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wish (9)
2009.12.30 Wed
つーか、犬のエサなんてないんだけど。
でも、いくら何もないからって、人間の食べ物は上げられないし(この際やむを得ないとしたって、冷蔵庫の中が空だ…)、牛乳を飲ませたら、お腹を壊してしまう。
「お前、お腹空いてるの?」
バスタオルで子犬をワシャワシャしながら、遥琉が尋ねている。
この感じからして、単に寒いだけじゃなさそうだから、たぶん腹減ってんだろうなー…。でもウチ、何もないし。
え、買いに行ったほうがいいわけ? この感じからして。
「ねぇねぇ遠山くん。何食べさせてあげたらいいの? 昨日のコンビニのおべんと?」
「バカ、そんなん食わねぇよ」
放っておいたら、遥琉はわけも分からないまま、何でも食わせてしまいそうで、こうなるとやっぱ、ちゃんとしたのを買いに行かないといけないような雰囲気。
この近くでドッグフードとか売ってそうなとこっていったら、近所のホームセンターか。
「…買いに行くか、エサ」
「ぅん?」
「お前も来るんだよ!」
「うん!」
別に一緒に買い物に行きたいわけじゃない。
でも、こんな得体の知れないヤツを部屋に残していくなんて、そんなの絶対に出来ない。
雪のせいでチャリも出せないから、徒歩でホームセンターまで向かう。
歩いたって10分くらいなんだけど……寒ぃ…。
それなのに、遥琉が驚愕するぐらいの薄着で、それもそうなんだけど、あの変な白い服のままホームセンターまで行くのはこっちが恥ずかしいから、コートを貸してやった。
子犬はすぐにでもエサを欲しそうだったけど、ホームセンターの外で上げるには、あまりにも寒すぎたし、粉ミルクを溶くためのものも何もなかったから、結局また家まで戻って来た。
まぁ、家まで戻ったところで、別にそんな気の利いたものもないから、普通に皿とかでミルクを作るしかないんだけど。
「ホラ」
粉ミルクを溶いた皿とドッグフードを床に置けば、遥琉の腕の中の子犬が身を乗り出してきて、遥琉が手を離すと、子犬は嬉しそうに皿の側に寄って飲み始めた。
遥琉は律儀にバスタオルを畳んでいる。
「おいしい? おいしい?」
遥琉が子犬の頭を撫でながら尋ねると、それまで周りの様子など気にも止めず、一心不乱にミルクを飲んでいた子犬が遥琉のほうを向いて、元気よく『きゃんっ!』と吠えた。
はぁ、よかったよかった。
自分のメシも食わずに、犬のエサ買いに行った甲斐があったよ、マジで。
「ねぇお前、名前なんていうの? 教えてよ」
『くぅん…』
「ホントに知らないの?」
遥琉はさっきから一生懸命、子犬に話し掛けてて……いや、言葉が通じてないって分かってても、話しかけちゃうことてあるよね。
でもえっと、コイツの場合、本当に話そうとしてる雰囲気なんですけど?
「ねぇねぇ、この子ね、名前も付けてもらえないまま捨てられちゃったんだって。かわいそうだよね。人間って勝手だよね!」
エサも食べ終わって、元気いっぱい! て感じではしゃいでいる子犬の頭をグリグリしながら、遥琉は少し憤慨したように言った。
でも、いくら何もないからって、人間の食べ物は上げられないし(この際やむを得ないとしたって、冷蔵庫の中が空だ…)、牛乳を飲ませたら、お腹を壊してしまう。
「お前、お腹空いてるの?」
バスタオルで子犬をワシャワシャしながら、遥琉が尋ねている。
この感じからして、単に寒いだけじゃなさそうだから、たぶん腹減ってんだろうなー…。でもウチ、何もないし。
え、買いに行ったほうがいいわけ? この感じからして。
「ねぇねぇ遠山くん。何食べさせてあげたらいいの? 昨日のコンビニのおべんと?」
「バカ、そんなん食わねぇよ」
放っておいたら、遥琉はわけも分からないまま、何でも食わせてしまいそうで、こうなるとやっぱ、ちゃんとしたのを買いに行かないといけないような雰囲気。
この近くでドッグフードとか売ってそうなとこっていったら、近所のホームセンターか。
「…買いに行くか、エサ」
「ぅん?」
「お前も来るんだよ!」
「うん!」
別に一緒に買い物に行きたいわけじゃない。
でも、こんな得体の知れないヤツを部屋に残していくなんて、そんなの絶対に出来ない。
雪のせいでチャリも出せないから、徒歩でホームセンターまで向かう。
歩いたって10分くらいなんだけど……寒ぃ…。
それなのに、遥琉が驚愕するぐらいの薄着で、それもそうなんだけど、あの変な白い服のままホームセンターまで行くのはこっちが恥ずかしいから、コートを貸してやった。
子犬はすぐにでもエサを欲しそうだったけど、ホームセンターの外で上げるには、あまりにも寒すぎたし、粉ミルクを溶くためのものも何もなかったから、結局また家まで戻って来た。
まぁ、家まで戻ったところで、別にそんな気の利いたものもないから、普通に皿とかでミルクを作るしかないんだけど。
「ホラ」
粉ミルクを溶いた皿とドッグフードを床に置けば、遥琉の腕の中の子犬が身を乗り出してきて、遥琉が手を離すと、子犬は嬉しそうに皿の側に寄って飲み始めた。
遥琉は律儀にバスタオルを畳んでいる。
「おいしい? おいしい?」
遥琉が子犬の頭を撫でながら尋ねると、それまで周りの様子など気にも止めず、一心不乱にミルクを飲んでいた子犬が遥琉のほうを向いて、元気よく『きゃんっ!』と吠えた。
はぁ、よかったよかった。
自分のメシも食わずに、犬のエサ買いに行った甲斐があったよ、マジで。
「ねぇお前、名前なんていうの? 教えてよ」
『くぅん…』
「ホントに知らないの?」
遥琉はさっきから一生懸命、子犬に話し掛けてて……いや、言葉が通じてないって分かってても、話しかけちゃうことてあるよね。
でもえっと、コイツの場合、本当に話そうとしてる雰囲気なんですけど?
「ねぇねぇ、この子ね、名前も付けてもらえないまま捨てられちゃったんだって。かわいそうだよね。人間って勝手だよね!」
エサも食べ終わって、元気いっぱい! て感じではしゃいでいる子犬の頭をグリグリしながら、遥琉は少し憤慨したように言った。
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