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7月 なぜだか夢で会いました。 (7)
2009.04.15 Wed
「お前、明日も試験なんだろ? 勉強終わったなら、こんなとこいないでもう寝たら?」
「冷たいこと言うんだね……翔真」
「えっ」
真大に名前で呼ばれて、ギクリと心臓が跳ねる。
前に、『山口』と思い切り名字を呼び捨てで呼ばれたことはあるが、下の名前を呼ばれたのは初めてだ。
「ダメ? そう呼んだら」
「ダメ、じゃない…」
真大に顔を覗き込まれ、翔真はやっと声を出して返事をした。
変に喉が渇いている気がする。
「真大…」
「なぁに、翔真」
真大が笑い掛ける。
名前を呼ぶ。
クラクラする。
「まひ…」
「ショウちゃん」
――――え…?
「ショウちゃんー、起きなよー。もう起きないと遅刻だよー」
何、で…?
だって今、翔真、て…。
「ショーちゃん!」
「うわっ!?」
開けた視界。
目いっぱいに広がっていたのは、蒼一郎の顔。
「え? え?」
「あのさー、寝起きだから許すけど、人の顔見てそれだけ驚くって、ちょっと失礼じゃないー?」
わけが分からずに翔真がキョロキョロしていると、蒼一郎が笑いながら簡易キッチンのほうへと向かっていく。
「夢…?」
さっきまで翔真の隣で真大が笑っていたのも、『翔真』て甘い声で呼ばれたのも。
あまりにもリアルな感覚に、まだあれが夢か現実か、区別がつかない。
けれど、今部屋が明るいのは日の光が差し込んでいるからで、部屋には翔真のほかに蒼一郎しかいない。
真大はいない。
さっきまで真大の隣に座っていたはずの翔真も、なぜかまだベッドに横たわっていて。
「蒼…、昨日何時くらいに帰って来た?」
まだわけが分からなくて、翔真はベッドを下りると、蒼一郎のもとに行く。
「1時過ぎくらいだと思うけど?」
「真大は? ここに帰って来たのって、お前だけ? それか、お前が帰る前に真大がここに来なかった?」
「えぇ? 来ないんじゃない? 俺、ずっと一緒にいたし」
怖いからトイレも一緒に行ったし! と、蒼一郎は余計な情報まで付け加える。
「…そう」
「んー? 真大に何か用事?」
「うぅん、そうじゃない。何でもない」
蒼一郎がずっと真大と一緒にいたのだとしたら、やはりあれは夢だったようだ。翔真に笑い掛けたのも、名前を呼んでくれたのも。
どうしたってあのとき部屋にいたのは、自分と真大だけだ。
蒼一郎が無駄な嘘でもついていない限り、物理的にあり得ない状況なのだから、夢と結論付けるしかない。
それに、『翔真』なんて……いくら何でも、そんなふうになんて呼んでくれるわけがない。
(でも、呼ばれて嬉しいとか、ちょっと思ったし…)
何てことだ! と、翔真は頭を抱える。
夢に出てくるなんて、そんな、思春期じゃあるまいし。しかも名前を呼ばれて嬉しいとか。
「はぁ…」
試験が終わって、やっと一段落したというのに、翔真の心はなかなか晴れることはなかった。
「冷たいこと言うんだね……翔真」
「えっ」
真大に名前で呼ばれて、ギクリと心臓が跳ねる。
前に、『山口』と思い切り名字を呼び捨てで呼ばれたことはあるが、下の名前を呼ばれたのは初めてだ。
「ダメ? そう呼んだら」
「ダメ、じゃない…」
真大に顔を覗き込まれ、翔真はやっと声を出して返事をした。
変に喉が渇いている気がする。
「真大…」
「なぁに、翔真」
真大が笑い掛ける。
名前を呼ぶ。
クラクラする。
「まひ…」
「ショウちゃん」
――――え…?
「ショウちゃんー、起きなよー。もう起きないと遅刻だよー」
何、で…?
