恋のはじまり10のお題
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- 04. 卑怯な不意打ち (中編) -2
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04. 卑怯な不意打ち (中編) -2
2008.04.16 Wed
急いで待ち合わせの場所に行くと、そこにはもう和哉がベンチに座ってて、足をプラプラさせてる。かわいー。
「お待たせ」
後ろから肩をポンって叩くと、ビックリして和哉は肩を跳ね上げた。
「あ、大樹」
「ゴメンね、遅くなって」
「ううん」
和哉は首を振りながら、ベンチから立ち上がった。
「ねぇ、大樹、何食べたい?」
小首を傾げるようにして、和哉が顔を覗き込んでくる。そのたびに心拍数を跳ね上げてる俺。まずいよなー、マジで。
「大樹?」
「あー……いや、和哉の食べたいのでいいよ?」
いつも女に言ってたようなことを言ったら、なぜか和哉が頬を膨らませた。
あれ? 何で?
「大樹の誕生日なんだから、俺の食べたいのじゃダメだろ! もぉー」
あぁー……何でこの子は、やることなすこと、言うこと全部がいちいちかわいいの? 何でこんなに俺のこと、メロメロにしちゃうの?
「じゃあ、パスタとかにする?」
「大樹、パスタ好きなの?」
「あぁ、うん」
「じゃあ、それにしよ!」
フワリ笑う、和哉。
もし和哉が彼女だったら、手とか繋いじゃうんだろうな、こういうとき。
でも俺たちお友達だし。
っていうか、男の子同士だし(何回も仲村に言われて、俺はやっと、自分が男が好きなホモだってことに気が付いた)。
でもホモって、世の中じゃマイノリティらしいんですよ。
だからいくら好きでも、外で手を繋ぐなんてもってのほかなんです!(っていうか、その前にまだ俺たち、お付き合いもしてないんですけどね!)
「どこのお店にするの?」
「え、あ…そうだなぁ」
とりあえず、最近のお気に入りの店でいっか。あそこは味もいいし、雰囲気もいい。
あーそういえば、仲村抜きで和哉とメシに行くなんて、もしかして初めてなんじゃねぇの?
これって、もしかして初デート!?
やべぇ、やべぇ、超舞い上がっちゃう!
「お待たせ」
後ろから肩をポンって叩くと、ビックリして和哉は肩を跳ね上げた。
「あ、大樹」
「ゴメンね、遅くなって」
「ううん」
和哉は首を振りながら、ベンチから立ち上がった。
「ねぇ、大樹、何食べたい?」
小首を傾げるようにして、和哉が顔を覗き込んでくる。そのたびに心拍数を跳ね上げてる俺。まずいよなー、マジで。
「大樹?」
「あー……いや、和哉の食べたいのでいいよ?」
いつも女に言ってたようなことを言ったら、なぜか和哉が頬を膨らませた。
あれ? 何で?
「大樹の誕生日なんだから、俺の食べたいのじゃダメだろ! もぉー」
あぁー……何でこの子は、やることなすこと、言うこと全部がいちいちかわいいの? 何でこんなに俺のこと、メロメロにしちゃうの?
「じゃあ、パスタとかにする?」
「大樹、パスタ好きなの?」
「あぁ、うん」
「じゃあ、それにしよ!」
フワリ笑う、和哉。
もし和哉が彼女だったら、手とか繋いじゃうんだろうな、こういうとき。
でも俺たちお友達だし。
っていうか、男の子同士だし(何回も仲村に言われて、俺はやっと、自分が男が好きなホモだってことに気が付いた)。
でもホモって、世の中じゃマイノリティらしいんですよ。
だからいくら好きでも、外で手を繋ぐなんてもってのほかなんです!(っていうか、その前にまだ俺たち、お付き合いもしてないんですけどね!)
