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八月 瑠璃色の夕べに君はいない (2)
2008.12.27 Sat
「う…うぇ…」
睦月たちから逃げるようにしてカフェテリアを出た和衣は、行き場もなくて、とりあえず涙を人に見られないように、近くのトイレに駆け込んだ。
(バカバカバカバカバカ! 俺のバカ!!)
むっちゃんにヤキモチ妬いちゃダメだって、そんなことしたって意味がないって、ずっと自分に言い聞かせてきたのに。
あまりにもひどい自分の態度に、和衣は自己嫌悪でいっぱいになった。
(ちゃんと、むっちゃんに謝ろう…)
どうしたって、傷付けたのは自分だし、傷付いたのは睦月だ。このままでいられるはずがない。
和衣は涙でグチャグチャになった顔を洗ってから、みんなのいるであろうカフェテリアに戻ったが、もうそこに4人の姿はなかった。
それならば携帯電話で連絡を…と思って取り出そうとすれば、カバンも何も持っていないことに気が付いた。念のため、先ほど自分たちがいた席に行ってみても、そこには何も残っていない。
おそらく亮たちが持っていったのだろう、だとすればいったん寮に戻ってみるしかない。
和衣が重い足取りで寮に戻ってくれば、自分の部屋の前に睦月が立っていて、慌てて駆け寄った。
「むっちゃん…」
「あ、カズちゃん、お帰り。はい、これ」
差し出されたのは、和衣のカバンだった。
和衣の置いていったカバンを届けに来たら、鍵が掛かっているし、中にも人の気配がないので、外で待っていたらしい。
「あの、むっちゃん、あのっ…」
「ね、中入ってもいい?」
「え? あ、うん…」
和衣が話を切り出そうとするより先、睦月にそう言われて、和衣は急いでドアを開けて中に通した。
「…みんなは?」
「さぁ。自分の部屋じゃない?」
部屋に入った睦月は、試験が終わって早々に帰郷した和衣の相部屋さんのベッドに、どっかりと腰を下ろした。人に勝手にベッドに上がられるのが嫌だと言っていた和衣に、一応気を遣っているらしい。
「あの、むっちゃん、あのっ…………ゴメン、なさい!」
「え、」
いきなり深々と頭を下げて、謝罪の言葉を口にした和衣に、睦月はキョトンと彼を見つめた。
「え、何、カズちゃん」
「だって、さっき…俺、超態度悪かった…」
「うん、結構傷付いた、俺」
「ッ…」
サラリとそう言う睦月に、和衣はキュッと唇を噛んだ。
自分だって友だちに、いきなりあんな態度、取られたくない。
「俺、カズちゃんに何かした? 知らないうちに俺、カズちゃんに嫌われるようなこと、してた? それ聞きたくて来たんだけど……いきなり謝られるから、ちょっとビックリした」
「だって…ゴメンなさい…。何かもう俺…、……ゴメン…」
「謝るってことは、俺のこと、嫌いになったわけじゃないんだ」
「…うん」
そっか、と睦月はベッドから立ち上がった。
「なら、いいや。もしカズちゃんに嫌われたんだとしらたら、ヤダなって思ってたけど、じゃないならいいや」
睦月たちから逃げるようにしてカフェテリアを出た和衣は、行き場もなくて、とりあえず涙を人に見られないように、近くのトイレに駆け込んだ。
(バカバカバカバカバカ! 俺のバカ!!)
