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九月 じりじりと焦がれる初秋 (5)
2009.01.04 Sun
学校に行かなければ和衣に余計な心配を掛けると思ったけれど、どうしても気分が優れなくて、やはり今日の授業は休もうと睦月は決めた。
亮は、ベッドから下りてすら来ない睦月を心配したけれど、まだ話す気にはなれなくて、適当に「寝不足」とだけ答えておいた。昨日の夜はあまり眠れなかったのだから、あながち間違いでもない。
亮は心配しながらも学校に行ってくれて、1人になった部屋で、睦月はホッと息をついた。
*****
「え、むっちゃん休み?」
授業の始まる時間になっても姿を見せない睦月に、驚いた声を出したのは和衣だった。
昨日の今日で、睦月の休む理由が、単に亮の言うような寝不足だけが原因でないことは、和衣にだって分かる。
けれど口止めされている以上、余計なことは言えないし、祐介の反応も気になる。
翔真の向こうに座っている祐介にチラリと視線を向ければ、「昨日も早く寝てたみたいだし、疲れてんのかな」と返して来るので、「そうかも…」と小さな声で答えた。
友人たちに隠し事をするって、あまりいい気はしない。けれど隠しているのは自分のことではなくて、睦月のことだから、勝手なことは出来なくて。
(どうしよ…)
知らず、思い詰めた顔をしていた和衣の表情を、祐介は見逃してはいなかった。
*****
睦月に会うため、祐介は亮から部屋の鍵を借りた。様子を見て来たいからと言えば、亮は疑いもせずに鍵を渡してくれた。
亮には、具合が悪いのにベッドから下りて鍵を開けさせるのは悪いから、と、相変わらずな過保護っぷりの理由を話したが、本当はどうせ自分が行っても、睦月は鍵を開けてはくれないだろうと思ったからだ。
ちょうど次の講義は、和衣たち3人は受講しているが、祐介が取っていないものだったので、こっそり鍵を借りた祐介が寮に戻っても、和衣を不審がらせずに済んだ。
亮から借りた部屋で部屋に入ると、部屋の中は静かだったが、睦月の使っているほうのベッドにあったフトンの膨らみが、モゾリと動いた。
「――――亮、もう授業終わったの…? 今何時?」
まだ祐介が来たとは気付いていない睦月が、モゾモゾと身じろぎながら体を起こした。
「ねぇ、なん…」
何時、と続くはずだった睦月の言葉は、そこで途切れた。
視線の先に祐介を見付けたから。
「な…何? 何でいんの?」
「亮から鍵借りて来た。アイツら、まだ授業だし」
「ゆっちは?」
「取ってないヤツ。ホラ」
「え?」
ドサリと、フトンの上に買い物袋を乗せられて、睦月は訳が分からず祐介の顔を見上げた。
「どうせ朝から何も食ってないだろ? もう2時になるし……食えよ」
「…うん」
あまり食欲はなかったけれど、きっと食べなければ祐介は許してくれないだろうと、睦月はガサガサと袋の中を漁った。
大学の売店で購入して来たらしいそれは、睦月の好きなパンやらヨーグルトがどっさりと入っていて、いくら何でも食べ切れない…と睦月は密かに思った。
亮は、ベッドから下りてすら来ない睦月を心配したけれど、まだ話す気にはなれなくて、適当に「寝不足」とだけ答えておいた。昨日の夜はあまり眠れなかったのだから、あながち間違いでもない。
亮は心配しながらも学校に行ってくれて、1人になった部屋で、睦月はホッと息をついた。
*****
「え、むっちゃん休み?」
授業の始まる時間になっても姿を見せない睦月に、驚いた声を出したのは和衣だった。
昨日の今日で、睦月の休む理由が、単に亮の言うような寝不足だけが原因でないことは、和衣にだって分かる。
けれど口止めされている以上、余計なことは言えないし、祐介の反応も気になる。
翔真の向こうに座っている祐介にチラリと視線を向ければ、「昨日も早く寝てたみたいだし、疲れてんのかな」と返して来るので、「そうかも…」と小さな声で答えた。
友人たちに隠し事をするって、あまりいい気はしない。けれど隠しているのは自分のことではなくて、睦月のことだから、勝手なことは出来なくて。
(どうしよ…)
