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wish (13)
2010.01.03 Sun
『うー……わんっわんっわんっ!!』
振り回されていた子犬が、唸り声とともに大きく吠え、男の手に齧り付いた。
「イッテ……くそっ!!」
あまりの鳴き声と、噛み付かれたことに激怒したのか、男は、それが生き物に対してする行動とは思えない、子犬を地面に叩き付けた。
「やっ…嘘っ……やめてぇっ…!」
遥琉は泣きながら、男の腕の中で暴れた。
地面に打ち付けられた子犬は、ピクリともしない。お願い、目を開けて。
「うるせぇっ! 大人しくしてろっ」
どんなにもがいたところで、男3人相手だ。
遥琉の体は、路地裏のほうへと引きずられてしまう。
「ヤダ! たす…助けてっ、遠山くんっ!!」
思わず声に出してしまった名前。
遥琉は泣きながら遠山の名前を呼び続けた。
雪の上に押し倒され、もうわけが分からなくて、遥琉はギュウと目を瞑った。
やっぱりダメ天使は、最後までダメだったんだ。
好きな人を幸せにも出来なかったし、ちゃんと世話をすると約束したあの子犬は目を開けてくれないし、まさか人間に凌辱されるはめになるとは。
「――――遥琉っ!!」
偉い天使の先輩方から教えてもらった祈りの言葉を、一生懸命に頭の中で唱えていたら、もう聞けるはずのないと思っていた声が、自分の名前を呼んだような気がした。
もしかして自分は汚されてしまって、どうにもならなくなってしまったから、最後のご慈悲にと、幻聴でも聞かせてくれた?
あぁ、天使でも、地獄に落ちるのかしら。
「誰だよ、お前。邪魔すんなよ」
男たちが自分から離れる気配がした。
遥琉は恐る恐る目を開け、体を起した。
そこは地獄ではなかった。そこは先ほど連れ込まれた路地裏で、顔を上げた先には、3人の男たちのほかに、遠山がいる。
それこそ、何が起こったのか、遥琉には分からなかった。
男たちと遠山は、若干の小競り合いがあったものの、男たちはすぐにその場を離れていった。
「遠山く…、どうし…」
「何か外が騒がしくて、気になって出てきたら……遥琉、大丈夫か?」
まだ茫然とその場に座り込んでいる遥琉に、遠山は声を掛けた。
夢でなく、遠山がそこにはいた。
分からない、急に感情が込み上げて来て、遥琉はボロボロと泣き出してしまった。
天使のくせに、何もかもに助けられている。
もう迷惑は掛けないと誓った遠山に、また助けられているし、あの子犬にも……
「あっ、犬!」
「え?」
「犬がっ…」
遥琉は慌てて立ち上がり、先ほどの場所にまで駆けていく。
足元が滑ったが、転ばないように気を付けている暇もなかった。
「コイツ…」
しゃくり上げながら、遥琉は道路に落ちた毛布を手繰り寄せた。
振り回されていた子犬が、唸り声とともに大きく吠え、男の手に齧り付いた。
「イッテ……くそっ!!」
あまりの鳴き声と、噛み付かれたことに激怒したのか、男は、それが生き物に対してする行動とは思えない、子犬を地面に叩き付けた。
「やっ…嘘っ……やめてぇっ…!」
遥琉は泣きながら、男の腕の中で暴れた。
地面に打ち付けられた子犬は、ピクリともしない。お願い、目を開けて。
「うるせぇっ! 大人しくしてろっ」
どんなにもがいたところで、男3人相手だ。
遥琉の体は、路地裏のほうへと引きずられてしまう。
「ヤダ! たす…助けてっ、遠山くんっ!!」
思わず声に出してしまった名前。
遥琉は泣きながら遠山の名前を呼び続けた。
雪の上に押し倒され、もうわけが分からなくて、遥琉はギュウと目を瞑った。
やっぱりダメ天使は、最後までダメだったんだ。
好きな人を幸せにも出来なかったし、ちゃんと世話をすると約束したあの子犬は目を開けてくれないし、まさか人間に凌辱されるはめになるとは。
「――――遥琉っ!!」
偉い天使の先輩方から教えてもらった祈りの言葉を、一生懸命に頭の中で唱えていたら、もう聞けるはずのないと思っていた声が、自分の名前を呼んだような気がした。
もしかして自分は汚されてしまって、どうにもならなくなってしまったから、最後のご慈悲にと、幻聴でも聞かせてくれた?
