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十一月 蹲る身体を貫き去る風 (5)
2009.01.18 Sun
「お前、部屋に戻れよー」
昼前から翔真の部屋に来て、1日中ウダウダと、空いているほうのベッド(マットレスのみ)に転がっていた亮に、とうとう翔真はそう漏らした。
「帰れないー」
「ウゼェ、つーの!」
あ゛ーとか、う゛ーとか、変な声を上げては、ベッドの上を転がる亮。
本当に鬱陶しい。
「どっちにしたって、ずっとこのままってわけにはいかないんだから、戻って話しろよ、バカ亮!」
「ショウ、一緒に来てー」
「何でっ?」
「俺が何か変なこと言いそうになったら、うまくフォローして!」
「出来るかぁ!」
ぐずっている亮の背中を蹴飛ばしてやれば、ゴロリと転がった亮が壁にぶつかった。
このままではいられないという翔真の言葉は、間違いではない。
あんなことを言って、逃げ出すように部屋を出て、このままでいられるはずがないのだ。
「…部屋、戻る」
「おー、そうしろよ」
ようやく決心のついたらしい亮に、翔真は本当にホッとしたような声を出した。
だが、困ったことに、戻った部屋は空だった。
睦月はどこかに出掛けたらしい。
祐介の部屋だろうかとも思ったが、祐介は今日、和衣とデートだから不在のはずだ。
「何だ…」
やはりこのままではいられないと、もう1度睦月と話をする決心をしたというのに…と、睦月の不在を残念に思う気持ちと、会って何を話したらいいのかも分からずにいたのも事実で、睦月がいないことにホッとする気持ちが入り混じった。
「どーすんだよ、俺…」
先ほどまで、翔真の部屋でさんざんゴロゴロしていたというのに、今度は部屋に戻って、自分のベッドに身を投げた。
今さらながら、勢いだけで部屋に戻って来たのだと思い知った。
今日1日、翔真の部屋でどうしたらいいのか考えていたはずなのに、結局何も考え付いてなんかいなくて、どうしたらいいのか、グルグルと頭の中を回る。
どうしよう、どうしよう、どうしよう……心の中で何度も繰り返していたとき、ガチャリとドアの開く音。
ノックもなしに開いたそれに、睦月が帰って来たのだと思って体を起こせば、立っていたのは祐介だった。
「何だ、お前か…」
あからさまにガッカリした表情で、しかもすごく失礼なことを口走った亮に、けれど祐介は何も突っ込まない。
「亮、お前しかいないの?」
「あ? そうだけど?」
まさかデートの最中に、睦月のことが心配になって帰ってきたとか言うつもりじゃないだろうな、と、亮は訝しむように祐介を見た。
「いや…和衣がいないならいいんだ」
部屋の中をグルリと見回すと、祐介は難しい顔で出ていった。
「何だアイツ…」
閉じたドアに呟いた後、亮はそのままベッドに仰向けに倒れた。
祐介の闖入により、何をどこまで考えていたのか、分からなくなってしまう。自分で思っていた以上の、頭のキャパのなさに、亮はガッカリした。
溜め息を1つついたところで、再びドアの開く音。
また祐介が戻って来たのかと、面倒くさくて亮はそちらに視線を向けることすらしなかった。
ガサリと何か物の落ちる音がして、それからそれを慌てて拾う音。
いったい何をしているのだと、ようやく亮が体を起こせば、そこにいたのは祐介ではなく、コンビニの袋を持った睦月だった。
「え、あ…」
「バ、バカ!」
「えっ!?」
戸惑いを隠せない亮に、いきなり浴びせられた罵声。
ずっとずっと、睦月に会ったら何を言おうか考えていて、結局何も思い付かずにいて、けれど顔を見た瞬間に、まさか「バカ」とか怒鳴られるなんて思ってもみなくて、言葉が続かない。
とにかく謝って、それから…
「亮のバカ! お前がいるとか思わなくて、閉めてった鍵開いてるから超ビビったじゃん! しかもビックリした拍子に、袋落っことして、プリン、グチャグチャになっちゃったじゃん!」
「え? え?」
もしかしてその怒りは、プリンがグチャグチャになったことに対しての怒り?
今朝の亮の行動に対しては??
