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九月 じりじりと焦がれる初秋 (4)
2009.01.03 Sat
「今日は迷惑掛けてゴメンね?」
「迷惑だなんて思ってないよ! ねぇ、むっちゃん、ホントに大丈夫なの? ね、祐介呼んでこようか?」
寮に戻っても、同室の亮はまだバイトから帰って来ていないのか、睦月の部屋はまだ暗くて、和衣は心配になってそう提案するが、睦月は首を縦には振らなかった。
「大丈夫だから心配しないで?」
「何で? 心配するに決まってんじゃん! 祐介がダメなら、俺が側にいる」
「いや、もう寝るだけだから…。過呼吸は、前もなったことあるから、分かるの。休めば大丈夫」
「…ホント?」
「うん。それにあんまり大げさにしたくないから…」
――――みんなには黙っててね。
そう付け加えて、睦月は自室に引き籠ってしまった。
「…」
閉ざされた扉を前に、和衣は俯いた。
睦月が人に知られたくないことを、いくら友人とはいえ、亮たちや祐介に話すわけにはいかない。けれど、今日起きたことを、このまま放っておいていいものかとも思う。
(つーか、でも俺が悪いんじゃん…)
俺が傘忘れなかったら、むっちゃんを1人にしないで済んだのに…。
先輩と話なんかしてないで、傘取ったらすぐ戻れば…。
てか、俺がここのバイトに誘ったから……
「和衣?」
「ッ…」
呆然と睦月の部屋の前に突っ立っていた和衣の背後、突然掛けられた声に、ビクリと肩が震えた。
「祐介…」
「何してんの、こんなとこで。留守?」
振り返れば、ちょうど外から帰ってきたところらしい祐介が、睦月たちの部屋の前に立ち尽くしていた和衣を不思議そうに見ていた。
一足違えば、自分たちが帰ってきたところに出くわしていたはずだ。
睦月が、祐介たちには知られたくなさそうにしていたことを思い出し、和衣はこのタイミングに少しホッとした。
「…まだ亮、帰ってなかったみたい」
「ふぅん? 睦月は? 今日一緒じゃないの?」
「え、何? どうしたの?」
祐介の口から睦月の名前が出て、和衣は少し焦った。
その動揺が知られないよう、冷静を装って聞き返したが、よく考えたら祐介の質問には何も答えていなかった。
けれど祐介は特に不審に想う様子もなく、「見たがってたDVD借りて来たから、渡そうと思って」と答えた。
「…和衣? え、睦月も部屋いないの?」
部屋に睦月がいるかどうかも分からず、ドアを開けて確認しようにも和衣がドアの前に立ち塞がっているしで、ボンヤリしている祐介もさすがに怪訝そうに首を傾げる。
「あの、えと…何か…」
基本的に和衣は嘘がヘタだ。
嘘、というか、言い訳や取り繕いの類は一切ダメで、いい意味で素直な子なのだけれど、こんな状況のときは、まるで役に立たない。
しかも恋心を寄せている祐介の前で、嘘なんかつきたくないという気持ちは高まる一方で、睦月からは黙っているように言われているから、余計に考えは纏まらないし、言葉も出て来ない。
「何か、疲れたからもう寝る、て…」
とりあえず、嘘はついていない。
本当に寝たかどうかは分からないけれど、本人は確かに寝ると言っていたのだし。
ただ…歯切れの悪い和衣の言い方に、祐介が本当に納得したかどうかは、甚だ疑問だが。
「…分かった、明日にする。どうせ疲れてりゃ、DVDなんて見れないしな」
祐介が肩を竦めて自分の部屋のほうへと戻っていくので、和衣もその後を追った。
「迷惑だなんて思ってないよ! ねぇ、むっちゃん、ホントに大丈夫なの? ね、祐介呼んでこようか?」
寮に戻っても、同室の亮はまだバイトから帰って来ていないのか、睦月の部屋はまだ暗くて、和衣は心配になってそう提案するが、睦月は首を縦には振らなかった。
「大丈夫だから心配しないで?」
「何で? 心配するに決まってんじゃん! 祐介がダメなら、俺が側にいる」
「いや、もう寝るだけだから…。過呼吸は、前もなったことあるから、分かるの。休めば大丈夫」
「…ホント?」
「うん。それにあんまり大げさにしたくないから…」
――――みんなには黙っててね。
そう付け加えて、睦月は自室に引き籠ってしまった。
「…」
閉ざされた扉を前に、和衣は俯いた。
睦月が人に知られたくないことを、いくら友人とはいえ、亮たちや祐介に話すわけにはいかない。けれど、今日起きたことを、このまま放っておいていいものかとも思う。
(つーか、でも俺が悪いんじゃん…)
俺が傘忘れなかったら、むっちゃんを1人にしないで済んだのに…。
先輩と話なんかしてないで、傘取ったらすぐ戻れば…。
てか、俺がここのバイトに誘ったから……
「和衣?」
「ッ…」
呆然と睦月の部屋の前に突っ立っていた和衣の背後、突然掛けられた声に、ビクリと肩が震えた。