「どこのお店にするの?」
「え、あ…そうだなぁ」
とりあえず、最近のお気に入りの店でいっか。あそこは味もいいし、雰囲気もいい。
あーそういえば、仲村抜きで和哉とメシに行くなんて、もしかして初めてなんじゃねぇの?
これって、もしかして初デート!?
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04. 卑怯な不意打ち (後編)
2008.04.17 Thu
「大樹、何かすごい嬉しそうだね」
「へ?」
パスタ屋で席に通されて、オーダーを終えたら、いきなりそんなことを言われた。いや、だってすごい嬉しいし。ってか、そんなに顔に出てたか? 俺。
「そりゃ嬉しいよ。誕生日祝ってもらってんだし」
「でも、俺だよ?」
「和哉だから嬉しいんじゃん」
「何それ。そういうの、彼女の言ってやりなよ。ってか、散々女の子に言ってきただろー」
俺は本心で言ったのに、あっさりと躱されてしまった。
しかも、今までの俺のことを見てきたような、そんなことまで言われて。
やっぱ俺って、そうやって遊んでるような男に見えるのかな。いや、間違ってはいないんだけど。でももうそういう遊びはやらないって決めたし。
「いや、ホントに嬉しいよ、ありがとう」
「……いや、別に…。それよりえっと、大樹もこれで23歳だよね?」
「え? いや、22だよ?」
「えっ、嘘!?」
「ホントだって。何で疑うの?」
マンガじゃないけど、ホントに目を真ん丸くして驚いてる和哉に、ちょっと吹き出してしまう。
「大樹って年下なの!?」
「えっ!?」
誰より!? って、和哉より、ってことだよね? この驚き方は。
「えっと……深沢さんはいくつになるんでしょうか…?」
「……10月で23歳…」
「年上!?」
見えねぇ!!
1つとはいえ、とても年上には見えない!
良くてタメ。でも絶対年下だって思ってた!!
「章ちゃんと同い年だと思ってたから、俺とも同じだって思ってた…」
「いや、俺も……」
年下だと思ってました―――とは、何となく失礼な気がして、言えないけれど。
「そっかー。でも10月が来るまでは、おんなじ22歳だね」
「え? あ、そうだね」
何そのかわいい発想!
もー、いちいち俺のツボを押さえてるよね、ホント!
「あ、そうだ。これ」
「え?」
ごそごそとカバンの中から何か取り出した和哉が、それを俺のほうに差し出してきた。
「え?」
「プレゼント、誕生日の」
「―――ッ…!!」
神様っ…!!
俺は夢でも見てるんじゃなかろうか…。
何この卑怯な不意打ち。ますます好きになっちゃうじゃん!
「あ、開けちゃってもいい?」
「うん。…………どう? 何か、そういうの、似合うかなぁ……って思って」
和哉からのプレゼント。
上品な感じのシルバーアクセ。
「大樹?」
「俺……幸せすぎて死んじゃいそう…」
「大袈裟なヤツ。自分の誕生日に死んじゃうなよ?」
だって、だって、誕生日に、まさか声が聞けるとも思っていなかった和哉から『おめでとう』って言ってもらって、一緒にメシ食いに行って、しかもプレゼントまで貰って……これでどうにかならなかったら、どうかしてる。
「そんなに喜んでもらえたら、俺も嬉しいけど」
あぁ……水沼大樹、22年間生きてきて、本当に良かった!
お母さん、産んでくれてありがとう!!
