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10月 寝ても覚めても考えるのは。 (6)
2009.05.24 Sun
呆然とする和衣の上、顔を上げた翔真が、ジッと和衣のことを見据えていた。
和衣はもう1度、翔真を呼んだ。
「……あ…」
「ショウちゃ…」
「――――…………ッ、あ、ゴメ…!」
急に我に返ったのか、翔真はハッと和衣から離れた。
けれど和衣は、逃げるなら今しかないのに、和衣はその場から動けなかった。
「ショウちゃん…」
ゆっくりと起き上がる。
翔真はベッドの隅で、ぼんやりとその様子を眺めている。
「どうしたの…?」
先ほどまで本気で怖いと思っていたのに、今はもう、翔真からその雰囲気はない。
和衣は、まるで子どもに話し掛けるよう、翔真の目を見ながら声を掛けた。
「ゴメン、カズ…」
翔真は、やっとの思いで声を絞り出した。
自分が何をしたのか分からない、なんて、そんなことはない。
今まで築き上げてきた友情を、あっけなく崩壊させるところだった。
「ゴメン! ゴメン、カズ…」
和衣と目を合わせるのが怖くて、翔真はその体を押し退けてベッドを下りた。
「ショウちゃん、大丈夫?」
「…え…?」
「最近、ずっと変だったし…」
どんな理由であれ、自分はとんでもなく酷いことをしようとしたのに、和衣はそれでも心配そうに声を掛けてくれる。
「俺、そんなに変だった?」
「え…だって、何かボーっとしてること多いし、それに何か……いっつもイライラしてる感じだった。……何かあったの?」
「別に、そうじゃないけど…」
彼女と別れて。
寝ても覚めても頭の中を占めているのは、真大のことで。
もうわけが分からなくて。
「何かショウちゃんらしくないよ?」
「……、…だよね」
翔真は溜め息をついて、ベッドに腰掛けた。
あんなことがあった直後なのに、和衣は怯えることなく隣に座る。
「俺らしくないよな、ホント」
思わず苦笑い。
和衣は一体、何を翔真らしいと思い、今の翔真の何をらしくないと言うのだろう。そして自分は、それの一体何を分かって、返事をしているのだろう。
確かに、親友にあんなことをしようとしたのは、らしくないのかもしれないけれど、ボーっとしたり、イライラしたり、そんなの俺らしくない?
そういえばずっと前、蒼一郎にも言われことがある。焦ったり慌てたりとか、顔に出さない、て。
けれど翔真だってただの人だから、感情はあるし、楽しいことばかりでない、苛付くこともあるのに。
けれど。
「…だよね。俺らしくない」
翔真は、自分に言い聞かせるみたいにして、もう1度、そう言った。
そうだ、こんなのは自分らしくない。
いつまでも過去の恋を引き摺るのは、自分らしくない。
1人の人に、ずっととらわれたままでいるのは、そんなの自分らしくないから。
別れた彼女のことは忘れよう。
いつまでも真大に拘るのもやめよう。
そして早く、新しい、気軽な恋を探そう。
きっとそれが、自分らしいから。
和衣はもう1度、翔真を呼んだ。
「……あ…」
「ショウちゃ…」
「――――…………ッ、あ、ゴメ…!」
急に我に返ったのか、翔真はハッと和衣から離れた。
けれど和衣は、逃げるなら今しかないのに、和衣はその場から動けなかった。
「ショウちゃん…」
ゆっくりと起き上がる。
翔真はベッドの隅で、ぼんやりとその様子を眺めている。
「どうしたの…?」
先ほどまで本気で怖いと思っていたのに、今はもう、翔真からその雰囲気はない。
和衣は、まるで子どもに話し掛けるよう、翔真の目を見ながら声を掛けた。
「ゴメン、カズ…」
翔真は、やっとの思いで声を絞り出した。
自分が何をしたのか分からない、なんて、そんなことはない。
今まで築き上げてきた友情を、あっけなく崩壊させるところだった。
「ゴメン! ゴメン、カズ…」
和衣と目を合わせるのが怖くて、翔真はその体を押し退けてベッドを下りた。
「ショウちゃん、大丈夫?」
「…え…?」
「最近、ずっと変だったし…」
どんな理由であれ、自分はとんでもなく酷いことをしようとしたのに、和衣はそれでも心配そうに声を掛けてくれる。
「俺、そんなに変だった?」
「え…だって、何かボーっとしてること多いし、それに何か……いっつもイライラしてる感じだった。……何かあったの?」
「別に、そうじゃないけど…」
彼女と別れて。
寝ても覚めても頭の中を占めているのは、真大のことで。
もうわけが分からなくて。
「何かショウちゃんらしくないよ?」
「……、…だよね」
翔真は溜め息をついて、ベッドに腰掛けた。
あんなことがあった直後なのに、和衣は怯えることなく隣に座る。
「俺らしくないよな、ホント」
思わず苦笑い。
和衣は一体、何を翔真らしいと思い、今の翔真の何をらしくないと言うのだろう。そして自分は、それの一体何を分かって、返事をしているのだろう。
確かに、親友にあんなことをしようとしたのは、らしくないのかもしれないけれど、ボーっとしたり、イライラしたり、そんなの俺らしくない?
