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気付かせないで、恋心 (5)
2010.02.20 Sat
BLイラスト&お題配布サイト あまトロさまからお借りしました、イラストお題によるプチ連載です。素敵なイラストはこちら(第1話にリンクしています)。
「これでいいの?」
「いい、いい! こういうのがいいんだって。女の子が『キャ~!』て言うんだから!」
「何かキモイ…」
50近い男が、女の声色をまねて嬌声を上げても全然かわいくなくて、クールに決めたくても、失笑するしかない。
確かにメンバー同士でくっ付いた写真を撮ると、女の子受けするのは知っている。
希尋も、他のメンバーとはよくそういう写真を撮るし、『そういうのは女の子とやれよ!』と突っ込まれそうなことでも、平気でやったりする。
けれど、それなのに最近では、加倉井とはペアで写ること自体が滅多にないし、ましてやこんなに近い距離で撮影することなんて、なかった。
それがNGだとハッキリ示されたことはないが、6人しかいないメンバーでペアを組むのに、何度も一緒になるメンバーがいる中、加倉井と一緒にならないのは、つまりそういうことなのだと、暗に示しているようなものだ。
それなのに、どうして急にそれが解禁になってしまったのか。
目の前のカメラマンは、確かに変なおじさんだけど、この業界では凄腕の人だし、彼がそういう写真を撮りたいと言えば、事務所も断固としてNOとは言いづらいのかもしれない。
「意味分かんない…」
希尋はポツリと呟いてから、それは声に出して言うべきではなかったな、と少し後悔した。
もしかしたら加倉井は、希尋が加倉井と一緒に撮影することに不満があって、そう漏らしたのだと勘違いしたかもしれない。そう受け取られかねない言い方だった。
しかしその言葉が加倉井に聞こえたのかも分からないし、わざわざ説明するのも変だから、黙っているしかない。
一瞬、加倉井の視線がこちらに向いたような気もしたけれど、希尋は気付かないふりでカメラのほうを見つめる。
今は、撮影に集中しよう。
「2人とも目線こっちー。聡はそんなに首捻んなくていいから、目線だけ流して」
ポーズを取るところまでは、説明も頼りないし、変な見本も取ってくれるカメラマンだが、さすがはプロ。
そこからは、ビシッと決まっている――――が。
「もっと目力! 目に気合!」
クールだから、笑ったらいけないのだろうけど、カメラマンはやっぱり言葉が妙というか……笑わせたいに違いないと、希尋や加倉井が思っても仕方がない。
それなのにカメラマンは、「希尋、笑うなー。もっと挑発的な顔!」なんて言い出して。
これで笑うなと言うほうが、無理な話だ。
顔は見えないけれど、隣で聡だって笑っているのが、気配で分かる。
(でも、笑うのやめなきゃ、撮影になんない…)
ちゃんとした写真が撮れないことには、いつまで経っても加倉井とこのポーズをしていなければならない。
――――いや、別にいいんだけれど。
加倉井以外とは、こんな写真、いくらでも撮られているし、もっとベッタリくっ付いていることだってある。
撮影が押して、いつまでも仕事が終わらないのは困るけれど、加倉井と一緒だからという理由で、早く終わらせたいと思ってしまうなんて、そんなの。
「これでいいの?」
「いい、いい! こういうのがいいんだって。女の子が『キャ~!』て言うんだから!」
「何かキモイ…」
50近い男が、女の声色をまねて嬌声を上げても全然かわいくなくて、クールに決めたくても、失笑するしかない。
確かにメンバー同士でくっ付いた写真を撮ると、女の子受けするのは知っている。
希尋も、他のメンバーとはよくそういう写真を撮るし、『そういうのは女の子とやれよ!』と突っ込まれそうなことでも、平気でやったりする。
けれど、それなのに最近では、加倉井とはペアで写ること自体が滅多にないし、ましてやこんなに近い距離で撮影することなんて、なかった。
それがNGだとハッキリ示されたことはないが、6人しかいないメンバーでペアを組むのに、何度も一緒になるメンバーがいる中、加倉井と一緒にならないのは、つまりそういうことなのだと、暗に示しているようなものだ。
それなのに、どうして急にそれが解禁になってしまったのか。
目の前のカメラマンは、確かに変なおじさんだけど、この業界では凄腕の人だし、彼がそういう写真を撮りたいと言えば、事務所も断固としてNOとは言いづらいのかもしれない。
「意味分かんない…」
希尋はポツリと呟いてから、それは声に出して言うべきではなかったな、と少し後悔した。
もしかしたら加倉井は、希尋が加倉井と一緒に撮影することに不満があって、そう漏らしたのだと勘違いしたかもしれない。そう受け取られかねない言い方だった。
しかしその言葉が加倉井に聞こえたのかも分からないし、わざわざ説明するのも変だから、黙っているしかない。
一瞬、加倉井の視線がこちらに向いたような気もしたけれど、希尋は気付かないふりでカメラのほうを見つめる。
今は、撮影に集中しよう。
「2人とも目線こっちー。聡はそんなに首捻んなくていいから、目線だけ流して」
ポーズを取るところまでは、説明も頼りないし、変な見本も取ってくれるカメラマンだが、さすがはプロ。
そこからは、ビシッと決まっている――――が。
「もっと目力! 目に気合!」
クールだから、笑ったらいけないのだろうけど、カメラマンはやっぱり言葉が妙というか……笑わせたいに違いないと、希尋や加倉井が思っても仕方がない。
それなのにカメラマンは、「希尋、笑うなー。もっと挑発的な顔!」なんて言い出して。
これで笑うなと言うほうが、無理な話だ。
顔は見えないけれど、隣で聡だって笑っているのが、気配で分かる。
(でも、笑うのやめなきゃ、撮影になんない…)
ちゃんとした写真が撮れないことには、いつまで経っても加倉井とこのポーズをしていなければならない。
――――いや、別にいいんだけれど。
加倉井以外とは、こんな写真、いくらでも撮られているし、もっとベッタリくっ付いていることだってある。
撮影が押して、いつまでも仕事が終わらないのは困るけれど、加倉井と一緒だからという理由で、早く終わらせたいと思ってしまうなんて、そんなの。
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