「へ?」
パスタ屋で席に通されて、オーダーを終えたら、いきなりそんなことを言われた。いや、だってすごい嬉しいし。ってか、そんなに顔に出てたか? 俺。
「そりゃ嬉しいよ。誕生日祝ってもらってんだし」
「でも、俺だよ?」
「和哉だから嬉しいんじゃん」
「何それ。そういうの、彼女の言ってやりなよ。ってか、散々女の子に言ってきただろー」
俺は本心で言ったのに、あっさりと躱されてしまった。
しかも、今までの俺のことを見てきたような、そんなことまで言われて。
やっぱ俺って、そうやって遊んでるような男に見えるのかな。いや、間違ってはいないんだけど。でももうそういう遊びはやらないって決めたし。
「いや、ホントに嬉しいよ、ありがとう」
「……いや、別に…。それよりえっと、大樹もこれで23歳だよね?」
「え? いや、22だよ?」
「えっ、嘘!?」
「ホントだって。何で疑うの?」
マンガじゃないけど、ホントに目を真ん丸くして驚いてる和哉に、ちょっと吹き出してしまう。
「大樹って年下なの!?」
「えっ!?」
誰より!? って、和哉より、ってことだよね? この驚き方は。
「えっと……深沢さんはいくつになるんでしょうか…?」
「……10月で23歳…」
「年上!?」
見えねぇ!!
1つとはいえ、とても年上には見えない!
良くてタメ。でも絶対年下だって思ってた!!
「章ちゃんと同い年だと思ってたから、俺とも同じだって思ってた…」
「いや、俺も……」
年下だと思ってました―――とは、何となく失礼な気がして、言えないけれど。
「そっかー。でも10月が来るまでは、おんなじ22歳だね」
「え? あ、そうだね」
何そのかわいい発想!
もー、いちいち俺のツボを押さえてるよね、ホント!
「あ、そうだ。これ」
「え?」
ごそごそとカバンの中から何か取り出した和哉が、それを俺のほうに差し出してきた。
「え?」
「プレゼント、誕生日の」
「―――ッ…!!」
神様っ…!!
俺は夢でも見てるんじゃなかろうか…。
何この卑怯な不意打ち。ますます好きになっちゃうじゃん!
「あ、開けちゃってもいい?」
「うん。…………どう? 何か、そういうの、似合うかなぁ……って思って」
和哉からのプレゼント。
上品な感じのシルバーアクセ。
「大樹?」
「俺……幸せすぎて死んじゃいそう…」
「大袈裟なヤツ。自分の誕生日に死んじゃうなよ?」
だって、だって、誕生日に、まさか声が聞けるとも思っていなかった和哉から『おめでとう』って言ってもらって、一緒にメシ食いに行って、しかもプレゼントまで貰って……これでどうにかならなかったら、どうかしてる。
「そんなに喜んでもらえたら、俺も嬉しいけど」
あぁ……水沼大樹、22年間生きてきて、本当に良かった!
お母さん、産んでくれてありがとう!!
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05. 意外
2008.04.18 Fri
「なぁ、今日どうする?」
お客が一段落したところで、棚におにぎりを並べていた仲村が声を掛けてきた。
「は? 今日って?」
「あれ? 雅人からメール来なかった? 今日ホラ、ナースと合コン」
あー……そういえばそんなメール来てたっけ。
「なぁ、行くだろ?」
「行かない」
「はっ!?」
ものすごい勢いで仲村が俺のほうを向いて、何か信じられないようなものを見るかのような目で、俺のことを見てる。
「何だよ、行かねぇよ、合コンなんて」
「だって……ナースだぜ? お前、そういうの、好きじゃん」
「好きじゃねぇよ。つーか合コンなんか行くわけねぇじゃん」
両手におにぎりを持ったまま、呆然と俺を見てる仲村。バカなこと言ってねぇで、さっさと陳列しろよ。
「お前、まさか……」
「何だよ」
「もしかしてそれって、和哉の影響…?」
そういえば、最近、仲村なしでも和哉とメシとか行けるようになったから、あんまりコイツとの会話に和哉の話題が上らなかったよな。
和哉がどのくらい仲村に俺と出掛けてること話してんのか知らないけど、この様子じゃ、全然話してないと見た。
「マジかよ…」
まだ、"信じられない"って顔しながら、仲村は陳列を再開する。
