スポンサーサイト
--.--.-- --
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
- BL小説ランキング参加中です。クリックいただけたら嬉しいです。
- コメントや拍手、ありがとうございます。拍手の公開コメントへのお返事はこちらから。それ以外は、コメントをいただいた記事に返信いたします。
- お題配布サイト「明日」はひっそりまったり更新中です。毎日更新しない日誌「遊び心がない」もよろしくね。
カテゴリー:スポンサー広告
八月 瑠璃色の夕べに君はいない (4)
2008.12.29 Mon
当初の予定どおり、お盆になるとまず祐介が実家へと帰り、1日遅れで亮たちも帰ることになった。
「亮の薄情者ー」
「だからしょうがねぇだろ!? 最初からそういう予定だったんだから!」
「亮の卑怯者ー」
「何で!?」
夕べのうちに荷物を纏め切れなかった亮は、朝になって、睦月の恨みがましげな視線を目いっぱい浴びながら、せっせと身支度を整えていた。
「俺のことなんて、どうでもいいんだ…」
「そうじゃなくて!」
あーもう! と、頭を掻き毟る亮を、ベッドの上で膝を抱えている睦月は、ニヤニヤしながら見ている。
みんなに置いていかれて確かに寂しいは寂しいが、うっかりバイトを入れてしまったのは自分が悪いし、最初から決まっていた亮たちの予定を、今さら自分のわがままで変更させる気もない。
ただ、憂さ晴らしに、亮をからかって遊んでいるだけなのだ。
「亮」
「何!?」
「おみやげ買ってきてね?」
「…………」
今度は何だと振り返った亮は、ベッドの上でにっこりと笑っている睦月に、ようやく今までのことが、本気で拗ねているからではなく、単なる演技だということに気が付いた。
「睦月…」
すっかり言葉を失っている亮に、睦月はベッドの上で笑い転げている。
いったい何のために、朝からどうでもいい罪悪感に駆られていたのだと、どっと疲れが湧く。
「亮ー、まだー?」
ノックもせずに部屋にやって来たのは、和衣だった。その後ろに翔真もいる。
もちろん2人とも、昨日のうちにちゃんと支度しているので、朝からずっと亮のことを待っているのだ。
「むっちゃん、ずいぶんご機嫌だね、どうしたの?」
「何でもないよー」
亮の身支度を手伝う気はまったくないようで、睦月は笑いが止まってもまだ、ベッドでゴロゴロしていた。
「何で帰るのー? 新幹線? 暇だからお見送りしようかな」
「むっちゃんバイトは?」
「夕方から」
もちろん睦月には亮たち以外にも友人はいるが、やはり同様に、夏休みになると実家に帰ってしまう者が殆どで、バイトが始まるまでの中途半端な時間に、気安く遊びに誘える者がいないのだ。
「駅まで来る?」
「んー…でも外、暑そう…」
あの照り付ける日差しを見ると、それでも扇風機1台が精いっぱい稼働しているこの部屋のほうがまだ涼しい気がして、睦月は自分から言っておきながら、躊躇するようなセリフを吐いた。
「あー…でもお腹空いたから、やっぱ行こうかなー」
「どっちにすんの? てか、むっちゃん、コンビニのおにぎりとかばっか食ってちゃダメだよ?」
「う…」
昨日の朝、寮を出るときに、祐介が睦月にしっかりと言い聞かせていったセリフを、今日になって和衣に繰り返されて、睦月は言葉に詰まる。
体のことを心配してくれているのは分かるし有り難いが、誰もが認める不器用キング睦月にとって、自炊などとても無理なお話で。
「違うの! 帰り、スーパー寄って、買い物して帰るの!」
未だかつて睦月の口から聞いたこともないような言葉が飛び出して、勢い任せのセリフとはいえ、よく言ったものだと3人は顔を見合わせた。
「やっぱ亮、残っててあげなよー、むっちゃんのご飯係で」
「ちょっ、えぇ!?」
確かに入学して3か月半、睦月が1人で台所に立った姿は1度も見たことがない。無謀にもチャレンジしようとして、結局ダメで、祐介のところへ駆け込んだ形跡なら、何度か目撃しているが。
「大丈夫だって。ちゃんとする。約束する!」
「ホントかなー…?」
どこまで当てになるか分からない睦月の言葉を不安に思いつつ、3人は寮を出ていった。
「亮の薄情者ー」
「だからしょうがねぇだろ!? 最初からそういう予定だったんだから!」
「亮の卑怯者ー」
「何で!?」
夕べのうちに荷物を纏め切れなかった亮は、朝になって、睦月の恨みがましげな視線を目いっぱい浴びながら、せっせと身支度を整えていた。
「俺のことなんて、どうでもいいんだ…」
「そうじゃなくて!」
あーもう! と、頭を掻き毟る亮を、ベッドの上で膝を抱えている睦月は、ニヤニヤしながら見ている。
みんなに置いていかれて確かに寂しいは寂しいが、うっかりバイトを入れてしまったのは自分が悪いし、最初から決まっていた亮たちの予定を、今さら自分のわがままで変更させる気もない。
ただ、憂さ晴らしに、亮をからかって遊んでいるだけなのだ。
「亮」
「何!?」
「おみやげ買ってきてね?」
