スポンサーサイト
--.--.-- --
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
- BL小説ランキング参加中です。クリックいただけたら嬉しいです。
- コメントや拍手、ありがとうございます。拍手の公開コメントへのお返事はこちらから。それ以外は、コメントをいただいた記事に返信いたします。
- お題配布サイト「明日」はひっそりまったり更新中です。毎日更新しない日誌「遊び心がない」もよろしくね。
カテゴリー:スポンサー広告
wish (17)
2010.01.07 Thu
すべてを思い出した。
突然現れ、そして去って行った、天使の遥琉。
そうすると、この子犬は、忘れ形見になってしまうのか。
『きゃんっ!』
突然子犬が遠山の手を擦り抜けて、玄関のほうに向かって駆けていった。
まさかこのまま逃げて行ってしまうなんてこと……さすがにそれは怖くて、遠山は慌てて追い掛けた。
「おい、どうしたんだよ」
追い掛けた先、子犬はドアに向かってうるさく吠えている。
遠山は子犬を逃がさないように抱き上げて、そっとドアを開けた。
「どうし……あ…」
本当にバカみたいに、「あ」と発した口のまま、閉じることも忘れて遠山は、今目の前にある現実にただただ呆然となった。
「遠山くん」
瞬きも出来ない。
だって、目を閉じて、開けた次の瞬間にはいなくなっているんじゃないかって、そんなバカなことすら思ってしまう。
「遥琉…? マジで? え、ホントに遥琉なのか?」
「…うん」
「どうし…」
言葉が続かなかった。
目の前には、遥琉がいた。
もう会えないと思っていた遥琉が、そこには立っていて。
「遠山くんが、思い出してくれたから」
「え? 何、どういう…、あ、てか早く中入んな、寒いだろ? いや、寒くねぇのか、えっと…」
そういえば、どういう仕組みになっているのか、天使の遥琉は雪の降る中でも、あの白っぽい寒そうな格好でも、全然平気でいた。
家に上げるうまい口実が他になくて、何だかアタフタしていたら、遥琉が声を上げて笑い出した。
遥琉の、笑顔。
「……、上がって?」
まだドキドキはすぐに収まりそうもないけれど。
遥琉を出迎えた途端に大人しくなった子犬も連れて、遥琉を招き入れた。
「遥琉、でもどうして?」
「だって遠山くん、忘れたって絶対に思い出すって言ったじゃん」
こたつに入った遥琉は、掛けぶとんに顔をうずめながら、ポツリポツリと語り出した。
「だからね、信じたの。三宮さんは、あ、三宮さんていうのは俺の上司なんだけど、三宮さんは絶対に無理だって言うの、思い出せるわけない、て。じゃあ、思い出したら遠山くんのトコに行ってもいい? て聞いたら、」
「いいって言ったのか?」
「うん。絶対に無理だから、て。でも遠山くんは……思い出してくれたでしょ?」
そっと視線を上げた遥琉と目が合って、何だかちょっと恥ずかしかったが、遠山はコクリと頷いた。
ちゃんと思い出した。
だって、忘れるなんてそんなこと、出来るわけがない。
突然現れ、そして去って行った、天使の遥琉。
そうすると、この子犬は、忘れ形見になってしまうのか。
『きゃんっ!』
突然子犬が遠山の手を擦り抜けて、玄関のほうに向かって駆けていった。
まさかこのまま逃げて行ってしまうなんてこと……さすがにそれは怖くて、遠山は慌てて追い掛けた。
「おい、どうしたんだよ」
追い掛けた先、子犬はドアに向かってうるさく吠えている。
遠山は子犬を逃がさないように抱き上げて、そっとドアを開けた。
「どうし……あ…」
本当にバカみたいに、「あ」と発した口のまま、閉じることも忘れて遠山は、今目の前にある現実にただただ呆然となった。
「遠山くん」
瞬きも出来ない。
だって、目を閉じて、開けた次の瞬間にはいなくなっているんじゃないかって、そんなバカなことすら思ってしまう。
「遥琉…? マジで? え、ホントに遥琉なのか?」
「…うん」
「どうし…」
言葉が続かなかった。
目の前には、遥琉がいた。
もう会えないと思っていた遥琉が、そこには立っていて。
「遠山くんが、思い出してくれたから」
「え? 何、どういう…、あ、てか早く中入んな、寒いだろ? いや、寒くねぇのか、えっと…」
そういえば、どういう仕組みになっているのか、天使の遥琉は雪の降る中でも、あの白っぽい寒そうな格好でも、全然平気でいた。
家に上げるうまい口実が他になくて、何だかアタフタしていたら、遥琉が声を上げて笑い出した。
遥琉の、笑顔。
「……、上がって?」
まだドキドキはすぐに収まりそうもないけれど。
遥琉を出迎えた途端に大人しくなった子犬も連れて、遥琉を招き入れた。
「遥琉、でもどうして?」
「だって遠山くん、忘れたって絶対に思い出すって言ったじゃん」
こたつに入った遥琉は、掛けぶとんに顔をうずめながら、ポツリポツリと語り出した。
「だからね、信じたの。三宮さんは、あ、三宮さんていうのは俺の上司なんだけど、三宮さんは絶対に無理だって言うの、思い出せるわけない、て。じゃあ、思い出したら遠山くんのトコに行ってもいい? て聞いたら、」
「いいって言ったのか?」
「うん。絶対に無理だから、て。でも遠山くんは……思い出してくれたでしょ?」
そっと視線を上げた遥琉と目が合って、何だかちょっと恥ずかしかったが、遠山はコクリと頷いた。
ちゃんと思い出した。
だって、忘れるなんてそんなこと、出来るわけがない。
- 関連記事
-
- wish (18) (2010/01/08)
- wish (17) (2010/01/07)
- wish (16) (2010/01/06)
- BL小説ランキング参加中です。クリックいただけたら嬉しいです。
- コメントや拍手、ありがとうございます。拍手の公開コメントへのお返事はこちらから。それ以外は、コメントをいただいた記事に返信いたします。
- お題配布サイト「明日」はひっそりまったり更新中です。毎日更新しない日誌「遊び心がない」もよろしくね。