「そういや、雅人が言ってた。最近、お前全然ノッてこないって。女の子の誘いも全部断わってるって」
「だって俺、一途だもん。そういうことはしないの」
「へ、へぇ……一途、ねぇ…」
おにぎりの陳列を終えた仲村が、レジカウンターのほうにやって来る。
「な、なぁ……もうお付き合いとか、しちゃってるわけ?」
「バッ……こんなとこで聞いてくんなよ」
いくら客がいないっつったって、店の中なのに。
「どうなんだよ」
「してねぇよ、まだお友達です。たまに一緒に出掛けたりはするけど」
「お友達の間柄なのに、合コンに行くの、差し障るわけ?」
「だって、そんなとこ行って、軽いヤツだとか思われたくないし」
「…………」
俺の言葉がよっぽど意外だったのか、仲村は口を半開きにした間抜けな顔で俺の顔を見てる。
「俺は一途な男なんだよ」
「まさかお前の口から、そんな言葉を聞く日が来るなんて……」
お客が一段落したところで、棚におにぎりを並べていた仲村が声を掛けてきた。
「は? 今日って?」
「あれ? 雅人からメール来なかった? 今日ホラ、ナースと合コン」
あー……そういえばそんなメール来てたっけ。
「なぁ、行くだろ?」
「行かない」
「はっ!?」
ものすごい勢いで仲村が俺のほうを向いて、何か信じられないようなものを見るかのような目で、俺のことを見てる。
「何だよ、行かねぇよ、合コンなんて」
「だって……ナースだぜ? お前、そういうの、好きじゃん」
「好きじゃねぇよ。つーか合コンなんか行くわけねぇじゃん」
両手におにぎりを持ったまま、呆然と俺を見てる仲村。バカなこと言ってねぇで、さっさと陳列しろよ。
「お前、まさか……」
「何だよ」
「もしかしてそれって、和哉の影響…?」
そういえば、最近、仲村なしでも和哉とメシとか行けるようになったから、あんまりコイツとの会話に和哉の話題が上らなかったよな。
和哉がどのくらい仲村に俺と出掛けてること話してんのか知らないけど、この様子じゃ、全然話してないと見た。
「マジかよ…」
まだ、"信じられない"って顔しながら、仲村は陳列を再開する。
「そういや、雅人が言ってた。最近、お前全然ノッてこないって。女の子の誘いも全部断わってるって」
「だって俺、一途だもん。そういうことはしないの」
「へ、へぇ……一途、ねぇ…」
おにぎりの陳列を終えた仲村が、レジカウンターのほうにやって来る。
「な、なぁ……もうお付き合いとか、しちゃってるわけ?」
「バッ……こんなとこで聞いてくんなよ」
いくら客がいないっつったって、店の中なのに。
「どうなんだよ」
「してねぇよ、まだお友達です。たまに一緒に出掛けたりはするけど」
「お友達の間柄なのに、合コンに行くの、差し障るわけ?」
「だって、そんなとこ行って、軽いヤツだとか思われたくないし」
「…………」
俺の言葉がよっぽど意外だったのか、仲村は口を半開きにした間抜けな顔で俺の顔を見てる。
「俺は一途な男なんだよ」
「まさかお前の口から、そんな言葉を聞く日が来るなんて……」
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06. 仲良くなるたびに (前編)
2008.04.19 Sat
日増しに和哉と仲良くなってく俺だけど、出会って3か月。いまだ告白も出来ずに、とってもいいお友達関係を築いてます。
でも今日も2人で買い物とかに来て、俺にとってはデート気分。
「ゴメンね、せっかくの休みなのに、買い物付き合わせて」
一頻り店を見て回って、ようやく和哉の目的のものが購入できたんで、カフェに入ると、和哉が申し訳なさそうに両手を合わせた。
「別にいいって。俺は和哉に会えただけで嬉しいし」
「またそういうこと言うー」
「いや、ホントだって。嫌だったら買い物とか付き合わないから」
「ホント?」
メニューから目線だけ上げて、和哉が俺のほうを見た。いわゆる、上目遣い。やばい、鼻血出そう。
「でもさ、それにしたって大樹、最近、休みのたびに俺と一緒にいない?」
「え? そう? あ…もしかして、迷惑だった?」
「そうじゃないけど! だってさ、休みの日に俺とばっかいたら、大樹、女の子と遊びに行ったり出来ないじゃん?」
「はい?」
えっと……それはどういう気遣い?
