捻れば、鍵の掛かっていないドア。
急いでバスルームに駆け込めば、シャワーカーテンを引いていないせいで、床にまで水滴が飛び散ってて。
肝心の陽向は、バスタブの中にペタンと座ったまま、頭からシャワーを浴びてて。
「陽向!?」
「――――……え…?」
ゆっくりとこちらを向いた陽向の顔はすっかり色をなくしてる。慌ててシャワーを止めようとして触れたそれは、お湯なんかじゃなくて、水だ。
もしかして陽向は、何10分もこの冷たいシャワーを浴び続けていたのだろうか。
「朔也、くん…」
とにかくシャワーを止めて、乾いたバスタオルで陽向を包めば、すっかり冷え切っているその体に驚かされる。
「朔也くん…どうし……何でそんな顔…」
人が心配してるってのに、陽向は呑気にそんなこと言ってくるから、ホントに1発くらい殴ってやろうかと思ったけれど、陽向の顔を見たら、あまりにも絶望に満ちた表情に、何も言えなくなった。
「とにかく、もう上がろ? 風邪引いちゃうよ」
まるで幼い子に言って聞かすようにして、陽向の体をあらかた拭き終えると、引っ張るようにしてバスルームを出た。
ホントは喉に悪いし嫌なんだけど、そんなこと言ってられなくて、空調を最大にして部屋を暖める。
「陽向、これ着て?」
一応持ってきてたスウェットの上下を陽向に渡す。
備え付けの薄っぺらい浴衣よりも、こっちのほうがまだマシでしょ?
「朔也くん…」
「話なら後で聞くから! とにかく今は風邪引かないようにするのが先決!」
「朔也くん、俺…」
ブワッ…と、陽向の黒目がちな瞳に、薄い涙の被膜が出来て。
零れ落ちる。
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