スポンサーサイト
--.--.-- --
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
- BL小説ランキング参加中です。クリックいただけたら嬉しいです。
- コメントや拍手、ありがとうございます。拍手の公開コメントへのお返事はこちらから。それ以外は、コメントをいただいた記事に返信いたします。
- お題配布サイト「明日」はひっそりまったり更新中です。毎日更新しない日誌「遊び心がない」もよろしくね。
カテゴリー:スポンサー広告
wish (16)
2010.01.06 Wed
「あれ、おかしいな…。何で自分ちの犬の名前が出て来ないんだよ」
首を傾げながら、ジッと子犬の顔を見つめる。
最近仕事が忙しかったからといって、いくら何でも飼い犬の名前を忘れてしまうほど、ボケてはいない。
「お前、何て名前だっけ?」
『くぅ~ん?』
犬のほうも不思議そうに、遠山を見つめている。
「お前に名前付けたっけ? てか俺、犬なんて飼ってたっけ?」
そのわりに、部屋の中には、犬に関するものが少ない。
子犬用の粉末ミルクはあったけれど、しかしそれを入れて飲ませたのは、普通の食卓用の皿だ。
「え、あれ…?」
遠山は食事の仕度をやめ、子犬を抱いてコタツのほうに戻る。
何か大切なことを忘れているような気はするけれど、何を忘れているのか、何を必死に思い出そうとしているのか、それすらも何だかあやふやでよく分からない。
もしかしたら、何も忘れてなんていないのだろうか。
「俺、どうしちゃったんだ?」
『くぅ~ん…』
そんな自分に苦笑していれば、子犬は寂しそうな顔で遠山の腕から抜け出て、部屋の隅へとトコトコと歩いていった。そこには汚れた毛布が、丸まって置いてある。
「ん? そんなの、ウチにあったっけ?」
ぼんやりと子犬の様子を眺めていると、子犬はその汚れた毛布を咥えて、懸命に遠山のほうへ引き摺って来ようとしているのだと分かった。
「何? どうした?」
遠山がそばに行くと、子犬は遠山のほうを向いて、『きゃんっ』と吠えた。
「え…お前、あぁ、そういえばお前、この中にいたんだっけ? そっか拾ったんだよな、外で…」
抜け落ちていた記憶のピースが、少しずつ埋まっていく。
「……は、る…?」
毛布にじゃれ付く子犬を見つめたまま、何気なく漏れた言葉。
誰か、知り合いの名前だっただろうか? それともそれがこの犬の名前?
「え…ハル?」
『きゃんっ!』
「―――あっ、遥琉っ!」
遠山はハッと顔を上げた。
突然、遠山の前に現れた、天使の遥琉。幸せにするから願い事を聞かせろって言って…。
「でも…傷付けてばっかだった…」
茫然を引き摺ったまま、遠山は頭を抱えた。
遠山の願いを叶えた遥琉は、遠山の記憶とともに消えていったのだ。
「遥琉…、好きだって言ったのに…。忘れたって絶対に思い出すって…」
『くぅ~ん…』
毛布を離した子犬が、遠山の足に擦り寄る。
あぁ、アイツはこの子犬と話をしていたっけ。
首を傾げながら、ジッと子犬の顔を見つめる。
最近仕事が忙しかったからといって、いくら何でも飼い犬の名前を忘れてしまうほど、ボケてはいない。
「お前、何て名前だっけ?」
『くぅ~ん?』
犬のほうも不思議そうに、遠山を見つめている。
「お前に名前付けたっけ? てか俺、犬なんて飼ってたっけ?」
そのわりに、部屋の中には、犬に関するものが少ない。
子犬用の粉末ミルクはあったけれど、しかしそれを入れて飲ませたのは、普通の食卓用の皿だ。
「え、あれ…?」
遠山は食事の仕度をやめ、子犬を抱いてコタツのほうに戻る。
何か大切なことを忘れているような気はするけれど、何を忘れているのか、何を必死に思い出そうとしているのか、それすらも何だかあやふやでよく分からない。
もしかしたら、何も忘れてなんていないのだろうか。
「俺、どうしちゃったんだ?」
『くぅ~ん…』
そんな自分に苦笑していれば、子犬は寂しそうな顔で遠山の腕から抜け出て、部屋の隅へとトコトコと歩いていった。そこには汚れた毛布が、丸まって置いてある。
「ん? そんなの、ウチにあったっけ?」
ぼんやりと子犬の様子を眺めていると、子犬はその汚れた毛布を咥えて、懸命に遠山のほうへ引き摺って来ようとしているのだと分かった。
「何? どうした?」
遠山がそばに行くと、子犬は遠山のほうを向いて、『きゃんっ』と吠えた。
「え…お前、あぁ、そういえばお前、この中にいたんだっけ? そっか拾ったんだよな、外で…」
抜け落ちていた記憶のピースが、少しずつ埋まっていく。
「……は、る…?」
毛布にじゃれ付く子犬を見つめたまま、何気なく漏れた言葉。
誰か、知り合いの名前だっただろうか? それともそれがこの犬の名前?
「え…ハル?」
『きゃんっ!』
「―――あっ、遥琉っ!」
遠山はハッと顔を上げた。
突然、遠山の前に現れた、天使の遥琉。幸せにするから願い事を聞かせろって言って…。
「でも…傷付けてばっかだった…」
茫然を引き摺ったまま、遠山は頭を抱えた。
遠山の願いを叶えた遥琉は、遠山の記憶とともに消えていったのだ。
「遥琉…、好きだって言ったのに…。忘れたって絶対に思い出すって…」
『くぅ~ん…』
毛布を離した子犬が、遠山の足に擦り寄る。
あぁ、アイツはこの子犬と話をしていたっけ。
- 関連記事
-
- wish (17) (2010/01/07)
- wish (16) (2010/01/06)
- wish (15) (2010/01/05)
- BL小説ランキング参加中です。クリックいただけたら嬉しいです。
- コメントや拍手、ありがとうございます。拍手の公開コメントへのお返事はこちらから。それ以外は、コメントをいただいた記事に返信いたします。
- お題配布サイト「明日」はひっそりまったり更新中です。毎日更新しない日誌「遊び心がない」もよろしくね。
コメントの投稿はこちらから ♥
COMMENT-FORM
柚子季杏 ⇒ No title
おおぉ~~~(涙
思い出した!!
子犬は可愛いし、遠山くんいいヤツだし、ハルちゃんめんこいし
んもう~~~切ないっす゜+.゜.(⊃Д`*)゜+.゜
続きはどうなるのーーー?!(叫)
思い出した!!
子犬は可愛いし、遠山くんいいヤツだし、ハルちゃんめんこいし
んもう~~~切ないっす゜+.゜.(⊃Д`*)゜+.゜
続きはどうなるのーーー?!(叫)
如月久美子 ⇒ >柚子季さん
な、何とか思い出しました…!
クリスマスの奇跡、みたいな感じにしたかったのに、七草正月の奇跡みたいなタイミングに…(泣)
このワンちゃんは、1回は捨てられて、とっても悲しい思いをしたけれど、いい子に拾われましたよね。
早く切ないシーンを抜け出したいです!!
コメントありがとうございました!
クリスマスの奇跡、みたいな感じにしたかったのに、七草正月の奇跡みたいなタイミングに…(泣)
このワンちゃんは、1回は捨てられて、とっても悲しい思いをしたけれど、いい子に拾われましたよね。
早く切ないシーンを抜け出したいです!!
コメントありがとうございました!