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7月 なぜだか夢で会いました。 (12)
2009.04.20 Mon
「ゆっちのバーカ」
「、いきなり人の部屋来て、何だよお前」
「バカだからバカっつったの」
思いがけず鍵の開いていた祐介の部屋に入れば、机に向かっていた祐介がすごく嫌そうに睦月を見た。
机に向かっていたといっても、本もノートも、何も広がっていない。
睦月は立て続けに文句を言って、祐介のベッドに転がった。
「ちょっ、睦月、何して…」
「いいじゃん、俺、今日ここで寝る」
「お前がそこで寝たら、俺はどこで寝たらいいんだよ」
「隣空いてんじゃん」
すでに帰郷した同室者のベッド。
ずぼらな性格なのか、帰省してしばらくはここに戻ってこないだろうに、ベッドから抜け出したときのままの格好で、ふとんがグチャグチャになっている。
祐介は、2つのベッドを見比べた後、溜め息をついて椅子に座り直した。
やはりあのグチャグチャのベッドでは、寝る気にならないようで、しかも、どうせ睦月も口だけで、そのうち帰るだろうと踏んでいるらしい。
「ゆっちってさぁ」
睦月がやって来て、何かしなければ話に付き合わされると思ったのだろう、祐介は取って付けたように、カバンの中から手帳を取り出して広げた。
ベッドの中の睦月はその様子を眺めながら、聞こえないふりでもするつもりの祐介に構わず、話し始めた。
「ゆっちって、昔から、何でも自分で解決してたよね」
「…何、急に」
祐介がゆっくりと睦月を振り返った。
「相談とかさ、あんましないじゃん? 昔から。何で?」
「何でって…」
そんなこと言われても、困る。
別に意識してそうしてきたわけではないし、自分では必要なときは相談なり、話なりして来たつもりだ。
「睦月こそ、何で急にそんなこと、……どうしたの?」
「知りたくなったから。何でなの?」
「別に理由なんかないよ、そんなの」
「ふぅん」
さらに追及されるのかと思ったが、睦月は急に興味をなくしたように、ゴロリと転がって、タオルケットに包まった。
「ちょ、おま…ホントにそこで寝る気かよ」
「寝るってば。だって俺のベッド塞がってるし、他に寝るとこない」
「は? 塞がって…て、何で?」
「亮が寝てるから」
「はぁ?」
ますます意味が分からない。
亮と睦月は同じ部屋だから、誰がどっちのベッドを使おうと知ったことではないが、亮が睦月のベッドを使っているのなら、もう片方のベッドが空いているのでは?
何も人の部屋まで来て寝なくとも、そちらで寝ればいいのではなかろうか。
「だって亮のベッド、カズちゃんが使ってるし」
「え…?」
「てことで、俺の部屋のベッドは全部埋まってるのです。だから俺はここで寝る」
「ちょっ待っ…、和衣、お前の部屋にいんの?」
「いるけど?」
驚いた祐介が、慌てて睦月のタオルケットを引っぺがすものだから、包まっていた睦月はひどく鬱陶しそうに祐介を見た。
「何で和衣がお前の部屋にいんだよ!」
「別にいいじゃん、いたって。何怒ってんだよ、お前」
狼狽している祐介をよそに、睦月はゆっくりと起き上がって、息をついた。
「カズちゃん、泣いてたよ」
「え…」
「何驚いた顔してんの? お前が泣かせたくせに」
「俺が…」
「分かってんだろ? カズちゃんさぁ、張り詰めすぎちゃって、もうパンクしちゃいそうだよ」
「…」
やはり思い当たることはあるようで、祐介は視線を彷徨わせている。
いくら睦月が鈍感だって、そんな祐介の態度に気付かないはずもなくて、呆れたように祐介を見ている。
「カズちゃん、お前が何も話してくんないて言ってたよ」
「何も、て…」
