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十一月 蹲る身体を貫き去る風 (6)
2009.01.19 Mon
祐介が寮に戻っても、まだ和衣は帰ってきていなかった。
あの後、彼女と食事はせずに帰って来たのだけれど、どこかで行き違ったのだろうか。和衣自身の部屋にもいないし、亮や翔真の部屋にもいなかった(おまけに2人には、何だかひどく迷惑そうな顔をされるし)。
携帯電話も、呼び出せど繋がらず。
探すところもなくて、仕方なく祐介は自室へと戻ろうとした。
「え…」
足を1歩進めたところで、背後から聞こえた、小さいけれど驚いたような声に祐介が振り返れば、そこには、ハッとした表情の和衣が立ち竦んでいた。
和衣は荷物をたくさん抱えていて、でもその姿はさっき別れたときよりもひどく重そうに、邪魔そうにしているようにも見える。
「お帰り」
掛けられた声に、和衣は返事を出来なかった。
どうして彼がここにいるのか、食事をして来たにしては、いくら何でも帰ってくるのが早すぎる。それに、どうして和衣の部屋の前になんかいるのか。
いろんなことが一気に頭の中を駆け巡って、和衣は落ち着きなく視線を彷徨わせるだけで、声すら出せない。
「和衣、あのさ、ちょっと話、あるんだけど……いい?」
「――――……え……俺に…?」
「うん。いい?」
いいか悪いかはよく分からないけれど、真剣な表情の祐介に、和衣はコクリと頷いた。
同室者は彼女の家に泊まりに行くとかで不在だから、和衣は自分の部屋に祐介を上げた。
「…何?」
部屋に入るなり、和衣はショップの袋を乱暴にベッドに放り投げた。
ほんのさっき、祐介にも褒められて、あんなに嬉しい気持ちになったものなのに。
「和衣、何でさっき、先に帰っちゃったの?」
祐介にそう問われて、和衣は何も言えず俯いた。
だってそんな……言えるわけがない。
恋人でもないのに、女の子相手に嫉妬しました、だなんて。
いや、たとえお付き合いしている恋人同士だとしても、こんなことくらいでいちいち嫉妬するような男、面倒くさいに決まっている。祐介には、そんな風に思われたくない。
「俺、今日、和衣と出掛けたの、すごい楽しかった。映画も、買い物も」
「お…俺も!」
先に帰ってしまったことを責められるのではないかと、何となく心の中では思っていたのに、祐介の口から出たのはそんな言葉で、それは和衣も同じだったから、慌てて答えた。
「…そっか、よかった。和衣が急に帰るって言い出すから、俺、何かしたかなって思って」
「違う、そんなことない…」
俯きがちに、和衣は首を振った。
祐介は、何もしてない、何も悪くない。
もっと怒って、責めてくれたらいいのに。
「ホント? じゃあ、また和衣のこと、誘ってもいい?」
「え!?」
「出掛けたりとか」
「う、うん!」
今日こんなことになって、そんな直後なのに、どうしてまた誘ってくれるのかは分からなかったけれど、本当に嬉しくて和衣は素直に頷く。
急に笑顔を見せてくれた和衣に、ようやく祐介もホッと息をついた。
あの後、彼女と食事はせずに帰って来たのだけれど、どこかで行き違ったのだろうか。和衣自身の部屋にもいないし、亮や翔真の部屋にもいなかった(おまけに2人には、何だかひどく迷惑そうな顔をされるし)。
携帯電話も、呼び出せど繋がらず。
探すところもなくて、仕方なく祐介は自室へと戻ろうとした。
「え…」
足を1歩進めたところで、背後から聞こえた、小さいけれど驚いたような声に祐介が振り返れば、そこには、ハッとした表情の和衣が立ち竦んでいた。
和衣は荷物をたくさん抱えていて、でもその姿はさっき別れたときよりもひどく重そうに、邪魔そうにしているようにも見える。
「お帰り」
掛けられた声に、和衣は返事を出来なかった。
どうして彼がここにいるのか、食事をして来たにしては、いくら何でも帰ってくるのが早すぎる。それに、どうして和衣の部屋の前になんかいるのか。
いろんなことが一気に頭の中を駆け巡って、和衣は落ち着きなく視線を彷徨わせるだけで、声すら出せない。
「和衣、あのさ、ちょっと話、あるんだけど……いい?」
「――――……え……俺に…?」
「うん。いい?」
いいか悪いかはよく分からないけれど、真剣な表情の祐介に、和衣はコクリと頷いた。
同室者は彼女の家に泊まりに行くとかで不在だから、和衣は自分の部屋に祐介を上げた。
「…何?」
部屋に入るなり、和衣はショップの袋を乱暴にベッドに放り投げた。
ほんのさっき、祐介にも褒められて、あんなに嬉しい気持ちになったものなのに。
「和衣、何でさっき、先に帰っちゃったの?」
祐介にそう問われて、和衣は何も言えず俯いた。
だってそんな……言えるわけがない。
恋人でもないのに、女の子相手に嫉妬しました、だなんて。
いや、たとえお付き合いしている恋人同士だとしても、こんなことくらいでいちいち嫉妬するような男、面倒くさいに決まっている。祐介には、そんな風に思われたくない。
「俺、今日、和衣と出掛けたの、すごい楽しかった。映画も、買い物も」
「お…俺も!」
先に帰ってしまったことを責められるのではないかと、何となく心の中では思っていたのに、祐介の口から出たのはそんな言葉で、それは和衣も同じだったから、慌てて答えた。
「…そっか、よかった。和衣が急に帰るって言い出すから、俺、何かしたかなって思って」
「違う、そんなことない…」
俯きがちに、和衣は首を振った。
祐介は、何もしてない、何も悪くない。
もっと怒って、責めてくれたらいいのに。
「ホント? じゃあ、また和衣のこと、誘ってもいい?」
「え!?」
「出掛けたりとか」
「う、うん!」
今日こんなことになって、そんな直後なのに、どうしてまた誘ってくれるのかは分からなかったけれど、本当に嬉しくて和衣は素直に頷く。
急に笑顔を見せてくれた和衣に、ようやく祐介もホッと息をついた。
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COMMENT-FORM
柚子季杏 ⇒ ゆっち(笑
>おまけに2人には、何だかひどく迷惑そうな顔をされるし
これに笑ってしまいましたww
何も知らないゆっちには可哀想でしたね(爆)
ん~~またのお誘いをかけてくれたゆっちさん…何を考えてるのかな?