知らず、思い詰めた顔をしていた和衣の表情を、祐介は見逃してはいなかった。
*****
睦月に会うため、祐介は亮から部屋の鍵を借りた。様子を見て来たいからと言えば、亮は疑いもせずに鍵を渡してくれた。
亮には、具合が悪いのにベッドから下りて鍵を開けさせるのは悪いから、と、相変わらずな過保護っぷりの理由を話したが、本当はどうせ自分が行っても、睦月は鍵を開けてはくれないだろうと思ったからだ。
ちょうど次の講義は、和衣たち3人は受講しているが、祐介が取っていないものだったので、こっそり鍵を借りた祐介が寮に戻っても、和衣を不審がらせずに済んだ。
亮から借りた部屋で部屋に入ると、部屋の中は静かだったが、睦月の使っているほうのベッドにあったフトンの膨らみが、モゾリと動いた。
「――――亮、もう授業終わったの…? 今何時?」
まだ祐介が来たとは気付いていない睦月が、モゾモゾと身じろぎながら体を起こした。
「ねぇ、なん…」
何時、と続くはずだった睦月の言葉は、そこで途切れた。
視線の先に祐介を見付けたから。
「な…何? 何でいんの?」
「亮から鍵借りて来た。アイツら、まだ授業だし」
「ゆっちは?」
「取ってないヤツ。ホラ」
「え?」
ドサリと、フトンの上に買い物袋を乗せられて、睦月は訳が分からず祐介の顔を見上げた。
「どうせ朝から何も食ってないだろ? もう2時になるし……食えよ」
「…うん」
あまり食欲はなかったけれど、きっと食べなければ祐介は許してくれないだろうと、睦月はガサガサと袋の中を漁った。
大学の売店で購入して来たらしいそれは、睦月の好きなパンやらヨーグルトがどっさりと入っていて、いくら何でも食べ切れない…と睦月は密かに思った。
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COMMENT-FORM
りり ⇒ ううう~~~。
優しいゆっち。保護者のよう。
確かにむっちゃんは守って気を配ってくれる人が必要ですけど。
ゆっちの心が知りたい。
保護欲だけなの?
でも、こんなん知ったらカズちゃんぐっさり…。
心配だよぅ。
ああ。恋って。
確かにむっちゃんは守って気を配ってくれる人が必要ですけど。
ゆっちの心が知りたい。
保護欲だけなの?
でも、こんなん知ったらカズちゃんぐっさり…。
心配だよぅ。
ああ。恋って。
柚子季杏 ⇒ ゆっちにとって
むっちゃんはどういう存在なんだろ~?
本当気になります!
弟的な感じなのかな~?
カズちゃんは脈なし?
あぁ~カズちゃんの恋、成就して欲しいなぁ・・・。
ゆっちとむっちゃんのこの後に来るだろう話の中身もドキドキだーー!!
本当気になります!
弟的な感じなのかな~?
カズちゃんは脈なし?
あぁ~カズちゃんの恋、成就して欲しいなぁ・・・。
ゆっちとむっちゃんのこの後に来るだろう話の中身もドキドキだーー!!
如月久美子 ⇒ >りりさん
意外と鋭いゆっち。
むっちゃんにだけ?
でも、カズちゃんに内緒で来るあたり…。
だけど、これをカズちゃんが知ったらショックを受けるてことには、気付いているのかどうか…(苦笑)
あうぅ…恋って…。
コメントありがとうございました!
むっちゃんにだけ?
でも、カズちゃんに内緒で来るあたり…。
だけど、これをカズちゃんが知ったらショックを受けるてことには、気付いているのかどうか…(苦笑)
あうぅ…恋って…。
コメントありがとうございました!
如月久美子 ⇒ >柚子季さん
昔からずっと面倒を見てるんで、むっちゃんのことはすぐに目に付いちゃうんでしょうね。
何かをごまかそうとするときのくせとか。
でも相変わらず、カズちゃんにとっては切ない思いをさせてるわけで……むっちゃんよりもある意味、罪な男。
しかもむっちゃんの過去話、まだ先延ばしです~……私ってヤツは…。
コメントありがとうございました!
何かをごまかそうとするときのくせとか。
でも相変わらず、カズちゃんにとっては切ない思いをさせてるわけで……むっちゃんよりもある意味、罪な男。
しかもむっちゃんの過去話、まだ先延ばしです~……私ってヤツは…。
コメントありがとうございました!