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ラブゲームには程遠い (5)
2014.01.17 Fri
「ねぇ航平。こうなったら、このまま帰ろう」
「アホか、嫌だ!」
「航平ちに行こうとは言わないから。俺んちでいいから」
「嫌だ! 何でコイツに抱き付かれたまま帰らなきゃなんねぇんだ。絶対に嫌だ!」
「だって、潰したのは航平じゃん!」
侑仁だって、いつまでも恋人が他の男に抱き付いていてほしくはないが、起きないのだから、仕方がない。
もう会計もしてしまったし、ここに居続けるのはマズイだろうから、このまま帰るしかないと思うだのが、そう思うのは、侑仁も酔っ払っているからだろうか。
「一伽、起きんかいっ、侑仁が来たぞっ!」
「うにゃっ!?」
「ちょっ航平!」
いい加減、鬱陶しくなって、イライラがピークに達したのか、航平は一伽を腰にくっ付けたまま、無理やり立ち上がった。
そうすると当然、一伽の体はコロリと反転し、ベンチの上から落ちるわけで。
「う、ん…? あれ…?」
床に座り込む形となった一伽は、状況がまったく掴めていないのか、ゆっくりと周囲を見回している。
「一伽、大丈夫? 航平、乱暴すぎ!」
「自業自得だ、バカ」
大憤慨の航平は、侑仁の非難の言葉にも素っ気ない。
こんなことなら、最初からこうしていればよかった。
「侑仁…」
一伽の前にしゃがみ込んで心配する侑仁を見つけると、一伽はへにゃりと表情を崩し、そのまま侑仁へと抱き付いた。
先ほどまで航平に散々侑仁の文句を言ったり愚痴ったりしていたくせに、やはり本物の侑仁を前にすると、そんなことはまったくどうでもよくなるようだ。
「よかった! よし、帰ろう!」
酔い潰れた男を連れて帰る方法としては、肩を貸すか、ダメなら負ぶうのが一般的だと思うのだが、抱き付いた一伽の腕がまた解けなくなったのか、単に2人がバカップルなのか、侑仁は一伽をお姫様抱っこして立ち上がった。
航平は、その点について突っ込むべきかどうか迷ったが、何だかすべてがどうでもよくなってきて、何も言わずに侑仁の後に続いた。
途中、一伽が酔い潰れたのだと気付いた店員が声を掛けてきたが、侑仁はそれを笑顔でかわして店を出ると、素早くタクシーを捕まえて、それに乗り込んだ。
「じゃあね、航平。明日一伽が仕事休んだら、よろしく」
「はあっ? アホか、おま…」
「正月休み、正月休み」
「明後日まで仕事だボケェ!」
勝手なことを言う侑仁に、今度こそ航平はブチ切れて、それこそ本物のそちらの世界の人のごとく凄んだものの、それを無視してタクシーのドアは閉まり、航平の前から去って行った。
「……………………。アホか、お前ら~~~~!!!!」
そして。
師走の寒空の下、航平の怒鳴り声が空しく響くのだった。
back
*END*
タイトルはoperettaさまからお借りしました。ありがとう!