隠し事をするというわけではないが、祐介が昔からあまり自分のことや思っていることを表に出さないタイプで、睦月はもう慣れていて何とも思わないけれど、和衣は違う。
だって、恋人だから。
友だちと、恋人は、だって違うから。
やっぱり何だって打ち明けてほしいし、分かってあげたい、て思うから。
「カズちゃん泣かせてまで話せないこと、て何?」
「そんなの…」
「別に俺には言わなくてもいいけどさ。何かな、て思っただけ。もう寝る!」
「え、おい、ちょっ…」
そう言ってタオルケットに包まる睦月に、祐介は慌てるが、今度はタオルケットを引っ張ったところで、睦月は顔を覗かせなかった。
「もうお前と話すことなし! 後はカズちゃんに話せ!」
「ちょ、睦月!」
一方的に話を打ち切られ、戸惑いながらもう1度声を掛けてみたが、睦月からはもう反応がない。
何となく後味の悪い、嫌な終わり方。
(話すことないとか…)
けれど、同じセリフを和衣に言ったのは、他ならぬ祐介で。
言われてみてやっと気付いたけれど、結構ショックな言葉だ。
(――――バカなのは俺だ)
しかも睦月に言われて思い知るとか。
昔からずっと、ずっと面倒を見てきたつもりになっていたけれど、いつの間にか睦月も自立していて、こんなふうに気付かせてくれる。
「……ありがと、睦月」
ほんの少しだけ、タオルケットの膨らみが動いた気がした。
「、いきなり人の部屋来て、何だよお前」
「バカだからバカっつったの」
思いがけず鍵の開いていた祐介の部屋に入れば、机に向かっていた祐介がすごく嫌そうに睦月を見た。
机に向かっていたといっても、本もノートも、何も広がっていない。
睦月は立て続けに文句を言って、祐介のベッドに転がった。
「ちょっ、睦月、何して…」
「いいじゃん、俺、今日ここで寝る」
「お前がそこで寝たら、俺はどこで寝たらいいんだよ」
「隣空いてんじゃん」
すでに帰郷した同室者のベッド。
ずぼらな性格なのか、帰省してしばらくはここに戻ってこないだろうに、ベッドから抜け出したときのままの格好で、ふとんがグチャグチャになっている。
祐介は、2つのベッドを見比べた後、溜め息をついて椅子に座り直した。
やはりあのグチャグチャのベッドでは、寝る気にならないようで、しかも、どうせ睦月も口だけで、そのうち帰るだろうと踏んでいるらしい。
「ゆっちってさぁ」
睦月がやって来て、何かしなければ話に付き合わされると思ったのだろう、祐介は取って付けたように、カバンの中から手帳を取り出して広げた。
ベッドの中の睦月はその様子を眺めながら、聞こえないふりでもするつもりの祐介に構わず、話し始めた。
「ゆっちって、昔から、何でも自分で解決してたよね」
「…何、急に」
祐介がゆっくりと睦月を振り返った。
「相談とかさ、あんましないじゃん? 昔から。何で?」
「何でって…」
そんなこと言われても、困る。
別に意識してそうしてきたわけではないし、自分では必要なときは相談なり、話なりして来たつもりだ。
「睦月こそ、何で急にそんなこと、……どうしたの?」
「知りたくなったから。何でなの?」
「別に理由なんかないよ、そんなの」
「ふぅん」
さらに追及されるのかと思ったが、睦月は急に興味をなくしたように、ゴロリと転がって、タオルケットに包まった。
「ちょ、おま…ホントにそこで寝る気かよ」
「寝るってば。だって俺のベッド塞がってるし、他に寝るとこない」
「は? 塞がって…て、何で?」
「亮が寝てるから」
「はぁ?」
ますます意味が分からない。
亮と睦月は同じ部屋だから、誰がどっちのベッドを使おうと知ったことではないが、亮が睦月のベッドを使っているのなら、もう片方のベッドが空いているのでは?
