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4月 はじめまして、大嫌い。 (3)
2009.03.15 Sun
「そ、俺、1年生なの。2回目だけど」
「え?」
「俺、去年も1年生なんだよねー。でも単位と日数足らなくて、今年も1年生なんだー」
あははー、てのん気に蒼一郎は笑っているが、絶対に笑っている場合ではないと翔真は思う。
けれど、本気で気にしている様子のない蒼一郎に、突っ込むのも忘れて、翔真もつられて笑ってしまった。
「でもさ、ずっと誰も来ないから、どうしちゃったんだろうて思ってたよ。もう来ないのかと思った」
「いやぁ~、あはは、ちょっといろいろ手続きとかしてたらさぁ」
「手続き?」
寮に入るのに、そんなに難しい手続きなど、あっただろうか。
けれど、もう3月中にはこの部屋に誰かが入ることは決まっていたから、今さら手続きもないだろうけど。
「実はさぁ、前住んでたアパートが火事になっちゃって」
「えぇっ!? なっ…そ、え? け…ケガは!? な、何? 無事なの!?」
蒼一郎の口からは、あまりに予想だにしなかった衝撃的な言葉が飛び出して、翔真は声が引っ繰り返りそうになりそうなほど驚いているというのに、当の蒼一郎は、まるで拍子抜けするほど平気そうな顔をしている。
「平気平気。俺、ちょうど出掛けてたからさぁ、ケガとかはないんだけど、帰ってきたら、家全焼。荷物とかみんな燃えちゃってて」
「そう…なんだ…」
「うん。で、寮があるの思い出してさぁ、一応申し込んでみたら空いてた」
「じゃあ、今までそのことでいろいろしてたんだ…?」
「うん。一応ここにも顔だそうとは思ってたんだけど、なかなか出来なくて。ゴメンねー」
「いや…こっちこそ…」
そんな事情があったなんて知らなかったから、ずっと、何してんだ? とは思ってはいたけれど。
呆然とする翔真に、けれど蒼一郎は何も気にするふうもない。
「ま、しょうがないよね。とりあえず住むとこも見つかったし、ま、いっかなぁーて」
「……、そ、そっか…」
妙にポジティブな蒼一郎に、翔真はそれだけ返すのが精一杯だった。
「じゃあ、今までは実家にいたの? 友だちのとこ?」
「うん、まぁそんなとこ。やっと新しい荷物とか揃えられたから、今日引っ越…」
「蒼ー、お前いつまで待たせ…」
バタンッ。
「うわっ」
「ッ!?」
会話に夢中になっていたというわけではないが、ドアの向こうの様子にまるで気付かずにいたら、ノックもなしにいきなりドアが勢いよく開いた。
「……あ、すいません…」
部屋に蒼一郎しかいないと思っていたのだろう、ドアを開けた男は、翔真の姿を見つけ、慌てて頭を下げた。
手には段ボール箱。
もしかしたら蒼一郎の引っ越しの手伝いをしに来たのだろうか。
「郁、ゴメンー。ねぇねぇ、それよりさぁ、ショウちゃんが同じ部屋だったんだよ、すごくない!?」
「え、あ、うん」
恐らく今言うべき話はそれじゃない、とは、翔真も、『郁』と呼ばれた男も感じていることだった。
"郁"は翔真のほうに向き直ると、段ボール箱を持ったままだが、「佐野郁雅(サノ イクミヤ)です」と丁寧に挨拶をした。
見た目で判断されたくない! とは翔真自身、思ったばかりだけれど、引っ越しを手伝うほど仲のいい友人のわりに、郁雅は、蒼一郎と違ってチャラついた雰囲気がないと思った。
「え?」
「俺、去年も1年生なんだよねー。でも単位と日数足らなくて、今年も1年生なんだー」
あははー、てのん気に蒼一郎は笑っているが、絶対に笑っている場合ではないと翔真は思う。
けれど、本気で気にしている様子のない蒼一郎に、突っ込むのも忘れて、翔真もつられて笑ってしまった。