「だって女の子とよく出掛けたりするんでしょ?」
「え?」
「合コン行ったりとか」
「え? え?」
えー……っと。
あ、その小首傾げてる姿、かわいいねー……って、そうじゃなくて!
「あの……和哉、俺のこと、そういうヤツだと、思ってた?」
「え?」
出来るだけ和哉には、軽いヤツだって思われたくなくて、今までの生活を悔い改めたんだけど……もしかして、全部水の泡?
「あの……何か、そういうふうな、遊んでるヤツっぽい?」
「あ、そうじゃなくて! だって大樹、女の子にもてるでしょ? 彼女とか、作らないのかなって……その、あの……ゴメン…」
焦ったように弁解したあと、和哉は視線を落とした。俺も何て言っていいか分かんなくて、黙っちゃって、何となく気まずいような空気。
そしたら、
「ご注文はお決まりですかー?」
って、ムダに明るいウェイトレスの声が響いて、和哉がビックリしたように顔を上げた。
「あ、えっと……」
「コーヒー2つと、このホワイトシフォンケーキ1つ」
和哉の手からメニューを奪い取って、俺はさっさと注文した。もちろんシフォンケーキは和哉用。こういう甘いものが好きなの、ちゃんと知ってるから。
でも今日も2人で買い物とかに来て、俺にとってはデート気分。
「ゴメンね、せっかくの休みなのに、買い物付き合わせて」
一頻り店を見て回って、ようやく和哉の目的のものが購入できたんで、カフェに入ると、和哉が申し訳なさそうに両手を合わせた。
「別にいいって。俺は和哉に会えただけで嬉しいし」
「またそういうこと言うー」
「いや、ホントだって。嫌だったら買い物とか付き合わないから」
「ホント?」
メニューから目線だけ上げて、和哉が俺のほうを見た。いわゆる、上目遣い。やばい、鼻血出そう。
「でもさ、それにしたって大樹、最近、休みのたびに俺と一緒にいない?」
「え? そう? あ…もしかして、迷惑だった?」
「そうじゃないけど! だってさ、休みの日に俺とばっかいたら、大樹、女の子と遊びに行ったり出来ないじゃん?」
「はい?」
えっと……それはどういう気遣い?
「だって女の子とよく出掛けたりするんでしょ?」
「え?」
「合コン行ったりとか」
「え? え?」
えー……っと。
あ、その小首傾げてる姿、かわいいねー……って、そうじゃなくて!
「あの……和哉、俺のこと、そういうヤツだと、思ってた?」
「え?」
出来るだけ和哉には、軽いヤツだって思われたくなくて、今までの生活を悔い改めたんだけど……もしかして、全部水の泡?