「アホか、嫌だ!」
「航平ちに行こうとは言わないから。俺んちでいいから」
「嫌だ! 何でコイツに抱き付かれたまま帰らなきゃなんねぇんだ。絶対に嫌だ!」
「だって、潰したのは航平じゃん!」
侑仁だって、いつまでも恋人が他の男に抱き付いていてほしくはないが、起きないのだから、仕方がない。
もう会計もしてしまったし、ここに居続けるのはマズイだろうから、このまま帰るしかないと思うだのが、そう思うのは、侑仁も酔っ払っているからだろうか。
「一伽、起きんかいっ、侑仁が来たぞっ!」
「うにゃっ!?」
「ちょっ航平!」
いい加減、鬱陶しくなって、イライラがピークに達したのか、航平は一伽を腰にくっ付けたまま、無理やり立ち上がった。
そうすると当然、一伽の体はコロリと反転し、ベンチの上から落ちるわけで。
「う、ん…? あれ…?」
床に座り込む形となった一伽は、状況がまったく掴めていないのか、ゆっくりと周囲を見回している。
「一伽、大丈夫? 航平、乱暴すぎ!」
「自業自得だ、バカ」
大憤慨の航平は、侑仁の非難の言葉にも素っ気ない。
こんなことなら、最初からこうしていればよかった。
「侑仁…」
一伽の前にしゃがみ込んで心配する侑仁を見つけると、一伽はへにゃりと表情を崩し、そのまま侑仁へと抱き付いた。
先ほどまで航平に散々侑仁の文句を言ったり愚痴ったりしていたくせに、やはり本物の侑仁を前にすると、そんなことはまったくどうでもよくなるようだ。
「よかった! よし、帰ろう!」
酔い潰れた男を連れて帰る方法としては、肩を貸すか、ダメなら負ぶうのが一般的だと思うのだが、抱き付いた一伽の腕がまた解けなくなったのか、単に2人がバカップルなのか、侑仁は一伽をお姫様抱っこして立ち上がった。
航平は、その点について突っ込むべきかどうか迷ったが、何だかすべてがどうでもよくなってきて、何も言わずに侑仁の後に続いた。
途中、一伽が酔い潰れたのだと気付いた店員が声を掛けてきたが、侑仁はそれを笑顔でかわして店を出ると、素早くタクシーを捕まえて、それに乗り込んだ。
「じゃあね、航平。明日一伽が仕事休んだら、よろしく」
「はあっ? アホか、おま…」
「正月休み、正月休み」
「明後日まで仕事だボケェ!」
勝手なことを言う侑仁に、今度こそ航平はブチ切れて、それこそ本物のそちらの世界の人のごとく凄んだものの、それを無視してタクシーのドアは閉まり、航平の前から去って行った。
「……………………。アホか、お前ら~~~~!!!!」
そして。
師走の寒空の下、航平の怒鳴り声が空しく響くのだった。
back
*END*
タイトルはoperettaさまからお借りしました。ありがとう!
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COMMENT-FORM
けいったん ⇒
今回も 一伽と侑仁に振り回されっっ放しの航平
航平が、どんなに怒っても 凄んでも 気にもしないって どんだけなんだよ このお二人さんは! (≧m≦〃)プッ
不憫にも程がある彼には 癒される存在が必要ではないのでしょうか?
如月さま、どうか 一つ 彼にもね♪
┗【●´Å`】┛┏【●_ _】┓ぉ願ぃ∪ます...byebye☆
航平が、どんなに怒っても 凄んでも 気にもしないって どんだけなんだよ このお二人さんは! (≧m≦〃)プッ
不憫にも程がある彼には 癒される存在が必要ではないのでしょうか?
如月さま、どうか 一つ 彼にもね♪
┗【●´Å`】┛┏【●_ _】┓ぉ願ぃ∪ます...byebye☆
- |2014.01.17
- |Fri
- |09:15
- |URL
- |EDIT|
如月久美子 ⇒ >けいったんさん
一伽は何に対しても怖いモンなしですが、侑仁さんも一伽のこととなると…(笑)
酔い潰れた一伽を、当然のようにお姫様抱っこする侑仁さんなら、やっぱり何も怖いものなどないのかも…………いや、無敵の一伽さんだけには敵わないか…(^_^;)
> 不憫にも程がある彼には 癒される存在が必要ではないのでしょうか?
> 如月さま、どうか 一つ 彼にもね♪
ハッ…!
確かに、彼には何の癒しもなかったですね。。。
同じくらい不憫なはずの志信さんには、秋葉原という聖地があるからいいとして、航平くんには何か必要ですね(>_<)
コメントありがとうございました!
酔い潰れた一伽を、当然のようにお姫様抱っこする侑仁さんなら、やっぱり何も怖いものなどないのかも…………いや、無敵の一伽さんだけには敵わないか…(^_^;)
> 不憫にも程がある彼には 癒される存在が必要ではないのでしょうか?
> 如月さま、どうか 一つ 彼にもね♪
ハッ…!
確かに、彼には何の癒しもなかったですね。。。
同じくらい不憫なはずの志信さんには、秋葉原という聖地があるからいいとして、航平くんには何か必要ですね(>_<)
コメントありがとうございました!
- |2014.01.17
- |Fri
- |23:08
- |URL
- |EDIT|