そういえばずっと前、蒼一郎にも言われことがある。焦ったり慌てたりとか、顔に出さない、て。
けれど翔真だってただの人だから、感情はあるし、楽しいことばかりでない、苛付くこともあるのに。
けれど。
「…だよね。俺らしくない」
翔真は、自分に言い聞かせるみたいにして、もう1度、そう言った。
そうだ、こんなのは自分らしくない。
いつまでも過去の恋を引き摺るのは、自分らしくない。
1人の人に、ずっととらわれたままでいるのは、そんなの自分らしくないから。
別れた彼女のことは忘れよう。
いつまでも真大に拘るのもやめよう。
そして早く、新しい、気軽な恋を探そう。
きっとそれが、自分らしいから。
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COMMENT-FORM
柚子季杏 ⇒ 翔ちゃん~~(;´Д`)
何だか切ないですねぇ…。
人が作ったイメージに副わなくて良いんだよ?
カズちゃんも翔ちゃんが参ってる事に気付いてたんですね。
でもグルグルと自分でも自分の内面が分からなくなってる時に、この言葉は結構来ますねぇ。
変な方向に行かなきゃいいけど…(;´Д`)
あぁ~~ん、でも、やっぱり攻めたんの凹な展開は大好物( ´艸`)ムププ♪
人が作ったイメージに副わなくて良いんだよ?
カズちゃんも翔ちゃんが参ってる事に気付いてたんですね。
でもグルグルと自分でも自分の内面が分からなくなってる時に、この言葉は結構来ますねぇ。
変な方向に行かなきゃいいけど…(;´Д`)
あぁ~~ん、でも、やっぱり攻めたんの凹な展開は大好物( ´艸`)ムププ♪
如月久美子 ⇒ >柚子季さん
ずっと翔ちゃんは、いい子で空気の読める大人、て感じで思われてきて。
それが嫌なわけではないけれど、今はそう思われるのがちょっと苦痛になっている模様。
> でもグルグルと自分でも自分の内面が分からなくなってる時に、この言葉は結構来ますねぇ。
そうなんです。
自分は普通なのに、いつもと違うみたいに言われて、余計にイライラ…。
すっかり悪循環に陥ってます。
> あぁ~~ん、でも、やっぱり攻めたんの凹な展開は大好物( ´艸`)ムププ♪
( ̄ー+ ̄)ニヤリ
コメントありがとうございました!
それが嫌なわけではないけれど、今はそう思われるのがちょっと苦痛になっている模様。
> でもグルグルと自分でも自分の内面が分からなくなってる時に、この言葉は結構来ますねぇ。
そうなんです。
自分は普通なのに、いつもと違うみたいに言われて、余計にイライラ…。
すっかり悪循環に陥ってます。
> あぁ~~ん、でも、やっぱり攻めたんの凹な展開は大好物( ´艸`)ムププ♪
( ̄ー+ ̄)ニヤリ
コメントありがとうございました!