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八月 瑠璃色の夕べに君はいない (5)
2008.12.30 Tue
3人の実家は、大学のある都市から電車と新幹線を乗り継いで、2時間ほどで着く。
帰省ラッシュに巻き込まれまいと、値は張るが新幹線は指定席の切符を買っておいたので、朝からバタバタして疲れていた亮には、本当に有り難かった。
和衣と翔真は、他の乗客の邪魔にならない程度に何か喋っていたが、亮は発車早々、爆睡を始めた。
「…コイツさぁ、起きてりゃ男前なのにな」
非常に残念そうな声を上げたのは翔真で、見れば亮は口をポカンと大きく開けたまま眠っている。確かに残念な姿だった。
*****
お盆のこの時期、自分たちと同じように、進学や就職で故郷を離れていた同級生たちが帰って来ていて、プチ同級会のような雰囲気だった。
懐かしいと言っても、3か月半ぶりに見る顔ばかりだ。
それでも会って話すのは楽しくて、結局、実家に帰ってから3日間は、睦月にメールをするのを忘れていた。
別に恋人同士でもないし、日にちを空けずにメールをしないからと言って大したことではないが、出掛けに睦月から、「俺、暇なんだから、みんな積極的にメールしてきてよー」と言われていたのを思い出して、ちょっと焦った。
「でも、むっちゃんからも、何のメールも来ないけどね」
そう言って苦笑したのは、翔真だった。
近所の河川敷を3人で歩きながら、ふと話題に睦月のことが上った。
「このまま帰ったら、絶対拗ねてそう…。そのときは亮が犠牲になってね」
「何でよ!?」
3人が帰ったときの睦月の反応が容易に想像できて、思わずみんなで吹き出した。
「あ。あのさー、ちょっと聞いてほしい話あるんだけど、……いい?」
和衣の言葉に、亮と翔真は顔を見合わせてから、河川敷の土手に腰を下ろした。
「あのね、あのね」
一応、自分が話し手となることを意識してか、和衣は座った2人の間に体を割り込ませてきたので、面倒くさいと思いつつ、亮と翔真は少し間を開けてやった。
「実は……祐介が好きだってこと、むっちゃんにバレちゃった」
「えっ…」
「、」
さすがにこの告白には、2人とも固まった。
あの一件以来、和衣と睦月が仲直りしたことは知っていたが、まさか勢いで話してしまったのだろうが。
にしても、睦月の順応力には驚かされる。
自分たちは長い付き合いの腐れ縁だから、和衣の性癖云々についてどうこう言うつもりはないが、知り合って3か月半の友人から打ち明けるられるにしては、かなりへヴィな話だっただろうに。
「うぅん、何かバレてた。むっちゃんのほうから、好きなんでしょ? て言われた」
「マジで?」
「うん。何か俺、すげぇ分かりやすかったみたい」
そう言って和衣は苦笑したが、確かに睦月と祐介を前にした和衣の態度は、少しあからさま過ぎた。
ちなみに祐介は全然気付いてないみたいだってー、と睦月から教えられた情報をこっそり打ち明れば、亮も翔真も、アイツそういうの鈍そうだからなー、なんて言い出す始末。
「で、睦月、何か言ってた?」
「ん? 応援するとは言ってくれたよ」
「そうなんだ、良かったな」
「うん」
まだ和衣の想いが祐介に届いたわけではない。
祐介が、同性愛についてどう思っているかも分からない。
ましてや、男である和衣を、そういう対象として見てくれるかどうかも分からない。
けれど、何となく一区切りが付いたような気がして、和衣の心は前よりも少し晴れやかだった。
「あ、あそこ、月出てる」
翔真が指差した空、まだ日の沈んでいない青とも紫とも言えない色の空に、薄くぽっかりと月が浮かんでいる。
「戻ったらさー、きっとこういうの、見れないんだろうねー」
いわゆる"空がない"と言われるその場所では、こんな風に並んで月を見ることなど、きっとないだろう。
亮はぼんやりと、今ここにいない睦月のことを思った。
隣に、睦月も座っていたらいいのにな。
帰省ラッシュに巻き込まれまいと、値は張るが新幹線は指定席の切符を買っておいたので、朝からバタバタして疲れていた亮には、本当に有り難かった。
和衣と翔真は、他の乗客の邪魔にならない程度に何か喋っていたが、亮は発車早々、爆睡を始めた。
「…コイツさぁ、起きてりゃ男前なのにな」
非常に残念そうな声を上げたのは翔真で、見れば亮は口をポカンと大きく開けたまま眠っている。確かに残念な姿だった。
*****
お盆のこの時期、自分たちと同じように、進学や就職で故郷を離れていた同級生たちが帰って来ていて、プチ同級会のような雰囲気だった。
懐かしいと言っても、3か月半ぶりに見る顔ばかりだ。
それでも会って話すのは楽しくて、結局、実家に帰ってから3日間は、睦月にメールをするのを忘れていた。
別に恋人同士でもないし、日にちを空けずにメールをしないからと言って大したことではないが、出掛けに睦月から、「俺、暇なんだから、みんな積極的にメールしてきてよー」と言われていたのを思い出して、ちょっと焦った。
「でも、むっちゃんからも、何のメールも来ないけどね」
そう言って苦笑したのは、翔真だった。
近所の河川敷を3人で歩きながら、ふと話題に睦月のことが上った。
