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06. 仲良くなるたびに (後編)
2008.04.20 Sun
「……ゴメン」
ウェイトレスが立ち去ると、和哉がもう1回謝ってきた。
「別に謝んなくても、」
「だって大樹、嫌な思いしたでしょ? ホントにゴメン」
「いいってば。平気」
だって今までずっとそうだったんだもん。この3か月だけが、今までと違うだけ。和哉と会ってからの、3か月。
「別に大樹のこと、そういうふうには思ってないよ。ホラ、普通はさ、男と遊びに行くより女の子のほうがいいのかなって。合コンとかも……章ちゃんがたまに行くから、その…」
気にしてないって言ってるのに、必死に捲くし立てる和哉が、何かかわいいな。
「気にしてないから。つーかあのハゲ、合コン行ったとか、そういうの和哉に話すの?」
「んー……ご飯食べに行こーって誘うと、時々合コンだからって断わられる」
「へぇ…和哉、一緒に行かないんだ?」
「……俺、そういうの、苦手だから。人見知りするし」
和哉グラスの水を氷ごと口に含んで、子供みたいに氷をガリガリと噛み砕いた。
「大樹は行ったことある?」
「え……あ、あー…」
まさかそういうふうに話を振って来られるとは思ってなくて、ちょっと言葉に詰まる。
今はもう行かないけど、"行ったことがある"かどうかを聞かれれば、"yes"と答えるほかない。でも合コンなんか行く男、軽いって思われちゃうかな?
「大樹?」
「あ、その……ないことも、ない」
って、何言ってんだ?
和哉もちょっとキョトンってなってる。それから小さく吹き出して。
「ないこともない、って、あるってことじゃないの?」
「……そうです」
嘘ついたって、どうせいつかはバレるんだ。しょうがないけど、ここは認めるしかない。
「でも最近はもう行かないから! そういうのはやめたの!」
「そうなの? あぁ、大樹、そういうの行かなくても、モテそうだもんね」
いやいやいやいや、そうじゃなくて!
和哉、お前のことを好きになったから、やめたんです!! …………言えないけど。
「…………どうでもいいヤツにモテたってしょうがないよ、ホントに好きなヤツに振り向いてもらえないなら」
「大樹、好きな子……いるの?」
「あー……まぁ。…………和哉は?」
「………………俺は……」
「お待たせしましたー」
和哉が口を開き掛けたところで、オーダーしてたコーヒーとシフォンケーキがやって来て、話が中断してしまう。ウエイトレスが完全に離れて行ったところで和哉に視線を向けると、困ったように肩を竦めてから、コーヒーに口を付けた―――途端。
「うぇっ…」
ものすごく嫌そうに顔を顰めた。え? まずい?
「苦い…」
「あぁ、」
砂糖もミルクも、何にも入れてないもんね。
自分が悪いくせに、むぅっとしてる和哉に、スティックシュガーとミルクのポーションを渡す。
「ありがと」
よほど苦いのが嫌だったんだろう、わざわざ和哉は水を飲んでから、砂糖とミルクをカップに入れた。
「ねぇ、和哉」
「ん?」
口直しとばかりに、クリームがたっぷり乗ったシフォンケーキを頬張る和哉に声を掛けると、フォークを口に銜えたまま顔を上げた。
「さっきの話、さぁ……」
「え?」
「好きなヤツの、話」
「俺のそんな話…………聞いてどうすんの?」
少し困ったように、和哉は目を伏せる。
「いや、その…」
「……俺は………………きっともう、誰も好きにならない」
「えっ?」
思い掛けない言葉に、ドキッとする。
「何で、って…………聞いてもいいの?」
「…………何でっていうか、大した理由じゃないよ。昔ちょっと嫌なことがあって。だからもう…………誰も、好きにはならない」
はっきりとそう言って、和哉はシフォンケーキにぶすりとフォークを突き立てた。
ウェイトレスが立ち去ると、和哉がもう1回謝ってきた。
「別に謝んなくても、」
「だって大樹、嫌な思いしたでしょ? ホントにゴメン」
「いいってば。平気」
だって今までずっとそうだったんだもん。この3か月だけが、今までと違うだけ。和哉と会ってからの、3か月。
「別に大樹のこと、そういうふうには思ってないよ。ホラ、普通はさ、男と遊びに行くより女の子のほうがいいのかなって。合コンとかも……章ちゃんがたまに行くから、その…」
気にしてないって言ってるのに、必死に捲くし立てる和哉が、何かかわいいな。
「気にしてないから。つーかあのハゲ、合コン行ったとか、そういうの和哉に話すの?」
「んー……ご飯食べに行こーって誘うと、時々合コンだからって断わられる」
「へぇ…和哉、一緒に行かないんだ?」
「……俺、そういうの、苦手だから。人見知りするし」
和哉グラスの水を氷ごと口に含んで、子供みたいに氷をガリガリと噛み砕いた。
「大樹は行ったことある?」
「え……あ、あー…」
まさかそういうふうに話を振って来られるとは思ってなくて、ちょっと言葉に詰まる。
今はもう行かないけど、"行ったことがある"かどうかを聞かれれば、"yes"と答えるほかない。でも合コンなんか行く男、軽いって思われちゃうかな?
「大樹?」
「あ、その……ないことも、ない」
って、何言ってんだ?
和哉もちょっとキョトンってなってる。それから小さく吹き出して。
「ないこともない、って、あるってことじゃないの?」
「……そうです」
嘘ついたって、どうせいつかはバレるんだ。しょうがないけど、ここは認めるしかない。
「でも最近はもう行かないから! そういうのはやめたの!」
「そうなの? あぁ、大樹、そういうの行かなくても、モテそうだもんね」
いやいやいやいや、そうじゃなくて!
和哉、お前のことを好きになったから、やめたんです!! …………言えないけど。
「…………どうでもいいヤツにモテたってしょうがないよ、ホントに好きなヤツに振り向いてもらえないなら」
「大樹、好きな子……いるの?」
「あー……まぁ。…………和哉は?」
「………………俺は……」
「お待たせしましたー」
和哉が口を開き掛けたところで、オーダーしてたコーヒーとシフォンケーキがやって来て、話が中断してしまう。ウエイトレスが完全に離れて行ったところで和哉に視線を向けると、困ったように肩を竦めてから、コーヒーに口を付けた―――途端。
「うぇっ…」
ものすごく嫌そうに顔を顰めた。え? まずい?
「苦い…」
「あぁ、」
砂糖もミルクも、何にも入れてないもんね。
自分が悪いくせに、むぅっとしてる和哉に、スティックシュガーとミルクのポーションを渡す。
「ありがと」
よほど苦いのが嫌だったんだろう、わざわざ和哉は水を飲んでから、砂糖とミルクをカップに入れた。
「ねぇ、和哉」
「ん?」
口直しとばかりに、クリームがたっぷり乗ったシフォンケーキを頬張る和哉に声を掛けると、フォークを口に銜えたまま顔を上げた。
「さっきの話、さぁ……」
「え?」
「好きなヤツの、話」
「俺のそんな話…………聞いてどうすんの?」
少し困ったように、和哉は目を伏せる。
「いや、その…」
「……俺は………………きっともう、誰も好きにならない」
「えっ?」
思い掛けない言葉に、ドキッとする。
「何で、って…………聞いてもいいの?」
「…………何でっていうか、大した理由じゃないよ。昔ちょっと嫌なことがあって。だからもう…………誰も、好きにはならない」
はっきりとそう言って、和哉はシフォンケーキにぶすりとフォークを突き立てた。
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