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女王様のバレンタイン (4)
2011.02.21 Mon
何だよ、上げるって。
だってチロルじゃん。今ベッドの上に散らばっているのの総額で言ったって、きっと100円かそこらしかしない。
俺、今日12個もチョコ貰ったんだよ、女の子から。その中には、高校生が買うにしては高級すぎるブランドのも交じっていた。なのに。
(何だよ、チロルて)
水瀬は、そのうちの1つを手に取った。
黒蜜とおもちのグミが入っているヤツで、水瀬のお気に入りの1つでもある。
水瀬はスンと鼻を1つ啜ってから、それを口に入れた。
石田は、水瀬の食べ掛けのチョコを、零さないように(特にココアパウダー!)片付けていた。
水瀬はチョコの包み紙を握り潰してから、ベッドから降りずに、無理な体勢で床に置いてあるカバンに手を伸ばした(今さっき、ベッドから落ちたばかりなのに)。
カバンは無駄に大きいが、大したものが入っていないせいで重くもないので、水瀬は今度はベッドから落ちることなく、カバンを手にすることが出来た。
「石田ー」
「ん? イテッ」
呼ばれて振り返ったら、何かが頭に当たった。
大して痛くもなかったが、不意打ちの攻撃に、思わず声が漏れる。
「何だよ」
自分の頭に当たった何かは、間違いなく水瀬が石田に向かって投げ付けたもので、当たった感触からして、そんなに大きなものではない。
まさか、今上げたばかりのチロルを投げたんじゃないだろうな?
疑るように水瀬を見てから床に視線を落とせば、そこにあったのは、水瀬が女の子から貰ったものでも、石田が水瀬に上げたチロルチョコでもない、5円チョコが1つ。
「やるよ。バレンタインだから」
それを拾い上げて水瀬を見れば、水瀬はなぜか得意げな顔で笑っていた。
自分で食べようと思ってたおやつの残りなんじゃないかなぁ…と思えなくもないが、言えば機嫌を損ねそうなので、突っ込むのはやめておいたが。
「ねぇ石田、『ありがとう』は?」
チョコを拾い上げ、水瀬を見遣れば、ベッドの上、水瀬は不遜に石田を見下ろしていた。
チロルだって十分お手ごろ価格だけれど、こちらは価格で言えばその半分で、しかも1個。なのにどうして、ここまで上から礼を強請られているんだろう(しかも水瀬からは、何のお礼も言われていない…)。
「ねぇ、『ありがとう』は?」
「…ありがとうございます、水瀬さん」
「ふふん」
随分と楽しげに笑っている水瀬に棒読みで礼を言えば、それに気を悪くするでもなく、水瀬は満足げに鼻を鳴らす。
気分屋で気まぐれな女王様のご機嫌が変わらないうち、石田はそのパッケージの封を切って、5円玉の形をしたチョコを口に運んだ。
「石田ー」
水瀬は貰ったチロルチョコを、枕元に一列に並べて遊んでいる。
1つ食べてしまったから、残りは9個。
何が楽しいのかは、石田には分からない。
「男同士で友チョコがないんだったら、これ、何チョコって言うんだろうね」
水瀬は顔を上げ、石田を見遣った。
石田は、5円チョコの入っていた包みを、手の中で弄んでいる。
「ねぇねぇ石田てばー」
「知らねぇよ、そんなの」
「義理チョコかなっ?」
「お前にチョコやる義理なんかないんだけど」
石田が尤もなことを言えば、そりゃそうだと水瀬もケラケラ笑い出す。水瀬にだって、そんな義理はない。
ならどうしてチョコなんか上げるんだと、それはお互い口にしない。
「ねぇ石田ー。甘いモンいっぱい食ったから、カロリー消費するために、ちょっと動こうぜ?」
ニヤリ、水瀬がいやらしく口の端を上げた。
本当にこんなこと、今日チョコをくれた女の子たちには、絶対に聞かせられないセリフ。
けれど石田は逆らえず、キスを受け入れた。
甘い、唇。
溺れる。
「…やっぱ、友チョコてことにしとこっか」
チョコの欠けらとココアパウダーと精液で汚れたシーツの波間で囁いた。
*END*
back
最後にアップして以来、2年半くらい書いてなかったのに、アンケで2位と健闘してる高校生男子。果たしてこういう雰囲気を望まれていたのか……違ってたらゴメンなさい。