「あー、もう! 弁当もグチャグチャになってるー! どうしてくれんだよ!」
「いや、どうして…ていうか、えと…それは…?」
「ご飯。だってゆっちいないし、お前もいないし、お腹空いたし、買ってくるしかないじゃん!」
平然とそうのたまう睦月に、亮は目眩すら覚える。
やはり睦月にとって、亮は単なる食事係でしかないのか。
あの、冗談という言葉を、本気にしたのか。
予想外すぎる睦月の言動に、一体どうしていいものか、まったく分からない。
「…んだよ」
呆然としてしまった亮に、睦月はムッとした顔で唇を突き出し、クリームの潰れてしまったプリンを、恨めしそうに冷蔵庫にしまう。
「あ…いや、その…、えっと、睦月、あのさ…ちょっと話…」
「…何? 今朝のことなら、聞きたくないんだけど」
「違うんだ、俺、」
「聞きたくないってば!」
冷蔵庫を閉じて振り返った睦月は、泣き出しそうな顔をしていて、けれどその瞳はひどく冷たいものだった。
昼前から翔真の部屋に来て、1日中ウダウダと、空いているほうのベッド(マットレスのみ)に転がっていた亮に、とうとう翔真はそう漏らした。
「帰れないー」
「ウゼェ、つーの!」
あ゛ーとか、う゛ーとか、変な声を上げては、ベッドの上を転がる亮。
本当に鬱陶しい。
「どっちにしたって、ずっとこのままってわけにはいかないんだから、戻って話しろよ、バカ亮!」
「ショウ、一緒に来てー」
「何でっ?」
「俺が何か変なこと言いそうになったら、うまくフォローして!」
「出来るかぁ!」
ぐずっている亮の背中を蹴飛ばしてやれば、ゴロリと転がった亮が壁にぶつかった。
このままではいられないという翔真の言葉は、間違いではない。
あんなことを言って、逃げ出すように部屋を出て、このままでいられるはずがないのだ。
「…部屋、戻る」
「おー、そうしろよ」
ようやく決心のついたらしい亮に、翔真は本当にホッとしたような声を出した。
だが、困ったことに、戻った部屋は空だった。
睦月はどこかに出掛けたらしい。
祐介の部屋だろうかとも思ったが、祐介は今日、和衣とデートだから不在のはずだ。
「何だ…」
やはりこのままではいられないと、もう1度睦月と話をする決心をしたというのに…と、睦月の不在を残念に思う気持ちと、会って何を話したらいいのかも分からずにいたのも事実で、睦月がいないことにホッとする気持ちが入り混じった。
「どーすんだよ、俺…」
先ほどまで、翔真の部屋でさんざんゴロゴロしていたというのに、今度は部屋に戻って、自分のベッドに身を投げた。
今さらながら、勢いだけで部屋に戻って来たのだと思い知った。
今日1日、翔真の部屋でどうしたらいいのか考えていたはずなのに、結局何も考え付いてなんかいなくて、どうしたらいいのか、グルグルと頭の中を回る。
どうしよう、どうしよう、どうしよう……心の中で何度も繰り返していたとき、ガチャリとドアの開く音。
ノックもなしに開いたそれに、睦月が帰って来たのだと思って体を起こせば、立っていたのは祐介だった。
「何だ、お前か…」
あからさまにガッカリした表情で、しかもすごく失礼なことを口走った亮に、けれど祐介は何も突っ込まない。
「亮、お前しかいないの?」
「あ? そうだけど?」
まさかデートの最中に、睦月のことが心配になって帰ってきたとか言うつもりじゃないだろうな、と、亮は訝しむように祐介を見た。
「いや…和衣がいないならいいんだ」
部屋の中をグルリと見回すと、祐介は難しい顔で出ていった。
「何だアイツ…」
閉じたドアに呟いた後、亮はそのままベッドに仰向けに倒れた。
祐介の闖入により、何をどこまで考えていたのか、分からなくなってしまう。自分で思っていた以上の、頭のキャパのなさに、亮はガッカリした。
溜め息を1つついたところで、再びドアの開く音。
また祐介が戻って来たのかと、面倒くさくて亮はそちらに視線を向けることすらしなかった。
ガサリと何か物の落ちる音がして、それからそれを慌てて拾う音。
いったい何をしているのだと、ようやく亮が体を起こせば、そこにいたのは祐介ではなく、コンビニの袋を持った睦月だった。
「え、あ…」
「バ、バカ!」
「えっ!?」
戸惑いを隠せない亮に、いきなり浴びせられた罵声。
ずっとずっと、睦月に会ったら何を言おうか考えていて、結局何も思い付かずにいて、けれど顔を見た瞬間に、まさか「バカ」とか怒鳴られるなんて思ってもみなくて、言葉が続かない。
とにかく謝って、それから…
「亮のバカ! お前がいるとか思わなくて、閉めてった鍵開いてるから超ビビったじゃん! しかもビックリした拍子に、袋落っことして、プリン、グチャグチャになっちゃったじゃん!」
「え? え?」
もしかしてその怒りは、プリンがグチャグチャになったことに対しての怒り?
今朝の亮の行動に対しては??