「祐介…」
「何してんの、こんなとこで。留守?」
振り返れば、ちょうど外から帰ってきたところらしい祐介が、睦月たちの部屋の前に立ち尽くしていた和衣を不思議そうに見ていた。
一足違えば、自分たちが帰ってきたところに出くわしていたはずだ。
睦月が、祐介たちには知られたくなさそうにしていたことを思い出し、和衣はこのタイミングに少しホッとした。
「…まだ亮、帰ってなかったみたい」
「ふぅん? 睦月は? 今日一緒じゃないの?」
「え、何? どうしたの?」
祐介の口から睦月の名前が出て、和衣は少し焦った。
その動揺が知られないよう、冷静を装って聞き返したが、よく考えたら祐介の質問には何も答えていなかった。
けれど祐介は特に不審に想う様子もなく、「見たがってたDVD借りて来たから、渡そうと思って」と答えた。
「…和衣? え、睦月も部屋いないの?」
部屋に睦月がいるかどうかも分からず、ドアを開けて確認しようにも和衣がドアの前に立ち塞がっているしで、ボンヤリしている祐介もさすがに怪訝そうに首を傾げる。
「あの、えと…何か…」
基本的に和衣は嘘がヘタだ。
嘘、というか、言い訳や取り繕いの類は一切ダメで、いい意味で素直な子なのだけれど、こんな状況のときは、まるで役に立たない。
しかも恋心を寄せている祐介の前で、嘘なんかつきたくないという気持ちは高まる一方で、睦月からは黙っているように言われているから、余計に考えは纏まらないし、言葉も出て来ない。
「何か、疲れたからもう寝る、て…」
とりあえず、嘘はついていない。
本当に寝たかどうかは分からないけれど、本人は確かに寝ると言っていたのだし。
ただ…歯切れの悪い和衣の言い方に、祐介が本当に納得したかどうかは、甚だ疑問だが。
「…分かった、明日にする。どうせ疲れてりゃ、DVDなんて見れないしな」
祐介が肩を竦めて自分の部屋のほうへと戻っていくので、和衣もその後を追った。
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COMMENT-FORM
柚子季杏 ⇒ カズちゃんが
自分を責めてるのが辛いですね(涙
カズちゃんのせいじゃないのよー!
悪いのは冷やしラーメン男なんだから!!
ゆっち、何かおかしいってのは分かったみたいだけど・・・どうなるのかな。
カズちゃんの気持ち考えると切ない(泣
むっちゃんもーーーーうぅぅ。
秋は物悲しい季節ですなぁ・・・はふぅ
カズちゃんのせいじゃないのよー!
悪いのは冷やしラーメン男なんだから!!
ゆっち、何かおかしいってのは分かったみたいだけど・・・どうなるのかな。
カズちゃんの気持ち考えると切ない(泣
むっちゃんもーーーーうぅぅ。
秋は物悲しい季節ですなぁ・・・はふぅ
りり ⇒ カズちゃんも応援したい
むっちゃんが気になる、でも切ないカズちゃんの恋を応援したい。
後を追って一緒にDVD見れたらいいのにな。
ゆっちこのままだと永遠に気付いてくれないかも…。
ぱちんて弾けちゃう前に気持ちを伝えられるといいな。
亮たん早く帰ってこ~い。
後を追って一緒にDVD見れたらいいのにな。
ゆっちこのままだと永遠に気付いてくれないかも…。
ぱちんて弾けちゃう前に気持ちを伝えられるといいな。
亮たん早く帰ってこ~い。
如月久美子 ⇒ >柚子季さん
カズちゃんはホントに健気ないい子なんですよ~。
別にカズちゃんのせいではないのに。
そう、冷やしラーメン男のせいです!! もうあそこのコンビニには行かないはずだけど、またどっかで同じようなことをしてるんじゃ…(怒)
揺れる思いのカズちゃん。
何かずっと切ない思いをさせてます~!!
コメントありがとうございました!
別にカズちゃんのせいではないのに。
そう、冷やしラーメン男のせいです!! もうあそこのコンビニには行かないはずだけど、またどっかで同じようなことをしてるんじゃ…(怒)
揺れる思いのカズちゃん。
何かずっと切ない思いをさせてます~!!
コメントありがとうございました!
如月久美子 ⇒ >りりさん
ゆっちも優しい男なのに、ぼんやりしてるんで、恋心には鈍そう…。
カズちゃん的には、ゆっちが気に掛けてくるむっちゃんが羨ましいし、でも具合悪くて心配だし……て、すごく複雑な心境。
友情から恋心に変わると、こんなとき、すごく切ないですね。
なのに亮タンときたら…(彼にも罪はない)
コメントありがとうございました!
カズちゃん的には、ゆっちが気に掛けてくるむっちゃんが羨ましいし、でも具合悪くて心配だし……て、すごく複雑な心境。
友情から恋心に変わると、こんなとき、すごく切ないですね。
なのに亮タンときたら…(彼にも罪はない)
コメントありがとうございました!