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九月 じりじりと焦がれる初秋 (2)
2009.01.01 Thu
「むっちゃん、お待たせー。…て、あれ?」
傘を持ってすぐ出て来ようとしたら、ちょうど引き継いだ先輩に声を掛けられて、少し話し込んでしまった。それでも時間にしたら5分ほど。
けれど、和衣が外に出てみれば、店先にいるはずの睦月の姿がない。
「むっちゃん? え、ちょっ…」
ウロウロとその辺りを捜し回っていた和衣は、店の横にある路地に入って睦月の姿をようやく見つけたが、いつもとは違う雰囲気、そして側にいる男の存在を認めて、朧げながら、事の次第を悟った。
「ちょっとアンタ、何してんの?」
男は、和衣たちが「冷やしラーメン男」と呼んでいる例の男で、片手は馴れ馴れしく睦月の肩を抱き、もう一方の手は睦月の顔の横に突いている。
壁際に追い詰められている睦月は、和衣の姿を見つけて、ホッとしたような、縋るような視線を向けたが、体勢のせいで、男の腕の中から逃げ出すことが出来ないでいる。
「ねぇ、何してんの、て聞いてんだけど」
「何って…、ちょっとお話してただけだよねぇ?」
「…」
普段、あいさつ程度しかしたことのないその男の喋り方は、この状況のせいなのか、ひどく嫌悪感をもたらすものだった。
「ね、バイト終わったんでしょ? 遊びに行こうよ」
「い、や…です…」
そばに和衣が来ても、まるで相手にする気がないのか、男は強引に睦月をナンパしようとしている。
「ちょっと、ヤダっつってんじゃん! 離してよ!」
いつもだったら強引なナンパでも平気で跳ね返す睦月なのに、今は男の腕の中でかすかに震えていて、拒絶するのも、声を出すことすらままならない様子だ。
それに気付いた和衣が、無理やり男の手を引き剥がそうとするけれど。
「…チッ、うるせぇな、お前なんかに用事はねぇんだよ」
あからさまな舌打ちをして、男は軽々と和衣の手を振り払った。
さすがにこれには和衣も頭に来て、体ごと飛びかかったけれど、体格差がありすぎて、あっさりと突き飛ばされ、勢いで和衣の体は、隣のカフェレストランが使っているゴミ箱の中に放り出された。
「カズちゃん!」
「はは、いいじゃん、あんなヤツほっとこうよ」
必死に逃げ出そうとする睦月の力も男には敵わず、無理やり引っ張って連れて行かれそうになって、和衣がもう1度立ち上がろうとしたとき。
「また野良猫かー? いい加減…」
ガチャリとカフェレストランの裏口のドアが開いて、タブリエを着けた男が出てきた。和衣たちの友人で、カフェの調理担当である相楽譲(サガラ ユズル)だ。
どうやら和衣がゴミ箱を引っ繰り返した音を聞き付け、野良猫がまたゴミ箱を漁りに来たと思って、出て来たらしい。
しかしそこにいたのは野良猫ではなく、ゴミ箱に放り出された和衣と、強引なナンパに連れて行かれそうになっている睦月。そして呆気なく仮面が剥がれた「冷やしラーメン男」だ。
「えーっと…」
一瞬、思考回路が止まり掛けていた譲だが、すぐに状況を把握したらしく、スッと眉間にしわを寄せた。
坊主頭に、ヤクザ顔。
本人はいたって優しく温和な性格をしているが、そのいかつい風体から、譲に睨まれた男は、一瞬にして竦み上がる。
「俺のダチに、何か用事っすか?」
「あ…いや…」
「もしかしてコイツのこと、こうしたのも、アンタ?」
未だゴミ箱の中に尻もちを突いたままの和衣を見て、譲はさらに表情を険しくする。
「いや、あの…」
譲に凄まれて、男は慌てて睦月から手を離した。その隙に睦月は和衣の元に駆け寄る。
「何があったのかよく分かんねぇけど、暴力とかさぁ、人が嫌がることすんのって、良くないんじゃないっすかねぇ?」
「は、はいっ!」
真正面から譲にメンチを切られた男は、変に声を裏返して、小学生みたいなお行儀のいい返事をした。
「…で、まだコイツらに用事でも?」
「いや、もう! す、すいませんっ…!」
何度も深く頭を下げて、冷やしラーメン男は走り去っていった。
傘を持ってすぐ出て来ようとしたら、ちょうど引き継いだ先輩に声を掛けられて、少し話し込んでしまった。それでも時間にしたら5分ほど。
けれど、和衣が外に出てみれば、店先にいるはずの睦月の姿がない。
「むっちゃん? え、ちょっ…」
ウロウロとその辺りを捜し回っていた和衣は、店の横にある路地に入って睦月の姿をようやく見つけたが、いつもとは違う雰囲気、そして側にいる男の存在を認めて、朧げながら、事の次第を悟った。
「ちょっとアンタ、何してんの?」
