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7月 なぜだか夢で会いました。 (5)
2009.04.13 Mon
「カズちゃん、どうしたの?」
「え?」
水曜日。
いつものようにダッシュでコンビニにやって来た和衣は、バイトの間中、ずっと上の空だった。
お客さんが来ても挨拶をしそびれたり、おにぎりやらお弁当の陳列を間違えたり。こんな調子だと、いつレジをし間違えてもおかしくないと思い、心配になった睦月が声を掛けた。
「何が? 俺、また何か間違えちゃった…?」
「そうじゃないけど、何か元気ないし、ボーっとしてる」
「…ゴメン。気を付ける」
「いや、いいんだけどさ、……大丈夫なの?」
和衣は視線を彷徨わせた後、力なく笑って頷いた。
あれ以来、祐介は和衣のバイトのことについて何も言って来ない。和衣がそのことを相談しようとしても、『和衣のバイトのことだから』と言って、口を出さないという態度を続けている。
そんな状態のまま、週が変わって水曜日。
5時限目の選択科目は、チャイムと同時には終わってくれなくて、10分オーバー。ただでさえ急がないと間に合わないのに、このロスは大きい。
慌ててテキストやらを片付けている和衣の隣で、祐介はその様子を黙って見ていた。
何か言いたいことでもあるのだろうかと、いや、何か言ってほしいと和衣は期待したが、結局祐介は何も言わずに和衣を見送った。
そのときの、祐介の顔が忘れられない。
(バイト……どうしよう…)
真面目な性格の祐介のことだ。バイト自体に反対はしなくても、そのことで授業が疎かになるのを、快くは思っていないだろう。
和衣はきちんと授業が終わるまで教室にはいるけれど、チャイムが鳴ってもまだ終わらないときは、早く終わってほしいと、ソワソワしているのも確かだ。
そんな態度が、祐介には伝わっているのかもしれない。
(バイトの時間ずらして、水曜日はむっちゃんのお迎えに行こうかな。それなら時間も余裕があるし…)
もしかしたら、祐介よりも過保護かもしれない発想に陥っていた和衣は、「お疲れ様」と言う店長の声にハッと我に返った。
時計を見れば、もう上がる時間だった。
「今日カズちゃん、ずっとボーっとしてたね」
「うーん…」
「やっぱダッシュで来るの、大変なんじゃない?」
「いや、ダッシュなのは別に平気なんだけど…」
バックルームで着替えながら、何となく和衣は口籠ってしまった。
「早くテスト終わるといいねー。休みになったら、バイト来るのも楽になるじゃん」
「…うん」
少なくとも、夏季休暇の間は時間的な余裕があるから、睦月の言うとおり、バイトに来るのは楽にはなるが、それでは根本的な解決にはならない。
やはりもっと祐介と話をしたほうがいいのかもしれない。
怖がっているだけでは、何も変わらないし、前にも後ろにも進めない。
「夏休みになったら、ゆっちといっぱい一緒にいられるじゃん」
「え、何急に」
「んー? だってカズちゃん、ゆっちとあんま一緒にいられなくて、寂しいんじゃないの?」
「そんなこと…」
睦月たちと違って部屋が別だから、1日のうちでも一緒にいられる時間は限られているが、それでも学校では会えるから、寂しいと感じるほど離れ離れでいるわけではない。
なのに、睦月が今指摘したように、和衣の心の中は、寂しさを感じている。
(…そっか、心が遠いんだ)
近くにいるのに、その心の内が分からないから。
祐介が何を考えているのか分からなくて、分かってあげられなくて、それが辛い。
何か言いたそうな顔をしているのに、何も言ってくれない祐介の心を、すごく遠くに感じた。
「え?」
水曜日。
いつものようにダッシュでコンビニにやって来た和衣は、バイトの間中、ずっと上の空だった。
お客さんが来ても挨拶をしそびれたり、おにぎりやらお弁当の陳列を間違えたり。こんな調子だと、いつレジをし間違えてもおかしくないと思い、心配になった睦月が声を掛けた。
「何が? 俺、また何か間違えちゃった…?」
「そうじゃないけど、何か元気ないし、ボーっとしてる」
「…ゴメン。気を付ける」
「いや、いいんだけどさ、……大丈夫なの?」
和衣は視線を彷徨わせた後、力なく笑って頷いた。
あれ以来、祐介は和衣のバイトのことについて何も言って来ない。和衣がそのことを相談しようとしても、『和衣のバイトのことだから』と言って、口を出さないという態度を続けている。
そんな状態のまま、週が変わって水曜日。
5時限目の選択科目は、チャイムと同時には終わってくれなくて、10分オーバー。ただでさえ急がないと間に合わないのに、このロスは大きい。
慌ててテキストやらを片付けている和衣の隣で、祐介はその様子を黙って見ていた。
何か言いたいことでもあるのだろうかと、いや、何か言ってほしいと和衣は期待したが、結局祐介は何も言わずに和衣を見送った。
そのときの、祐介の顔が忘れられない。
(バイト……どうしよう…)