だって今、翔真、て…。
「ショーちゃん!」
「うわっ!?」
開けた視界。
目いっぱいに広がっていたのは、蒼一郎の顔。
「え? え?」
「あのさー、寝起きだから許すけど、人の顔見てそれだけ驚くって、ちょっと失礼じゃないー?」
わけが分からずに翔真がキョロキョロしていると、蒼一郎が笑いながら簡易キッチンのほうへと向かっていく。
「夢…?」
さっきまで翔真の隣で真大が笑っていたのも、『翔真』て甘い声で呼ばれたのも。
あまりにもリアルな感覚に、まだあれが夢か現実か、区別がつかない。
けれど、今部屋が明るいのは日の光が差し込んでいるからで、部屋には翔真のほかに蒼一郎しかいない。
真大はいない。
さっきまで真大の隣に座っていたはずの翔真も、なぜかまだベッドに横たわっていて。
「蒼…、昨日何時くらいに帰って来た?」
まだわけが分からなくて、翔真はベッドを下りると、蒼一郎のもとに行く。
「1時過ぎくらいだと思うけど?」
「真大は? ここに帰って来たのって、お前だけ? それか、お前が帰る前に真大がここに来なかった?」
「えぇ? 来ないんじゃない? 俺、ずっと一緒にいたし」
怖いからトイレも一緒に行ったし! と、蒼一郎は余計な情報まで付け加える。
「…そう」
「んー? 真大に何か用事?」
「うぅん、そうじゃない。何でもない」
蒼一郎がずっと真大と一緒にいたのだとしたら、やはりあれは夢だったようだ。翔真に笑い掛けたのも、名前を呼んでくれたのも。
どうしたってあのとき部屋にいたのは、自分と真大だけだ。
蒼一郎が無駄な嘘でもついていない限り、物理的にあり得ない状況なのだから、夢と結論付けるしかない。
それに、『翔真』なんて……いくら何でも、そんなふうになんて呼んでくれるわけがない。
(でも、呼ばれて嬉しいとか、ちょっと思ったし…)
何てことだ! と、翔真は頭を抱える。
夢に出てくるなんて、そんな、思春期じゃあるまいし。しかも名前を呼ばれて嬉しいとか。
「はぁ…」
試験が終わって、やっと一段落したというのに、翔真の心はなかなか晴れることはなかった。
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COMMENT-FORM
柚子季杏 ⇒ ( ̄ー ̄)ニヤリッ
グルグルし出しましたね~( ´艸`)ムププ♪
夢じゃなくて現実になる日が、早くくればいいなぁ~苦笑
蒼ちゃんも、隠してないで、ちゃんと伝えて欲しいです…事実を知った時の、マヒロたんのショックを思えば辛い!
間に立っちゃうだろう翔ちゃんの立場も…想像出来て辛いなぁ(^^;
郁雅くんは、マヒロたんの事どう捉えてるんでしょうね?
そして和ちゃんとゆっちのその後も気になるぞ~!!
夢じゃなくて現実になる日が、早くくればいいなぁ~苦笑
蒼ちゃんも、隠してないで、ちゃんと伝えて欲しいです…事実を知った時の、マヒロたんのショックを思えば辛い!
間に立っちゃうだろう翔ちゃんの立場も…想像出来て辛いなぁ(^^;
郁雅くんは、マヒロたんの事どう捉えてるんでしょうね?
そして和ちゃんとゆっちのその後も気になるぞ~!!
伽羅 ⇒ おぉ!!なるほど!!
如月久美子 ⇒ >柚子季さん
翔ちゃん、すっかりグルグルです~。
今までに経験したことがないから、すっかり参っちゃってるご様子です(^_^;)
> 蒼ちゃんも、隠してないで、ちゃんと伝えて欲しいです…事実を知った時の、マヒロたんのショックを思えば辛い!
そうなんですよね。
蒼ちゃんも、こんなときくらいしっかりしないと!
ゆっち&カズちゃんも、まだまだこのままでは終われません~。
コメントありがとうございました!
今までに経験したことがないから、すっかり参っちゃってるご様子です(^_^;)
> 蒼ちゃんも、隠してないで、ちゃんと伝えて欲しいです…事実を知った時の、マヒロたんのショックを思えば辛い!
そうなんですよね。
蒼ちゃんも、こんなときくらいしっかりしないと!
ゆっち&カズちゃんも、まだまだこのままでは終われません~。
コメントありがとうございました!
如月久美子 ⇒ >伽羅さん
そうなんです、ここで出会っちゃうんです~。
こんなとこで出会っちゃうからこそ、翔ちゃんもわけが分からず、グルグルです(^_^;)
> あ~~すっきりしたっ!(爆)
焦らしまくっててすみません(爆)
すっきりしていただけました!?
よかったぁ~。
コメントありがとうございました!
こんなとこで出会っちゃうからこそ、翔ちゃんもわけが分からず、グルグルです(^_^;)
> あ~~すっきりしたっ!(爆)
焦らしまくっててすみません(爆)
すっきりしていただけました!?
よかったぁ~。
コメントありがとうございました!