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10月 寝ても覚めても考えるのは。 (7)
2009.05.25 Mon
「真大!」
寮の廊下、背後から掛けられた声に、真大はギクリと固まった。
ここのところ、ずっと避けていた人――――蒼一郎。
同じ建物で生活しているとはいえ、部屋のある階が違うから、会うことなんてないと高を括っていたが、どちらかが会おうと思って訪れてくれば、簡単に会えるものなのだ。
「――――…………何、蒼ちゃん」
真大は出来るだけ普通に、何でもないように振り返った。
相変わらず、優しくてお人よしな性格とは裏腹の、チャラついた格好。そのギャップに何だか笑っちゃう、とか何とか、誰かが言ってたっけ。
「どうしたの?」
何でもないふうに笑ったら、蒼一郎は少し困った顔をした。
ヤダな、そんな顔をさせたくないから、普通にしているのに。
「話……したいんだけど、いい?」
「どうぞ」
「いや、ここじゃなくて…、えと、真大の部屋、今誰かいる?」
「…いないと思うけど」
廊下で立ち話できないようなこと、そんな話のある間柄になってしまったのだと、真大は密かに思った。
どんなに普通にしていても、どんなに何でもないように振る舞っていても、やはり前のようにはいられないのだ。
「お邪魔しまーす」
律儀に挨拶をして、蒼一郎が上がり込んでくる。
蒼一郎が真大の部屋に来るのは、前期のテスト前、分からないところを聞きに行って以来だ。
「で、何の用? どうしたの?」
「あー……うん。何かその…最近、俺ら、あんま話とかしなくなったなぁ、て思って」
「そうだね」
蒼一郎が部屋の真ん中で所在なさげに突っ立っているから、真大は部屋の真ん中に置いてあるローテーブルの前に座って、蒼一郎もそこに促した。
「真大、俺のこと、避けてる?」
「え、避けてないよ。だって今、部屋にも入れてんじゃん」
「いや、そうなんだけど、普段…」
蒼一郎が何を言いたいのかは分かる。
今まで、鬱陶しがられないのが不思議なくらい、ずっとそばをチョロチョロしていたくせに、今となっては、学校で会っても挨拶を交わすくらいで、まともに話なんかしていないのだから。
蒼一郎と郁雅の関係を知ってしまった以上、2人の仲を邪魔するようなマネ、出来ないし。
だってそんな、奪ってみせるとか、そんなこと出来るわけない。
蒼一郎のことは大好きだし、郁雅だって大切な友だちだから、悲しませたくないし、裏切りたくないから。
それに、失恋した相手と、今までみたいに一緒にいるなんて、たとえ真大だって、そこまで図太い神経はしていない。
以前のように笑い合えるようになるには、まだ時間が欲しいよ。
寮の廊下、背後から掛けられた声に、真大はギクリと固まった。
ここのところ、ずっと避けていた人――――蒼一郎。
同じ建物で生活しているとはいえ、部屋のある階が違うから、会うことなんてないと高を括っていたが、どちらかが会おうと思って訪れてくれば、簡単に会えるものなのだ。
「――――…………何、蒼ちゃん」
真大は出来るだけ普通に、何でもないように振り返った。
相変わらず、優しくてお人よしな性格とは裏腹の、チャラついた格好。そのギャップに何だか笑っちゃう、とか何とか、誰かが言ってたっけ。
「どうしたの?」
何でもないふうに笑ったら、蒼一郎は少し困った顔をした。
ヤダな、そんな顔をさせたくないから、普通にしているのに。
「話……したいんだけど、いい?」
「どうぞ」
「いや、ここじゃなくて…、えと、真大の部屋、今誰かいる?」
「…いないと思うけど」
廊下で立ち話できないようなこと、そんな話のある間柄になってしまったのだと、真大は密かに思った。
どんなに普通にしていても、どんなに何でもないように振る舞っていても、やはり前のようにはいられないのだ。
「お邪魔しまーす」
律儀に挨拶をして、蒼一郎が上がり込んでくる。
蒼一郎が真大の部屋に来るのは、前期のテスト前、分からないところを聞きに行って以来だ。
「で、何の用? どうしたの?」
「あー……うん。何かその…最近、俺ら、あんま話とかしなくなったなぁ、て思って」
「そうだね」
蒼一郎が部屋の真ん中で所在なさげに突っ立っているから、真大は部屋の真ん中に置いてあるローテーブルの前に座って、蒼一郎もそこに促した。
「真大、俺のこと、避けてる?」
「え、避けてないよ。だって今、部屋にも入れてんじゃん」
「いや、そうなんだけど、普段…」
蒼一郎が何を言いたいのかは分かる。
今まで、鬱陶しがられないのが不思議なくらい、ずっとそばをチョロチョロしていたくせに、今となっては、学校で会っても挨拶を交わすくらいで、まともに話なんかしていないのだから。
蒼一郎と郁雅の関係を知ってしまった以上、2人の仲を邪魔するようなマネ、出来ないし。
だってそんな、奪ってみせるとか、そんなこと出来るわけない。
蒼一郎のことは大好きだし、郁雅だって大切な友だちだから、悲しませたくないし、裏切りたくないから。
それに、失恋した相手と、今までみたいに一緒にいるなんて、たとえ真大だって、そこまで図太い神経はしていない。
以前のように笑い合えるようになるには、まだ時間が欲しいよ。
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カテゴリー:恋するカレンダー12題