「…………」
今度は何だと振り返った亮は、ベッドの上でにっこりと笑っている睦月に、ようやく今までのことが、本気で拗ねているからではなく、単なる演技だということに気が付いた。
「睦月…」
すっかり言葉を失っている亮に、睦月はベッドの上で笑い転げている。
いったい何のために、朝からどうでもいい罪悪感に駆られていたのだと、どっと疲れが湧く。
「亮ー、まだー?」
ノックもせずに部屋にやって来たのは、和衣だった。その後ろに翔真もいる。
もちろん2人とも、昨日のうちにちゃんと支度しているので、朝からずっと亮のことを待っているのだ。
「むっちゃん、ずいぶんご機嫌だね、どうしたの?」
「何でもないよー」
亮の身支度を手伝う気はまったくないようで、睦月は笑いが止まってもまだ、ベッドでゴロゴロしていた。
「何で帰るのー? 新幹線? 暇だからお見送りしようかな」
「むっちゃんバイトは?」
「夕方から」
もちろん睦月には亮たち以外にも友人はいるが、やはり同様に、夏休みになると実家に帰ってしまう者が殆どで、バイトが始まるまでの中途半端な時間に、気安く遊びに誘える者がいないのだ。
「駅まで来る?」
「んー…でも外、暑そう…」
あの照り付ける日差しを見ると、それでも扇風機1台が精いっぱい稼働しているこの部屋のほうがまだ涼しい気がして、睦月は自分から言っておきながら、躊躇するようなセリフを吐いた。
「あー…でもお腹空いたから、やっぱ行こうかなー」
「どっちにすんの? てか、むっちゃん、コンビニのおにぎりとかばっか食ってちゃダメだよ?」
「う…」
昨日の朝、寮を出るときに、祐介が睦月にしっかりと言い聞かせていったセリフを、今日になって和衣に繰り返されて、睦月は言葉に詰まる。
体のことを心配してくれているのは分かるし有り難いが、誰もが認める不器用キング睦月にとって、自炊などとても無理なお話で。
「違うの! 帰り、スーパー寄って、買い物して帰るの!」
未だかつて睦月の口から聞いたこともないような言葉が飛び出して、勢い任せのセリフとはいえ、よく言ったものだと3人は顔を見合わせた。
「やっぱ亮、残っててあげなよー、むっちゃんのご飯係で」
「ちょっ、えぇ!?」
確かに入学して3か月半、睦月が1人で台所に立った姿は1度も見たことがない。無謀にもチャレンジしようとして、結局ダメで、祐介のところへ駆け込んだ形跡なら、何度か目撃しているが。
「大丈夫だって。ちゃんとする。約束する!」
「ホントかなー…?」
どこまで当てになるか分からない睦月の言葉を不安に思いつつ、3人は寮を出ていった。
- 関連記事
-
- 八月 瑠璃色の夕べに君はいない (5) (2008/12/30)
- 八月 瑠璃色の夕べに君はいない (4) (2008/12/29)
- 八月 瑠璃色の夕べに君はいない (3) (2008/12/28)
- BL小説ランキング参加中です。クリックいただけたら嬉しいです。
- コメントや拍手、ありがとうございます。拍手の公開コメントへのお返事はこちらから。それ以外は、コメントをいただいた記事に返信いたします。
- お題配布サイト「明日」はひっそりまったり更新中です。毎日更新しない日誌「遊び心がない」もよろしくね。
コメントの投稿はこちらから ♥
COMMENT-FORM
柚子季杏 ⇒ むっちゃん
如月久美子 ⇒ >柚子季さん
とうとうむっちゃんの1人お留守番です。
たぶん、小学生に留守番をさせるより不安な感じ…。
そして人の気も知らないで、亮タンをからかっているという。
まさに小悪魔ちゃん(爆)
コメントありがとうございました!
たぶん、小学生に留守番をさせるより不安な感じ…。
そして人の気も知らないで、亮タンをからかっているという。
まさに小悪魔ちゃん(爆)
コメントありがとうございました!
りり ⇒ むっちゃ~~~ん
むっちゃん大丈夫だろうか?!
ものっそ心配。
何かいい加減なモノばっか食べそうだし。
扇風機つけっぱなしで寝ちゃいそうだし。
ホント亮たんおちおち帰省もできない。
大丈夫か…。
ものっそ心配。
何かいい加減なモノばっか食べそうだし。
扇風機つけっぱなしで寝ちゃいそうだし。
ホント亮たんおちおち帰省もできない。
大丈夫か…。
如月久美子 ⇒ >りりさん
もう大学生だし……て言えないところがむっちゃんなんですよね。
小学生のお留守番より、心配(爆)
ちゃんと自炊しないとダメだよ…と思いつつ、台所を破壊するんじゃないかという心配もあり…。
ホント、おちおち帰省も出来ないです(汗)
>大丈夫か…。
とても大丈夫ですとは、書いてる私も胸を張っては言えません…。
コメントありがとうございました!
小学生のお留守番より、心配(爆)
ちゃんと自炊しないとダメだよ…と思いつつ、台所を破壊するんじゃないかという心配もあり…。
ホント、おちおち帰省も出来ないです(汗)
>大丈夫か…。
とても大丈夫ですとは、書いてる私も胸を張っては言えません…。
コメントありがとうございました!