「あの……何か、そういうふうな、遊んでるヤツっぽい?」
「あ、そうじゃなくて! だって大樹、女の子にもてるでしょ? 彼女とか、作らないのかなって……その、あの……ゴメン…」
焦ったように弁解したあと、和哉は視線を落とした。俺も何て言っていいか分かんなくて、黙っちゃって、何となく気まずいような空気。
そしたら、
「ご注文はお決まりですかー?」
って、ムダに明るいウェイトレスの声が響いて、和哉がビックリしたように顔を上げた。
「あ、えっと……」
「コーヒー2つと、このホワイトシフォンケーキ1つ」
和哉の手からメニューを奪い取って、俺はさっさと注文した。もちろんシフォンケーキは和哉用。こういう甘いものが好きなの、ちゃんと知ってるから。
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06. 仲良くなるたびに (後編)
2008.04.20 Sun
「……ゴメン」
ウェイトレスが立ち去ると、和哉がもう1回謝ってきた。
「別に謝んなくても、」
「だって大樹、嫌な思いしたでしょ? ホントにゴメン」
「いいってば。平気」
だって今までずっとそうだったんだもん。この3か月だけが、今までと違うだけ。和哉と会ってからの、3か月。
「別に大樹のこと、そういうふうには思ってないよ。ホラ、普通はさ、男と遊びに行くより女の子のほうがいいのかなって。合コンとかも……章ちゃんがたまに行くから、その…」
気にしてないって言ってるのに、必死に捲くし立てる和哉が、何かかわいいな。
「気にしてないから。つーかあのハゲ、合コン行ったとか、そういうの和哉に話すの?」
「んー……ご飯食べに行こーって誘うと、時々合コンだからって断わられる」
「へぇ…和哉、一緒に行かないんだ?」
「……俺、そういうの、苦手だから。人見知りするし」
和哉グラスの水を氷ごと口に含んで、子供みたいに氷をガリガリと噛み砕いた。
「大樹は行ったことある?」
「え……あ、あー…」
まさかそういうふうに話を振って来られるとは思ってなくて、ちょっと言葉に詰まる。
今はもう行かないけど、"行ったことがある"かどうかを聞かれれば、"yes"と答えるほかない。でも合コンなんか行く男、軽いって思われちゃうかな?
「大樹?」
「あ、その……ないことも、ない」
って、何言ってんだ?
和哉もちょっとキョトンってなってる。それから小さく吹き出して。
「ないこともない、って、あるってことじゃないの?」
「……そうです」
嘘ついたって、どうせいつかはバレるんだ。しょうがないけど、ここは認めるしかない。
「でも最近はもう行かないから! そういうのはやめたの!」
「そうなの? あぁ、大樹、そういうの行かなくても、モテそうだもんね」
いやいやいやいや、そうじゃなくて!
和哉、お前のことを好きになったから、やめたんです!! …………言えないけど。
「…………どうでもいいヤツにモテたってしょうがないよ、ホントに好きなヤツに振り向いてもらえないなら」
「大樹、好きな子……いるの?」
「あー……まぁ。…………和哉は?」
「………………俺は……」
「お待たせしましたー」
和哉が口を開き掛けたところで、オーダーしてたコーヒーとシフォンケーキがやって来て、話が中断してしまう。ウエイトレスが完全に離れて行ったところで和哉に視線を向けると、困ったように肩を竦めてから、コーヒーに口を付けた―――途端。
「うぇっ…」
ものすごく嫌そうに顔を顰めた。え? まずい?
