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7月 なぜだか夢で会いました。 (9)
2009.04.17 Fri
「どうしよう…やっぱ俺、お盆に帰るの、やめようかな…」
翔真に言われるまで、全然気付かなかった自分の鈍感さが、恨めしい。
こんなことなら、もっとちゃんとシフト表を見ておけばよかった、と、睦月と別れてからも、和衣はずっと思い続けていた。
「和衣」
「今から勤務の変更とか出来るかな?」
「かーずい」
「え?」
1人で悶々と悩み続けていた和衣は、自分を呼ぶ声にようやく我に返った。
祐介の部屋。
同室者がさっさと帰省したと聞いて、和衣はさっそくやって来たのだ。
「ねぇ祐介、どう思う?」
「…バイトのこと?」
「うん」
和衣はすごく真剣に悩んで、まじめな質問をしているのに、祐介の表情は何だかうんざりしているようにも見える。
「睦月がいいって言ってるんだから、いいんじゃないの」
「でも!」
いつもだったら、誰よりも睦月のことを心配するはずの祐介らしからぬセリフに、思わず和衣も声を大きくしてしまう。
「もし何かあったらどうすんの!?」
「そうだけど」
「やっぱ俺、バイト…」
「和衣!」
まだバイトの話を続けようとする和衣に、祐介が声を荒げた。
今まで、付き合うようになってからはもちろんのこと、出会ってからだって1度もこんな強い口調の祐介は見たことがなくて、和衣は驚いて少し怯んでしまった。
「祐介…?」
「和衣の気持ちは分かるけど、そこまで睦月に合わせなくたって、」
「でも!」
「最近和衣、口を開けばその話ばっかだよ」
「そんなことないよ! …ねぇ、祐介、何で怒ってんの?」
怒らせるつもりなんかない。
怒らせたくなんかないのに、けれどそんな和衣の気持ちとは裏腹に、自分の何かしらの態度が祐介を怒らせているのも事実で。
「別に怒ってるわけじゃないよ」
「でも怒ってるでしょ?」
「そうじゃないって」
苛立たしげに溜め息をついて、祐介は体ごと和衣から視線を外す。
まるで、もう話すことなんかないと言っているようだ。
「何で何も言ってくんないの…?」
「…え?」
「祐介こそ、最近ずっとそんなじゃん! 言いたいことあるなら、言ってよ!」
「別に、」
ゆっくりと、和衣のほうを向き直った祐介は、けれど何かを話し出そうとはしない。
和衣は、キュッと唇を噛んだ。そうでなければ、泣き出してしまいそうだった。
「…言いたいことはないけど、」
「ッ…、それは、俺とは話したくないってこと?」
「そういう意味じゃないよ」
「嘘、そういうふうに聞こえるもん! もういいよっ」
「和衣!」
和衣が祐介に背を向けるのと、祐介が椅子から立ち上がるのは、ほぼ同時だった。
しかし伸ばされた祐介の手をすり抜けて、部屋を飛び出してしまう。
祐介は追いかけようと1歩踏み出したけれど、目の前でバタンとうるさく閉じたドアを、開けることは出来なかった。
「クソッ」
祐介は忌々しげに、壁を殴った。
翔真に言われるまで、全然気付かなかった自分の鈍感さが、恨めしい。
こんなことなら、もっとちゃんとシフト表を見ておけばよかった、と、睦月と別れてからも、和衣はずっと思い続けていた。
「和衣」
「今から勤務の変更とか出来るかな?」
「かーずい」
「え?」
1人で悶々と悩み続けていた和衣は、自分を呼ぶ声にようやく我に返った。
祐介の部屋。
同室者がさっさと帰省したと聞いて、和衣はさっそくやって来たのだ。
「ねぇ祐介、どう思う?」
「…バイトのこと?」
「うん」
和衣はすごく真剣に悩んで、まじめな質問をしているのに、祐介の表情は何だかうんざりしているようにも見える。
「睦月がいいって言ってるんだから、いいんじゃないの」
「でも!」
いつもだったら、誰よりも睦月のことを心配するはずの祐介らしからぬセリフに、思わず和衣も声を大きくしてしまう。
「もし何かあったらどうすんの!?」
「そうだけど」
「やっぱ俺、バイト…」
「和衣!」
まだバイトの話を続けようとする和衣に、祐介が声を荒げた。
今まで、付き合うようになってからはもちろんのこと、出会ってからだって1度もこんな強い口調の祐介は見たことがなくて、和衣は驚いて少し怯んでしまった。
「祐介…?」
「和衣の気持ちは分かるけど、そこまで睦月に合わせなくたって、」
「でも!」
「最近和衣、口を開けばその話ばっかだよ」
「そんなことないよ! …ねぇ、祐介、何で怒ってんの?」
怒らせるつもりなんかない。
怒らせたくなんかないのに、けれどそんな和衣の気持ちとは裏腹に、自分の何かしらの態度が祐介を怒らせているのも事実で。
「別に怒ってるわけじゃないよ」
「でも怒ってるでしょ?」
「そうじゃないって」
苛立たしげに溜め息をついて、祐介は体ごと和衣から視線を外す。
まるで、もう話すことなんかないと言っているようだ。
「何で何も言ってくんないの…?」
「…え?」
「祐介こそ、最近ずっとそんなじゃん! 言いたいことあるなら、言ってよ!」
「別に、」
ゆっくりと、和衣のほうを向き直った祐介は、けれど何かを話し出そうとはしない。
和衣は、キュッと唇を噛んだ。そうでなければ、泣き出してしまいそうだった。
「…言いたいことはないけど、」
「ッ…、それは、俺とは話したくないってこと?」
「そういう意味じゃないよ」
「嘘、そういうふうに聞こえるもん! もういいよっ」
「和衣!」
和衣が祐介に背を向けるのと、祐介が椅子から立ち上がるのは、ほぼ同時だった。
しかし伸ばされた祐介の手をすり抜けて、部屋を飛び出してしまう。
祐介は追いかけようと1歩踏み出したけれど、目の前でバタンとうるさく閉じたドアを、開けることは出来なかった。
「クソッ」
祐介は忌々しげに、壁を殴った。
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柚子季杏 ⇒ わくわく!←オイ
ゆっちがこんな風に感情露にするなんて!!!!!
