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7月 なぜだか夢で会いました。 (11)
2009.04.19 Sun
夜になって帰って来た亮が、いつもの調子で部屋のドアを開けると、「シーッ!」と、睦月に思い切り睨まれた。
「え、何?」
そんなにうるさく入って来たつもりもないが、静かにしろという睦月からのサインに、思わず声を潜ませて尋ねた。
「カズちゃん寝てるんだから、静かにして!」
「え、カズ?」
寝てる、て? と亮が部屋を見渡せば、なぜか和衣が、亮のベッドで寝ていた。
「何でカズが俺のベッドで寝てんの…?」
「泣き疲れて寝ちゃったから、俺がベッドまで運んだの」
「いや、睦月が運んだのはいいんだけど、何で俺のベッドなの?」
「だって俺のベッドに寝かせたら、俺が寝れないじゃん」
「……」
確かに睦月の言い分は間違っていないが、だとしたら、同じ理屈で亮だって寝ることが出来ないということを、睦月は本気で分かっていないのだろうか。
「俺、カズと添い寝なんて、ちょっと嫌なんだけど…」
子どものころは一緒に寝たこともあるけれど、この年になって、何も1つのベッドで寝たくはない。
しかも泣き疲れて寝たということは、一緒のふとんに入って添い寝をする以上、やはり何か慰めてやったりしなければならないのかとも思うし。
「カズちゃんだって、お前と一緒に寝るとか、嫌がると思うよ」
「じゃあ、むっちゃんのベッドで寝かせてくれる? 一緒に寝よ?」
「むっちゃんとか、キモイ。つーか、暑くて狭いからヤダ」
ちょっとだけかわいくおねだりしてみたら、あっさりバッサリ、しかも何だか全否定ぽくて、亮は少し落ち込んだ。
「おい、じゃあ俺はどこ行きゃーいいんだよ」
「何とかして」
「……、祐介んとこ行こうかな…。一緒の部屋のヤツ、もう実家帰ったって言うし…」
「ダメ」
至極まっとうなことを言ったつもりなのに、睦月からすかさず反論の声が上がった。
「あんなバカのとこなんか行くな」
「ひどい言い草だな、おい」
「バカだよ、あんなヤツ」
ひどく憤慨している様子の睦月に、亮は眉を寄せた。
今までそれとなく祐介への文句は聞いてきたが、睦月が、こんな言い方で祐介を貶すようなことなんて、1度だってなかったのに。
「え、もしかしてカズが泣いたとかって、まさか祐介…?」
「よく分かんないんだけど、ケンカしたみたい。でもカズちゃん、何かすごい自分のこと責めてるし…」
「ウッソ、コイツらが?」
だって和衣はべた惚れ過ぎるくらい祐介に惚れているし、祐介だって本当に和衣のことを大事にしているのに。
「でも、だとしたって、ケンカくらいすんじゃん」
「ま、普段あんま口に出さないヤツほど、心の中で何思ってんのか分かんねぇしな。実は祐介もいろいろ考えてんのかもよ?」
「何で口に出さないの?」
「え、そりゃ、言いたくないことだって…」
「あるかもしんないけど、でもそれでカズちゃん傷付けて、……それでもいいの?」
睦月にまっすぐに見つめられ、亮は返す言葉がなかった。
人には、たとえ愛する人にだって、いや、愛する人にだからこそ、言いたくないことだとか言えないことだってある。
いくら睦月だって、それが分からないことはないだろう。
でも睦月の言うとおり、そのことでまた、愛する人を傷付けてしまうことだってあって、それでも言わないままでおきたいことなんて、一体何があるだろう。
「…亮、俺のベッドで寝ていいよ」
「へぇっ?」
「俺がゆっちのとこで寝る」
「…………、えぇっ!?」
驚いて素っ頓狂な声を上げる亮を置いて、睦月は部屋を出て行った。
「え、何?」
そんなにうるさく入って来たつもりもないが、静かにしろという睦月からのサインに、思わず声を潜ませて尋ねた。
「カズちゃん寝てるんだから、静かにして!」
「え、カズ?」
寝てる、て? と亮が部屋を見渡せば、なぜか和衣が、亮のベッドで寝ていた。
「何でカズが俺のベッドで寝てんの…?」
「泣き疲れて寝ちゃったから、俺がベッドまで運んだの」
「いや、睦月が運んだのはいいんだけど、何で俺のベッドなの?」
「だって俺のベッドに寝かせたら、俺が寝れないじゃん」
「……」
確かに睦月の言い分は間違っていないが、だとしたら、同じ理屈で亮だって寝ることが出来ないということを、睦月は本気で分かっていないのだろうか。
「俺、カズと添い寝なんて、ちょっと嫌なんだけど…」
