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9月 目があう回数が不自然です。 (1)
2009.05.05 Tue
蒼一郎と郁雅の関係を、真大に気付かせてしまったと、和衣が謝ったとき、「今までバレなかったのが不思議なくらいだし、気にしないで」と蒼一郎は笑った。
和衣はときどき、端で見ているほうがハラハラするようなことを平気で言うことがあるが、その実、後ですごく落ち込んだり、些細なことを苦にしたりするタイプだから、今回のことも、ずっと気にしていたに違いない。
「蒼ってさ、真大の気持ち、気付いてたの?」
和衣が出て行って、2人だけになった部屋、翔真は尋ねた。
「ショウちゃん、前もそんなこと聞いて来たよね?」
「そんときはお前、何も答えなかったよな?」
「……、…全然、何にも気付かなかった――――とか言えるほど、鈍感だったらよかったんだけどね」
蒼一郎はそう言って、溜め息を零した。
真大の態度は、お世辞にも、その気持ちをうまく隠しているとは言えなかった。
蒼一郎のことが大好きだということが全身から溢れていたし、それをごまかそうともしなかった。
「何となく分かってたけど、別に告られたわけでもないし、俺には郁がいるし、ずるいかもしれないけど、真大が何も言ってこないなら、気付かないふりしよう、て思ってたんだ」
「別に、ずるいとは思わないけど…」
誰だって、人を傷付けたいとは思わない。たとえそれが不可抗力だとしても。
今回はこんな形で、真大は事実を知ってしまったけれど、どんな状況だったとしても、蒼一郎が郁雅を選ぶ限り、無傷ではいられなかった。
安易な逃げ方だけれど、知らなければ傷付けずに済むのなら、きっと翔真だって同じことをする。
「…真大ってさ、ホントにお前らのこと、気付いてなかったのかな?」
「え?」
だって、それこそしょっちゅう一緒にいて、蒼一郎のことを見ていたのに。
真大の態度があからさまだったように、蒼一郎と郁雅だって、友人としてと言うには仲がよすぎて、何もないとしても勘繰りたくなるほどだった。
それを、あの勘のいい真大が気付かないなんてこと。
「もしかしたら、気付かないふり、してたのかな、て思うんだ」
「え?」
「俺が、真大の気持ち、気付かないふりしてたみたいに、真大も何となく感じ取ってても、気付かないふり、してたのかも」
だって、知ってしまえば。
気付いてしまえば、自分の想いを終わらせなければならない。
蒼一郎からも、他の誰からも、直接言われたわけではない。だとしたら、一縷の望みに賭けようとするのは、真大でなくなって、きっとそうする。
それに、もし告白して、けれど気持ちが通じ合わなかったときは、もう今までのようには一緒にいられない。
ずっと一緒にいるには、何も気付かないふりをしているのが、もしかしたらよかったのかもしれない。
「ずっとこのままでなんて、いられるはずなかったのにね」
「……」
和衣はときどき、端で見ているほうがハラハラするようなことを平気で言うことがあるが、その実、後ですごく落ち込んだり、些細なことを苦にしたりするタイプだから、今回のことも、ずっと気にしていたに違いない。
「蒼ってさ、真大の気持ち、気付いてたの?」
和衣が出て行って、2人だけになった部屋、翔真は尋ねた。
「ショウちゃん、前もそんなこと聞いて来たよね?」
「そんときはお前、何も答えなかったよな?」
「……、…全然、何にも気付かなかった――――とか言えるほど、鈍感だったらよかったんだけどね」
蒼一郎はそう言って、溜め息を零した。
真大の態度は、お世辞にも、その気持ちをうまく隠しているとは言えなかった。
蒼一郎のことが大好きだということが全身から溢れていたし、それをごまかそうともしなかった。
「何となく分かってたけど、別に告られたわけでもないし、俺には郁がいるし、ずるいかもしれないけど、真大が何も言ってこないなら、気付かないふりしよう、て思ってたんだ」
「別に、ずるいとは思わないけど…」
誰だって、人を傷付けたいとは思わない。たとえそれが不可抗力だとしても。
今回はこんな形で、真大は事実を知ってしまったけれど、どんな状況だったとしても、蒼一郎が郁雅を選ぶ限り、無傷ではいられなかった。
安易な逃げ方だけれど、知らなければ傷付けずに済むのなら、きっと翔真だって同じことをする。
「…真大ってさ、ホントにお前らのこと、気付いてなかったのかな?」
