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4月 はじめまして、大嫌い。 (2)
2009.03.14 Sat
日曜日、彼女にデートのドタキャンをされた翔真は、亮たちと祐介たちをそれぞれお見送りした後、やさぐれた気持ちでベッドに転がった。
人のデートのお見送りって、こんなにもつまらないものなのか。
外は天気もいいし、出掛けたいけれど、こんなときに限って他の友人たちも捕まらない。
(何て日だ…)
本当にふて寝でもしてやろうかと、何をするでもなく、転がったベッドの上、翔真が目を閉じてウトウトしていると、どのくらい経ったのか、にわかに廊下がガヤガヤし始めたのに気が付いた。
まだ頭がしっかりと覚醒していないせいで、何で騒がしいのかが分からない。
しかし特別係わる気もなくて、寝返りを打てば、不意にこの部屋のドアの開く音がして、慌てて体を起こした。
「え、」
開いたドアのほうを見やれば、金髪でピアスをした、いかにもチャラついた感じの男がそこには立っていた。
いや、立っているのは別にいい。
そうでなくて、翔真はちゃんと部屋の鍵を掛けていたのだ。
どうせ今日は一緒に遊ぶ相手もいないし、誰も来やしないだろうと思って(それにふて寝するつもりだったし)、日中ならいつもは開けておく鍵を掛けていたにもかかわらず、その男はドアを開けてそこにいたのだ。
「え、なん…」
「あ、ショウちゃんだよね、よろしくー」
「え? え?」
何で鍵開いてんの? とか、何の用なの? とか、聞きたいことがいろいろあって言葉に詰まっている翔真を尻目に、その男はものすごく気軽に、普通に挨拶をして来て、余計に言葉が出て来ない。
確かに親しい友人からはショウちゃんとかショウとか呼ばれているから、別にそう呼ばれたって嫌ではないけれど、それにしたって初対面なんですが…。
「藤野蒼一郎(フジノ ソウイチロウ)です。今度、この部屋に住むことになりましたんで、よろしくお願いします」
その、見た目チャラついた男、蒼一郎は、外見に似合わず至極まっとうな挨拶をすると、こちらが申し訳なくなるくらい深々と頭を下げた。
「え、あ、はぁ…よろしく、お願いします…」
呆気に取られていた翔真も、何となくだが、ようやく事態が飲み込めて来て、慌ててベッドから下りて頭を下げた。
「え、藤野くん、俺のこと知って…?」
こちらから名乗る前に、すでに自分の名前を知っていた蒼一郎に、翔真はまだ驚きを隠せないまま、何度も瞬きする。
「えー、だってショウちゃん有名だもーん、知ってるよ。俺の友だちとかも、話したいーて子、いっぱいいるし」
「有名? 何それ??」
「え、だってカッコいいじゃん。女の子とか、しょっちゅう話題にしてるよー」
「……」
確かに女の子のほうから告白されるケースは、翔真の人生において大変多いことではあるけれど、それと、蒼一郎の言う『有名』というのがどう結びつくのか、翔真自身、いまいちよく分からない。
それに、噂だの話題というのは、得てして尾ひれの付きやすいものだ。それも"よくない"ほうの。
翔真は、アイドル並みの甘いマスクの持ち主で、確かに恋愛経験も少なくはないが、だからといって、派手な女性関係を送っているわけでも、女の子にもてることをひけらかすわけでもない。
単に見た目から、そう判断されやすいだけのことだ。
「てことで、ひとまずは1年間、よろしくお願いしまーす、山口先輩」
何か見た目だけで勝手に噂されたりしてんのか、俺……と、初めて蒼一郎を見たとき、完全に外見だけでチャラい男だって思った自分を棚に上げて、翔真が軽くショックを受けていれば、蒼一郎は再びお行儀よく挨拶をした。
「…て、え? 先輩? 1年?」
確かに最後、蒼一郎は翔真に向かってそう言った。
うっかり聞き逃すところだった翔真は、よく分からないまま聞き返す。
入寮希望者の人数の都合で、違う学年の人が同室になる場合もあるが、2年の翔真に『先輩』と言うのは1年生だけで、新入生なら、新入生だけで部屋割りをするから、翔真とは同じ部屋にはなり得ないはずなのに。
人のデートのお見送りって、こんなにもつまらないものなのか。
外は天気もいいし、出掛けたいけれど、こんなときに限って他の友人たちも捕まらない。
(何て日だ…)
本当にふて寝でもしてやろうかと、何をするでもなく、転がったベッドの上、翔真が目を閉じてウトウトしていると、どのくらい経ったのか、にわかに廊下がガヤガヤし始めたのに気が付いた。
まだ頭がしっかりと覚醒していないせいで、何で騒がしいのかが分からない。
しかし特別係わる気もなくて、寝返りを打てば、不意にこの部屋のドアの開く音がして、慌てて体を起こした。
「え、」
開いたドアのほうを見やれば、金髪でピアスをした、いかにもチャラついた感じの男がそこには立っていた。
いや、立っているのは別にいい。
そうでなくて、翔真はちゃんと部屋の鍵を掛けていたのだ。
どうせ今日は一緒に遊ぶ相手もいないし、誰も来やしないだろうと思って(それにふて寝するつもりだったし)、日中ならいつもは開けておく鍵を掛けていたにもかかわらず、その男はドアを開けてそこにいたのだ。
