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彼の胸に顔を寄せると、上品な煙草の匂いがしたのです (1)
2009.03.08 Sun
2時間。
2時間我慢すればいい。
男の下になって、喘いで。
知らない男だけど、目を瞑ってれば平気。
平気だよ。
彼 の 胸 に 顔 を 寄 せ る と 、
上 品 な 煙 草 の 匂 い が し た の で す
めちゃくちゃに抱かれた後、明希(アキ)は汚れたベッドの上で体を丸くしていた。男は背広の内ポケットから1万円札を数枚取り出して、ベッドのほうへと放った。
やるだけやってホテルを出ていった男に、心の中で中指を立てて、明希は散らばった1万円札に手を伸ばす。
1,2,3,4,……7万円。まぁ、悪くはないか。
床に投げ出されたジーンズのポケットにそれを捻じ込んで、重い体を引き摺りながらバスルームに向かう。
クソッ、この安ホテル。シャワーは水しか出ない。
明希は頭からシャワーを被って、汚れ切った体を洗い流す。
疲労感。
一眠りしてから帰ろうか、けれどこんなところ、1秒だって長くいたくない。
フラフラした足取りで、明希はホテルを後にした。
「アキ!」
ネオンのうるさい街を歩いていると、ギュッと後ろから抱き付かれて、驚いて振り返ると壱哉(イチヤ)だった。
「あれ? 何かお疲れ」
「さっき、バカ1人、相手にしてきたから」
「お勤め、ごくろうさまです」
真面目な顔して壱哉が敬礼するから、おかしくなって2人で吹き出した。
壱哉は、明希が何で稼いでいるか知っている。
明希も、壱哉がどうやって稼いでいるか知っている。
この街で、2人が生きていくには、それしかないから。
でも。
2人は、いつだって1つだ。
この世界には、2人だけでいい。自分の半身。
「ね、壱哉、ご飯食べた? 俺、お腹空いたんだけど、一緒に食べない? 奢るよ」
ジーンズから皺くちゃの7万円を取り出し、壱哉に見せ付ける。
「わっ、アキ、リッチ! ゴチになる。俺なんか今日、たった3万だよ」
1度抱かれただけで7万円だ。運がいい。
明希も壱哉も、顔は女っぽいが、体は男だ。男相手に、客は女を抱くようには優しくしない。無茶な要求をしてくる割に、相場の価格は女よりも安い。
割に合わない商売だ。
「今日はもう1人くらい、稼げるかなぁ」
「アキ、口のとこ、トマトソース付いてる」
「ん。壱哉はどうする?」
「うーん、もうちょっと、がんばろうかな」
2時間我慢すればいい。
男の下になって、喘いで。
知らない男だけど、目を瞑ってれば平気。
平気だよ。
彼 の 胸 に 顔 を 寄 せ る と 、
上 品 な 煙 草 の 匂 い が し た の で す
めちゃくちゃに抱かれた後、明希(アキ)は汚れたベッドの上で体を丸くしていた。男は背広の内ポケットから1万円札を数枚取り出して、ベッドのほうへと放った。
やるだけやってホテルを出ていった男に、心の中で中指を立てて、明希は散らばった1万円札に手を伸ばす。
1,2,3,4,……7万円。まぁ、悪くはないか。
床に投げ出されたジーンズのポケットにそれを捻じ込んで、重い体を引き摺りながらバスルームに向かう。
クソッ、この安ホテル。シャワーは水しか出ない。
明希は頭からシャワーを被って、汚れ切った体を洗い流す。
疲労感。
一眠りしてから帰ろうか、けれどこんなところ、1秒だって長くいたくない。
フラフラした足取りで、明希はホテルを後にした。
「アキ!」
ネオンのうるさい街を歩いていると、ギュッと後ろから抱き付かれて、驚いて振り返ると壱哉(イチヤ)だった。
「あれ? 何かお疲れ」
「さっき、バカ1人、相手にしてきたから」
「お勤め、ごくろうさまです」
真面目な顔して壱哉が敬礼するから、おかしくなって2人で吹き出した。
壱哉は、明希が何で稼いでいるか知っている。
明希も、壱哉がどうやって稼いでいるか知っている。
この街で、2人が生きていくには、それしかないから。
でも。
2人は、いつだって1つだ。
この世界には、2人だけでいい。自分の半身。
「ね、壱哉、ご飯食べた? 俺、お腹空いたんだけど、一緒に食べない? 奢るよ」
ジーンズから皺くちゃの7万円を取り出し、壱哉に見せ付ける。
「わっ、アキ、リッチ! ゴチになる。俺なんか今日、たった3万だよ」
1度抱かれただけで7万円だ。運がいい。
明希も壱哉も、顔は女っぽいが、体は男だ。男相手に、客は女を抱くようには優しくしない。無茶な要求をしてくる割に、相場の価格は女よりも安い。
割に合わない商売だ。
「今日はもう1人くらい、稼げるかなぁ」
「アキ、口のとこ、トマトソース付いてる」
「ん。壱哉はどうする?」
「うーん、もうちょっと、がんばろうかな」
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伽羅 ⇒ これもまた青春!!
ですよね?
- |2009.03.08
- |Sun
- |22:02
- |URL
- |EDIT|
如月久美子 ⇒ >伽羅さん
今回はちょっぴりアンダーグラウンドテイストです。
でも相変わらずかわい子ちゃんを書く癖は抜けず…。
最後のトマトも壱夜タンが取ってあげたものと思われ……青春です!
でも相変わらずかわい子ちゃんを書く癖は抜けず…。
最後のトマトも壱夜タンが取ってあげたものと思われ……青春です!