「え?」
だって、それこそしょっちゅう一緒にいて、蒼一郎のことを見ていたのに。
真大の態度があからさまだったように、蒼一郎と郁雅だって、友人としてと言うには仲がよすぎて、何もないとしても勘繰りたくなるほどだった。
それを、あの勘のいい真大が気付かないなんてこと。
「もしかしたら、気付かないふり、してたのかな、て思うんだ」
「え?」
「俺が、真大の気持ち、気付かないふりしてたみたいに、真大も何となく感じ取ってても、気付かないふり、してたのかも」
だって、知ってしまえば。
気付いてしまえば、自分の想いを終わらせなければならない。
蒼一郎からも、他の誰からも、直接言われたわけではない。だとしたら、一縷の望みに賭けようとするのは、真大でなくなって、きっとそうする。
それに、もし告白して、けれど気持ちが通じ合わなかったときは、もう今までのようには一緒にいられない。
ずっと一緒にいるには、何も気付かないふりをしているのが、もしかしたらよかったのかもしれない。
「ずっとこのままでなんて、いられるはずなかったのにね」
「……」
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カテゴリー:恋するカレンダー12題
テーマ:自作BL小説 ジャンル:小説・文学
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COMMENT-FORM
伽羅 ⇒ そうか・・・
真大くん・・・ 知ってたんだ・・・。
なんかそう思うと苦しいよね・・・。
ここのお話を拝見すると
若者の気持ちがヒシヒシと伝わってきます。
う~~~ん・・・。 素晴らしい!!
若いっていいなぁ・・・ ←(いつものセリフ/笑)
なんかそう思うと苦しいよね・・・。
ここのお話を拝見すると
若者の気持ちがヒシヒシと伝わってきます。
う~~~ん・・・。 素晴らしい!!
若いっていいなぁ・・・ ←(いつものセリフ/笑)
- |2009.05.05
- |Tue
- |09:48
- |URL
- |EDIT|
柚子季杏 ⇒ 切ないねぇ。
別に、誰も悪いことしたわけじゃないのにね。
「恋」って時に残酷だから(;´Д`)
あ~~~むずむずする!!
遠い昔に忘れてきた甘酸っぱい気持ち、如月さんのところに来ると思い出させてもらえます(///∇//)テレテレ☆
さて、これからどうなるのかなぁ~?
「恋」って時に残酷だから(;´Д`)
あ~~~むずむずする!!
遠い昔に忘れてきた甘酸っぱい気持ち、如月さんのところに来ると思い出させてもらえます(///∇//)テレテレ☆
さて、これからどうなるのかなぁ~?
如月久美子 ⇒ >伽羅さん
真大タンも聡い子なので、何も知らなかったとは考えがたいんですよね。
知ってても、分かってても、気付きたくないことって……うん、確かに自分にもあったかな、と。
> 若者の気持ちがヒシヒシと伝わってきます。
はい、まさにこの気持ちです(笑)
> 若いっていいなぁ・・・ ←(いつものセリフ/笑)
むはっ。
書いてる私も、しょっちゅう思ってます!!
コメントありがとうございました!
知ってても、分かってても、気付きたくないことって……うん、確かに自分にもあったかな、と。
> 若者の気持ちがヒシヒシと伝わってきます。
はい、まさにこの気持ちです(笑)
> 若いっていいなぁ・・・ ←(いつものセリフ/笑)
むはっ。
書いてる私も、しょっちゅう思ってます!!
コメントありがとうございました!
如月久美子 ⇒ >柚子季さん
> 別に、誰も悪いことしたわけじゃないのにね。
そうなんです。
それぞれが、それぞれなりに、良かれと思ってしたことが、結果としてこんなことに…。
> 遠い昔に忘れてきた甘酸っぱい気持ち、如月さんのところに来ると思い出させてもらえます(///∇//)テレテレ☆
むはぁ~~~。
書いてる私も、むずむずなんですよぉ~。
そう言ってもらえると、本当に嬉しいです~。
コメントありがとうございました!
そうなんです。
それぞれが、それぞれなりに、良かれと思ってしたことが、結果としてこんなことに…。
> 遠い昔に忘れてきた甘酸っぱい気持ち、如月さんのところに来ると思い出させてもらえます(///∇//)テレテレ☆
むはぁ~~~。
書いてる私も、むずむずなんですよぉ~。
そう言ってもらえると、本当に嬉しいです~。
コメントありがとうございました!