「苦い…」
「あぁ、」
砂糖もミルクも、何にも入れてないもんね。
自分が悪いくせに、むぅっとしてる和哉に、スティックシュガーとミルクのポーションを渡す。
「ありがと」
よほど苦いのが嫌だったんだろう、わざわざ和哉は水を飲んでから、砂糖とミルクをカップに入れた。
「ねぇ、和哉」
「ん?」
口直しとばかりに、クリームがたっぷり乗ったシフォンケーキを頬張る和哉に声を掛けると、フォークを口に銜えたまま顔を上げた。
「さっきの話、さぁ……」
「え?」
「好きなヤツの、話」
「俺のそんな話…………聞いてどうすんの?」
少し困ったように、和哉は目を伏せる。
「いや、その…」
「……俺は………………きっともう、誰も好きにならない」
「えっ?」
思い掛けない言葉に、ドキッとする。
「何で、って…………聞いてもいいの?」
「…………何でっていうか、大した理由じゃないよ。昔ちょっと嫌なことがあって。だからもう…………誰も、好きにはならない」
はっきりとそう言って、和哉はシフォンケーキにぶすりとフォークを突き立てた。
ウェイトレスが立ち去ると、和哉がもう1回謝ってきた。
「別に謝んなくても、」
「だって大樹、嫌な思いしたでしょ? ホントにゴメン」
「いいってば。平気」
だって今までずっとそうだったんだもん。この3か月だけが、今までと違うだけ。和哉と会ってからの、3か月。
「別に大樹のこと、そういうふうには思ってないよ。ホラ、普通はさ、男と遊びに行くより女の子のほうがいいのかなって。合コンとかも……章ちゃんがたまに行くから、その…」
気にしてないって言ってるのに、必死に捲くし立てる和哉が、何かかわいいな。
「気にしてないから。つーかあのハゲ、合コン行ったとか、そういうの和哉に話すの?」
「んー……ご飯食べに行こーって誘うと、時々合コンだからって断わられる」
「へぇ…和哉、一緒に行かないんだ?」
「……俺、そういうの、苦手だから。人見知りするし」
和哉グラスの水を氷ごと口に含んで、子供みたいに氷をガリガリと噛み砕いた。
「大樹は行ったことある?」
「え……あ、あー…」
まさかそういうふうに話を振って来られるとは思ってなくて、ちょっと言葉に詰まる。
今はもう行かないけど、"行ったことがある"かどうかを聞かれれば、"yes"と答えるほかない。でも合コンなんか行く男、軽いって思われちゃうかな?
「大樹?」
「あ、その……ないことも、ない」
って、何言ってんだ?
和哉もちょっとキョトンってなってる。それから小さく吹き出して。
「ないこともない、って、あるってことじゃないの?」
「……そうです」
嘘ついたって、どうせいつかはバレるんだ。しょうがないけど、ここは認めるしかない。
「でも最近はもう行かないから! そういうのはやめたの!」
「そうなの? あぁ、大樹、そういうの行かなくても、モテそうだもんね」
いやいやいやいや、そうじゃなくて!
和哉、お前のことを好きになったから、やめたんです!! …………言えないけど。
「…………どうでもいいヤツにモテたってしょうがないよ、ホントに好きなヤツに振り向いてもらえないなら」
「大樹、好きな子……いるの?」
「あー……まぁ。…………和哉は?」
「………………俺は……」
「お待たせしましたー」
和哉が口を開き掛けたところで、オーダーしてたコーヒーとシフォンケーキがやって来て、話が中断してしまう。ウエイトレスが完全に離れて行ったところで和哉に視線を向けると、困ったように肩を竦めてから、コーヒーに口を付けた―――途端。
「うぇっ…」
ものすごく嫌そうに顔を顰めた。え? まずい?
「苦い…」
「あぁ、」
砂糖もミルクも、何にも入れてないもんね。
自分が悪いくせに、むぅっとしてる和哉に、スティックシュガーとミルクのポーションを渡す。
「ありがと」
よほど苦いのが嫌だったんだろう、わざわざ和哉は水を飲んでから、砂糖とミルクをカップに入れた。
「ねぇ、和哉」
「ん?」
口直しとばかりに、クリームがたっぷり乗ったシフォンケーキを頬張る和哉に声を掛けると、フォークを口に銜えたまま顔を上げた。
「さっきの話、さぁ……」
「え?」
「好きなヤツの、話」
「俺のそんな話…………聞いてどうすんの?」
少し困ったように、和哉は目を伏せる。
「いや、その…」
「……俺は………………きっともう、誰も好きにならない」
「えっ?」
思い掛けない言葉に、ドキッとする。
「何で、って…………聞いてもいいの?」
「…………何でっていうか、大した理由じゃないよ。昔ちょっと嫌なことがあって。だからもう…………誰も、好きにはならない」
はっきりとそう言って、和哉はシフォンケーキにぶすりとフォークを突き立てた。
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