だってチロルじゃん。今ベッドの上に散らばっているのの総額で言ったって、きっと100円かそこらしかしない。
俺、今日12個もチョコ貰ったんだよ、女の子から。その中には、高校生が買うにしては高級すぎるブランドのも交じっていた。なのに。
(何だよ、チロルて)
水瀬は、そのうちの1つを手に取った。
黒蜜とおもちのグミが入っているヤツで、水瀬のお気に入りの1つでもある。
水瀬はスンと鼻を1つ啜ってから、それを口に入れた。
石田は、水瀬の食べ掛けのチョコを、零さないように(特にココアパウダー!)片付けていた。
水瀬はチョコの包み紙を握り潰してから、ベッドから降りずに、無理な体勢で床に置いてあるカバンに手を伸ばした(今さっき、ベッドから落ちたばかりなのに)。
カバンは無駄に大きいが、大したものが入っていないせいで重くもないので、水瀬は今度はベッドから落ちることなく、カバンを手にすることが出来た。
「石田ー」
「ん? イテッ」
呼ばれて振り返ったら、何かが頭に当たった。
大して痛くもなかったが、不意打ちの攻撃に、思わず声が漏れる。
「何だよ」
自分の頭に当たった何かは、間違いなく水瀬が石田に向かって投げ付けたもので、当たった感触からして、そんなに大きなものではない。
まさか、今上げたばかりのチロルを投げたんじゃないだろうな?
疑るように水瀬を見てから床に視線を落とせば、そこにあったのは、水瀬が女の子から貰ったものでも、石田が水瀬に上げたチロルチョコでもない、5円チョコが1つ。
「やるよ。バレンタインだから」
それを拾い上げて水瀬を見れば、水瀬はなぜか得意げな顔で笑っていた。
自分で食べようと思ってたおやつの残りなんじゃないかなぁ…と思えなくもないが、言えば機嫌を損ねそうなので、突っ込むのはやめておいたが。
「ねぇ石田、『ありがとう』は?」
チョコを拾い上げ、水瀬を見遣れば、ベッドの上、水瀬は不遜に石田を見下ろしていた。
チロルだって十分お手ごろ価格だけれど、こちらは価格で言えばその半分で、しかも1個。なのにどうして、ここまで上から礼を強請られているんだろう(しかも水瀬からは、何のお礼も言われていない…)。
「ねぇ、『ありがとう』は?」
「…ありがとうございます、水瀬さん」
「ふふん」
随分と楽しげに笑っている水瀬に棒読みで礼を言えば、それに気を悪くするでもなく、水瀬は満足げに鼻を鳴らす。
気分屋で気まぐれな女王様のご機嫌が変わらないうち、石田はそのパッケージの封を切って、5円玉の形をしたチョコを口に運んだ。
「石田ー」
水瀬は貰ったチロルチョコを、枕元に一列に並べて遊んでいる。
1つ食べてしまったから、残りは9個。
何が楽しいのかは、石田には分からない。
「男同士で友チョコがないんだったら、これ、何チョコって言うんだろうね」
水瀬は顔を上げ、石田を見遣った。
石田は、5円チョコの入っていた包みを、手の中で弄んでいる。
「ねぇねぇ石田てばー」
「知らねぇよ、そんなの」
「義理チョコかなっ?」
「お前にチョコやる義理なんかないんだけど」
石田が尤もなことを言えば、そりゃそうだと水瀬もケラケラ笑い出す。水瀬にだって、そんな義理はない。
ならどうしてチョコなんか上げるんだと、それはお互い口にしない。
「ねぇ石田ー。甘いモンいっぱい食ったから、カロリー消費するために、ちょっと動こうぜ?」
ニヤリ、水瀬がいやらしく口の端を上げた。
本当にこんなこと、今日チョコをくれた女の子たちには、絶対に聞かせられないセリフ。
けれど石田は逆らえず、キスを受け入れた。
甘い、唇。
溺れる。
「…やっぱ、友チョコてことにしとこっか」
チョコの欠けらとココアパウダーと精液で汚れたシーツの波間で囁いた。
*END*
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最後にアップして以来、2年半くらい書いてなかったのに、アンケで2位と健闘してる高校生男子。果たしてこういう雰囲気を望まれていたのか……違ってたらゴメンなさい。
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