男は、和衣たちが「冷やしラーメン男」と呼んでいる例の男で、片手は馴れ馴れしく睦月の肩を抱き、もう一方の手は睦月の顔の横に突いている。
壁際に追い詰められている睦月は、和衣の姿を見つけて、ホッとしたような、縋るような視線を向けたが、体勢のせいで、男の腕の中から逃げ出すことが出来ないでいる。
「ねぇ、何してんの、て聞いてんだけど」
「何って…、ちょっとお話してただけだよねぇ?」
「…」
普段、あいさつ程度しかしたことのないその男の喋り方は、この状況のせいなのか、ひどく嫌悪感をもたらすものだった。
「ね、バイト終わったんでしょ? 遊びに行こうよ」
「い、や…です…」
そばに和衣が来ても、まるで相手にする気がないのか、男は強引に睦月をナンパしようとしている。
「ちょっと、ヤダっつってんじゃん! 離してよ!」
いつもだったら強引なナンパでも平気で跳ね返す睦月なのに、今は男の腕の中でかすかに震えていて、拒絶するのも、声を出すことすらままならない様子だ。
それに気付いた和衣が、無理やり男の手を引き剥がそうとするけれど。
「…チッ、うるせぇな、お前なんかに用事はねぇんだよ」
あからさまな舌打ちをして、男は軽々と和衣の手を振り払った。
さすがにこれには和衣も頭に来て、体ごと飛びかかったけれど、体格差がありすぎて、あっさりと突き飛ばされ、勢いで和衣の体は、隣のカフェレストランが使っているゴミ箱の中に放り出された。
「カズちゃん!」
「はは、いいじゃん、あんなヤツほっとこうよ」
必死に逃げ出そうとする睦月の力も男には敵わず、無理やり引っ張って連れて行かれそうになって、和衣がもう1度立ち上がろうとしたとき。
「また野良猫かー? いい加減…」
ガチャリとカフェレストランの裏口のドアが開いて、タブリエを着けた男が出てきた。和衣たちの友人で、カフェの調理担当である相楽譲(サガラ ユズル)だ。
どうやら和衣がゴミ箱を引っ繰り返した音を聞き付け、野良猫がまたゴミ箱を漁りに来たと思って、出て来たらしい。
しかしそこにいたのは野良猫ではなく、ゴミ箱に放り出された和衣と、強引なナンパに連れて行かれそうになっている睦月。そして呆気なく仮面が剥がれた「冷やしラーメン男」だ。
「えーっと…」
一瞬、思考回路が止まり掛けていた譲だが、すぐに状況を把握したらしく、スッと眉間にしわを寄せた。
坊主頭に、ヤクザ顔。
本人はいたって優しく温和な性格をしているが、そのいかつい風体から、譲に睨まれた男は、一瞬にして竦み上がる。
「俺のダチに、何か用事っすか?」
「あ…いや…」
「もしかしてコイツのこと、こうしたのも、アンタ?」
未だゴミ箱の中に尻もちを突いたままの和衣を見て、譲はさらに表情を険しくする。
「いや、あの…」
譲に凄まれて、男は慌てて睦月から手を離した。その隙に睦月は和衣の元に駆け寄る。
「何があったのかよく分かんねぇけど、暴力とかさぁ、人が嫌がることすんのって、良くないんじゃないっすかねぇ?」
「は、はいっ!」
真正面から譲にメンチを切られた男は、変に声を裏返して、小学生みたいなお行儀のいい返事をした。
「…で、まだコイツらに用事でも?」
「いや、もう! す、すいませんっ…!」
何度も深く頭を下げて、冷やしラーメン男は走り去っていった。
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COMMENT-FORM
柚子季杏 ⇒ またまた新キャラ!
ユズルっち!よくやった!!
なんだなんだ、格好いいぞー!!
カズちゃんもよく頑張った゜+.゜.(⊃Д`*)゜+.゜
男の子だよーエライ!
んもぅ~冷やしラーメンめ!!(←ラーメンに罪は無いw
むっちゃん無事で良かった~♪
9月、何やらワクテカな予感満載!!
なんだなんだ、格好いいぞー!!
カズちゃんもよく頑張った゜+.゜.(⊃Д`*)゜+.゜
男の子だよーエライ!
んもぅ~冷やしラーメンめ!!(←ラーメンに罪は無いw
むっちゃん無事で良かった~♪
9月、何やらワクテカな予感満載!!
如月久美子 ⇒ >柚子季さん
今までかわいい男大好きで書いてきた私の中で、初の坊主頭です!!
見た目は坊主のヤクザ、でも心は優しい譲っちです。
カズちゃんもやるときはやる! て感じでね。
ラーメンに罪はないが、冷やしラーメン男は悪い男でした。
9月でまた1つお話が動きます!
コメントありがとうございました!
見た目は坊主のヤクザ、でも心は優しい譲っちです。
カズちゃんもやるときはやる! て感じでね。
ラーメンに罪はないが、冷やしラーメン男は悪い男でした。
9月でまた1つお話が動きます!
コメントありがとうございました!