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恋の女神は微笑まない (183)
2014.11.14 Fri
コンサート中に思いがけず千尋を見つけて、どうにかして想いを伝えたくて、あんな方法を取ってしまった。
何のうまい言葉も思い付かなかったけれど、直接名前を出してしまうことだけはないよう、細心の注意を払うのが精一杯だった。
「…つか俺、ちーちゃんがコンサート来てる、て知らなかったんだけど。あれって、ハルちゃんのせい?」
「『せい』て言うな」
「でも、ハルちゃんが誘ったんだろ?」
コンサートの最中、大和は千尋の姿は見つけたけれど、残念ながら遥希に気付くことは出来なかった。
しかし、大和とのことがないとしても、千尋が自ら進んでFATEのコンサートに来るとは思えないし、そんな千尋を誘うとしたら遥希くらいしかいないから、千尋があそこにいたのは遥希が原因だろう。
今回のコンサートでチケットが取れなかった遥希のために、琉が関係者席を用意したのだ。そのときに千尋の席も用意したというわけか。
「だってハルちゃん、1人じゃ行けない、て言うし」
「琉、テメェ、ちーちゃんが来るの、知ってたのかよ」
「いや、ハルちゃんが誰かと一緒に来るっつったら、アイツくらいしかいないだろ」
どういうつもりで、遥希が千尋を誘ったのかは分からない。
遥希のことだから、関係者席で見るからには、琉との関係を知っている人でないと変に思われる…と考えただけで、他意はないのかもしれないが、それでも千尋を誘うところがすごい。
加えて、結局は一緒に来てしまった千尋も、すごいと言えばすごい。…それだけ、千尋の中ではもう、大和のことなど、どうでもいい存在になっているのだろうか。
(でも、めっちゃ驚いた顔してたよな、ちーちゃん…)
遥希に誘われたから来たとはいえ、コンサートに大和が出ていることは分かっているのだから、大和の姿を見ただけでは、あんなに驚く必要などない。
あのとき大和は千尋と目が合った気がして、けれど気のせいかなとも思っていたけれど、やはり目は合っていたのだろう。だから千尋は、あんなに驚いた顔をしたのだ。
それは、大和のことをまだ少しは気にしていてくれたからだろうか。
いやしかし、この大勢の観客の中で目が合った1人となれば、大和のことがどうでもよくても、驚きはするだろうから、そういう意味での驚きだったのだろうか。
「けど、いくらハルちゃんが無理やり誘ったとはいえ、来ること来たんだから、アイツだって、お前のあの話聞いてたわけだろ? てことは、謝るにしろ話しするにしろ、早いうちがいいんじゃね?」
「…分ーってるよ」
大和だって、むしろコンサートでこんなことを言う前に、どうにかしたかったくらいだ。
しかし、千尋から一方的に別れを切り出され、電話を切られたという出来事が、連絡を取るのを躊躇わせてしまうのだ。
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何のうまい言葉も思い付かなかったけれど、直接名前を出してしまうことだけはないよう、細心の注意を払うのが精一杯だった。
「…つか俺、ちーちゃんがコンサート来てる、て知らなかったんだけど。あれって、ハルちゃんのせい?」
「『せい』て言うな」
「でも、ハルちゃんが誘ったんだろ?」
コンサートの最中、大和は千尋の姿は見つけたけれど、残念ながら遥希に気付くことは出来なかった。
しかし、大和とのことがないとしても、千尋が自ら進んでFATEのコンサートに来るとは思えないし、そんな千尋を誘うとしたら遥希くらいしかいないから、千尋があそこにいたのは遥希が原因だろう。
今回のコンサートでチケットが取れなかった遥希のために、琉が関係者席を用意したのだ。そのときに千尋の席も用意したというわけか。
「だってハルちゃん、1人じゃ行けない、て言うし」
「琉、テメェ、ちーちゃんが来るの、知ってたのかよ」
「いや、ハルちゃんが誰かと一緒に来るっつったら、アイツくらいしかいないだろ」
どういうつもりで、遥希が千尋を誘ったのかは分からない。
遥希のことだから、関係者席で見るからには、琉との関係を知っている人でないと変に思われる…と考えただけで、他意はないのかもしれないが、それでも千尋を誘うところがすごい。
加えて、結局は一緒に来てしまった千尋も、すごいと言えばすごい。…それだけ、千尋の中ではもう、大和のことなど、どうでもいい存在になっているのだろうか。
(でも、めっちゃ驚いた顔してたよな、ちーちゃん…)
遥希に誘われたから来たとはいえ、コンサートに大和が出ていることは分かっているのだから、大和の姿を見ただけでは、あんなに驚く必要などない。
あのとき大和は千尋と目が合った気がして、けれど気のせいかなとも思っていたけれど、やはり目は合っていたのだろう。だから千尋は、あんなに驚いた顔をしたのだ。
それは、大和のことをまだ少しは気にしていてくれたからだろうか。
いやしかし、この大勢の観客の中で目が合った1人となれば、大和のことがどうでもよくても、驚きはするだろうから、そういう意味での驚きだったのだろうか。
「けど、いくらハルちゃんが無理やり誘ったとはいえ、来ること来たんだから、アイツだって、お前のあの話聞いてたわけだろ? てことは、謝るにしろ話しするにしろ、早いうちがいいんじゃね?」
「…分ーってるよ」
大和だって、むしろコンサートでこんなことを言う前に、どうにかしたかったくらいだ。
しかし、千尋から一方的に別れを切り出され、電話を切られたという出来事が、連絡を取るのを躊躇わせてしまうのだ。
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