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7月 なぜだか夢で会いました。 (4)
2009.04.12 Sun
実は水曜の5時限目の授業は、和衣が祐介と一緒に唯一取っている選択科目のため、必修科目しか取っていない睦月はすでにバイト先に向かっている。
最初は和衣の授業が終わるのを待っていたが、あまりにもギリギリすぎるので、先に行くことにしたのだ。もちろん和衣は心配で反対したが、まだ明るい時間だから大丈夫と言うから、不満は残るが了承した。
バイトが終われば、もう真っ暗だから、帰りは一緒だ。あの日以来、和衣は、バイトが終わったら睦月と一緒に帰ると決めている。
だから、和衣がバイトのシフトを変えれば、睦月だって動かさないといけないと、本気で思っていた。
それを祐介に伝えれば、何とも言えない表情で目を逸らされた。
「え、何?」
「…何でもないよ」
まだ話は途中なのに、祐介は「もう勉強始めよう?」と、テキストを広げた。ガチャガチャとペンケースの中を探っている祐介の手付きは少し雑で、いつもの祐介らしくない。
「祐介、どうしたの?」
「え、何が?」
不思議に思って和衣が尋ねても、飽くまで白を切ろうとするのか、祐介は和衣のほうに顔を向けない。
「バイト……やっぱ時間変えたほうがいいかな…?」
「いや、和衣がそれでいいって言うなら、いいんじゃない?」
「本気で思ってる?」
「思ってるよ」
「言ってよ、ちゃんと」
テキストに視線を落としたままの祐介の腕を、和衣はキュッと掴む。
言ってくれなきゃ、分からない。
祐介にだって、和衣に言いたくないことの1つや2つあるだろうけど、それを隠しておきたいなら、そんな顔をしないでほしい。気付かせないでほしい。
いやきっと、今の祐介の態度だって、他の人が見ていたら、特に何も気にならなかったかもしれないけれど。
でも自分は祐介のことが好きで、好き過ぎて、些細なことにまで目が行って、そして気付いてしまう。
「祐介、ちゃんと言ってよ、ねぇ」
「言ってるって。和衣のバイトなんだし、俺が口出しすることじゃないって思っただけ」
「…」
祐介が話を中断したのは、絶対にそんなことのせいじゃないて分かるのに、でもこれ以上聞き返せない。
あんまりしつこいのは、嫌がられるかもしれない、て思ったから。
祐介を好きになって、恋人同士になって、和衣は前よりもずっと臆病になった。
きっとそんなことはないって信じているけれど、でももしかしたら自分の言動や行動、少しのことでも、もしかしたら祐介の気に障るようなことがあったら、嫌われるんじゃないかって、ずっと怯えている。
和衣はもう1度だけ声を掛けようとして、でもやっぱりやめて、ノートを開いた。
最初は和衣の授業が終わるのを待っていたが、あまりにもギリギリすぎるので、先に行くことにしたのだ。もちろん和衣は心配で反対したが、まだ明るい時間だから大丈夫と言うから、不満は残るが了承した。
バイトが終われば、もう真っ暗だから、帰りは一緒だ。あの日以来、和衣は、バイトが終わったら睦月と一緒に帰ると決めている。
だから、和衣がバイトのシフトを変えれば、睦月だって動かさないといけないと、本気で思っていた。
それを祐介に伝えれば、何とも言えない表情で目を逸らされた。
「え、何?」
「…何でもないよ」
まだ話は途中なのに、祐介は「もう勉強始めよう?」と、テキストを広げた。ガチャガチャとペンケースの中を探っている祐介の手付きは少し雑で、いつもの祐介らしくない。
「祐介、どうしたの?」
「え、何が?」
不思議に思って和衣が尋ねても、飽くまで白を切ろうとするのか、祐介は和衣のほうに顔を向けない。
「バイト……やっぱ時間変えたほうがいいかな…?」
「いや、和衣がそれでいいって言うなら、いいんじゃない?」
「本気で思ってる?」
「思ってるよ」
「言ってよ、ちゃんと」
テキストに視線を落としたままの祐介の腕を、和衣はキュッと掴む。
言ってくれなきゃ、分からない。
祐介にだって、和衣に言いたくないことの1つや2つあるだろうけど、それを隠しておきたいなら、そんな顔をしないでほしい。気付かせないでほしい。
いやきっと、今の祐介の態度だって、他の人が見ていたら、特に何も気にならなかったかもしれないけれど。
でも自分は祐介のことが好きで、好き過ぎて、些細なことにまで目が行って、そして気付いてしまう。
「祐介、ちゃんと言ってよ、ねぇ」
「言ってるって。和衣のバイトなんだし、俺が口出しすることじゃないって思っただけ」
「…」
祐介が話を中断したのは、絶対にそんなことのせいじゃないて分かるのに、でもこれ以上聞き返せない。
あんまりしつこいのは、嫌がられるかもしれない、て思ったから。
祐介を好きになって、恋人同士になって、和衣は前よりもずっと臆病になった。
きっとそんなことはないって信じているけれど、でももしかしたら自分の言動や行動、少しのことでも、もしかしたら祐介の気に障るようなことがあったら、嫌われるんじゃないかって、ずっと怯えている。
和衣はもう1度だけ声を掛けようとして、でもやっぱりやめて、ノートを開いた。
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COMMENT-FORM
伽羅 ⇒ 難しいよね。
柚子季杏 ⇒ ゆっち( ´艸`)ムププ♪
ゆっちのこういう些細な変化に気付くのって、いいなぁ♪
どんだけ和ちゃんがゆっちを好きなのかが見て取れますね!
あぁん、ゆっちも可愛いじゃん!!←←
いつも飄々としてる子が時折見せる年相応の表情って
良いですよねぇ( ̄ー ̄)ニヤリッ
どんだけ和ちゃんがゆっちを好きなのかが見て取れますね!
あぁん、ゆっちも可愛いじゃん!!←←
いつも飄々としてる子が時折見せる年相応の表情って
良いですよねぇ( ̄ー ̄)ニヤリッ
如月久美子 ⇒ >伽羅さん
カズちゃんも、わりかし1つのことしか目に入らなくなりがちな子なんで…。
今は絶賛、むっちゃんのこと守りたい期間中です(爆)
> 祐さんも大変だ・・・
彼もなかなか苦労の絶えない人生を送ってますよね(笑)←笑い事じゃない
コメントありがとうございました!
今は絶賛、むっちゃんのこと守りたい期間中です(爆)
> 祐さんも大変だ・・・
彼もなかなか苦労の絶えない人生を送ってますよね(笑)←笑い事じゃない
コメントありがとうございました!
如月久美子 ⇒ >柚子季さん
カズちゃん、ゆっちさんのこと、本当に大好きなんですよね。
だからこそ、些細なことに気付くというか。
> あぁん、ゆっちも可愛いじゃん!!←←
> いつも飄々としてる子が時折見せる年相応の表情って
> 良いですよねぇ( ̄ー ̄)ニヤリッ
そうは言っても、ゆっちさんもまだ大学2年生ですからね。
時にはこんな表情も。
かわいいとか言ってもらえて嬉しいです~。
コメントありがとうございました!
だからこそ、些細なことに気付くというか。
> あぁん、ゆっちも可愛いじゃん!!←←
> いつも飄々としてる子が時折見せる年相応の表情って
> 良いですよねぇ( ̄ー ̄)ニヤリッ
そうは言っても、ゆっちさんもまだ大学2年生ですからね。
時にはこんな表情も。
かわいいとか言ってもらえて嬉しいです~。
コメントありがとうございました!