「このまま帰ったら、絶対拗ねてそう…。そのときは亮が犠牲になってね」
「何でよ!?」
3人が帰ったときの睦月の反応が容易に想像できて、思わずみんなで吹き出した。
「あ。あのさー、ちょっと聞いてほしい話あるんだけど、……いい?」
和衣の言葉に、亮と翔真は顔を見合わせてから、河川敷の土手に腰を下ろした。
「あのね、あのね」
一応、自分が話し手となることを意識してか、和衣は座った2人の間に体を割り込ませてきたので、面倒くさいと思いつつ、亮と翔真は少し間を開けてやった。
「実は……祐介が好きだってこと、むっちゃんにバレちゃった」
「えっ…」
「、」
さすがにこの告白には、2人とも固まった。
あの一件以来、和衣と睦月が仲直りしたことは知っていたが、まさか勢いで話してしまったのだろうが。
にしても、睦月の順応力には驚かされる。
自分たちは長い付き合いの腐れ縁だから、和衣の性癖云々についてどうこう言うつもりはないが、知り合って3か月半の友人から打ち明けるられるにしては、かなりへヴィな話だっただろうに。
「うぅん、何かバレてた。むっちゃんのほうから、好きなんでしょ? て言われた」
「マジで?」
「うん。何か俺、すげぇ分かりやすかったみたい」
そう言って和衣は苦笑したが、確かに睦月と祐介を前にした和衣の態度は、少しあからさま過ぎた。
ちなみに祐介は全然気付いてないみたいだってー、と睦月から教えられた情報をこっそり打ち明れば、亮も翔真も、アイツそういうの鈍そうだからなー、なんて言い出す始末。
「で、睦月、何か言ってた?」
「ん? 応援するとは言ってくれたよ」
「そうなんだ、良かったな」
「うん」
まだ和衣の想いが祐介に届いたわけではない。
祐介が、同性愛についてどう思っているかも分からない。
ましてや、男である和衣を、そういう対象として見てくれるかどうかも分からない。
けれど、何となく一区切りが付いたような気がして、和衣の心は前よりも少し晴れやかだった。
「あ、あそこ、月出てる」
翔真が指差した空、まだ日の沈んでいない青とも紫とも言えない色の空に、薄くぽっかりと月が浮かんでいる。
「戻ったらさー、きっとこういうの、見れないんだろうねー」
いわゆる"空がない"と言われるその場所では、こんな風に並んで月を見ることなど、きっとないだろう。
亮はぼんやりと、今ここにいない睦月のことを思った。
隣に、睦月も座っていたらいいのにな。
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COMMENT-FORM
柚子季杏 ⇒ むっちゃんは
一人でちゃんと生活出来ているんだろうか・・・。
寮の室内とんでもない事になってないだろうか・・・。
ちゃんとご飯食べてるだろうか・・・。
亮じゃなくても心配になる~~ww
うんうん、こんな空、むっちゃんにも見せたいよね~それはもう恋だよ亮ちゃん!w
この3人の仲の良さ、イイナァ~♪
寮の室内とんでもない事になってないだろうか・・・。
ちゃんとご飯食べてるだろうか・・・。
亮じゃなくても心配になる~~ww
うんうん、こんな空、むっちゃんにも見せたいよね~それはもう恋だよ亮ちゃん!w
この3人の仲の良さ、イイナァ~♪
りり ⇒ 亮たんいいなぁ~。
アホ顔で寝てる残念な亮たんに愛を感じます。
月を見てはむっちゃんに見せたいと思い、美味しい物を食べたらむっちゃんにも食べさせたいと思うんですかね?
ホント、それは既に恋…ぷぷぷ。
月を見てはむっちゃんに見せたいと思い、美味しい物を食べたらむっちゃんにも食べさせたいと思うんですかね?
ホント、それは既に恋…ぷぷぷ。
如月久美子 ⇒ >柚子季さん
地元に帰ってきてるのに、結局話題に上るのはむっちゃんのこと。
無事に生活できているかは、ゆっちだけでなく、みんなの気掛かりです(苦笑)
この景色を一緒に見たいとか、そういうときに思い出すなんて、やっぱ恋なんでしょうけどねぇ。
亮タンも意外と鈍感ちゃんなんで、人のことは分かっても、自分の気持ちにはなかなか…。
コメントありがとうございました!
無事に生活できているかは、ゆっちだけでなく、みんなの気掛かりです(苦笑)
この景色を一緒に見たいとか、そういうときに思い出すなんて、やっぱ恋なんでしょうけどねぇ。
亮タンも意外と鈍感ちゃんなんで、人のことは分かっても、自分の気持ちにはなかなか…。
コメントありがとうございました!
如月久美子 ⇒ >りりさん
男前なんだけど、近寄りがたい存在ではない、普通の子なんですよ。
まぁ、口を開けて寝ちゃってますが(笑)
>月を見てはむっちゃんに見せたいと思い、美味しい物を食べたらむっちゃんにも食べさせたいと思うんですかね?
亮タン、自覚してないだけで、まさにその状態ですね。
>それは既に恋
誰か気付かせてあげてほしいです(爆)
コメントありがとうございました!
まぁ、口を開けて寝ちゃってますが(笑)
>月を見てはむっちゃんに見せたいと思い、美味しい物を食べたらむっちゃんにも食べさせたいと思うんですかね?
亮タン、自覚してないだけで、まさにその状態ですね。
>それは既に恋
誰か気付かせてあげてほしいです(爆)
コメントありがとうございました!