「あー、もう! 弁当もグチャグチャになってるー! どうしてくれんだよ!」
「いや、どうして…ていうか、えと…それは…?」
「ご飯。だってゆっちいないし、お前もいないし、お腹空いたし、買ってくるしかないじゃん!」
平然とそうのたまう睦月に、亮は目眩すら覚える。
やはり睦月にとって、亮は単なる食事係でしかないのか。
あの、冗談という言葉を、本気にしたのか。
予想外すぎる睦月の言動に、一体どうしていいものか、まったく分からない。
「…んだよ」
呆然としてしまった亮に、睦月はムッとした顔で唇を突き出し、クリームの潰れてしまったプリンを、恨めしそうに冷蔵庫にしまう。
「あ…いや、その…、えっと、睦月、あのさ…ちょっと話…」
「…何? 今朝のことなら、聞きたくないんだけど」
「違うんだ、俺、」
「聞きたくないってば!」
冷蔵庫を閉じて振り返った睦月は、泣き出しそうな顔をしていて、けれどその瞳はひどく冷たいものだった。
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COMMENT-FORM
りり ⇒ プリンに負けた
き、聞きたくない…(涙
亮たんの悶々がばっさりと斬って捨てられている…。
それなのに可哀想なのになんだかふつふつと笑いが沸き上がって来るのは何故?
やっぱいいわー。わたしこの亮たんというキャラが大好きです!!
なんか良く分かんないものに翻弄される善良な男の子(犬系
かわいい~。
そんでもってやっぱりむっちゃんはむっちゃん。姫は急にへたったりしないほうが何だか嬉しいです(どこまでもひどいやつ=りり
亮たんの悶々がばっさりと斬って捨てられている…。
それなのに可哀想なのになんだかふつふつと笑いが沸き上がって来るのは何故?
やっぱいいわー。わたしこの亮たんというキャラが大好きです!!
なんか良く分かんないものに翻弄される善良な男の子(犬系
かわいい~。
そんでもってやっぱりむっちゃんはむっちゃん。姫は急にへたったりしないほうが何だか嬉しいです(どこまでもひどいやつ=りり
柚子季杏 ⇒ ゆっち~~!!
>いや…和衣がいないならいいんだ
うはっ!!こ、このセリフ…期待が高まっちゃいますよ~~。
カズちゃん、どこ行ったのかな??
ゆっちが心配してるよ~~!
そして亮ちゃんヘタレまくりwww
カワイイーー!
でもってむっちゃんに思い切り拒絶されてる…。
むっちゃんの過去を思えばね・・・うん、まぁ、分かる気もしますがね・・・。
にしてもプリンか、そうか(苦笑)
うはっ!!こ、このセリフ…期待が高まっちゃいますよ~~。
カズちゃん、どこ行ったのかな??
ゆっちが心配してるよ~~!
そして亮ちゃんヘタレまくりwww
カワイイーー!
でもってむっちゃんに思い切り拒絶されてる…。
むっちゃんの過去を思えばね・・・うん、まぁ、分かる気もしますがね・・・。
にしてもプリンか、そうか(苦笑)
如月久美子 ⇒ >りりさん
1日中悩んだってのに、あっさり「聞きたくない」
亮タン、何でこんなにヘタレな子に…?
でもりりさんの大好き発言に、亮タンもちょっとは救われたはず…!?
お姫も、言い逃げ亮タンに、怒り沸々。
くわえてプリンの恨み…。
よく考えたら、亮タン、かわいそう過ぎますね。
けどりりさんに喜ばれてるみたいなんで、いいかな!? ←私もひどい
コメントありがとうございました!
亮タン、何でこんなにヘタレな子に…?
でもりりさんの大好き発言に、亮タンもちょっとは救われたはず…!?
お姫も、言い逃げ亮タンに、怒り沸々。
くわえてプリンの恨み…。
よく考えたら、亮タン、かわいそう過ぎますね。
けどりりさんに喜ばれてるみたいなんで、いいかな!? ←私もひどい
コメントありがとうございました!
如月久美子 ⇒ >柚子季さん
当初はゆっちさんがヘタレキャラになるはずだったのに、気付けばめっちゃ男前になってました(爆)
いつの間にか寡黙キャラ。
その分、ヘタレなのが亮タンですが…。
亮タン、謝ろうにも、言い逃げされた怒り+プリングチャグチャの恨みで、お姫の怒りボルテージMAXで、それも出来ないという…。
ホント、かわいそうな子です(苦笑)
コメントありがとうございました!
いつの間にか寡黙キャラ。
その分、ヘタレなのが亮タンですが…。
亮タン、謝ろうにも、言い逃げされた怒り+プリングチャグチャの恨みで、お姫の怒りボルテージMAXで、それも出来ないという…。
ホント、かわいそうな子です(苦笑)
コメントありがとうございました!