子どものころは一緒に寝たこともあるけれど、この年になって、何も1つのベッドで寝たくはない。
しかも泣き疲れて寝たということは、一緒のふとんに入って添い寝をする以上、やはり何か慰めてやったりしなければならないのかとも思うし。
「カズちゃんだって、お前と一緒に寝るとか、嫌がると思うよ」
「じゃあ、むっちゃんのベッドで寝かせてくれる? 一緒に寝よ?」
「むっちゃんとか、キモイ。つーか、暑くて狭いからヤダ」
ちょっとだけかわいくおねだりしてみたら、あっさりバッサリ、しかも何だか全否定ぽくて、亮は少し落ち込んだ。
「おい、じゃあ俺はどこ行きゃーいいんだよ」
「何とかして」
「……、祐介んとこ行こうかな…。一緒の部屋のヤツ、もう実家帰ったって言うし…」
「ダメ」
至極まっとうなことを言ったつもりなのに、睦月からすかさず反論の声が上がった。
「あんなバカのとこなんか行くな」
「ひどい言い草だな、おい」
「バカだよ、あんなヤツ」
ひどく憤慨している様子の睦月に、亮は眉を寄せた。
今までそれとなく祐介への文句は聞いてきたが、睦月が、こんな言い方で祐介を貶すようなことなんて、1度だってなかったのに。
「え、もしかしてカズが泣いたとかって、まさか祐介…?」
「よく分かんないんだけど、ケンカしたみたい。でもカズちゃん、何かすごい自分のこと責めてるし…」
「ウッソ、コイツらが?」
だって和衣はべた惚れ過ぎるくらい祐介に惚れているし、祐介だって本当に和衣のことを大事にしているのに。
「でも、だとしたって、ケンカくらいすんじゃん」
「ま、普段あんま口に出さないヤツほど、心の中で何思ってんのか分かんねぇしな。実は祐介もいろいろ考えてんのかもよ?」
「何で口に出さないの?」
「え、そりゃ、言いたくないことだって…」
「あるかもしんないけど、でもそれでカズちゃん傷付けて、……それでもいいの?」
睦月にまっすぐに見つめられ、亮は返す言葉がなかった。
人には、たとえ愛する人にだって、いや、愛する人にだからこそ、言いたくないことだとか言えないことだってある。
いくら睦月だって、それが分からないことはないだろう。
でも睦月の言うとおり、そのことでまた、愛する人を傷付けてしまうことだってあって、それでも言わないままでおきたいことなんて、一体何があるだろう。
「…亮、俺のベッドで寝ていいよ」
「へぇっ?」
「俺がゆっちのとこで寝る」
「…………、えぇっ!?」
驚いて素っ頓狂な声を上げる亮を置いて、睦月は部屋を出て行った。
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カテゴリー:恋するカレンダー12題
テーマ:自作BL小説 ジャンル:小説・文学
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COMMENT-FORM
伽羅 ⇒ あぁ
亮ちゃんが祐くんのお話を聞いてあげればいいんだっ!!
そうだよねぇ~~♪ ニンマリ
好きだからこそ言えない言葉って凄くあると思います。
本当は何でも言い合えるのが理想の形なんだろうけど、
実際は相手の事考えると言えないし、ヤキモチだと思われるのも嫌だよね・・・ムフフ
どうやって解決するのか楽しみにしてます。
そうだよねぇ~~♪ ニンマリ
好きだからこそ言えない言葉って凄くあると思います。
本当は何でも言い合えるのが理想の形なんだろうけど、
実際は相手の事考えると言えないし、ヤキモチだと思われるのも嫌だよね・・・ムフフ
どうやって解決するのか楽しみにしてます。
- |2009.04.19
- |Sun
- |10:30
- |URL
- |EDIT|
柚子季杏 ⇒ むっちゃん…w
相変わらず報われない亮たん…爆
寝ていい言われても…って感じですよね( ´艸`)ムププ♪
むっちゃん、ゆっちと話するつもりなのかな?
幼馴染ならでは。
でも…むっちゃんだから余計ゆっちも言えないかも?
んーーどうなるんだ?気になる!!
伽羅さんのコメにうんうん頷いてしまいました。
本当、相手を好きだからこそ自分を良く見せたかったり、心配掛けたくなくて言えない言葉があったり…恋愛って難しいからこそ止められないのかもしれないですね~。
寝ていい言われても…って感じですよね( ´艸`)ムププ♪
むっちゃん、ゆっちと話するつもりなのかな?
幼馴染ならでは。
でも…むっちゃんだから余計ゆっちも言えないかも?
んーーどうなるんだ?気になる!!