何も人の部屋まで来て寝なくとも、そちらで寝ればいいのではなかろうか。
「だって亮のベッド、カズちゃんが使ってるし」
「え…?」
「てことで、俺の部屋のベッドは全部埋まってるのです。だから俺はここで寝る」
「ちょっ待っ…、和衣、お前の部屋にいんの?」
「いるけど?」
驚いた祐介が、慌てて睦月のタオルケットを引っぺがすものだから、包まっていた睦月はひどく鬱陶しそうに祐介を見た。
「何で和衣がお前の部屋にいんだよ!」
「別にいいじゃん、いたって。何怒ってんだよ、お前」
狼狽している祐介をよそに、睦月はゆっくりと起き上がって、息をついた。
「カズちゃん、泣いてたよ」
「え…」
「何驚いた顔してんの? お前が泣かせたくせに」
「俺が…」
「分かってんだろ? カズちゃんさぁ、張り詰めすぎちゃって、もうパンクしちゃいそうだよ」
「…」
やはり思い当たることはあるようで、祐介は視線を彷徨わせている。
いくら睦月が鈍感だって、そんな祐介の態度に気付かないはずもなくて、呆れたように祐介を見ている。
「カズちゃん、お前が何も話してくんないて言ってたよ」
「何も、て…」
隠し事をするというわけではないが、祐介が昔からあまり自分のことや思っていることを表に出さないタイプで、睦月はもう慣れていて何とも思わないけれど、和衣は違う。
だって、恋人だから。
友だちと、恋人は、だって違うから。
やっぱり何だって打ち明けてほしいし、分かってあげたい、て思うから。
「カズちゃん泣かせてまで話せないこと、て何?」
「そんなの…」
「別に俺には言わなくてもいいけどさ。何かな、て思っただけ。もう寝る!」
「え、おい、ちょっ…」
そう言ってタオルケットに包まる睦月に、祐介は慌てるが、今度はタオルケットを引っ張ったところで、睦月は顔を覗かせなかった。
「もうお前と話すことなし! 後はカズちゃんに話せ!」
「ちょ、睦月!」
一方的に話を打ち切られ、戸惑いながらもう1度声を掛けてみたが、睦月からはもう反応がない。
何となく後味の悪い、嫌な終わり方。
(話すことないとか…)
けれど、同じセリフを和衣に言ったのは、他ならぬ祐介で。
言われてみてやっと気付いたけれど、結構ショックな言葉だ。
(――――バカなのは俺だ)
しかも睦月に言われて思い知るとか。
昔からずっと、ずっと面倒を見てきたつもりになっていたけれど、いつの間にか睦月も自立していて、こんなふうに気付かせてくれる。
「……ありがと、睦月」
ほんの少しだけ、タオルケットの膨らみが動いた気がした。
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COMMENT-FORM
りり ⇒ むっちゃん
グッジョブ! ( ̄一* ̄)b
きょうのむっちゃんはとても男前だー。
いつの間にか成長して、ゆっち達のことをたすけて上げようとしてるむっちゃん。
これでゆっちも、自分の気持ちカズちゃんに伝えられるかな…?
きょうのむっちゃんはとても男前だー。
いつの間にか成長して、ゆっち達のことをたすけて上げようとしてるむっちゃん。
これでゆっちも、自分の気持ちカズちゃんに伝えられるかな…?
柚子季杏 ⇒ (*・ω-)bグッジョブ!
むっちゃんナイスー!!
よくぞ気付かせてくれた゜+.゜.(⊃Д`*)゜+.゜
そうだよゆっち、言葉にしなきゃ伝わらない事って
きっと沢山あるんだよ!
大切な人が相手なら尚更ね(*´∀`*)
頑張れー!!
よくぞ気付かせてくれた゜+.゜.(⊃Д`*)゜+.゜
そうだよゆっち、言葉にしなきゃ伝わらない事って
きっと沢山あるんだよ!
大切な人が相手なら尚更ね(*´∀`*)
頑張れー!!
如月久美子 ⇒ >りりさん
お姫むっちゃんも、今回ばかりは男前です!
好きだからこそ、言いたいことを言えずにいるカズちゃんに対して、こちらは遠慮がありませんからね(苦笑)
> これでゆっちも、自分の気持ちカズちゃんに伝えられるかな…?
早くカズちゃんの切ない回を脱出したいです~。
コメントありがとうございました!
好きだからこそ、言いたいことを言えずにいるカズちゃんに対して、こちらは遠慮がありませんからね(苦笑)
> これでゆっちも、自分の気持ちカズちゃんに伝えられるかな…?
早くカズちゃんの切ない回を脱出したいです~。
コメントありがとうございました!
如月久美子 ⇒ >柚子季さん
男前むっちゃん、人のことになると、鈍感さはどこへやら。
いろいろがんばってくれます。
> そうだよゆっち、言葉にしなきゃ伝わらない事って
> きっと沢山あるんだよ!
ゆっちさんもカズちゃんも、相手のことが好きすぎて、言いたいことが言えない状態になってたんですよね。
そんなときでもむっちゃんは、素直にストレートです。
> 頑張れー!!
力強い応援、ありがとうございます!
しっかりと言って聞かせます(笑)
コメントありがとうございました!
いろいろがんばってくれます。
> そうだよゆっち、言葉にしなきゃ伝わらない事って
> きっと沢山あるんだよ!
ゆっちさんもカズちゃんも、相手のことが好きすぎて、言いたいことが言えない状態になってたんですよね。
そんなときでもむっちゃんは、素直にストレートです。
> 頑張れー!!
力強い応援、ありがとうございます!
しっかりと言って聞かせます(笑)
コメントありがとうございました!