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女王様のバレンタイン (3)
2011.02.20 Sun
「…これ、もーいらない」
ココアパウダーがたっぷり降り掛かったチョコの入った箱を石田に押し付け、枕に置きっ放しの食べ掛けのチョコもどかして、水瀬はベッドに転がった。
「水瀬、もう食わねぇの?」
「食わねぇ。もうチョコなんか、一生いらねぇ」
とっても無謀で、傍若無人なことをのたまって、水瀬は足をバタバタさせている。
そんなこと言って、どうせ何日かしたら、また何でもない顔でチョコを食べるくせに。
「ふぅん」
石田は水瀬の言葉には興味を示さず、食べ掛けのチョコをテーブルに置いた。
ちょうど水瀬に背を向けている状態なので、その表情が分からない。水瀬は足を止め、痩せているけれど、自分より少しだけ広い石田の背中を見つめた。
チョコを置いた石田は、投げ出されたままの制服を手にしている。
シャツは洗濯するからいいとして、ジャケットとスラックスはこのままにしておけないから、多分ハンガーにでも掛けるんだろう、まめなヤツだから。
そう思っていたら、石田がそのとおりの行動をするから、水瀬は少しだけ笑った。
「水瀬、チョコ、もう食わねぇ?」
石田が水瀬の制服を拾い上げたら、今日女の子から貰ったチョコの包みの山が崩れた。
だから、そのチョコのことを言ったんだと思ったんだ。
食いたいなら、石田、食べていいよ、て言おうとした、でもそれより先、石田のほうが口を開いた。
「じゃあこれ、いらないな」
「え? 何?」
石田は、自分の制服のポケットから何かを取り出したけれど、グーに握られたその手の中に、何が入っているのか見えない。
「何それ石田」
「お前がもう一生食わないモノ」
そう言われて水瀬はすぐに、その手の中身がチョコだと気が付いた。
先ほど石田が『チョコ、もう食わねぇ?』と聞いて来たのは、水瀬が今日女の子から貰ったチョコのことを差していたわけではなかったのだ。
「あっ石田っ」
石田の握られた手がごみ箱の上空に差し掛かって、水瀬は慌てて手を伸ばそうとして、体勢を崩して床に落下した。
「イッテー…」
「何してんだよ、バカ」
ぶつけた膝をさすっていたら、石田が水瀬の前に屈み込んだ。
痛いし格好悪いし、最悪だ。
何より、石田に翻弄されたのが、悔しい。
「何でもねぇよ」
差し出された石田の手(グーでないほう)をパシッと払って、水瀬は自分で立ち上がってベッドに戻った。
石田が苦笑しているのが、見なくても気配で分かる。おもしろくない。
「水瀬、みーなーせ」
「何だよっ、ッ、え?」
石田に名前を呼ばれるのすら鬱陶しくて、水瀬が声を荒げながら振り返ったら、バラバラと何かが目の前に落ちて来た。
「は? え? チロル?」
ベッドの上に散らばったのは、1個10円で買える小さな四角いチョコレート。
全部違う種類なのか、何だかカラフル。
「チョコ。上げる」
「……」
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ココアパウダーがたっぷり降り掛かったチョコの入った箱を石田に押し付け、枕に置きっ放しの食べ掛けのチョコもどかして、水瀬はベッドに転がった。
「水瀬、もう食わねぇの?」
「食わねぇ。もうチョコなんか、一生いらねぇ」
とっても無謀で、傍若無人なことをのたまって、水瀬は足をバタバタさせている。
そんなこと言って、どうせ何日かしたら、また何でもない顔でチョコを食べるくせに。
「ふぅん」
石田は水瀬の言葉には興味を示さず、食べ掛けのチョコをテーブルに置いた。
ちょうど水瀬に背を向けている状態なので、その表情が分からない。水瀬は足を止め、痩せているけれど、自分より少しだけ広い石田の背中を見つめた。
チョコを置いた石田は、投げ出されたままの制服を手にしている。
シャツは洗濯するからいいとして、ジャケットとスラックスはこのままにしておけないから、多分ハンガーにでも掛けるんだろう、まめなヤツだから。
そう思っていたら、石田がそのとおりの行動をするから、水瀬は少しだけ笑った。
「水瀬、チョコ、もう食わねぇ?」
石田が水瀬の制服を拾い上げたら、今日女の子から貰ったチョコの包みの山が崩れた。
だから、そのチョコのことを言ったんだと思ったんだ。
食いたいなら、石田、食べていいよ、て言おうとした、でもそれより先、石田のほうが口を開いた。
「じゃあこれ、いらないな」
「え? 何?」
石田は、自分の制服のポケットから何かを取り出したけれど、グーに握られたその手の中に、何が入っているのか見えない。
「何それ石田」
「お前がもう一生食わないモノ」
そう言われて水瀬はすぐに、その手の中身がチョコだと気が付いた。
先ほど石田が『チョコ、もう食わねぇ?』と聞いて来たのは、水瀬が今日女の子から貰ったチョコのことを差していたわけではなかったのだ。
「あっ石田っ」
石田の握られた手がごみ箱の上空に差し掛かって、水瀬は慌てて手を伸ばそうとして、体勢を崩して床に落下した。
「イッテー…」
「何してんだよ、バカ」
ぶつけた膝をさすっていたら、石田が水瀬の前に屈み込んだ。
痛いし格好悪いし、最悪だ。
何より、石田に翻弄されたのが、悔しい。
「何でもねぇよ」
差し出された石田の手(グーでないほう)をパシッと払って、水瀬は自分で立ち上がってベッドに戻った。
石田が苦笑しているのが、見なくても気配で分かる。おもしろくない。
「水瀬、みーなーせ」
「何だよっ、ッ、え?」
石田に名前を呼ばれるのすら鬱陶しくて、水瀬が声を荒げながら振り返ったら、バラバラと何かが目の前に落ちて来た。
「は? え? チロル?」
ベッドの上に散らばったのは、1個10円で買える小さな四角いチョコレート。
全部違う種類なのか、何だかカラフル。
「チョコ。上げる」
「……」
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