ゆっちの中では、やっぱりただの友達??
それともちょっとは変化あり?あ~~ん悶えます!!
最後に見せたカズちゃんの笑顔、可愛いんだろうなぁ~~♪
続きが気になります!!
これに笑ってしまいましたww
何も知らないゆっちには可哀想でしたね(爆)
ん~~またのお誘いをかけてくれたゆっちさん…何を考えてるのかな?
ゆっちの中では、やっぱりただの友達??
それともちょっとは変化あり?あ~~ん悶えます!!
最後に見せたカズちゃんの笑顔、可愛いんだろうなぁ~~♪
続きが気になります!!
りり ⇒ ちゅっちには何が何だか分からない?
ゆっち優しい~。
とりあえず、女子ともご飯も食べないで帰ってきてくれて良かったね。
でもそれがただの友情だったら最終的には残酷ってことになっちゃうのかな…。
カズちゃんいいこいいこしてあげたくなる。
こんなに一途でいいこだからきっと想いはいつか伝わるよ!
な、何とかしてくれるはずだよ…多分…。
毎朝萌えと元気をいただいて!
また今日も頑張るぞ~の気分がもらえます。
とりあえず、女子ともご飯も食べないで帰ってきてくれて良かったね。
でもそれがただの友情だったら最終的には残酷ってことになっちゃうのかな…。
カズちゃんいいこいいこしてあげたくなる。
こんなに一途でいいこだからきっと想いはいつか伝わるよ!
な、何とかしてくれるはずだよ…多分…。
毎朝萌えと元気をいただいて!
また今日も頑張るぞ~の気分がもらえます。
大野こうこ ⇒
如月久美子 ⇒ >柚子季さん
ゆっちさん、男前なのに、仲間の中ではこの扱い(爆)
彼をヘタレにしたかった私の思いの名残りでしょうか…。
相変わらず気持ちの読めない行動をするゆっち。
たぶんカズちゃんだけでなく、みなさんを相当ヤキモキさせてるんじゃないかと…。
> 最後に見せたカズちゃんの笑顔、可愛いんだろうなぁ~~♪
もうカズちゃんの笑顔を書くこと、私の中でもHAPPYなんですよ。
今、相当いい笑顔(笑)
何とかカズちゃんの笑顔シーン、増やせれば…と思ってます。
コメントありがとうございました!
彼をヘタレにしたかった私の思いの名残りでしょうか…。
相変わらず気持ちの読めない行動をするゆっち。
たぶんカズちゃんだけでなく、みなさんを相当ヤキモキさせてるんじゃないかと…。
> 最後に見せたカズちゃんの笑顔、可愛いんだろうなぁ~~♪
もうカズちゃんの笑顔を書くこと、私の中でもHAPPYなんですよ。
今、相当いい笑顔(笑)
何とかカズちゃんの笑顔シーン、増やせれば…と思ってます。
コメントありがとうございました!
如月久美子 ⇒ >りりさん
誰にでも優しいってのは、ある意味残酷ですよね。
少なくとも今のカズちゃんにとっては。
カズちゃん、ホント健気な子になってしまいました。
恋する乙女は、何かと大変です。
みなさんからのカズちゃんへの応援、ホント、伝えてあげたい気分です。
> また今日も頑張るぞ~の気分がもらえます。
私もみなさんからのコメで、元気貰ってます。
ありがとうございます!
コメントありがとうございました!
少なくとも今のカズちゃんにとっては。
カズちゃん、ホント健気な子になってしまいました。
恋する乙女は、何かと大変です。
みなさんからのカズちゃんへの応援、ホント、伝えてあげたい気分です。
> また今日も頑張るぞ~の気分がもらえます。
私もみなさんからのコメで、元気貰ってます。
ありがとうございます!
コメントありがとうございました!
如月久美子 ⇒ >大野さん
相変わらず気持ちの読めないゆっちさん。
何かみんなをヤキモキさせてますよね。
今思うと、私もヤキモキするっ…!
健気なカズちゃんへの応援が多いので、何とか彼の笑顔シーンが多くなれば…と思ってます。
コメントありがとうございました!
何かみんなをヤキモキさせてますよね。
今思うと、私もヤキモキするっ…!
健気なカズちゃんへの応援が多いので、何とか彼の笑顔シーンが多くなれば…と思ってます。
コメントありがとうございました!