あぁ、天使でも、地獄に落ちるのかしら。
「誰だよ、お前。邪魔すんなよ」
男たちが自分から離れる気配がした。
遥琉は恐る恐る目を開け、体を起した。
そこは地獄ではなかった。そこは先ほど連れ込まれた路地裏で、顔を上げた先には、3人の男たちのほかに、遠山がいる。
それこそ、何が起こったのか、遥琉には分からなかった。
男たちと遠山は、若干の小競り合いがあったものの、男たちはすぐにその場を離れていった。
「遠山く…、どうし…」
「何か外が騒がしくて、気になって出てきたら……遥琉、大丈夫か?」
まだ茫然とその場に座り込んでいる遥琉に、遠山は声を掛けた。
夢でなく、遠山がそこにはいた。
分からない、急に感情が込み上げて来て、遥琉はボロボロと泣き出してしまった。
天使のくせに、何もかもに助けられている。
もう迷惑は掛けないと誓った遠山に、また助けられているし、あの子犬にも……
「あっ、犬!」
「え?」
「犬がっ…」
遥琉は慌てて立ち上がり、先ほどの場所にまで駆けていく。
足元が滑ったが、転ばないように気を付けている暇もなかった。
「コイツ…」
しゃくり上げながら、遥琉は道路に落ちた毛布を手繰り寄せた。
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COMMENT-FORM
理+masa+ ⇒
祈りの言葉が効いて良かたぁ~。
遠山くん、マジ強っ!?
わんちゃん大丈夫かなぁ?ドキドキ…
如月さ~ん♪(*´∀`*)ノ゛
新年明けましておめでとうございます。
それと…遅くなりましたが、
2周年おめでとうございます。m(_ _)m
あ・・・ってことは、まさも如月さんのところに
お邪魔するようになってから2年経つんだぁ~。
毎日モエ~と癒しをありがとうございます♪
なのに、いつもポチだけでごめんちゃい。
今回のお話も楽しく読ませいただいてますよー。
ファンタジーって初ですか?
白くてフワフワした健気な天使くん超ーカワユスです♪
更新楽しみにしています☆
新しい1年が、如月さんにとって素敵な1年になりますよ~に♪
今年もどうぞよろしくお願いいたします☆
遠山くん、マジ強っ!?
わんちゃん大丈夫かなぁ?ドキドキ…
如月さ~ん♪(*´∀`*)ノ゛
新年明けましておめでとうございます。
それと…遅くなりましたが、
2周年おめでとうございます。m(_ _)m
あ・・・ってことは、まさも如月さんのところに
お邪魔するようになってから2年経つんだぁ~。
毎日モエ~と癒しをありがとうございます♪
なのに、いつもポチだけでごめんちゃい。
今回のお話も楽しく読ませいただいてますよー。
ファンタジーって初ですか?
白くてフワフワした健気な天使くん超ーカワユスです♪
更新楽しみにしています☆
新しい1年が、如月さんにとって素敵な1年になりますよ~に♪
今年もどうぞよろしくお願いいたします☆
如月久美子 ⇒ >理+masa+さん
あけましておめでとうございます。
アンド2周年、ありがとうございます!
理さんが訪問してくださるようになって、2年ですか!
早い~。
ちょっとでも楽しみの1つになってもらえれば、嬉しいです。
初ファンタジーということで、クリスマスがとっくに終わっているのに、まだクリスマス気分ですが、もうしばし、お付き合いくださいまし。
今年もよろしくお願いいたします!
コメントありがとうございました!
アンド2周年、ありがとうございます!
理さんが訪問してくださるようになって、2年ですか!
早い~。
ちょっとでも楽しみの1つになってもらえれば、嬉しいです。
初ファンタジーということで、クリスマスがとっくに終わっているのに、まだクリスマス気分ですが、もうしばし、お付き合いくださいまし。
今年もよろしくお願いいたします!
コメントありがとうございました!