テーマ:自作BL小説 ジャンル:小説・文学
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COMMENT-FORM
柚子季杏 ⇒ マヒロたんはマヒロたんで
切ないですねぇ。
翔ちゃんに簡単に乗り換えた彼女をずっと引き摺ってきたマヒロたん。
元々一途なんですよね。
あからさまに避けちゃうって気持ちも分かる。時間が欲しいって感情も分かる。
分かるけど…蒼ちゃんと郁たんにとったら、急にガラッと態度変えられちゃったら、やっぱり辛いよなぁ。
でも…内緒にし続けて来た蒼ちゃんにも責任はあるし。
翔ちゃんがグルグルしてる間に、こちらはこちらでグルグルですね(;´Д`)
青春してるなぁーー( ̄ー ̄)ニヤリッ
翔ちゃんに簡単に乗り換えた彼女をずっと引き摺ってきたマヒロたん。
元々一途なんですよね。
あからさまに避けちゃうって気持ちも分かる。時間が欲しいって感情も分かる。
分かるけど…蒼ちゃんと郁たんにとったら、急にガラッと態度変えられちゃったら、やっぱり辛いよなぁ。
でも…内緒にし続けて来た蒼ちゃんにも責任はあるし。
翔ちゃんがグルグルしてる間に、こちらはこちらでグルグルですね(;´Д`)
青春してるなぁーー( ̄ー ̄)ニヤリッ
りり ⇒ 真大ちゃんにしてみたら
好きな人と付き合っていたのは友達で、それを自分だけが知らなくて…、
バカみたいで惨めで、今まで通りにって言う方が難しいですよね。
蒼ちゃんもどうしようもなかったんだろうけど、残酷なことになってしまいましたね。
真大ちゃんが失恋の痛みを乗り越えてくれないと新しい恋は始まらないだろうしなあ。
翔ちゃんは自分でもよく分からない気持ちに悶々としているし。
この子達が歩み寄るにはまだ時間がかかりそうですね~。
それにしてもカズちゃん…可愛かったなあ。
ゆっちと結ばれて浮き浮きしちゃって。
ゆっちはどんな顔しているのか知りたいなあと思っちゃいました(*´∇`*)
バカみたいで惨めで、今まで通りにって言う方が難しいですよね。
蒼ちゃんもどうしようもなかったんだろうけど、残酷なことになってしまいましたね。
真大ちゃんが失恋の痛みを乗り越えてくれないと新しい恋は始まらないだろうしなあ。
翔ちゃんは自分でもよく分からない気持ちに悶々としているし。
この子達が歩み寄るにはまだ時間がかかりそうですね~。
それにしてもカズちゃん…可愛かったなあ。
ゆっちと結ばれて浮き浮きしちゃって。
ゆっちはどんな顔しているのか知りたいなあと思っちゃいました(*´∇`*)
如月久美子 ⇒ >柚子季さん
真大タンと蒼ちゃんのことも、どこかで触れておかないとなぁ…てことで、こんな形で登場しました。
ホントは前みたく蒼ちゃんと一緒にいたいけれど、どうしていいか分からない、て感じです。
素直じゃないのが、彼の売りなんで(笑)
> 翔ちゃんがグルグルしてる間に、こちらはこちらでグルグルですね(;´Д`)
そうなんです~。
悩んでるのは翔ちゃんだけじゃないんです。
青春しまくり。
いい時代です(←
コメントありがとうございました!
ホントは前みたく蒼ちゃんと一緒にいたいけれど、どうしていいか分からない、て感じです。
素直じゃないのが、彼の売りなんで(笑)
> 翔ちゃんがグルグルしてる間に、こちらはこちらでグルグルですね(;´Д`)
そうなんです~。
悩んでるのは翔ちゃんだけじゃないんです。
青春しまくり。
いい時代です(←
コメントありがとうございました!
如月久美子 ⇒ >りりさん
真大タンも、蒼ちゃんの気持ちは分かってるけれど、でも気持ちがそれに付いていかないような、そんな状態です。
責めてもしょうがないけど、責めたいような、複雑な気持ちで。
> 真大ちゃんが失恋の痛みを乗り越えてくれないと新しい恋は始まらないだろうしなあ。
そうですよね。
これを乗り越えないことには、何も始まらないわけで。
でも真大タンは、高校のころといい、つらい思いばかりしてて、ちょっと不憫です(自分で書いてて…)
> それにしてもカズちゃん…可愛かったなあ。
> ゆっちと結ばれて浮き浮きしちゃって。
ありがとうございま~す!
女子高生というよりは、女子中学生のノリですよね(笑)
> ゆっちはどんな顔しているのか知りたいなあと思っちゃいました(*´∇`*)
ゆっちさんとカズちゃんのドキドキ初体験編は、番外編として執筆中ですので、そのうち日の目を見るかもです。
コメントありがとうございました!
責めてもしょうがないけど、責めたいような、複雑な気持ちで。
> 真大ちゃんが失恋の痛みを乗り越えてくれないと新しい恋は始まらないだろうしなあ。
そうですよね。
これを乗り越えないことには、何も始まらないわけで。
でも真大タンは、高校のころといい、つらい思いばかりしてて、ちょっと不憫です(自分で書いてて…)
> それにしてもカズちゃん…可愛かったなあ。
> ゆっちと結ばれて浮き浮きしちゃって。
ありがとうございま~す!
女子高生というよりは、女子中学生のノリですよね(笑)
> ゆっちはどんな顔しているのか知りたいなあと思っちゃいました(*´∇`*)
ゆっちさんとカズちゃんのドキドキ初体験編は、番外編として執筆中ですので、そのうち日の目を見るかもです。
コメントありがとうございました!