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wish (11)
2010.01.01 Fri
Side:Haru
遠山の家を出たところで、遥琉に行く当てなどなく、子犬を抱えたまま公園のベンチに座って項垂れていた。
「お腹空いたの? ミルク? ゴメンね…どぉしよ…」
遠山の手前、自分で世話をするなどという啖呵を切ってはみたものの、やはり彼の言うとおり、どうすることも出来ないでいる。
だいたい、天界には生き物を連れて行けないのだ。
まったく考えなしの自分の行動に、遥琉は深く自己嫌悪した。これじゃあ遠山が怒るのも無理はない。
「寒い? タオル…遠山くんちに置いてきちゃったし…」
先ほど濡れたこの子犬を拭いたバスタオルは、そのまま遠山の家に置いて来てしまった。
天使である遥琉は、人間界のこの寒さをそれほど辛いとは思わないが、人間はみな寒そうにしているし、この子も寒い寒いと言っているから、やっぱりこのままではダメなんだろう。
だからと言って遠山にまた借りにいくことも出来ず…。
『くぅ~ん…』
「あ、そっか。あの段ボール箱の中に毛布が入ってたね。取りに行こっか」
遠山は信じていなかったようだが、天使である遥琉は、普通に犬の喋っていることが分かった。
人間が日本語や英語など各国の言葉が話せるように、遥琉は人間の言葉も動物の言葉も聞き分け、話すことが出来るのである。
子犬に段ボール箱のことを言われ、最初にこの子犬が入っていた段ボール箱の中に、薄っぺらだが毛布が入っていたことを思い出す。
この子の入っていた段ボール箱の中のものなんだから、勝手に拝借してきても、きっと怒られないだろう。
遥琉は涙を拭って立ち上がった。
*****
例の段ボール箱は遠山の家のそばなので、遥琉は朝のように遠山に見つからないよう、そっとダンボール箱を捜した。
「あった! あれ」
雪を被った段ボール箱を見つけ、遥琉は急いで駆け出した――――が。
「うわぁっ!?」
もう何度目になるか分からない、雪に足を取られ、ズルッ、ドタンッ、と遥琉は再び地面に引っ繰り返ってしまった。
「…ったぁ~」
『きゃんっきゃんっ』
遥琉の腕から飛び出した子犬が、先に段ボール箱のほうへと駆けていく。遥琉は雪を払いながら起き上がって、段ボール箱の中から毛布を出してやった。
「ホラ、これでもう寒くないでしょ?」
『わんっ』
「でもおかしぃよなぁ。犬って普通、寒さに強いんじゃなかったっけ?」
苦笑しながら遥琉は、毛布ごと子犬を抱き抱えた。
「よし、行こ?」
『くぅ~ん?』
「あ、そっか、そうだよね、行くとこ…」
遠山を幸せにしなければ、試験は不合格となる。もちろんそれを覚悟で、天界に帰ろうと思えば帰れるけれど、生き物を連れていくわけにはいかなくて。
「よっ、どーしたの?」
「へ?」
さも知り合いらしい呼び方の声に、遥琉は思わず辺りを見回した。
遠山の家を出たところで、遥琉に行く当てなどなく、子犬を抱えたまま公園のベンチに座って項垂れていた。
「お腹空いたの? ミルク? ゴメンね…どぉしよ…」
遠山の手前、自分で世話をするなどという啖呵を切ってはみたものの、やはり彼の言うとおり、どうすることも出来ないでいる。
だいたい、天界には生き物を連れて行けないのだ。
まったく考えなしの自分の行動に、遥琉は深く自己嫌悪した。これじゃあ遠山が怒るのも無理はない。
「寒い? タオル…遠山くんちに置いてきちゃったし…」
先ほど濡れたこの子犬を拭いたバスタオルは、そのまま遠山の家に置いて来てしまった。
天使である遥琉は、人間界のこの寒さをそれほど辛いとは思わないが、人間はみな寒そうにしているし、この子も寒い寒いと言っているから、やっぱりこのままではダメなんだろう。
だからと言って遠山にまた借りにいくことも出来ず…。
『くぅ~ん…』
「あ、そっか。あの段ボール箱の中に毛布が入ってたね。取りに行こっか」
遠山は信じていなかったようだが、天使である遥琉は、普通に犬の喋っていることが分かった。
人間が日本語や英語など各国の言葉が話せるように、遥琉は人間の言葉も動物の言葉も聞き分け、話すことが出来るのである。
子犬に段ボール箱のことを言われ、最初にこの子犬が入っていた段ボール箱の中に、薄っぺらだが毛布が入っていたことを思い出す。
この子の入っていた段ボール箱の中のものなんだから、勝手に拝借してきても、きっと怒られないだろう。
遥琉は涙を拭って立ち上がった。
*****
例の段ボール箱は遠山の家のそばなので、遥琉は朝のように遠山に見つからないよう、そっとダンボール箱を捜した。
「あった! あれ」
雪を被った段ボール箱を見つけ、遥琉は急いで駆け出した――――が。
「うわぁっ!?」
もう何度目になるか分からない、雪に足を取られ、ズルッ、ドタンッ、と遥琉は再び地面に引っ繰り返ってしまった。
「…ったぁ~」
『きゃんっきゃんっ』
遥琉の腕から飛び出した子犬が、先に段ボール箱のほうへと駆けていく。遥琉は雪を払いながら起き上がって、段ボール箱の中から毛布を出してやった。
「ホラ、これでもう寒くないでしょ?」
『わんっ』
「でもおかしぃよなぁ。犬って普通、寒さに強いんじゃなかったっけ?」
苦笑しながら遥琉は、毛布ごと子犬を抱き抱えた。
「よし、行こ?」
『くぅ~ん?』
「あ、そっか、そうだよね、行くとこ…」
遠山を幸せにしなければ、試験は不合格となる。もちろんそれを覚悟で、天界に帰ろうと思えば帰れるけれど、生き物を連れていくわけにはいかなくて。
「よっ、どーしたの?」
「へ?」
さも知り合いらしい呼び方の声に、遥琉は思わず辺りを見回した。
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