きゃーーーもう、大興奮なんですけど(;゚∀゚)=3
少しずつ蓄積されてきたものが一気に…って感じですね~。
ゆっち~カズちゃんとちゃんと話しなくちゃ駄目よ~?
でも、何だか嬉しいなぁ( ´艸`)ムププ♪
ゆっちに嫌われる事を怖がってたカズちゃんと、いつも自分のことを後回しにしてきたゆっちが、こんな風に感情をぶつけ合う姿が見れるなんて!
続き、楽しみです♪
早く仲直りしてねーー!!
きゃーーーもう、大興奮なんですけど(;゚∀゚)=3
少しずつ蓄積されてきたものが一気に…って感じですね~。
ゆっち~カズちゃんとちゃんと話しなくちゃ駄目よ~?
でも、何だか嬉しいなぁ( ´艸`)ムププ♪
ゆっちに嫌われる事を怖がってたカズちゃんと、いつも自分のことを後回しにしてきたゆっちが、こんな風に感情をぶつけ合う姿が見れるなんて!
続き、楽しみです♪
早く仲直りしてねーー!!
如月久美子 ⇒ >柚子季さん
とうとうゆっちとカズちゃんをケンカさせてしまった…!!
わーどうしよう! て思ってたんですが、柚子季さんを興奮させてしまった(爆)
確かにゆっちさん、ここまで感情を出したの、初めてかもですね。
> ゆっちに嫌われる事を怖がってたカズちゃんと、いつも自分のことを後回しにしてきたゆっちが、こんな風に感情をぶつけ合う姿が見れるなんて!
そう言われると、この2人、結構正反対ですよね。
こうやって感情をぶつけ合って、何か変わるか?! です。
コメントありがとうございました!
わーどうしよう! て思ってたんですが、柚子季さんを興奮させてしまった(爆)
確かにゆっちさん、ここまで感情を出したの、初めてかもですね。
> ゆっちに嫌われる事を怖がってたカズちゃんと、いつも自分のことを後回しにしてきたゆっちが、こんな風に感情をぶつけ合う姿が見れるなんて!
そう言われると、この2人、結構正反対ですよね。
こうやって感情をぶつけ合って、何か変わるか?! です。
コメントありがとうございました!
りり ⇒ 何だか
女系家族っぽいおだやかなゆっちがこんな風に…男っぽくてどきどき♪
むっちゃんの世話焼き係だったゆっち、カズちゃんの過保護ぶりに何を思っているのでしょうか。
そして恋する乙女モードのカズちゃん、言いたいこと言えずにずっと堪えていたものが噴き出しちゃいましたね。
喧嘩しそうもない二人が喧嘩。これをきっかけにさらに仲が深まることを願いつつ。
次のお話読んできます!
むっちゃんの世話焼き係だったゆっち、カズちゃんの過保護ぶりに何を思っているのでしょうか。
そして恋する乙女モードのカズちゃん、言いたいこと言えずにずっと堪えていたものが噴き出しちゃいましたね。
喧嘩しそうもない二人が喧嘩。これをきっかけにさらに仲が深まることを願いつつ。
次のお話読んできます!
如月久美子 ⇒ >りりさん
ゆっちさんも大人っぽくても、20歳の男の子なんでね。
でもきっと、むっちゃんに対しても、ここまでも怒ったことないのでは? と思ってます。
そういう意味でも、カズちゃんは特別なのかも。。。
乙女カズちゃんを泣かせてしまいましたが、何とか報われるよう、がんばります~。
コメントありがとうございました!
でもきっと、むっちゃんに対しても、ここまでも怒ったことないのでは? と思ってます。
そういう意味でも、カズちゃんは特別なのかも。。。
乙女カズちゃんを泣かせてしまいましたが、何とか報われるよう、がんばります~。
コメントありがとうございました!