「でもさ、ずっと誰も来ないから、どうしちゃったんだろうて思ってたよ。もう来ないのかと思った」
「いやぁ~、あはは、ちょっといろいろ手続きとかしてたらさぁ」
「手続き?」
寮に入るのに、そんなに難しい手続きなど、あっただろうか。
けれど、もう3月中にはこの部屋に誰かが入ることは決まっていたから、今さら手続きもないだろうけど。
「実はさぁ、前住んでたアパートが火事になっちゃって」
「えぇっ!? なっ…そ、え? け…ケガは!? な、何? 無事なの!?」
蒼一郎の口からは、あまりに予想だにしなかった衝撃的な言葉が飛び出して、翔真は声が引っ繰り返りそうになりそうなほど驚いているというのに、当の蒼一郎は、まるで拍子抜けするほど平気そうな顔をしている。
「平気平気。俺、ちょうど出掛けてたからさぁ、ケガとかはないんだけど、帰ってきたら、家全焼。荷物とかみんな燃えちゃってて」
「そう…なんだ…」
「うん。で、寮があるの思い出してさぁ、一応申し込んでみたら空いてた」
「じゃあ、今までそのことでいろいろしてたんだ…?」
「うん。一応ここにも顔だそうとは思ってたんだけど、なかなか出来なくて。ゴメンねー」
「いや…こっちこそ…」
そんな事情があったなんて知らなかったから、ずっと、何してんだ? とは思ってはいたけれど。
呆然とする翔真に、けれど蒼一郎は何も気にするふうもない。
「ま、しょうがないよね。とりあえず住むとこも見つかったし、ま、いっかなぁーて」
「……、そ、そっか…」
妙にポジティブな蒼一郎に、翔真はそれだけ返すのが精一杯だった。
「じゃあ、今までは実家にいたの? 友だちのとこ?」
「うん、まぁそんなとこ。やっと新しい荷物とか揃えられたから、今日引っ越…」
「蒼ー、お前いつまで待たせ…」
バタンッ。
「うわっ」
「ッ!?」
会話に夢中になっていたというわけではないが、ドアの向こうの様子にまるで気付かずにいたら、ノックもなしにいきなりドアが勢いよく開いた。
「……あ、すいません…」
部屋に蒼一郎しかいないと思っていたのだろう、ドアを開けた男は、翔真の姿を見つけ、慌てて頭を下げた。
手には段ボール箱。
もしかしたら蒼一郎の引っ越しの手伝いをしに来たのだろうか。
「郁、ゴメンー。ねぇねぇ、それよりさぁ、ショウちゃんが同じ部屋だったんだよ、すごくない!?」
「え、あ、うん」
恐らく今言うべき話はそれじゃない、とは、翔真も、『郁』と呼ばれた男も感じていることだった。
"郁"は翔真のほうに向き直ると、段ボール箱を持ったままだが、「佐野郁雅(サノ イクミヤ)です」と丁寧に挨拶をした。
見た目で判断されたくない! とは翔真自身、思ったばかりだけれど、引っ越しを手伝うほど仲のいい友人のわりに、郁雅は、蒼一郎と違ってチャラついた雰囲気がないと思った。
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カテゴリー:恋するカレンダー12題
テーマ:自作BL小説 ジャンル:小説・文学
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伽羅 ⇒ おぉ!!
如月久美子 ⇒ >伽羅さん
ファーストシーズンでも十分多かった登場人物……さらに増やして自分の首を絞めてるんじゃなかろうかと…(^_^;)
先の話より長くなりそうですが、その分波乱万丈度も……どうぞお付き合いくださいませ!
コメントありがとうございました!
先の話より長くなりそうですが、その分波乱万丈度も……どうぞお付き合いくださいませ!
コメントありがとうございました!