むっちゃんにヤキモチ妬いちゃダメだって、そんなことしたって意味がないって、ずっと自分に言い聞かせてきたのに。
あまりにもひどい自分の態度に、和衣は自己嫌悪でいっぱいになった。
(ちゃんと、むっちゃんに謝ろう…)
どうしたって、傷付けたのは自分だし、傷付いたのは睦月だ。このままでいられるはずがない。
和衣は涙でグチャグチャになった顔を洗ってから、みんなのいるであろうカフェテリアに戻ったが、もうそこに4人の姿はなかった。
それならば携帯電話で連絡を…と思って取り出そうとすれば、カバンも何も持っていないことに気が付いた。念のため、先ほど自分たちがいた席に行ってみても、そこには何も残っていない。
おそらく亮たちが持っていったのだろう、だとすればいったん寮に戻ってみるしかない。
和衣が重い足取りで寮に戻ってくれば、自分の部屋の前に睦月が立っていて、慌てて駆け寄った。
「むっちゃん…」
「あ、カズちゃん、お帰り。はい、これ」
差し出されたのは、和衣のカバンだった。
和衣の置いていったカバンを届けに来たら、鍵が掛かっているし、中にも人の気配がないので、外で待っていたらしい。
「あの、むっちゃん、あのっ…」
「ね、中入ってもいい?」
「え? あ、うん…」
和衣が話を切り出そうとするより先、睦月にそう言われて、和衣は急いでドアを開けて中に通した。
「…みんなは?」
「さぁ。自分の部屋じゃない?」
部屋に入った睦月は、試験が終わって早々に帰郷した和衣の相部屋さんのベッドに、どっかりと腰を下ろした。人に勝手にベッドに上がられるのが嫌だと言っていた和衣に、一応気を遣っているらしい。
「あの、むっちゃん、あのっ…………ゴメン、なさい!」
「え、」
いきなり深々と頭を下げて、謝罪の言葉を口にした和衣に、睦月はキョトンと彼を見つめた。
「え、何、カズちゃん」
「だって、さっき…俺、超態度悪かった…」
「うん、結構傷付いた、俺」
「ッ…」
サラリとそう言う睦月に、和衣はキュッと唇を噛んだ。
自分だって友だちに、いきなりあんな態度、取られたくない。
「俺、カズちゃんに何かした? 知らないうちに俺、カズちゃんに嫌われるようなこと、してた? それ聞きたくて来たんだけど……いきなり謝られるから、ちょっとビックリした」
「だって…ゴメンなさい…。何かもう俺…、……ゴメン…」
「謝るってことは、俺のこと、嫌いになったわけじゃないんだ」
「…うん」
そっか、と睦月はベッドから立ち上がった。
「なら、いいや。もしカズちゃんに嫌われたんだとしらたら、ヤダなって思ってたけど、じゃないならいいや」
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COMMENT-FORM
柚子季杏 ⇒ あぁ~カズちゃん
イイコだよ~この子達ほんとイイコだよ゜+.゜.(⊃Д`*)゜+.゜
5人の関係、これからどうなっていくんだろ。
捩れちゃうのかな?
それは悲しいなぁ・・・気になる~。
5人の関係、これからどうなっていくんだろ。
捩れちゃうのかな?
それは悲しいなぁ・・・気になる~。
りり ⇒ かわいそう
むっちゃん可愛い。
カズちゃんも可愛い。
あぁ~~~~ゆっちの心を知りたい。
友達の中でカプができちゃったり、恋愛絡んでくると、
関係が微妙に変わったりする。
このまま仲良しさんでいてほしいけど。
カズちゃんも可愛い。
あぁ~~~~ゆっちの心を知りたい。
友達の中でカプができちゃったり、恋愛絡んでくると、
関係が微妙に変わったりする。
このまま仲良しさんでいてほしいけど。
如月久美子 ⇒ >柚子季さん
みんながいい子なんで、余計切なくなっちゃうんですよね。
不器用で、強気になれない。
5人の関係は、良くも悪くも今までのようにはいられなくなっちゃいますよね。
友情と愛情……難しいっす(;_:)
コメントありがとうございました!
不器用で、強気になれない。
5人の関係は、良くも悪くも今までのようにはいられなくなっちゃいますよね。
友情と愛情……難しいっす(;_:)
コメントありがとうございました!
如月久美子 ⇒ >りりさん
あぁ~むっちゃんもカズちゃんも、ひどい子て思われなくて良かったです~。
むっちゃんの場合、無邪気なんだけど、その無邪気さが罪、てこともあるんでね。
友情の中に恋愛感情が入ってくると、今までどおりてわけに行かなくなりますよね。
ホントは誰にも切ない思いをさせたくはないんですけどね。。。
コメントありがとうございました!
むっちゃんの場合、無邪気なんだけど、その無邪気さが罪、てこともあるんでね。
友情の中に恋愛感情が入ってくると、今までどおりてわけに行かなくなりますよね。
ホントは誰にも切ない思いをさせたくはないんですけどね。。。
コメントありがとうございました!