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wish (14)
2010.01.04 Mon
遠山もその場にしゃがみ込み、遥琉が抱き上げた毛布をそっと広げた。
「コイツ…」
つい先ほどまで、遥琉のために必死に吠えていたあの子犬は、いまだ目も開けずにグッタリとしている。
「ねぇ、ど…したの? 寝ちゃったの…?」
「遥琉…」
そっと遥琉の手から毛布ごと犬を受け取ると、微かだが、息をしているのが分かる。
まだ救える命に違いない。
「遥琉、すぐに病院に連れていこう、まだ息してる」
「病院…? 何で? コイツ、寝てるんじゃないの? 何で病院? 死んじゃうの?」
自分が襲われかけたのと、自分のせいでぐったりとなってしまった子犬と、様々なショックが重なって、遥琉はただ茫然となったまま動くことすら出来ずにいた。
もういっそ、今は遥琉のことを置いて、いったん病院に行って来ようか、でも、
「――――なぁ、遥琉。前言ってた、俺の願い事叶えてくれるっての、まだ有効なの?」
「え?」
どうしたの急に、と瞬きした遥琉の瞳から、溜まった涙が溢れ落ちた。
「100人の人間を幸せにするってヤツ」
「え、うん、いいけど…」
「ホントは別の願い事、ちょっと考えてたんだけど…、でもいいや。ねぇ、それでさ、コイツ助けてやってよ? 死んだヤツを生き返らせるわけじゃないんだから、いいよな?」
自然の摂理に逆らってまで、お願い事をしようだのという傲慢な気持ちを持っているわけではない。
けれど、助かるかもしれない命を、このまま見殺しになんて出来っこない。
「でも…それじゃ遠山くんの、ホントの願い事…」
「そうだけど、もしこの犬助けないでほかの願い事叶えてもらったって、絶対に幸せになんか、なれそうもないから」
遠山はそっと遥琉の前に犬を差し出した。
「…うん。あ、でも、遠山くんのホントの願いも聞かせてよ、もしかしたらそれも叶えてあげられるかもっ…」
しかし遠山は首を横に振った。
「無理だよ、……それは無理。たとえそれを俺が一番に望んでたって、絶対に叶わないから」
「何で? 分かんないじゃん、そんなの! ねぇっ!」
何で教えてくれないの? と、なおも食い下がる遥琉に、遠山は隠し通すのをとうとう諦めたのか、溜め息をついて口を開いた。
「ずっと、遥琉と一緒にいたいなぁって…、いれたらいいなぁって思った」
「……え…?」
「でも無理だろ? 俺の願い事叶えて幸せにしちゃったら、俺は遥琉のこと、忘れちゃうんだし」
予想だにしなかった遠山の言葉に、遥琉は立ち竦んだまま遠山を見つめた。
「調子のいいこと言ってゴメン。あんなにいっぱい遥琉のこと傷付けたのに、俺、遥琉のこと、好きになってたみたい」
「あの…遠山く…、俺…」
「…いいから、早くこの犬、助けてやって?」
「あ…、うん」
コクンと頷いた遥琉は、子犬に手を翳しながら、小さく何かの言葉を唱えた。まるで優しい光が犬を包み込んでいるようにも見えた。
「コイツ…」
つい先ほどまで、遥琉のために必死に吠えていたあの子犬は、いまだ目も開けずにグッタリとしている。
「ねぇ、ど…したの? 寝ちゃったの…?」
「遥琉…」
そっと遥琉の手から毛布ごと犬を受け取ると、微かだが、息をしているのが分かる。
まだ救える命に違いない。
「遥琉、すぐに病院に連れていこう、まだ息してる」
「病院…? 何で? コイツ、寝てるんじゃないの? 何で病院? 死んじゃうの?」
自分が襲われかけたのと、自分のせいでぐったりとなってしまった子犬と、様々なショックが重なって、遥琉はただ茫然となったまま動くことすら出来ずにいた。
もういっそ、今は遥琉のことを置いて、いったん病院に行って来ようか、でも、
「――――なぁ、遥琉。前言ってた、俺の願い事叶えてくれるっての、まだ有効なの?」
「え?」
どうしたの急に、と瞬きした遥琉の瞳から、溜まった涙が溢れ落ちた。
「100人の人間を幸せにするってヤツ」
「え、うん、いいけど…」
「ホントは別の願い事、ちょっと考えてたんだけど…、でもいいや。ねぇ、それでさ、コイツ助けてやってよ? 死んだヤツを生き返らせるわけじゃないんだから、いいよな?」
自然の摂理に逆らってまで、お願い事をしようだのという傲慢な気持ちを持っているわけではない。
けれど、助かるかもしれない命を、このまま見殺しになんて出来っこない。
「でも…それじゃ遠山くんの、ホントの願い事…」
「そうだけど、もしこの犬助けないでほかの願い事叶えてもらったって、絶対に幸せになんか、なれそうもないから」
遠山はそっと遥琉の前に犬を差し出した。
「…うん。あ、でも、遠山くんのホントの願いも聞かせてよ、もしかしたらそれも叶えてあげられるかもっ…」
しかし遠山は首を横に振った。
「無理だよ、……それは無理。たとえそれを俺が一番に望んでたって、絶対に叶わないから」
「何で? 分かんないじゃん、そんなの! ねぇっ!」
何で教えてくれないの? と、なおも食い下がる遥琉に、遠山は隠し通すのをとうとう諦めたのか、溜め息をついて口を開いた。
「ずっと、遥琉と一緒にいたいなぁって…、いれたらいいなぁって思った」
「……え…?」
「でも無理だろ? 俺の願い事叶えて幸せにしちゃったら、俺は遥琉のこと、忘れちゃうんだし」
予想だにしなかった遠山の言葉に、遥琉は立ち竦んだまま遠山を見つめた。
「調子のいいこと言ってゴメン。あんなにいっぱい遥琉のこと傷付けたのに、俺、遥琉のこと、好きになってたみたい」
「あの…遠山く…、俺…」
「…いいから、早くこの犬、助けてやって?」
「あ…、うん」
コクンと頷いた遥琉は、子犬に手を翳しながら、小さく何かの言葉を唱えた。まるで優しい光が犬を包み込んでいるようにも見えた。
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