真面目な性格の祐介のことだ。バイト自体に反対はしなくても、そのことで授業が疎かになるのを、快くは思っていないだろう。
和衣はきちんと授業が終わるまで教室にはいるけれど、チャイムが鳴ってもまだ終わらないときは、早く終わってほしいと、ソワソワしているのも確かだ。
そんな態度が、祐介には伝わっているのかもしれない。
(バイトの時間ずらして、水曜日はむっちゃんのお迎えに行こうかな。それなら時間も余裕があるし…)
もしかしたら、祐介よりも過保護かもしれない発想に陥っていた和衣は、「お疲れ様」と言う店長の声にハッと我に返った。
時計を見れば、もう上がる時間だった。
「今日カズちゃん、ずっとボーっとしてたね」
「うーん…」
「やっぱダッシュで来るの、大変なんじゃない?」
「いや、ダッシュなのは別に平気なんだけど…」
バックルームで着替えながら、何となく和衣は口籠ってしまった。
「早くテスト終わるといいねー。休みになったら、バイト来るのも楽になるじゃん」
「…うん」
少なくとも、夏季休暇の間は時間的な余裕があるから、睦月の言うとおり、バイトに来るのは楽にはなるが、それでは根本的な解決にはならない。
やはりもっと祐介と話をしたほうがいいのかもしれない。
怖がっているだけでは、何も変わらないし、前にも後ろにも進めない。
「夏休みになったら、ゆっちといっぱい一緒にいられるじゃん」
「え、何急に」
「んー? だってカズちゃん、ゆっちとあんま一緒にいられなくて、寂しいんじゃないの?」
「そんなこと…」
睦月たちと違って部屋が別だから、1日のうちでも一緒にいられる時間は限られているが、それでも学校では会えるから、寂しいと感じるほど離れ離れでいるわけではない。
なのに、睦月が今指摘したように、和衣の心の中は、寂しさを感じている。
(…そっか、心が遠いんだ)
近くにいるのに、その心の内が分からないから。
祐介が何を考えているのか分からなくて、分かってあげられなくて、それが辛い。
何か言いたそうな顔をしているのに、何も言ってくれない祐介の心を、すごく遠くに感じた。
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COMMENT-FORM
柚子季杏 ⇒ 乙女和ちゃん!
久々の乙女モードにきゅんきゅん♪
そうですよねぇ~、好きで好きで、大好きだから、心が見えないと不安で…寂しいですよね。
急に手が届かない位、相手を遠くに感じたり。
むっちゃん、ナイス突込み!
ゆっちもなぁ~はっきり言っちゃえば良いのになぁ(;´Д`)
でも、言いたいのを我慢しちゃってるあたりも、微妙な男心なのかしらん?
うは…もう、萌え悶え( ´艸`)ムププ♪
そうですよねぇ~、好きで好きで、大好きだから、心が見えないと不安で…寂しいですよね。
急に手が届かない位、相手を遠くに感じたり。
むっちゃん、ナイス突込み!
ゆっちもなぁ~はっきり言っちゃえば良いのになぁ(;´Д`)
でも、言いたいのを我慢しちゃってるあたりも、微妙な男心なのかしらん?
うは…もう、萌え悶え( ´艸`)ムププ♪
伽羅 ⇒ うんうん・・・
和ちゃん・・・ そこに気付いただけでも大きな進歩だよねぇ!
そうやって悩んで強くなるんだっ!!←(ババの一言/笑)
がんばれぇ~~~!!
そうやって悩んで強くなるんだっ!!←(ババの一言/笑)
がんばれぇ~~~!!
- |2009.04.13
- |Mon
- |08:41
- |URL
- |EDIT|
如月久美子 ⇒ >柚子季さん
久々にカズちゃん、乙女モード全開です。
キュンキュンしていただけましたか!?
鈍感で敏感な難しい子なんで、ついついいろいろ気にしちゃうんです。。。
> ゆっちもなぁ~はっきり言っちゃえば良いのになぁ(;´Д`)
> でも、言いたいのを我慢しちゃってるあたりも、微妙な男心なのかしらん?
ゆっちさんもまた、微妙な男心を持ってますからね。
2人の初のすれ違いです!
コメントありがとうございました!
キュンキュンしていただけましたか!?
鈍感で敏感な難しい子なんで、ついついいろいろ気にしちゃうんです。。。
> ゆっちもなぁ~はっきり言っちゃえば良いのになぁ(;´Д`)
> でも、言いたいのを我慢しちゃってるあたりも、微妙な男心なのかしらん?
ゆっちさんもまた、微妙な男心を持ってますからね。
2人の初のすれ違いです!
コメントありがとうございました!
如月久美子 ⇒ >伽羅さん
カズちゃん、ようやく少し分かったような、でもまだよく分かってないような…(苦笑)
> そうやって悩んで強くなるんだっ!!←(ババの一言/笑)
>
> がんばれぇ~~~!!
力強い応援、ありがとうございます~!
きっとカズちゃんにも、届いてると思います!
コメントありがとうございました!
> そうやって悩んで強くなるんだっ!!←(ババの一言/笑)
>
> がんばれぇ~~~!!
力強い応援、ありがとうございます~!
きっとカズちゃんにも、届いてると思います!
コメントありがとうございました!