伽羅さんのコメにうんうん頷いてしまいました。
本当、相手を好きだからこそ自分を良く見せたかったり、心配掛けたくなくて言えない言葉があったり…恋愛って難しいからこそ止められないのかもしれないですね~。
如月久美子 ⇒ >伽羅さん
カズちゃん、根はものすごいヤキモチ妬きなのに、それがゆっちにバレたくないという思いも人一倍強いんで、1人でグルグルしちゃってます。
> 好きだからこそ言えない言葉って凄くあると思います。
カズちゃんも、頭では分かっているんですけど、自分のこととなると、さっぱりのようで…(苦笑)
素直で一途だから、何で言ってくれないの~?? て、なってます。
しかも自分で自分を責めてしまうんで…。
早く仲直りさせたいです~。
コメントありがとうございました!
> 好きだからこそ言えない言葉って凄くあると思います。
カズちゃんも、頭では分かっているんですけど、自分のこととなると、さっぱりのようで…(苦笑)
素直で一途だから、何で言ってくれないの~?? て、なってます。
しかも自分で自分を責めてしまうんで…。
早く仲直りさせたいです~。
コメントありがとうございました!
如月久美子 ⇒ >柚子季さん
お姫むっちゃん、今回は随分と男前です。
自分もカズちゃんからいっぱい心配されているので、カズちゃんを泣かすのは、ゆっちでも許さん! て感じです。
> 伽羅さんのコメにうんうん頷いてしまいました。
> 本当、相手を好きだからこそ自分を良く見せたかったり、心配掛けたくなくて言えない言葉があったり…恋愛って難しいからこそ止められないのかもしれないですね~。
難しいからこそ止められない……確かにそうかもしれないですね。
カズちゃんも、今は苦しいけれど、いつかはそう思える日が来るのかな?
コメントありがとうございました!
自分もカズちゃんからいっぱい心配されているので、カズちゃんを泣かすのは、ゆっちでも許さん! て感じです。
> 伽羅さんのコメにうんうん頷いてしまいました。
> 本当、相手を好きだからこそ自分を良く見せたかったり、心配掛けたくなくて言えない言葉があったり…恋愛って難しいからこそ止められないのかもしれないですね~。
難しいからこそ止められない……確かにそうかもしれないですね。
カズちゃんも、今は苦しいけれど、いつかはそう思える日が来るのかな?
コメントありがとうございました!
りり ⇒ 今日の可哀想な子=亮たん
「むっちゃんとか、キモイ。つーか、暑くて狭いからヤダ」
…亮たん不憫だ…。
そしてゆっちの話を聞くつもりなんだろうけど、ゆっちのところに行ってしまうむっちゃん。
…亮たんかなり不憫だ…。
恋人同士のはずなのに甘いムードが漂わないこのふたり。
和ちゃんゆっちは心配だけど、誤解さえ解ければ心配ない気がする、
お互いを思う気持ちは伝わってくるから。
わたしはさり気に亮たんむっちゃんの方が気になる。
むっちゃんの中で、亮たんがどういう位置づけになってるのか。
ご飯以外のところで、例えばバイトの後の送る係はカズちゃんだし、襲われたときに助けてくれるイメージのはまだゆっちだし。分散しちゃってますよ、頼りにする人が。
亮たん、頑張れ。
…亮たん不憫だ…。
そしてゆっちの話を聞くつもりなんだろうけど、ゆっちのところに行ってしまうむっちゃん。
…亮たんかなり不憫だ…。
恋人同士のはずなのに甘いムードが漂わないこのふたり。
和ちゃんゆっちは心配だけど、誤解さえ解ければ心配ない気がする、
お互いを思う気持ちは伝わってくるから。
わたしはさり気に亮たんむっちゃんの方が気になる。
むっちゃんの中で、亮たんがどういう位置づけになってるのか。
ご飯以外のところで、例えばバイトの後の送る係はカズちゃんだし、襲われたときに助けてくれるイメージのはまだゆっちだし。分散しちゃってますよ、頼りにする人が。
亮たん、頑張れ。
如月久美子 ⇒ >りりさん
ホント、むっちゃん、亮タンのことを何だと思ってるんでしょうね…。
恋愛慣れしてないから、亮は恋人だけど、ゆっちは大事、カズちゃんも大事、みんな大好き、みたいな(苦笑)
> 亮たん、頑張れ。
いつか亮タンが報われるお話も書かないと、ですね。
コメントありがとうございました!
恋愛慣れしてないから、亮は恋人だけど、ゆっちは大事、カズちゃんも大事、みんな大好き、みたいな(苦笑)
> 亮たん、頑張れ。
いつか亮タンが報われるお話も書かないと、ですね。
コメントありがとうございました!