「え、なん…」
「あ、ショウちゃんだよね、よろしくー」
「え? え?」
何で鍵開いてんの? とか、何の用なの? とか、聞きたいことがいろいろあって言葉に詰まっている翔真を尻目に、その男はものすごく気軽に、普通に挨拶をして来て、余計に言葉が出て来ない。
確かに親しい友人からはショウちゃんとかショウとか呼ばれているから、別にそう呼ばれたって嫌ではないけれど、それにしたって初対面なんですが…。
「藤野蒼一郎(フジノ ソウイチロウ)です。今度、この部屋に住むことになりましたんで、よろしくお願いします」
その、見た目チャラついた男、蒼一郎は、外見に似合わず至極まっとうな挨拶をすると、こちらが申し訳なくなるくらい深々と頭を下げた。
「え、あ、はぁ…よろしく、お願いします…」
呆気に取られていた翔真も、何となくだが、ようやく事態が飲み込めて来て、慌ててベッドから下りて頭を下げた。
「え、藤野くん、俺のこと知って…?」
こちらから名乗る前に、すでに自分の名前を知っていた蒼一郎に、翔真はまだ驚きを隠せないまま、何度も瞬きする。
「えー、だってショウちゃん有名だもーん、知ってるよ。俺の友だちとかも、話したいーて子、いっぱいいるし」
「有名? 何それ??」
「え、だってカッコいいじゃん。女の子とか、しょっちゅう話題にしてるよー」
「……」
確かに女の子のほうから告白されるケースは、翔真の人生において大変多いことではあるけれど、それと、蒼一郎の言う『有名』というのがどう結びつくのか、翔真自身、いまいちよく分からない。
それに、噂だの話題というのは、得てして尾ひれの付きやすいものだ。それも"よくない"ほうの。
翔真は、アイドル並みの甘いマスクの持ち主で、確かに恋愛経験も少なくはないが、だからといって、派手な女性関係を送っているわけでも、女の子にもてることをひけらかすわけでもない。
単に見た目から、そう判断されやすいだけのことだ。
「てことで、ひとまずは1年間、よろしくお願いしまーす、山口先輩」
何か見た目だけで勝手に噂されたりしてんのか、俺……と、初めて蒼一郎を見たとき、完全に外見だけでチャラい男だって思った自分を棚に上げて、翔真が軽くショックを受けていれば、蒼一郎は再びお行儀よく挨拶をした。
「…て、え? 先輩? 1年?」
確かに最後、蒼一郎は翔真に向かってそう言った。
うっかり聞き逃すところだった翔真は、よく分からないまま聞き返す。
入寮希望者の人数の都合で、違う学年の人が同室になる場合もあるが、2年の翔真に『先輩』と言うのは1年生だけで、新入生なら、新入生だけで部屋割りをするから、翔真とは同じ部屋にはなり得ないはずなのに。
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COMMENT-FORM
伽羅 ⇒ うふふ♪
本当にリアルで寝起きを襲って覗いているようだわ!
次は何を覗けるのぉ?。('-'。)(。'-')。ワクワク
って・・・ 覗き部屋かよってね(爆)
すみませんっ!!(平伏し)
次は何を覗けるのぉ?。('-'。)(。'-')。ワクワク
って・・・ 覗き部屋かよってね(爆)
すみませんっ!!(平伏し)
- |2009.03.14
- |Sat
- |08:56
- |URL
- |EDIT|
柚子季杏 ⇒ 遂に登場!
翔ちゃんのルームメイトキタ━━(((≧∀≦)))━━!!!!!
見た目チャラ男で一年?!
う~~む、どうなっていくんだろう~~ドキドキする~~!!
で、どちらがどうですか?!←←
タイトルからすると、余り良い関係性での始まりじゃなさそうですねww
うわ~続き続き!!
見た目チャラ男で一年?!
う~~む、どうなっていくんだろう~~ドキドキする~~!!
で、どちらがどうですか?!←←
タイトルからすると、余り良い関係性での始まりじゃなさそうですねww
うわ~続き続き!!
如月久美子 ⇒ >伽羅さん
翔ちゃんはアイドル顔負けのイケメンくんなんで、寝起きの顔もきっと素敵のはず!
そんな部屋が覗けるなら、私は…(自主規制)
何かジュル…て感じですよね(こちらこそ平伏し)
コメントありがとうございました!
そんな部屋が覗けるなら、私は…(自主規制)
何かジュル…て感じですよね(こちらこそ平伏し)
コメントありがとうございました!
如月久美子 ⇒ >柚子季さん
> 見た目チャラ男で一年?!
またややこしいのが出て来ました。
チャラ男。
実際の自分の周りにはいないんで、ちゃんと表現できているやら、心配です。
> タイトルからすると、余り良い関係性での始まりじゃなさそうですねww
むふふ、実は登場するのは彼だけではありません~。
とかいって、もったいぶってみたり(笑)
お楽しみに!
コメントありがとうございました!
またややこしいのが出て来ました。
チャラ男。
実際の自分の周りにはいないんで、ちゃんと表現できているやら、心配です。
> タイトルからすると、余り良い関係性での始まりじゃなさそうですねww
むふふ、実は登場するのは彼だけではありません~。
とかいって、もったいぶってみたり(笑)
お楽しみに!
コメントありがとうございました!